筋肉の量が増えればそれにともなって基礎代謝が向上するため、エネルギー源として消費される脂肪の量が増加します。特に太ももには全身のなかでも特に大きい筋肉がありますので、太ももを鍛えれば、脂肪の燃焼効率も向上することでしょう。
そんな太ももの筋肉を鍛える筋トレとしては、「スクワット」がおすすめです。
「昔スクワットをしたら、太ももが太くなってしまった」という苦い経験がある方もいるかもしれませんが、スクワットをして太ももが太くなってしまうという場合は、そもそもフォームが間違っている、という可能性が高いでしょう。
今回は「太もも痩せに効くスクワットの正しい手順とフォーム」を紹介します。この機会に正しいスクワットの実践方法を身につけてください。
スクワットで鍛えられる筋肉の部位
スクワットは下半身を中心に複数の筋肉を鍛えることができ、主に3つの筋肉に効果的です。
鍛えられる筋肉1.大腿四頭筋
太ももの前側に位置する筋肉で、その名の通り4つの筋肉から構成されています。
「ヒザを伸ばす」動きに主に用いられ、普段の生活の中では「ジャンプする」「歩く」などの動作に使われます。
大腿四頭筋は人体で最も体積の大きな筋肉で、太もも前面という目立ちやすい部位なため筋トレの効果を実感しやすくなっています。
鍛えられる筋肉2.ハムストリング

ハムストリングは太もも裏側の筋肉群です。
大腿四頭筋とは反対に、主に「ヒザを曲げる」際に用いられる筋肉です。日常生活においては「走る」「歩く」など様々な動作で使われています。
このハムストリングは急激な運動によって肉離れを起こしやすい筋肉としても有名です。普段から意識的に筋トレをして鍛えたり、ストレッチをして柔軟性を高めることで予防しましょう。
また、お尻の筋肉を下から持ち上げてくれるので、後述の大殿筋と共にヒップアップ効果も期待できます。
鍛えられる筋肉3.大殿筋

大殿筋はお尻を覆う筋肉で、椅子に座った時に接地する部分です。股関節の動きに関わっているため、脚を動かすのに必要不可欠な筋肉です。
普段の生活では「椅子から立ち上がる」「ジャンプする」「歩く」「走る」などの様々な動作において活躍しています。
お尻の表面にあるこの大殿筋を鍛えることによって、お尻全体が持ち上げられヒップアップ効果が期待できます。
スクワットは一度に複数の筋肉にアプローチできるとても効率のよい筋トレ方法です。
スクワットの正しい手順
一見すると、「ヒザを曲げて腰を落とし、戻る」というようにシンプルな動きに見えるスクワットですが、たくさんの筋肉を使う分体が疲れやすく、フォームがくずれてしまいやすい傾向にあります。
崩れたフォームのままスクワットを続けると特定の筋肉ばかりが偏って鍛えられて「かえって太ももが太くなった」という事態を招く恐れがあるでしょう。
効率のよい筋トレだからこそ、スクワットは一度習得してしまえば大いに役立ちます。以下でスクワットの手順と正しいフォームを写真つきで解説しますので、ぜひ正しいフォームを身につけてください。
スクワットのスタートポジションにおけるフォーム

スタートポジションについて説明します。足を肩幅よりやや広めに開きます。つま先は外側に向けましょう。

スクワットで体を落とした時のフォーム
スタートポジションからそのまま体を落としていきます。
この時、背中とすねが平行になるように意識しましょう。ヒザはつま先よりも前に出て構いません。

“ 正しい”姿勢を意識するあまり、床に対して垂直に背すじを伸ばそうとする方がいますが、それでは背骨に付いている筋肉(脊柱起立筋)を痛めたり、腰痛の原因になったりする恐れがあります。
背中とすねが平行になるようにフォームを意識してください。
また、トレーニング本などで「スクワットをする時にヒザをつま先よりも前に出さない」というアドバイスがされていることが多いですが、人間の体の作りに従って自然な動作でスクワットをしたら、ヒザが前に出るのは当たり前、というのが私の意見です。
スクワットのフィニッシュポジションにおけるフォーム
最後にフィニッシュポジションの説明です。自然な立ち姿になるまで体勢を戻しましょう。

フィニッシュポジションでは、股関節が伸びると同時にヒザ関節も伸びていきます。
普段の生活の中で「走る」「ジャンプする」「歩く」動作をする際、股関節と膝は、同時に曲がって同時に伸びるのが自然です。
だからこそ、股関節が伸びているのに、ヒザが曲がっているフォームでトレーニングをしてしまうと、日常の動作が不自然になり、怪我や故障に繋がりかねませんので、スクワットのフィニッシュポジションでは股関節の伸びに対してヒザ関節も自然と伸びる形になります。
回数よりも「フォーム」を重視すること
スクワットは回数をたくさんこなせば効果が出るというわけではありません。もちろん回数も大切ですが、一番大切にしてほしいことは「フォーム」です。
やみくもに100回やってもそれはただの自己満足でしかありません。あくまでも「正しいフォーム」で何回できるかを重要視することが大切です。
おすすめの方法は、鏡の前でフォームをチェックしながらスクワットをすること。「フォームがくずれてきた」と思ったら、一度休みを挟んでください。目標回数は「連続で◯回」ではなく、「正しいフォームで合計◯回」とするといいでしょう。

スクワットをする上で、手のポジションも指導者によって意見が分かれるポイントです。「手を床と平行にまっすぐと伸ばす」「胸の前で交差させる」「頭の後ろで組む」などやり方は様々ありますが、私は「体を落とす時にヒジを引く」ことをおすすめします。
なぜなら、走ったり歩いたりする動作においては上半身と下半身が連動して動くのが自然であるからです。
体の作りに反したフォームでトレーニングをすることこそが怪我の大きな原因です。人間の体の構造を理解した上で、人間の体の構造に従った動作を行うことが大切です。
回数は「1日合計30回」が目安
回数の目安としては「1日合計30回」程度がちょうどよいでしょう。30回が難しければ10回から始めて、慣れてきたら30回、40回と少しずつ回数を増やしてください。
筋肉痛の状態でもトレーニングを休む必要はありません。ただし、筋肉痛があるときは痛みをカバーするためにフォームがくずれてしまいやすいので、正しいフォームを維持するのが難しいようであれば、痛みが引くまでトレーニングは休むようにしてください。
筋トレの正しいフォームを身につけよう
筋トレの効果を高めるうえで「回数よりもフォームが大事」というのは、スクワットに限らず筋トレ全般においていえることです。
「筋トレの効果が思うように出ない」という方はフォームが誤っている可能性があります。今回紹介した、動画や写真をもとに正しいスクワットに修正をしていきましょう。
「足を肩幅に開く」「つま先を正面に向ける」というやり方に慣れている方もいるかもしれませんが、人間の体の構造上、股関節を曲げて体を落とす動作では股関節は自然と外側に開きます。
足を肩幅と同じくらいに開いたり、つま先を正面に向けたりする状態で体を落としていくと、「股関節が内側に閉じる」という本来の人間の動作からすると不自然な動きになってしまうため、足は肩幅より広く開いてつま先は外側に向けるようにしましょう。