糖質制限中にコレステロール値が上昇しやすい理由と対策を紹介

監修者プロフィール

工藤孝文|医師

工藤孝文|医師

福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。ダイエット外来を行う医師として、多くのテレビ番組に出演したり、雑誌などの媒体で執筆活動を行なっている。

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「糖質制限をしたことでコレステロール値が上がった」という方がいますが、おそらく食事内容の変化に伴ってコレステロールの摂取量が増えたことが要因として考えられます。

コレステロール値が高くなると、心配なのが動脈硬化。動脈硬化は心筋梗塞や脳卒中の原因になりやすいため、コレステロール値の上昇に不安を抱かれている方も多いかもしれません。

そこで今回は、糖質制限を行いつつ、コレステロール値を正常に保つために知っておきたい、コレステロール値が上がる理由や対策について紹介します

コレステロールとは

最初に、そもそもコレステロールとは何なのかということをご説明します。

コレステロールは脂質の一種。約80%は肝臓で作られ、食事を通じて体内に摂取されるのは残りの20%ほどです。「健康に悪影響を及ぼす」というイメージを抱かれやすいですが、実は細胞膜や性ホルモンを作る材料になったり、ビタミン類を代謝したりと、人体にとって良い働きをする側面も持っています

また、コレステロールは「LDLコレステロール」と「HDLコレステロール」の2種類に分けられます。

LDLコレステロールとHDLコレステロール

  • LDLコレステロール(悪玉コレステロール):コレステロールを肝臓から全身の細胞へと運ぶ。
  • HDLコレステロール(善玉コレステロール):使われることなく血液中に余ったコレステロールを回収する。

悪玉コレステロールと言うと、体に害をなすもののようなイメージがありますが、コレステロールを「運搬するLDL」と「回収するHDL」はどちらも体には必要不可欠な存在です。

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食事からのコレステロール吸収率

摂取した食物に含まれるコレステロールの全てが体内に吸収されるわけではありません。コレステロールの吸収率には、20~80%と個人間で大きな差があり、平均は50%ほどです。吸収されなかったコレステロールは便として排泄されます。

また、「食物繊維」や「植物ステロール」を多く含む食事では、コレステロールが吸収されにくい傾向にあります

コレステロール値が高まることで生じるリスク

コレステロールにはLDHコレステロールとHDLコレステロールの2種類があるとご紹介しましたが、一般的に「コレステロール値が高い」「コレステロール値が上がった」などと表現する場合は、LDLコレステロールの値の上昇を示すケースが多いです。

通常、余ったLDHコレステロールは、HDLコレステロールによって回収されますが、あまりにも量が増え過ぎると、回収されることなく動脈壁に入り込み、動脈硬化の原因となってしまうことがあります。

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コレステロール値の目安

  • LDHコレステロール値の基準値:70~119mg/dL以内
  • 脂質異常症:LDLコレステロール値が140mg/dL以上あるいはHDLコレステロール値が40mg/dL未満

※日本動脈硬化学会の定義。LDLコレステロールが多過ぎるとHDLコレステロールによる回収が追いつかなくなることと、HDLコレステロールの数値が低すぎても、LDHコレステロールの回収が間に合わなくなるという意味です。

糖質制限でコレステロール値が上がるのは「肉や卵」の食べ過ぎが原因の1つ

では、なぜ糖質制限を行うと、コレステロール値が上がりやすいのでしょうか?その主な原因は、糖質制限中の人が頻繁に食べる食材に理由があります。

糖質制限中は、重要なエネルギー源である糖質の摂取量を控える代わりに、タンパク質や脂質の摂取量を増やす必要がありますが、低糖質かつ高タンパクな食材として有名な肉や卵、ナッツ、チーズは、同時にコレステロール値が高い食材でもあります。

そのため摂取することで一時的にLDLコレステロール値が上昇します。しかし、体には体内環境を一定に保つ働きがあるため、後述するように次第にバランスが取れていきます。

食事によるLDLコレステロール値の上昇は一時的なもの

肉や卵、ナッツ、チーズなどコレステロール値が高い食材を食べることで、LDLコレステロール値は高くなりやすいもの。しかし、食事によるLDLコレステロール値の上昇はあくまでも一時的なものであることがほとんどです。

先述した通り、コレステロールの約80%は肝臓で作られ、食事からの摂取は20%ほどにとどまります。

食事からのコレステロール摂取が多くなれば、その分肝臓で作り出されるコレステロールは少なくなります。反対に食事からのコレステロール摂取が少なくなれば、肝臓でのコレステロール合成が多くなるようになっており、どちらにせよ体内で調整され必要量が保たれるようになっています。

糖質制限のためのコレステロールが多い食事により、一時的にLDLコレステロール値の上昇はします。しかし、それは慢性的に上がるわけではなく、食事からの摂取が増えた分に伴い、半年~1年ほどかけて体が順応していきます。

そのため何らかの疾病でない限りは、肝臓で作るコレステロールの量を増減させることで、バランスが取れるようになっています。

また、LDHコレステロールは、総コレステロールからHDLコレステロールと中性脂肪を引いた値であるため、糖質制限中に中性脂肪が減ったことで相対的にLDLコレステロール量が増えたように見えることもあります。

糖質制限中にコレステロール値の上昇を防ぐ食事法

正常に体内のコレステロール値が調整されていれば、大きな問題がないと言っても、コレステロール値の上昇は気になるものでしょう。ここでは、糖質制限中のコレステロール値の上昇を食事から防ぐ方法をお伝えします。

おすすめの栄養素1.不飽和脂肪酸を摂る

糖質制限中はエネルギー源となる脂質を意識的に摂る必要がありますが、不飽和脂肪酸が多く含まれる食品を意識するようにしましょう。

脂質というのは、体内に摂取された後「グリセール」と「脂肪酸」に分解されます。この「脂肪酸」はさらに「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2種類に分けることができます。

このうち「飽和脂肪酸」は、コレステロールや中性脂肪を増やす原因になってしまいます。バターや卵黄、肉の脂など、常温で固まる油脂に含まれます。

一方で、「不飽和脂肪酸」は、中性脂肪やコレステロールの値を改善する効果があり、体に良いとされています。えごま油やオリーブオイル、魚の脂など、常温でも固まらない液状の油脂に含まれます。青魚などに含まれるDHAやEPAもこの不飽和脂肪酸です。

このように、同じ脂質でもその性質は大きく異なるため、不飽和脂肪酸」をメインに摂るように心がけると良いでしょう。

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マーガリンの摂取は避けるべき

マーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」を摂る量が多いと、LDLコレステロールが増えて、HDLコレステロールが減ることが報告されています。

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糖質制限中の脂質の必要性や摂取量目安について「糖質制限中に「脂質」を摂ると太る?|適切な摂取量を解説」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

おすすめの栄養素2.食物繊維を摂る

野菜や海藻などに多く含まれる食物繊維には、コレステロールの吸収を抑えてくれる働きがあります。

食物繊維は体内で分解されないため、そのまま便として排出されます。その際に、コレステロールを吸着して一緒に排出されるので、LDLコレステロールが減少するというわけです。

食物繊維は「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」に分けられるのですが、コレステロールを吸着してくれるのは水溶性食物繊維です。水に溶けてドロドロになるため、コレステロールが吸着しやすくなっています。

水溶性食物繊維はこんにゃくやアボカド、ワカメなどに多く含まれています。繊維が柔らかい野菜や果物、海藻類に多い傾向にあるため、舌触りがネバネバ・ヌルヌルしている食品に多いと覚えておくとわかりやすいでしょう。

  • 100gあたりに含まれる水溶性食物繊維量(g)
果物 野菜 芋類 キノコ
キウイ(0.7) オクラ(1.4) じゃがいも(0.6) なめこ(1.0)
アボカド(1.7) ごぼう(2.3) さつまいも(0.6) しいたけ(0.4)
レモン(2.0) にんにく(4.1) 里芋(0.8) えのき(0.4)

※文部科学省:食品成分データベースより

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食物繊維の働きや摂取目安など「糖質制限中の「食物繊維」不足を防ぐ!目安の摂取量と食材を紹介」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

おすすめの栄養素3.植物ステロールを摂る

植物ステロールという脂質の一種を摂ることでも、コレステロール値を抑えることができます。

そもそもコレステロールというのは、ミセルという粒子に入ることで体内に吸収されていきます。しかし、植物ステロールはコレステロールの代わりにミセルに入り込むため、入れなかったコレステロールはそのまま体外へと排出されることになります。

また、この植物ステロールは体内でほとんど吸収されません。そのためコレステロールの吸収を抑えることができるというわけです。

この植物ステロールというのは、植物の細胞を構成する成分の1つで、多くの植物から摂取できます。そのため大豆油やゴマ油、菜種油など植物由来のオイルには豊富に含まれています。

野菜や豆類など植物性の食材を積極的に食べるのはもちろんながら、植物性の油を使用することもおすすめです。

まとめ

コレステロールは人体に必要不可欠な存在ですが、その量が多くなると健康に害を及ぼします。糖質制限を行うことで食事内容が変化し、今までより摂取コレステロール量が増えればコレステロール値が上昇することはあります。

しかし、長期的に見れば体がバランスをとってくれるため、次第に正常値に戻っていくでしょう。

なるべくコレステロール値が上昇しないようにするためには、今回紹介したように、食物繊維をしっかりと摂り、油の種類にこだわるようにしましょう。

また、糖質制限によって食生活が変化するとコレステロールの摂取量が増すように、食事が変化することで栄養素が不足することもあります。

様々な栄養素を過不足なく摂取することが健康にも糖質制限の結果を出すためにも大切なため、栄養を考えた食事をとることがおすすめです。

とはいえ、そのためには栄養の知識が必要不可欠で、毎日の食事となると面倒に感じるでしょう。その際はぜひTOREMOを参考にしてみましょう。

TOREMOでは糖質制限に関するさまざまな記事を用意しています。医師・管理栄養士監修の元、正しい糖質制限に関する情報を発信しております。

TOREMOで得た情報をもとに、ぜひ糖質制限に取り組み理想の体を手に入れましょう。