糖質制限は危険?誤った方法で起こりうるリスクと対策を紹介

監修者プロフィール

工藤孝文|医師

工藤孝文|医師

福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。ダイエット外来を行う医師として、多くのテレビ番組に出演したり、雑誌などの媒体で執筆活動を行なっている。

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「糖質制限ダイエットは“危険”だ」と聞いたことはありませんか?

実は糖質制限はもともと糖尿病治療のために考えられた食事法です。したがって、危険があるのは糖質制限そのものではなく、誤った知識で糖質制限を行うことにあります。

今回は間違った糖質制限のリスクとその対策を紹介していきます。

糖質制限が危険と言われる理由

糖質制限は「ただ糖質だけ減らせばいい」というものではありません。糖質は制限しても、その他の栄養素やカロリーは制限する必要がなく、むしろ糖質を抑えた分は他の栄養素を摂ってエネルギーを補う必要があります。

例えば、主食を抜く場合、おかずを多く食べることで、その分のカロリーを補います。これを怠ると、エネルギー不足になって体調不良などにつながるでしょう。

このように抑えるべきなのは糖質だけで、その他の栄養素やカロリーはむしろ積極的に摂るべきだということを覚えておいてください。

間違った糖質制限を行うと、以下のような危険性があります。

間違った糖質制限の危険性

  • 便秘・下痢になる
  • 基礎代謝が低下する
  • 頭痛やめまいを感じる

糖質制限が危険と言われる理由1.便秘・下痢になる

主食など炭水化物を控えることで、便秘や下痢などを起こす危険性があります。

炭水化物というのは糖質だけでなく食物繊維も含んでいます。そのため炭水化物を控えるとおのずと食物繊維も一緒に抑えられてしまいます。食物繊維には整腸作用があるため、不足することで腸内環境が悪化し便秘や下痢となって表れます。

炭水化物を抜く場合は、野菜や根菜、海藻など食物繊維を豊富に含む食材を積極的に摂るようにしましょう。成人男性で1日に20g以上、成人女性で1日に18g以上が食物繊維の摂取目安量です。

ただし、根菜の中にはレンコンやタケノコなど糖質が多いものもあるので、注意してください。

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食事量が減ると食物に含まれる水分もカットされるため、水分不足で便秘になることもあります。水分は腸内で便をやわらかくしてくれるため、食事量を抑える場合は、こまめな水分補給を意識するようにしましょう。

糖質制限が危険と言われる理由2.基礎代謝が低下する

エネルギーが不足することで、筋肉が落ちてしまい基礎代謝が低下する場合があります。

そもそも糖質というのは人間のエネルギー源の1つです。糖質制限中は糖質に代わってタンパク質と脂質がエネルギーとなるのですが、健康のためにはエネルギー比率における脂質の量は30%程度までにとどめるべきであるため、タンパク質が主なエネルギー源となります。

タンパク質が不足すれば、体は、筋肉を分解してエネルギーを得ようとしますが、筋肉が落ちれば基礎代謝も落ちてしまいます。

基礎代謝とは
呼吸や体温調節などの生命維持などで使われる、何もしなくても消費されるエネルギーのこと。1日に消費されるカロリーの約6〜7割を占めています。そのうち筋肉によるエネルギー消費は約3〜4割で、残りは臓器などで使われます。

基礎代謝が低下すれば、消費エネルギーが少なくなってしまうため、ダイエットの障害になりかねません。また、太りやすく痩せにくい体質となるため、リバウンドの可能性もグッと高まります。

糖質制限中は主なエネルギー源となるタンパク質をしっかり摂取して、エネルギー切れにならないよう努めましょう。全てを食事から賄うのが難しい場合はプロテインという手段もあります。

糖質制限が危険と言われる理由3.頭痛やめまいを感じる

タンパク質が不足することは頭痛やめまいといった体調不良を引き起こすことにもつながります。

脳を動かすエネルギーのほとんどは糖質から作られるブドウ糖です。そのため糖質が不足すると脳はエネルギー不足になってしまい様々な不調を訴えかけるようになります。

その1つが頭痛で、他にも「めまい」「吐き気」「手指の震え」「動悸」などが挙げられます。これらの症状は血糖値が著しく低下することで起こる「低血糖」で見られるものです。

ただし、「糖新生」といって、タンパク質や脂質から糖の代替物を作り出すことができるため、これもタンパク質や脂質といった糖質の代替エネルギーとなる栄養素をしっかりと摂っていれば問題ありません。

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急激に糖質を制限することでも、低血糖になる可能性があります。思い立ったその日から一切糖質を摂らないといった、極端な糖質制限は控えてください。

一気に糖質を制限するのではなく、徐々に糖質を制限していくことが大切です。

糖質制限によくある間違いと正しく行うためのポイント

糖質制限が危険と言われる背景には、間違った方法で行われていることが大きな要因となっていると述べてきました。正しい糖質制限でダイエットをするために、以下のようなことにも気をつけるようにしてください。

糖質制限ダイエットでよくある間違い

  • 知らぬ間に糖質を摂取してしまう
  • カロリーを摂り過ぎてしまう
  • 糖質もカロリーも制限してしまう

糖質制限ダイエットの間違い1.知らぬ間に糖質を摂取してしまう

糖質という文字のイメージから、砂糖やハチミツといった甘いものをイメージされる方が多いでしょう。しかし、糖質=甘味ではありません。

例えば、芋類や穀類などに多く含まれるデンプンも糖質の一種です。「糖質=炭水化物や甘いもの」と勘違いしていると、こういった食品を見逃しがちです。

また、見落としがちなのが「飲料」や「加工食品」です。

例えば魚介類は低糖質な食品なのですが、魚肉ソーセージやサバの味噌煮の缶詰のような「つなぎ」や「調味料」に糖質が含まれている場合もあります。

他にも、ヘルシーなイメージがある野菜ジュースですが、200mlあたり12~14gほど糖質が含まれています。

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正しい糖質制限のポイント

  • 食品の糖質量を調べる

意外と糖質が多く含まれている食品もあるので、先入観で選ばず、糖質量を調べたうえで口にすることが大切です。文部科学省がネット上で公表している「食品成分データベース」では食材に含まれる栄養素が検索できます。炭水化物の項目から食物繊維量を差し引いて糖質量を割り出しましょう。また、糖質制限用のアプリも配信されており、料理ごとの糖質量がわかるものもあります。

  • 調味料に気をつける

食材に気をつけていても、見落としがちなのが調味料です。いくら食材が低糖質でも、調味料が高糖質では意味がありません。ドレッシングやソースなどにも気を配りましょう。

糖質制限ダイエットの間違い2.カロリーを摂り過ぎてしまう

糖質制限ダイエットにおいて、カロリーを気にする必要は基本的にありません。

また、日本人は平均的に摂取カロリーの多くが糖質から摂取されているため、糖質を制限すれば自然とカロリーも抑えられるでしょう。

しかし、いくら低糖質のものだからといってもたくさん食べていれば、摂取カロリーが消費カロリーを上回ってしまい痩せるどころか逆に太ることもありえます。

糖質制限食の先駆者である高雄病院の江部理事長も著書でこのように述べています。

「カロリー制御は不要」といっても、糖質さえ控えれば、無制限にいくらでも食べていいわけではありません。

引用:江部康二『人類最強の「糖質制限」論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる』

糖質制限中であっても多少はカロリーを気にかけ、食べ過ぎには十分注意しましょう。

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正しい糖質制限のポイント

  • 脂質を摂り過ぎないよう注意する

脂質はエネルギー源となる大切な栄養素ではありますが、脂質は1gあたり9kcalあるため、脂質をあまりに摂取し過ぎるとカロリーオーバーになりやすいでしょう。

タンパク質は1gあたり4kcalなので、糖質制限中は主にタンパク質を摂取するようにしてください。総摂取カロリーのうち、脂質の割合は30%以内までに留めましょう。

糖質制限ダイエットの間違い3.糖質もカロリーも制限してしまう

何度も言うように、基本的には糖質制限中にカロリーを制限する必要はありません。

糖質もカロリーも体を動かすのに必要なもののため、どちらも制限すれば間違いなくエネルギー不足になるでしょう。体調を崩すことにつながりかねません。

エネルギー不足になった体は緊急事態だと思い、エネルギー消費を抑え、食事からのエネルギー吸収率を高める「省エネモード」になります。

これはホメオスタシス機能と呼ばれるものが、本能的に体重の減少を食い止め生命維持を図ろうとすることで起こります。無理な減量は、体が危機感を覚え体重の減少にストップをかけるため、ダイエットの成果は得られないでしょう。

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正しい糖質制限のポイント

  • 必要最低限のカロリーを摂取する

日本人の食事摂取基準(2015 年版)(厚生労働省)によると、カロリーは1日に平均で「成人男性:2500kcal前後」「成人女性:2000kcal前後」は必要とされています。

これを下回るようでは体調不良などにつながるため、上記の目安量は最低でも摂取するよう心がけましょう。

  • 食事制限だけで痩せようとしない

食事制限だけで痩せようと考えると、極端になりがちです。そのため食事と運動の両面からダイエットを行うことをおすすめします。糖質制限中はカロリーを制限せず、バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。

まとめ

正しい方法で行えばダイエット効果の期待できる糖質制限ですが、間違った方法で行えばダイエット効果を得られないばかりか、体調不良の原因にもなってしまいます。

糖質制限の仕組みを把握しないまま行うのは、今回紹介したような危険性があるため、必ず十分な情報収集を行ってから始めてください。

TOREMOでは糖質制限に関するさまざまな記事を用意しています。医師・管理栄養士監修の元、正しい糖質制限に関する情報を発信しております。

TOREMOで得た情報をもとに、ぜひ糖質制限に取り組み理想の体を手に入れましょう。

参考文献

  • 江部康二『人類最強の「糖質制限」論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる』