多くの方が悩まされる肩こり。慢性的な肩こりを抱えている方も少なくないでしょう。特にデスクワークが多い方にとって、悩みの種でしょう。
ストレスにもつながりやすい肩こりですが、その解消方法の一つが筋トレです。
肩こりは筋肉が緊張している状態で、血流が悪くなっています。これらを改善するために、マッサージやストレッチなどで筋肉をほぐす方は多いと思います。
しかし、そもそも肩の筋肉を緊張させている様々な要因を取り除かなくては、根本的には改善しません。肩周りの筋肉を鍛え、血流を活性化させましょう。
今回は筋トレで肩こりを解消する方法を紹介します。
肩こりを引き起こす4つの原因と解消法
肩こりの原因は、首や肩の筋肉が緊張して固くなり、血行不良を起こすことにあります。肩の筋肉が固くなる主な原因は「運動不足」「姿勢不良」「冷え性」「ストレス」の4つに大別されます。
肩こりの原因1.運動不足
運動不足になると、首や肩の血流が悪くなります。血流が滞ると、本来行き渡るはずの新鮮な酸素や栄養が届きにくくなり、疲れやすい状態になってしまいます。
運動することで血流を促進できるのはもちろんですが、筋肉を鍛えることも改善につながります。筋肉は血を送るポンプのような役割を持っているため、肩周りの筋肉を意識的に動かして、血流が滞らないようにしましょう。
筋肉をつけて血流を良くし、そもそも肩こりになりにくい体を目指すことも重要です。
肩こりの原因2.姿勢不良
姿勢が悪いことで首から肩の筋肉が緊張し、血流が悪くなることで肩こりになってしまいます。
パソコンやスマホを触っていると、首が前へ突き出すような姿勢になる方が多いでしょう。この体勢を長時間続けていると、前に突き出た頭を支えるために、肩周りの筋肉に負担がかかり固まってしまいます。
常に同じ体勢でいるのは、首や肩の筋肉に常に同じ負担がかかり続けていることになるため、肩を動かすなど緊張状態をほぐす工夫が必要です。
肩こりの原因3.冷え性
冷えにより血流が滞ることでも、肩こりは引き起こされます。
女性に多い冷え性ですが、男性であっても冷房の効いた室内などで仕事をしていれば、体は冷えてしまいます。外からの冷えだけでなく、飲食物による内側からの冷えもあります。特に冷たいものが欲しくなる夏場などは内臓から冷えないよう注意が必要です。
冷えて血流が滞らないように、「冷たい飲食物を避ける」、「運動で体を温める」など対策を施すことが大切です。
肩こりの原因4.ストレス
精神的なストレスがかかると、自然と体に力が入ってしまい、筋肉が凝り固まってしまいます。精神的な緊張は筋肉の緊張にもつながるため、心身ともにリラックスすることが大切です。
体を動かすことは気分転換にもつながるため、運動でストレスを発散しながら筋肉をほぐすことも効果的です。
肩こり解消のためには僧帽筋を鍛えるべき
僧帽筋とは背中側に広がるひし形の筋肉で、肩こりを感じるのはこの筋肉です。主に肩甲骨を動かす役割があり、腕や肩の動きをサポートしています。
肩甲骨が閉じれば、自然と胸を張った良い姿勢になります。反対に肩甲骨が開くと、猫背のような背中が丸くなった姿勢になってしまいます。
肩甲骨を閉じる動作はどの部位にも共通する動きではありますが、僧帽筋中部がメインとなるため、特に中部を重点的に鍛えると姿勢改善に効果的です。
また、僧帽筋は比較的大きな筋肉であることから、鍛えることで血行促進の効果も期待できます。僧帽筋を鍛えて運動不足、ストレスを解消しつつ、姿勢と冷え性の改善も図りましょう。
肩こり解消におすすめの筋トレ
ここからは、僧帽筋に効く具体的な筋トレを見ていきます。肩こりを感じる僧帽筋上部をほぐす筋トレと、肩甲骨を閉じる僧帽筋中部に効く筋トレを紹介します。
トレーニングの種類 | 効果的な筋肉 |
ダンベルシュラッグ | 僧帽筋上部 |
ダンベルリアレイズ | 僧帽筋中部 |
シーテッドローイング | 僧帽筋中部 |
なお、トレーニングの難易度を☆の数で5段階評価します。☆の数が多いほど難しいトレーニングです。
ダンベルシュラッグ(☆☆)
肩をすくめるようにしてダンベルを上げるトレーニングで、肩こりを感じる部分である僧帽筋上部に効きます。
ダンベルシュラッグのポイントは3つあります。
1つ目は「肩甲骨から肩を上げる」ことです。
肩を上げる際に、首も一緒に動かさないよう気をつけましょう。首を縮めても肩甲骨を動かすことにはならないため、僧帽筋上部には効きません。首を固定して、肩だけを動かすようにしてください。鏡などで首が動いていないか確認するのもおすすめです。
2つ目は「できるだけ腕をリラックスさせる」ことです。
ダンベルを握りしめるように腕に力が入ってしまうと、肩ではなく腕に負荷がかかります。ターゲットとなる僧帽筋上部への負荷が弱まるため、腕はなるべくリラックスさせましょう。
3つ目は「上げた肩を落とす」ことです。
肩を上げるトレーニングというと、肩を上げたら元の位置に戻すものと思ってしまうかもしれません。しかし、元の位置からさらに肩を下げることで、可動域を広く持つことができます。より僧帽筋上部を鍛えることになるため、肩を落とすことも意識しましょう。
- 両足を肩幅程度に広げ、両手にダンベルを持って立ちます。
- この時、手のひらが自分の方へ向くようにダンベルを持ちましょう。
- 肩をすくめるように、肩甲骨を上げてダンベルを持ち上げます。
- 一番高い位置で、一瞬静止しましょう。
- ダンベルを下ろしていき、肩を落としましょう。
◆回数の目安:15回×3セット
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シュラッグの詳しいフォームなどは「「シュラッグ」で盛り上がった肩を作る!効果的な筋トレ方法を解説」で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
ダンベルリアレイズ(☆☆☆)
前傾姿勢で、腕を開いていくトレーニングです。肩甲骨を閉じるよう意識することで、僧帽筋中部を鍛えることができます。動画のように座った姿勢で行うと、より肩甲骨の動きに集中しやすくなります。
ダンベルリアレイズのポイントは3つあります。
1つ目は「前傾姿勢を保つ」ことです。
上半身を45度ほど前傾させることで、僧帽筋中部に負荷がかかるようにしています。トレーニング中は前傾姿勢を保つよう意識しましょう。特に疲れが溜まってくる終盤ほど、姿勢が疎かになりがちです。最後まで上体が起き上がらないように注意することが大切です。
2つ目は「肩甲骨を閉じる」ことです。
僧帽筋中部は肩甲骨を閉じる働きがあるため、肩甲骨を開閉させることで鍛えられます。ただ腕を広げるのではなく、肩甲骨が閉じたことで腕が引っ張られるようなイメージが大切です。
3つ目は「ヒジを固定する」ことです。
ヒジが曲がったり伸びたり動いてしまうと、腕の筋肉が使われやすくなってしまいます。僧帽筋への負荷が弱まってしまうため、ヒジは軽く曲げた状態を維持しましょう。
- ベンチなどに座り、上半身を45度ほど倒します。
- 前傾姿勢のまま両手にダンベルを持ち、腕をゆっくりと開いて体の横まで持ち上げます。
- 意識的に肩甲骨を閉じることで、僧帽筋中部に効かせます。
- この時、ヒジを動かさないよう注意しましょう。
- 両腕が床と平行になるぐらいまで上がったら、ゆっくりとダンベルを元の位置まで戻します。
◆回数の目安:10回×3セット
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リアレイズの詳しいフォームやバリエーションは「リアレイズで「三角筋後部」を確実に鍛えるための方法とコツを解説」で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。※関連記事では僧帽筋ではなく、三角筋に効かせるためのフォームを紹介しています。
シーテッドローイング(☆☆☆)
ケーブルを引っ張るマシンを使ったトレーニングです。Vバーと呼ばれる幅の狭い持ち手を使うことで、僧帽筋中部を鍛えることができます。ケーブルで引っ張られ続けるため、常に負荷がかかります。
シーテッドローイングのポイントは2つあります。
1つ目は「脇を締める」ことです。
脇が開いていると、大胸筋が強く働いてしまいます。僧帽筋に効くように、脇はしっかりと締めましょう。
2つ目は「背すじを伸ばす」ことです。
背中の筋肉は背すじが丸まってしまうと、十分に働きません。胸を張って、背すじをまっすぐにした良い姿勢を心がけてください。
3つ目は「肩甲骨をしっかりと閉じる」ことです。
腕の力ではなく、肩甲骨を閉じる力でケーブルを引くイメージで行いましょう。腕に力が入ると、腕に負荷がかかります。肩甲骨の動きに意識を向けましょう。
4つ目は「上半身を固定する」ことです。
体が後ろに傾くほどケーブルを引くと、反動がつきやすくなります。反動がつくと僧帽筋以外の筋肉に負荷が分散されてしまうため、前後どちらにも傾くことがないよう、上半身は床と垂直にします。
- ケーブルマシンにVバーを取り付けます。
- マシンに座り、ヒザを少し曲げておきます。
- 両手でバーを握り、背すじを伸ばして胸を張りましょう。
- 肩甲骨を閉じてケーブルを引っ張り、ハンドルを腹部まで引きつけます。
- 限界地点で数秒静止し、ハンドルをゆっくりと戻します。
◆回数の目安:10回×3セット
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シーテッドローイングの詳しいフォームは「シーテッドローイングで「広背筋」を効果的に鍛えるコツを解説」で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
筋トレで肩こりが悪化してしまうケース
筋トレをすると肩こりになる、肩こりが悪化すると感じられる方もいらっしゃるようです。これには2つの原因が考えられます。
肩こりが悪化する原因1.いきなり高負荷のトレーニングに取り組む
いきなり高い負荷でのトレーニングを行うと筋肉が緊張します。
トレーニングでも筋肉は緊張するため、その緊張を肩こりと感じると考えられます。特に運動不足の方や、筋肉をほぐすことが目的の方の場合、高負荷のトレーニングを行う必要はありません。
無理のない範囲で、軽めの負荷からトレーニングすることが大切です。
肩こりが悪化する原因2.ストレッチ不足
筋肉の緊張をほぐすストレッチが不足すると、筋トレ後も筋肉の緊張状態が続いてしまいます。
前述したように、トレーニングでも筋肉は緊張します。その緊張をほぐさず放置すれば、肩こりになるでしょう。首周りの筋肉が固くなることで、頭痛につながることもあります。
特に久しぶりの運動だと、必要以上に筋肉が緊張することがあります。筋トレ後にはストレッチを欠かさず行いましょう。
まとめ
今回は、肩こりに効く筋トレを紹介しました。
ここだけは押さえておきたい!筋トレで肩こりを解消するポイント
- 肩こりの原因を見極め、対策を施す
- 僧帽筋など肩周りの筋肉をほぐす
- 筋トレで血流を促進させる
- 僧帽筋を鍛えて姿勢を改善する
- 筋トレ後には欠かさずストレッチを行う
慢性的な肩こりに悩まれている方は多いことでしょう。まずは筋肉が固まっている原因は何なのかを考え、その原因を取り除くことが大切です。必要であれば、僧帽筋など肩の筋肉を鍛え、姿勢や血流の改善を試みましょう。
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