フレンチプレスは二の腕の筋肉を鍛えるための筋トレ方法です。ダンベルやバーベル、ケーブルマシンなどのウエイトの負荷を利用して、ヒジの曲げ伸ばしを行います。
「腕を太くしたい!」という男性にも、「腕を引き締めたい!」という女性にもおすすめのトレーニングになります。
トレーニングの動作は単純ですが、フォームが誤っていると、腕ではなく、背中や肩の筋肉が鍛えられてしまうため、あらかじめポイントを押さえておく必要があるでしょう。
フレンチプレスを効果的に行うためには正しいフォームを身に付けることが重要です。今回はフレンチプレスのトレーニング方法を解説します。
フレンチプレスで鍛えられる筋肉
フレンチプレスでメインのターゲットとするのは上腕三頭筋です。

上腕三頭筋は二の腕についている筋肉です。
まずは上腕三頭筋の位置を確かめてみましょう。手のひらを上に向けて、二の腕の下側についているのが上腕三頭筋です。主に「ヒジを伸ばす」動作に使われています。
上腕三頭筋は体積がとても大きい筋肉で、二の腕の3分の2程度を占めています。体積の大きな上腕三頭筋を鍛えることは、腕全体に厚みを出すことにつながるため、「腕を太くしたい!」という男性であれば必ず鍛えておきたい筋肉の1つでしょう。
一方で、上腕三頭筋を鍛えるメリットは女性にもあります。上で述べたように、上腕三頭筋は二の腕の大部分を占めているため、鍛えることで二の腕がギュッと引き締まる、という効果が期待できます。
特に長頭の筋トレができる
上腕三頭筋には「長頭」「外側頭筋」「内側頭筋」の3種類があり、フレンチプレスでは、その中でも長頭を主に鍛えることができます。
長頭は上腕三頭筋の中でも一番大きな筋肉であり、長頭を鍛えることで効率よく二の腕のシェイプアップが可能です。そのため、フレンチプレスは、上腕三頭筋を鍛える際に真っ先に取り入れたいトレーニングです。
筋トレをしたら腕が太くなるって本当?
女性の中には「鍛えると腕が太くなるんでしょう?」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし、その点はあまり心配しなくても大丈夫です。
筋肉が大きくなる過程には「テストステロン」という男性ホルモンの働きが関係しています。当然ながら、男性の体と比べて女性の体はこのホルモンの分泌量が少ないため、そもそも女性は筋肉が大きくなりにくいという特徴があるのです。
また、筋トレで意図せず腕が太くなってしまう原因としては主に以下の2つが挙げられます。
- 上腕二頭筋ばかりを偏って鍛えすぎている
- ダンベルやウエイトの重量が適切ではない
メリハリのある引き締まった体形になるためには隣り合う筋肉をバランスよく鍛えることが大切です。
二の腕の場合は「上腕三頭筋」と「上腕二頭筋」ということになります。とはいえ、上腕二頭筋は「力こぶ」を作る目立ちやすい筋肉のため、「腕を引き締めたい」という女性は上腕三頭筋を中心におきつつ、上腕二頭筋も程よく鍛えましょう。
ウエイトの重量設定については次の章をご覧ください。
フレンチプレスをする時のウエイトの重量の決め方
まず、最初にお伝えしておきますが、ここで紹介するウエイトの重量の決め方はあくまでも一般論です。目安にはなりますが、実際はジムのトレーナーやパーソナルトレーナーに相談の上、調節するようにしてください。
それでは本題です。ここでは「RM」という重さを表す単位を用いて、ウエイトの重量の決め方を解説します。筋トレでは「1回しかこなせない重さ」を1RMと表現します。つまり、「1RMの90%」は「1回しかこなせない重さの90%」を意味するのです。
具体例を挙げて説明しましょう。「10kgのダンベルを1回なんとか上げられる」という方がいたとします。この場合、この方の1RMは10kgであり、9kgが1RMの90%に値します。
それでは、フレンチプレスを行う場合はウエイトの重量をどのくらいの重さに設定すれば良いのでしょうか。必ずしも「負荷は大きいほどよい」とは限りません。筋トレをする目的によって「ちょうどよい重量」は異なります。
「筋肉を鍛えたいけれど、筋肉が大きくなるのは嫌だ」という方はダンベルの重さを1RM(1回こなせる程度の重量)の90%くらいに設定し、それを1セット3回×3セット行うとよいでしょう。
一方で「腕を太くしたい!」という男性の場合は1RMの80%ほどの重量で1セット10×3セット行うことで効率的に筋肉を大きくできます。
とはいえ、どんな目的でフレンチプレスをするにせよ、最初は男性であれば2〜5kg、女性であれば0.5kg〜2kg程度の重量から始めるようにしてください。フレンチプレスのコツを掴んだら、ジムのトレーナーやパーソナルトレーナーと相談の上、自分の目的に合った重量設定を行いましょう。
- 石井直方著「筋肉まるわかり大辞典」
【自宅編】フレンチプレスの種類と筋トレの方法
ここからはフレンチプレスのトレーニング方法を「自宅編」と「ジム編」に分けて解説していきましょう。
すでにお伝えした通り、フレンチプレスでメインのターゲットとする上腕三頭筋は「ヒジを伸ばす」という動作において強い力を発揮する筋肉です。したがって、フレンチプレスにおいても「ヒジを伸ばしてダンベルを上げる」という動作の時、特に上腕三頭筋を意識するようにしてください。
それでは、まずは「自宅編」からご紹介します。
種類 | 効く部位 |
ダンベル・フレンチプレス | 上腕三頭筋 |
ダンベル・ワンアーム・フレンチプレス | |
チューブ・フレンチプレス |
なお、トレーニングの難易度を☆の数で5段階評価します。☆の数が多いほど難易度が高いトレーニングになります。
ダンベル・フレンチプレス(☆☆)
ダンベル・フレンチプレスはフレンチプレスの基本形になります。
フレンチプレスのポイントは「ヒジの位置を固定する」こと。これは以下で紹介するすべてのフレンチプレスに共通するポイントになります。ヒジの位置が定まらないと、肩や背中など、上腕三頭筋以外の筋肉が強く働いてしまいます。
ヒジの位置はしっかりと固定するようにしましょう。
ダンベル・ワンアーム(片手)・フレンチプレス(☆☆)
ダンベル・ワンアーム・フレンチプレスは基本のダンベル・フレンチプレスを片手で行うトレーニングになります。
基本のダンベル・フレンチプレスと同様に、ダンベル・ワンアーム・フレンチプレスにおいても「ヒジの位置を固定する」ことがとても重要です。
ワンアーム・フレンチプレスでは、トレーニングする方の腕のヒジを反対の手で押さえるため、基本のダンベル・フレンチプレスよりもしっかりとヒジを固定できるため、どちらかと言えばワンアーム・フレンチプレスの方が初心者向きと言えるでしょう。
チューブ・フレンチプレス(☆☆☆)
チューブを使ってフレンチプレスをすることも可能です。チューブは収納場所に困らないため、自宅でのトレーニングにおすすめです。
チューブ・フレンチプレスのポイントは2つあります。
1つ目は「ヒジの位置を固定する」こと。
2つ目は「反動の力に頼らない」こと。チューブを使う場合、チューブの張力に引っ張られてヒジの位置がブレてしまったり、反動の力で動作をいい加減に行ってしまいがちです。チューブの張力にしっかりと抵抗して、ゆっくりと丁寧に動作を行ってください。
【ジム編】フレンチプレスの種類と筋トレの方法
次は「ジム編」です。バーベルやケーブルマシンを使って行うフレンチプレスの筋トレ方法を紹介します。
種類 | 効く部位 |
バーベル・フレンチプレス | 上腕三頭筋 |
ケーブルマシン・フレンチプレス |
バーベル・フレンチプレス(☆☆☆)
「自宅編」ではダンベルを使いましたが、ジムに通っている方はバーベルを使うことでより負荷を大きくできます。
バーベル・フレンチプレスのポイントを3つお伝えします。
1つ目のポイントは「ヒジの位置を固定する」こと。繰り返しになりますが、ヒジが外側に開いたり、位置が上下に動いてしまうと、上腕三頭筋以外の筋肉の関与が強くなってしまうため、ご注意ください。
2つ目のポイントは「ヒジが完全に伸び切るまでバーベルを持ち上げない」こと。ヒジが伸びきってしまうと、上腕三頭筋の緊張状態が解けてしまいます。ヒジは常に少し曲げておきましょう。
3つ目のポイントは「反動の力に頼らない」こと。勢いでバーベルを上げ下げするようなことは避けましょう。あくまでも上腕三頭筋の力がメインで働くように、動作をゆっくりと丁寧に行なってください。
※バーベルを落とさないように注意してください。
ケーブルマシン・フレンチプレス(☆☆☆)
ケーブルマシン・フレンチプレスはケーブルマシンを使って行うフレンチプレスです。
ケーブル・フレンチプレスのポイントは2つあります。
1つ目は「ヒジの位置を固定する」こと。ケーブルマシンを使うと、ケーブルの張力に引っ張られてヒジの位置が動いてしまいやすいですが、ヒジの位置をしっかりと固定するようにしましょう。
2つ目のポイントは「ケーブルを横方向にまっすぐと伸ばすイメージで、ケーブルを引く」こと。ケーブルを引く際に、下方向に引くのではなく、ケーブルが正面の方向に向かってまっすぐと伸びていくイメージで引きましょう。
まとめ
今回は「フレンチプレス」を紹介しました。

フレンチプレスは上腕三頭筋を鍛える効果的なトレーニングで、男性にも女性にもおすすめのトレーニングになります。
また、繰り返しお伝えしているように、フレンチプレスで一番注意してほしいポイントは「ヒジの位置を固定する」ことです。ヒジの位置が動いてしまっては、トレーニングの効果がかなり薄くなってしまいます。
フォームが乱れないように、最初は重量を軽くしてゆっくり取り組み、フォームを固めましょう。その後負荷が掛かるように調整をしていきましょう。
これだけは押さえておきたい!フレンチプレスのポイント
※ここでは分かりやすく「高負荷×少ない回数」と「低負荷×多い回数」を対比させていますが、あくまでも一般論に過ぎません。繰り返しになりますが、「自分にちょうどよい重量」はトレーナーと相談して決めるのが理想です。