「呼吸」は正しいフォームと同様に、トレーニングにおいて大変重要なポイントです。
力を込めようとして、息を止める方もいらっしゃるかもしれませんが、筋トレでは呼吸をし続けましょう。
筋トレをする時の呼吸法は「力を込める時に息を吐き、力を抜く時に息を吸う」のが基本形ですが、これがバラバラになってしまうと最大限のパワーを発揮できません。
正しい呼吸は筋肉の力を最大限まで引き出し、筋トレの効果を高めることができます。
今回は、筋トレの効果を高める呼吸法を紹介します。
筋トレで呼吸が重要な理由と効果
筋トレにおいて呼吸が重要とされるのは、息を吐くことで力を込めやすくなるからです。
息を吐くと腹筋が収縮し、体幹が固定されます。体の中心部分である体幹がしっかりと固定されることで、全身に力が伝わりやすくなります。
例えば重い荷物を持ち上げる際に、息を吐きながらの方が持ち上げやすくなるのはこのためです。
腹筋を意識しながら長く息を吐くことで、筋肉は最大限の力を発揮できるようになります。最大限の力でトレーニングすることで、筋トレの効果も高まります。
特に、腹筋を鍛える際にはこの筋トレ効果の高まりが顕著で、石井直方教授は著書でこのように述べています。
さらに、呼吸を意識して行うことで腹筋群の活動が高くなるため、おなかの筋トレの場合なら、呼吸を意識しないトレーニングと比べると、2倍以上の効果が期待できると考えられます。
引用:石井直方著「痩筋力 確実にやせる筋トレ術」
筋トレを行う際は、筋肉が収縮する(負荷が上がる)際に息を吐き、筋肉が伸展する(負荷が下がる)際に息を吸うことが基本となります。力を込める時に「息を吐く」と覚えておくとわかりやすいでしょう。
息を吐くことで自然と腹筋に力が入りますが、意識的に腹筋に力を込めて体幹を固定することも大切です。
筋トレ中に息を吐くタイミング
筋トレでの呼吸法は「負荷を上げる時に吐き、下げる時に吸う」が基本です。 それでは、実際の筋トレでどのように呼吸をすると良いのかいくつか例を見ていきましょう。
- 息を吸いながらセットポジションから体を下げていく(大胸筋が伸展)
- 息を吐きながら元の位置まで体を起こす(大胸筋が収縮)
- 息を吐きながらうつ伏せの状態から体を反り返していく(背中の筋肉が収縮)
- 息を吸いながら元の位置まで戻していく(背中の筋肉が伸展)
- 息を吸いながら腰を落としていく(大腿四頭筋が伸展)
- 息を吐きながら元の位置まで戻していく(大腿四頭筋が収縮)
このように、筋肉を収縮させる際に息を吐き、筋肉が伸展する際に息を吸い込みましょう。
筋肉を触りながら動かすことで、なんとなく縮んでいるのか伸びているのかがわかります。鍛えたい部位を触りながら曲げ伸ばしてみて、どの動きで収縮・伸展するのか確認するのも良いでしょう。
筋トレ時に「呼吸ができない」「苦しい」と感じる理由
正しい呼吸法でトレーニングすることで、十分な力を発揮して鍛えることができます。しかし、なかには上手く呼吸ができない方もいらっしゃるでしょう。
単純に慣れておらず呼吸のタイミングが掴みづらいという場合もありますが、多くは負荷が高過ぎることが原因と考えられます。
例えば、あまりにも重いウエイトを持ち上げようとすると、無意識のうちに息を止めてしまいます。これはバルサルバ法や怒責と呼ばれる一種のテクニックで、息を止めて体幹を固定することで限界まで力を発揮する手法です。
息を吐くよりもこちらの方が強い力を発揮できるため、無意識に行うことがあります。テクニックとして意識的に行うのであれば良いのですが、無意識のうちに行ってしまうと、「呼吸ができない」「苦しい」と感じることになってしまいます。
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「頭がくらくらする」「顔が熱い」「血管が浮き出る」場合は
無意識に息を止めている可能性が高く、適切な負荷でのトレーニングとは言えません。ウエイトを軽くするなど、負荷を低くしましょう。
【上級者向け】息を止める怒責(バルサルバ法)を活用する
息を止めるためリスクのある怒責ですが、テクニックとして習得すれば効果的にトレーニングを行えるようになります。
前述したように、息を吐くよりも、息を止めた方が大きな力を発揮できます。これはウエイトリフティングなど高重量を持ち上げる際に使われる方法で、上級者向けのテクニックです。
息をずっと止めるわけにはいかないため、息を止めるのはほんの一瞬ですが、その一瞬でスティッキングポイントを越えることができます。
ベンチプレスなどで、体の構造や重力の関係で動きが止まりやすいポイントがあります。これをスティッキングポイント(日本語で「立ち往生する点」)と呼びます。平たく言えば一番負荷がかかるキツイ地点です。
スティッキングポイントに差し掛かった時に息を止め、ポイント通過後に息を吐きます。筋トレ中に息を止めることはリスクが高い行為であるため、息を止めるのはほんの1秒ほどの一瞬だけにしましょう。
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怒責(バルサルバ法)のリスク
息を止めることで、「酸欠になる」「血圧が急上昇する」といった危険性があります。基本的には息を吐くようにし、スティッキングポイントが越えられないようであれば負荷を下げることをおすすめします。
筋トレ時の呼吸のポイント
筋トレと呼吸の関係性は紹介した通りとても密接なものです。しかし、ただ呼吸をしていればいいというわけでもありません。ここでは、気をつけるべきポイントを紹介します。
呼吸のポイント1.強く長く息を吐く
長く息を吐くよう意識することで、自然と腹筋に力が入りやすくなります。
こうすることでより体幹が固定され、力が全身に行き渡りやすくなります。
また、息を吐くときには、短く吐き切るのではなく、強く長く吐くこともポイント。強く長く息を吐こうとすると、腹筋を使っておなかをすぼめることになります。そうすると、体全体に力が入って体の芯(体幹)が固定される。その状態でトレーニングを行うと、力が体の末端まで行き届き、筋トレの効果が上がるのです。
引用:石井直方著「痩筋力 確実にやせる筋トレ術」
呼吸のタイミングだけでなく、息を吐く長さも意識すればさらに力を込めやすくなります。短く吐き切らず、強く長く吐き続けるよう意識しましょう。
呼吸のポイント2.呼吸を整える
激しい呼吸ではなく、深呼吸のようにゆっくりと整った呼吸がベストです。
呼吸が激しくなると、筋肉の緊張や腹圧の維持が上手く保たれなくなってしまいます。これでは上手く力が込められず、呼吸を意識する意味が薄れてしまいます。
姿勢が安定しないことにもつながるため、トレーニング効果の低下はもちろん、トレーニング種目によっては事故やケガにつながりやすくなることも考えられます。
激しい呼吸は避け、呼吸を整えるようにしましょう。
呼吸のポイント3.アイソメトリックトレーニングでも息は止めない
筋トレのなかには筋肉の収縮も伸展も起こさない種類もあります。アイソメトリックトレーニングと呼ばれる種目で、プランクや空気椅子などが当てはまります。
ずっと同じ体勢を維持するトレーニングのため、筋肉の収縮も伸展も起こらず、今回紹介してきた筋トレの呼吸法は当てはまりません。自然な呼吸ができていれば問題ないのですが、辛くなってきて息を止めてしまう場合があります。
アイソメトリックトレーニングにおいても呼吸は止めない方が良いため、自然な呼吸を心がけましょう。
まとめ
今回は筋トレの効果を高めるための正しい呼吸方法を紹介しました。
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ここだけは押さえておきたい!筋トレの呼吸法のポイント
- 筋肉が収縮する際に息を吐く
- 筋肉が伸展する際に息を吸う
- 息を吐くことで力が全身に伝わる
- 無意識に息を止めていると苦しく感じる
- 息を止める怒責は上級者向けテクニック
- 怒責は血圧上昇や酸欠などのリスクがある
筋トレは、正しい呼吸で行うことで高いパフォーマンスを発揮できます。初めのうちはどのタイミングで吐くべきか困惑したり、難しかったりするかもしれませんが、呼吸をマスターして筋トレの効果を最大限引き出しましょう。
筋肉の収縮や伸展と言われてもわかりづらいかと思います。筋肉がどのように動くか把握していない方がほとんどでしょう。まずは力を込める時に息を吐く、と覚えておきましょう。
筋トレの効果を高めるには呼吸は大変重要な要素ですが、他にも筋トレのフォームや食事内容、生活習慣など、筋肉の成長には気をつけるべきことが多くあります。
TOREMOでは動画や画像付きでさまざまなトレーニングや正しい食事方法についても紹介しています。理想の体に近づくためのトレーニングと食事を見つけることができるので、ぜひ参考にしてみてください。
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