厚い胸板を作ると、スーツやTシャツなどボディラインが出やすい服も似合うようになるため、胸板を鍛えたいと考える人も多いでしょう。
厚い胸板を得るためには、大胸筋全体をまんべんなく鍛えることがおすすめです。
この記事では大胸筋を構成する部位それぞれに応じた筋トレ方法を解説します。筋トレ方法も自宅での方法とジムでの方法を紹介します。自分のライフスタイルに合わせて、効率よくトレーニングして、厚い胸板作りを目指しましょう。
筋トレすべき大胸筋の種類

大胸筋は腕を前方へと押す動きに関与しています。大胸筋は解剖学的に見ると、上部と下部、2つに分けることができます。この2つを全体的に鍛えていくことで大胸筋中部(内側)も鍛えることが可能です。
大胸筋を厚くしたい場合は、大胸筋全体を鍛える必要があります。それぞれが体のどの部位にあるのか、なぜ鍛える必要があるのかをきちんと理解しましょう。
大胸筋の種類1:大胸筋上部
大胸筋上部は、腕を上げる際に使われる筋肉です。よく使われる筋肉であるため日常生活の中でも鍛えやすい部分でもあります。
鍛えることで胸の上部が盛り上がり、胸周りのメリハリが生まれます。この部位がしっかりしていると筋肉質な印象を与えやすく、細マッチョを目指す人も鍛えておきたい筋肉です。
大胸筋の種類2:大胸筋中部(内側)
大胸筋中部は腕を閉じる際に使われる筋肉です。筋トレでおなじみの腕立て伏せや、ボールを投げる動作、イスから立つときに上体を持ち上げる動作にも関わります。
胸板の真ん中のラインを形作る筋肉であるため、「胸板全体のボリュームアップ」と「厚み」を作りたいなら鍛えておきたい筋肉です。
大胸筋の種類3.大胸筋下部
大胸筋下部は腕を上から下ろす際に使う筋肉です。
みぞおちあたりに広がる筋肉であるので、ここを鍛えると腹部と胸の境目がはっきりとします。腹部と胸板がなだらかに続いていると、どうしても胸板が薄く見えてしまいます。メリハリのついたボディメイクを目指す人も、ぜひ鍛えておきたい部位です。
大胸筋を鍛えて厚い胸板になるための筋トレ法(自宅編)
トレーニングで効果を上げるには、集中できる環境にいることも大切です。自宅でのトレーニングでは、自分ひとりの環境になれるので気軽にトレーニングができます。
自宅でできる大胸筋を鍛えるための筋トレ方法は「腕立て伏せ」「ディクラインプッシュアップ」「ディップス」の3つです。
大胸筋の筋トレ1:腕立て伏せ
プッシュアップとも呼ばれる腕立て伏せは、特にに大胸筋中部に効果を発揮します。
よく耳にするトレーニングであり、実際にトライしている方も多いでしょう。自宅での限られたスペースでも取り組めるため、筋トレ初心者でもチャレンジしやすい自重トレーニングです。
そんな腕立て伏せを効果的に行うには、2つのポイントがあります。
1つ目のポイントは「背中を反らない」ことです。
筋トレは背筋がまっすぐと伸びた状態で、ヒジが手の真上にくるのが基本的なポジションです。体を持ち上げるとき背中を反らせないようにしましょう。
自分ではフォームの乱れに気づけないこともあるため、カメラや動画撮影などを活用してフォームをチェックしてみましょう。 また、パーソナルトレーナーをつけて正しいフォームを習い、確認してもらうのも効果的です。
2つ目のポイントは「素早くやりすぎない」ことです。
腕立て伏せではついつい反動をつけることがあります。反動をつけると大胸筋以外の部位に負荷がかかるため、別の部位を鍛える結果になってしまいます。動作自体をゆっくり行うと、大胸筋に負荷をかけやすくなるだけでなく、正しいフォームを守ることに繋がります。
- 肩幅程度に両手を開いて床につきます。
- ゆっくりとヒジを曲げながら体を下ろします。
- ゆっくりと胸の筋肉を意識して体を押し上げます。
◆回数の目安:10回前後×3セット
大胸筋の筋トレ2:ディクラインプッシュアップ
ディクラインプッシュアップは、脚を台の上にのせて前傾姿勢になって行う腕立て伏せです。主に大胸筋上部に効果があります。
ディクラインプッシュアップのポイントは「腰を反らさない」ことです。
腰が反ってしまうと、せっかく脚を台に乗せて大胸筋上部への負荷を高めているのに、その負荷が分散され通常の腕立て伏せと同じになってしまいます。セット後半になって苦しくなると、ついつい腰が反りがちになりますが、ここはぐっとこらえて腰を引き、フォームをキープしましょう。
- つま先をベンチやイスなど安定した台に置きます。
- 背筋を伸ばし、手をヒジの真下に置きます。
- ゆっくりと体を下ろします。
- 胸の筋肉を意識して体を押し上げます。
◆回数の目安:10~15回×3セット
大胸筋の筋トレ3:ディップス
ディップスは大胸筋下部への効果が期待できる筋トレで、腹部と胸部の境目をくっきりとさせたい人におすすめのトレーニングです。
ジムで行うイメージもあるトレーニングですが、体を支える台が2つあれば自宅でもできるトレーニングです。
ディップスを行うときのポイントは、次の2つです。
1つ目のポイントは「体は前傾姿勢を保つ」ことです。
体をやや斜め前、つまり前傾姿勢に体を傾けたまま、下ろすように心がけましょう。垂直や後傾姿勢になると、大胸筋下部ではなく腕の筋肉への負荷が増えます。
2つ目のポイントは「体を沈められない場合は無理をしない」ことです。
ディップスは両腕で全体重を支えるため、慣れていない人だと体を支えきれなかったり、十分体を沈められない可能性があります。その場合は沈みが浅くてもいいので、可能な範囲で体の上げ下げを行ってください。
- 両腕で全体重を支え、脚が宙に浮くようにします。
- 前傾姿勢のままゆっくり腕を曲げていきます。
- ゆっくり腕を戻します。
◆回数の目安:10回×3セット
大胸筋を鍛えて厚い胸板になるための筋トレ法(ジム編)
ジムでのトレーニングのメリットは、より手軽に負荷をアップさせられることです。また自分ではチェックできないフォームをトレーナーに見てもらうことができます。
大胸筋には様々な筋トレがありますが、ここではどのジムでも行いやすい「ベンチプレス」「インクラインチェストプレス」「バタフライマシン」の3つを解説します。
大胸筋の筋トレ1:ベンチプレス
ベンチプレスは大胸筋だけでなく、上半身の広い範囲をトレーニングできます。そのため「上半身の総合種目」として人気の高いトレーニング方法です。
またベンチプレスの最大重量は、筋トレをする人にとってはある意味「指標」として重要視されます。しかし鍛える中で怪我のリスクも多い種目です。
3つのポイントをきっちりおさえてトレーニングをしましょう。
1つ目のポイントは「ウォーミングアップをしっかりと行う」ことです。
ベンチプレスは、体への負荷が非常に大きいため、しっかりと準備運動やウォーミングアップをしておかなければ怪我にも繋がりかねません。そのため、最初は軽い重量から始め、徐々に目的の重量へと移行していきましょう。
2つ目のポイントは「肩甲骨を寄せる」ことです。
肩甲骨を体の中心にしっかりと寄せ、足を踏ん張ることで体を支える支点が出来上がります。大胸筋をより効率よく収縮させるように、肩甲骨の位置をキープすることを心がけましょう。また、肩がすくまないようにするとより効果的です。
3つ目のポイントは「反動を使わない」ことです。
反動を使ってしまうことを避けるためには、動作の最初から最後まで確実に重さを自分でコントロールすることに注力しましょう。また体の中心がぶれてしまうような重量を扱うと、動きにもメリハリがつかずにトレーニング効果が弱まってしまいます。
- ベンチに仰向けになり、バーベルを肩幅より1.5倍ほど外側の位置で握ります。
- ラックからバーベルを上げゆっくりと胸の前へ下ろします。
- ゆっくりバーベルを持ち上げます。
◆回数の目安:10回×3セット

大胸筋の筋トレ2:インクラインチェストプレス
インクラインチェストプレスは、斜め上方向にバーを押し上げ、大胸筋上部を効果的に鍛えるトレーニングです。
専用のマシンを使うためチャレンジしやすく初心者にもおすすめです。
インクラインチェストプレスでおさえたいポイントは次の3つです。
1つ目のポイントは「肩甲骨をしっかり寄せる」ことです。
チェストプレスでも腕の筋肉を使用しがちになります。大胸筋への刺激を高めるためには、肩甲骨をしっかりと寄せておくことがポイントです。
2つ目のポイントは「肩をすくめない」ことです。
肩をすくめると肩の筋肉に負荷がかかってしまいます。肩は落として肩甲骨を寄せることを意識してください。
3つ目のポイントは「胸を張った状態からスタートする」ことです。
インクラインチェストプレスは、胸を大きく張った状態からスタートしましょう。このとき、腰を反らしてしまうことがあるので注意してください。
- 座席の奥深くへ座り、背中をつけます。
- バーを握り、肩甲骨を寄せて胸を張ります。
- 息を吐きながらハンドルを押し上げます。
- 息をゆっくり吸いつつ元の位置に戻ります。
◆回数の目安:10回×3セット

インクラインチェストプレスでは「バーの位置」と「席の高さ」を自分に合わせることにが重量です。自然な軌道でバーを押し上げることで、より自分の筋肉に合わせたトレーニングが可能になるためです。
大胸筋の筋トレ3:バタフライマシン
バタフライマシンは大胸筋全体を鍛えられるマシンです。マシン自体の軌道がすでに決まっているため、初心者や女性でも取り組みやすいトレーニングです。
大胸筋の形を整えつつ、内側部分にくっきりとした線を作ることができます。
次の2つのポイントを、しっかりおさえましょう。
1つ目のポイントは「ヒジの角度を変えない」ことです。
バタフライマシンを使うときは、ヒジは常に一定の角度を保つようにしましょう。ヒジの角度がぶれると腕への負荷が増すため、大胸筋中部を安定して鍛えることが難しくなるためです。
2つ目のポイントは「胸をしっかり張る」ことです。
大胸筋中部を意識しながら、肩甲骨を寄せて胸を張った姿勢で行いましょう。肩が前方に押し出された状態、つまり肩甲骨が寄っていない状態で腕を動かすと、肩回りだけが動いてしまいます。この状態だと肩の筋肉へ負荷が集中してしまうため、肩を痛める原因にもなります。
- 背もたれに背中をつけ、座席部分に深く座ります。
- 大胸筋全体を体の中央に寄せるイメージで、腕をゆっくり閉じます。
- ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
◆回数の目安:10回×3セット

バタフライマシンは負荷が大きいと背もたれから背中が離れることがあります。体重を前にかけて、腕を動かそうとするためです。しかし、この姿勢は腕の筋肉を使用してしまい、大胸筋への負荷がほとんどなくなってしまうので背中は背もたれから離さないようにしましょう。
まとめ
厚い胸板のためにはトレーニングのコツをおさえて「正しいフォームをキープできること」と「大胸筋の動きを意識しながらトレーニングすること」が大切です。
筋肉名 | 筋トレ |
大胸筋上部 | ディクラインプッシュアップ、 インクラインチェストプレス、 |
大胸筋中部 | 腕立て伏せ、バタフライマシン、 ベンチプレス |
大胸筋下部 | ディップス |
筋トレは毎日の積み重ねが大切であり、まずはやり始めなくては筋肉は育ちません。さらに筋トレ初心者は、継続ができずに挫折してしまいがちです。
そんな方は専門家に頼るのも胸板を厚くするための近道です。パーソナルトレーナーに依頼をすることで、適切なサポートを受けられるだけでなく、無理のないトレーニング方法の提案もしてもらえます。
理想のボディを手に入れるために、無理をし過ぎて怪我をするのも避けたいところです。トレーナーのアドバイスを受けつつ、自分に最適なトレーニング方法を探していきましょう。
ベンチプレスの際は腕を伸ばしきらないようにしましょう。腕が伸びきると、ヒジの関節で重りを支えることになり、ヒジを痛める可能性があります。