筋トレと有酸素運動を両立させる3つのポイントを解説

フィジカル

筋トレや有酸素運動などの運動を行おうと考えている方には、明確な目標があることでしょう。

「細くしなやかな体にしたい」「ほどよく筋肉のついた体に憧れる」そんな想いから運動に取り組まれる方も多いと思います。なかには痩せながら筋肉をつけたいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、「筋肉をつける」ことと「脂肪を落とす」ことを両立させるのは難しいことです。筋肉をつけるための筋トレと、脂肪を落とすための有酸素運動を単に組み合わせればいいというわけではありません。

今回は、筋トレと有酸素運動を両立させるためのポイントを紹介します。

筋トレと有酸素運動の違い

まずは、筋トレと有酸素運動は何がどう違うのかを簡単に説明します。

筋トレと有酸素運動はダイエットにもたらす効果が違う

  • 有酸素運動:脂肪をエネルギーとして使い、消費する
  • 筋トレ:筋肉がつくことで基礎代謝が上がり、エネルギーが消費されやすくなる

「有酸素運動」の特徴は脂肪を燃焼させること

有酸素運動とは、ゆっくりとしたペースで長く継続して行う運動のこと。酸素を使ってエネルギーとなる脂肪を燃やすことから有酸素運動と呼ばれます。

脂肪を燃焼させる効果があることから、ダイエットに最適な運動だとされています。具体的には、ウォーキングやランニング、水泳などが代表的な有酸素運動です。

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有酸素運動の実践方法については「有酸素運動は脂肪燃焼効果抜群|効率よく痩せるための3つのポイント」で詳しく解説しいています。ぜひ参考にしてみてください。

「筋トレ」の特徴は筋肉がつくこと

筋トレとは短時間で大きな力を発揮する負荷の高い運動のこと。筋トレはエネルギーの発生に酸素を使わないことから、有酸素運動に対し無酸素運動と呼ばれます。

脂肪ではなく、糖をエネルギー源として利用するため、筋トレでは脂肪を燃やすことはできません。

しかし、筋肉がつくことで基礎代謝が上がり、エネルギーを消費しやすい体質にすることができます。痩せた後のリバウンドを防ぎ、体形の維持にも役立ちます。

筋トレによる筋肥大と有酸素運動による脂肪燃焼の両立が難しい理由

筋肉をつけるには筋トレが、脂肪を落とすには有酸素運動が有効です。しかし、冒頭でも述べた通り、「筋肉をつける」ことと「脂肪を落とす」ことの両立は簡単ではありません。

なぜ両立することが難しいのでしょうか。

両立が難しい理由1.カロリーバランスが難しいから

筋肉をつける場合と、脂肪を落とす場合で、摂取カロリーの考え方は異なります。

なぜなら、筋肉をつけるにはカロリーを余分に摂取する必要がありますが、逆に余分なカロリーは脂肪になりかねないからです。

筋肉をつけるには摂取カロリーが消費カロリーを上回らなくてはいけません。筋肉をつけるためのエネルギーが体内に残っている状態が必要だからです。

これに対し、脂肪を落とそうとするなら摂取カロリーより消費カロリーの方が高くなくてはいけません。脂肪を落とすということは体内の脂肪をエネルギーとして消費しなくてはいけないからです。そこに消費した分だけカロリーを摂取していては脂肪を減らせません。

このようにカロリーバランスがとても難しく、「筋肉をつける」か「脂肪を落とす」かのどちらかに専念することが最も効率的だと言えます。

筋肉をつけたいのであれば、ある程度脂肪がつくことは仕方ないと言えるでしょう。

両立が難しい理由2.有酸素運動で筋肉が分解されてしまうから

有酸素運動で筋肉がたんぱく質へと分解され、せっかくついた筋肉がエネルギーとして消費されてしまう事態も起こり得ます。

私たちの体を動かすエネルギーには糖や脂肪酸などがあります。例えば有酸素運動ではまず糖が使われ、その後血液中の脂肪酸が、そして皮下脂肪などの脂肪が脂肪酸に分解されてエネルギーとして消費されていきます。

血液中の糖や脂肪酸が少なくなってくると、筋肉のたんぱく質を分解し、エネルギーにすることがあります。これが減量によって脂肪だけでなく筋肉まで少なくなるメカニズムです。

もし筋トレでつけた筋肉量よりも、有酸素運動でエネルギーとして燃やされる筋肉の方が多ければみるみる筋力は落ちてしまうでしょう。

しかし、筋肉をつけながら脂肪を落とすことが全く不可能というわけでもありません。筋トレと有酸素運動を両立させるためのポイントを押さえてトレーニングをしましょう。

筋トレと有酸素運動を両立させるためのポイント

筋肉を維持しながら脂肪を落とすには、「筋トレと有酸素運動の順番」「BCAAを摂取」「たんぱく質を補給」の3つが重要な要素になってきます。

また、特に女性の場合は体重が気になるかもしれませんが、ダイエットが目的であっても体重を重視しないことも大切です。

なぜなら筋肉は脂肪よりも重いため、ほどよく筋肉のついた引き締まった体にすることができても、体重的にはさほど減量できていない可能性も十分にあるからです。体重ではなく、見た目で判断すると良いでしょう。

筋トレと有酸素運動を両立させるポイント1.筋トレ、有酸素運動の順番に行う

筋トレの後に有酸素運動を行うことで、有酸素運動の脂肪燃焼効果が高まります。そのため、筋トレと有酸素運動は実施する順番がとても大切です。

前述した通り、有酸素運動のエネルギーは「糖質」と「脂肪」です。まず糖質が使われ、次に血中の脂肪酸が、その後内臓脂肪や皮下脂肪が分解されエネルギーとなります。

脂肪をエネルギーとするには糖質よりも多くの酸素が必要となるため、運動開始直後は酸素供給が追い付かず、糖質から使用されていきます。この時、糖と脂肪がエネルギーとなる割合は5対5です。

ただし、筋トレ後に有酸素運動を行うとこの割合が4対6~3対7に変わります。つまり、脂肪の方が多く消費されるようになるのです。

これに関して東京大学の石井直方教授は著書のなかで以下のように述べています。

筋トレ後の代謝が上がった状態の間は脂肪が使われる割合が上がるということもわかっています。糖と脂肪が使われる割合は通常なら5対5のところ、筋トレ後は、4対6~3対7に比率が変わるのです。

参考文献:石井直方「痩筋力 確実にやせる筋トレ術」

このように、筋トレを行ってから有酸素運動を行うことで、脂肪が消費されやすくなります。

なぜ筋トレ後に有酸素運動を行うと脂肪が燃えやすいのか?

筋トレで筋肉を刺激すると、交感神経が活性化します。活性化された交感神経は「アドレナリン」や「成長ホルモン」といった脂肪を分解するホルモンを分泌するよう脳下垂体などに命令を出します。

脂肪はこのホルモンによって「脂肪酸」へと分解されて初めてエネルギーになります。

そのため、成長ホルモンなどが分泌されている筋トレ後に有酸素運動を行うと、脂肪をエネルギーとして消費しやすくなるのです。

ちなみに、この分解された脂肪酸は消費されなかった場合、また元の脂肪へと戻ってしまいます。

必ず筋トレを行ってから有酸素運動を行うようにしましょう。有酸素運動後に筋トレを行うと成長ホルモンの分泌が著しく低下します。成長ホルモンによる脂肪の分解が進まなくなるため、逆効果と言えるでしょう。

筋トレと有酸素運動を両立させるポイント2.有酸素運動前にBCAAを摂取する

運動前には必須アミノ酸の一種であるBCAAを摂取しましょう。BCAAとはバリン・ロイシン・イソロイシンのことで、筋肉と密接な関係にあるアミノ酸です。

先ほど述べた通り、血液中の糖や脂肪酸が少なくなってくると、筋肉のたんぱく質が分解され、エネルギーにされることもあります。

脂肪だけを減らしたいのに、筋肉まで一緒に落ちてしまうのは不本意でしょう。

これを防いでくれるのがBCAAです。BCAAが代わりにエネルギーとして消費されることで、筋肉のたんぱく質が分解されるのを抑えることができます。

有酸素運動を行う前に、BCAAを摂取しておくと良いでしょう。摂取後約30分後にBCAAの血中濃度がピークに達するため、運動30分前には摂取しておくことをおすすめします。

BCAAは体内で作り出すことができない栄養素のため、食事から摂り入れるしかありません。しかし、運動前に胃を満たすのは適切ではありません。そこで運動前に摂取しても問題なく、吸収率もいいゼリータイプの機能性食品がおすすめです。

筋トレと有酸素運動を両立させるポイント3.筋トレ後にたんぱく質を補給する

筋肉の素となり、筋肉の分解を防ぐ役割のあるたんぱく質を補給しましょう。

筋肉はたんぱく質から作り出されます。そのため筋肉の成長にたんぱく質は欠かせない栄養素です。

また、たんぱく質はアミノ酸に分解されるとエネルギーにもなるため、有酸素運動で筋肉がたんぱく質に分解されることを防ぎます。

このたんぱく質は普段の食事から日常的に摂取しているものですが、筋肉をつけるのであればプロテインの使用をおすすめします。

なぜなら、筋肥大には目安としてたんぱく質が1日あたり「体重×2g」も必要だからです。

例えば、体重60㎏の方なら120~180gのたんぱく質を摂取すべきだということです。食事だけでも十分摂取できそうに感じられるかもしれませんが、毎日この量のたんぱく質を食事だけで賄うのはなかなか厳しいものがあります。

各食品100gあたりに含まれるたんぱく質の目安

  • 肉類:生ハム(24.0g)、ささみ(23.0g)、ローストビーフ(21.7g)、豚ロース(19.3g)
  • 魚介類:イワシ丸干し(32.8g)、いくら(32.6g)、魚肉ソーセージ(11.5g)
  • 大豆製品:油揚げ(18.6g)、納豆(16.5g)、豆乳(3.6g)

たんぱく質をたくさん摂ろうとすると、どうしてもカロリー摂取も多くなってしまいます。だからといって毎日低カロリーかつ高たんぱく質の献立を考えるのは難しいでしょう。

摂取カロリーを抑えつつ、たんぱく質を無理なく必要量摂取するには、プロテインが最適でしょう。

まとめ

TOREMO

ここだけは押さえておきたい!筋肥大と有酸素運動を両立させるポイント

  • 筋肥大と有酸素運動を両立させることは難しい
  • 筋肉はエネルギーとして分解されてしまう
  • 筋肉の分解を防ぐためにBCAAを摂取すること
  • 筋肉の素となるたんぱく質を補給すること
  • 筋トレの後に有酸素運動を行うと脂肪燃焼効果が高まる

筋トレと有酸素運動を両立させるための方法を紹介しましたが、あくまで一例に過ぎません。ご自身の体質や、生活習慣、運動経験など様々な要因を考慮しなくてはいけません。

TOREMOでは動画や画像付きでさまざまなトレーニングだけでなく、食事方法についてもを紹介しています。理想の体に近づくためのトレーニングと食事を見つけることができるので、ぜひ参考にしてみてください。

参考文献

  • 石井直方「痩筋力 確実にやせる筋トレ術」

※筋トレ後に有酸素運動をすると脂肪燃焼効果が高まるという箇所

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