筋トレでかなりの回数をこなしているのに、いまひとつ効果を実感できない…という悩みを抱いたことはありませんか?
筋トレにおいて回数は重要なキーワードです。しかし、回数を多くこなすことばかりが大切ではありません。一度の負荷を高めることで「効率的」かつ「効果的」な筋トレを行う「オールアウト」というトレーニング方法があります。
オールアウトとは、「すべて出し切る」という意味。
例えば、ベンチプレスで10回を目標に設定し10回目で「もう限界!目標をクリアしたからOK!」と終えるのではなく、それからプラス数回チャレンジして力を出し切るのがオールアウトです。つまりオールアウトとは、自分の筋肉を限界まで追い込むことで最大限の効果を得るというトレーニング方法です。
今回は、筋トレにおけるオールアウトの効果と、オールアウトするためのコツ、さらにオールアウトのリスクを解説します。
筋トレでオールアウトする効果とは?
筋トレにおいてオールアウトがなぜ効果的とされるのでしょうか。オールアウトで得られる効果について見ていきましょう。
筋トレにおける停滞期を打破できる!
オールアウトで得られる大きな効果は「筋トレにおける停滞期を打破してくれる」ことです。停滞期とは、同じ動作を同じ負荷で繰り返し行うことで筋肉がその負荷に慣れてしまい、それ以上の筋肉の成長が起きにくくなる現象のことをいいます。
しかしオールアウトでは、筋肉が慣れている強度以上の刺激を筋肉に与えるため、筋肉に“慣れ”を許さず、さらなる筋肥大を引き起こすことが可能となります。
したがって、一定の負荷に慣れてしまった筋肉を常に限界まで追い込むオールアウトは、停滞期を脱出するための有効な手段といわれているのです。
オールアウトするポイント
こうしたオールアウトの効果を最大限に引き出すためにはコツがあります。
そのコツをしっかりと押さえて筋トレに取り組むことで、より効率的かつ効果的にオールアウトすることができます。ここからは、オールアウトするためのコツを紹介します。
シンプルなトレーニングで目指す
1つ目のコツは「シンプルなトレーニングでオールアウトを目指す」ことです。
オールアウトとは筋肉を限界まで追い込むことなので、筋肉が現時点では耐えられるか耐えられないか、ギリギリの強い負荷をかけることがポイントになります。
その状態まで筋肉を持っていくには、シンプルなトレーニングが適しています。なぜなら、高度なテクニックが必要なトレーニングの場合、オールアウトにたどり着く前にフォームが崩れてしまい、筋トレとして用をなさなくなるためです。
例えばスナッチがこれに当てはまります。実施するにはテクニックが大変重要なため疲労でフォームが崩れやすいだけでなく、重いウエイトを頭上で扱うため疲労が蓄積されると大変危険です。
そのためベンチプレスやスクワットなどの、動きがシンプルなトレーニングで行いましょう。もちろんこれらの種目もテクニックが必要なため、注意は必要です。
さらに言えばレッグレイズやカーフレイズなどは、よりシンプルな動作でオールアウトにぴったりです。また、できればウエイトを扱わないトレーニングの方が安全でおすすめです。
ウエイトの目安は1RMの80%
2つ目のコツは「ウエイトは1RMの80%を目安に設定する」ことです。
RMとは、Repetition Maximum(レペティションマキシマム)の略。ベンチプレスなら、その人が1回バーベルを上げられる最大の重さを1RMといいます。
例えば、30kgがその人の1RMとします。これの80%は24kg。オールアウトするにはこの重さのウエイトを、8〜10回上げることを目標とします。
100%でトレーニングをするとしっかりとしたフォームを維持できないため、負荷が強くフォームを保てるラインである80%程度が適当とされています。
1RMの80%というと、ウエイトトレーニング初心者にとってはかなり重く感じられます。そのため慣れないうちは筋肥大に最低限必要とされる65%から始めるとよいでしょう。
1RM(100%)=最大重量 | 80%(オールアウトの目安) | 65%(最低限必要な目安) |
30kg | 24kg | 約20kg |
ただし、1RMの65%でオールアウトするまでには、ある程度の時間が必要となります。オールアウトを目指す場合は、重さに慣れて余裕が出てきたら、早い段階から1RMの80%でトライしてましょう。
オールアウトするときの注意点
オールアウトする際に気をつけて欲しい注意点があります。それは常に正しいフォームで行うことです。
オールアウトするために、限界まで追い込もうとするとフォームまで意識が回らず、体の反動を利用してウエイトを持ち上げようとする方をよく見かけます。
反動を使ってしまうと鍛えたい筋肉以外の力も使ってしまうので、負荷が分散されて結果的に負荷が弱まってしまいます。
限界まで追い込むために「あと1回!」と踏ん張ることは、オールアウトするには必要な意識です。しかし回数をこなすことにこだわった結果、フォームが崩れて目的の筋肉ではなく、その周辺の筋肉も使って動作を行おうとしたり、体の反動を使ってしまったりしては、筋トレの効果は薄れてしまいます。
筋トレにおいて、より大きな効果を得る上で正しいフォームで行うことは基本です。無理なオールアウトはせずに、鍛えたい筋肉をしっかりと意識し、正しいフォームで行いましょう。
筋トレのフォームについては「筋トレ効果はフォームで変わる!正しい筋トレを身につける3つの方法」をご覧ください。
オールアウトにはリスクも伴う!?
ここまで、オールアウトの効果やオールアウトするためのコツについて解説してきましたが、オールアウトするトレーニングにはデメリットもあります。最後にオールアウトのデメリットについて説明しましょう。
ケガのリスクが高まる
もっとも大きなデメリットとして考えられるのが、ケガのリスクが高まることです。限界まで動作を繰り返していくオールアウトでは、フォームが崩れやすくなります。
その結果、本来負荷がかからないはずの筋肉や関節に過剰な負荷がかかってケガをしてしまう危険性が高まります。
オーバートレーニングのリスクが高まる
そしてもうひとつ考えられるリスクは、オーバートレーニングです。オールアウトするには限界まで筋肉を追い込むため、筋肉や関節への負荷は大きなものになります。
その状態が長期にわたって続くと疲労ばかりが蓄積され、トレーニングの効果が減少するだけでなく、ケガや慢性的な疲労を抱えた状態に陥ることがあります。これが、オーバートレーニングといわれるリスクです。
リスクを抑えるパーソナルトレーナーのサポート
前述のようなリスクを避けるためにおすすめしたいのが、パーソナルトレーナーに指導してもらうことです。1人でオールアウトを目指すとオールアウトする前に諦めてしまったり、逆に限界を超えてしまったりすることがよくあります。
パーソナルトレーナーは豊富な知識や経験からその人の限界値をしっかりと見極めてくれます。オールアウトを達成する限界までサポートしてくれるだけではなく、限界を超えてケガをしないようにケアしてくれます。
オールアウトするためには、正しい知識とある程度の経験が必要です。オールアウトにチャレンジする場合はパーソナルトレーナーに相談し、適度な休養をとりながらトレーニングプランに沿ってチャレンジしてみましょう。
まとめ
効率的かつ効果的な筋トレを行うひとつの方法として、オールアウトについて解説してきました。オールアウトを筋トレにうまく取り入れれば、大きな効果が得られることは間違いありません。
しかし、間違った方法で行ってしまうとケガやオーバートレーニングにつながってしまうという一面もあります。この記事を参考に正しいオールアウトを理解した上で、自身の筋トレに取り入れてみてください。きっと、今まで以上に効果的な筋トレを行えるはずです。
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