筋肥大のメカニズム|筋トレと休息と栄養で筋肉は大きくなる

フィジカル

筋肉を太く大きくしたいと思って筋トレに励まれていても、そもそもどうして筋肉が太くなるのかをご存知ないという方もいらっしゃるかもしれません。筋肉はトレーニングによってついた傷を、超回復という修復を行うことで、負荷に耐えられるよう以前より強く太くなります。

この筋肥大のメカニズムを把握しておくことで、どのようなトレーニングに取り組むべきかわかりやすくなるでしょう。筋肉が太くなる仕組みを理解すれば、効果的に筋肥大を目指すことができます。

今回は筋肥大のメカニズムを解説するとともに、筋肥大に有効なトレーニング方法と栄養素を紹介します。

筋肉が肥大化するメカニズム

筋トレで刺激された筋肉は傷つき、修復されることで以前よりも太く大きな筋肉となります。

人間の体は刺激が加わるとその刺激に適応しようとするため、筋肉へ刺激(負荷)を加え続けることで、その負荷に適応しようと成長します。

筋トレで傷ついた筋肉は、トレーニング後から約48~72時間をかけてゆっくりと修復されます。かかる時間は筋肉によって異なり、大胸筋や大腿四頭筋などの大きな筋肉ほど修復には時間がかかります。

この「超回復」と呼ばれる修復は元通りにするのではなく、刺激に適応するため以前より強い筋肉へ作り変えます。筋肉は太いほど大きな力を発揮できるため、負荷に耐えられるよう筋肉が太くなり、結果的に筋肥大となります。

筋肥大が起こるには、ほんの数回の損傷や修復では不十分です。継続的に負荷をかけて、筋肉の損傷と修復を何度も繰り返す必要があります。

また、段々と筋肉は負荷に慣れてくるため、同じ負荷を加え続けていても筋肉の成長にはなりません。少しずつ負荷を強めることや、普段とは違うトレーニングに取り組むなど、慣れない刺激を加えることも必要です。

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速筋の方が太くなりやすい

速筋という瞬発力に長け、大きな力を発揮できる筋肉の方が、太くなりやすい傾向にあります。例えば太ももの大腿四頭筋は速筋繊維の割合が高いため、比較的太くなりやすい筋肉として知られます。

超回復を促し筋肥大に有効な筋トレ法

筋肥大には、筋肉を傷つける「トレーニング」と、超回復のための「休息」と「栄養」が必要不可欠だと言えます。そこで、ここでは筋肥大に有効な筋トレ法を紹介します。

筋肥大に有効な筋トレ法1.自分に最適な重量設定

筋トレにおける自分の限界値を知ることで、トレーニングに最適な負荷を見つけることが大切です。

前述したように、筋肉はトレーニングにより損傷し、回復することで大きくなっていきます。しかし、筋肥大を起こすために筋肉を損傷させようと、無理に大きな負荷をかけるのは間違いです。

ケガや事故のリスクが高まるのは当然ながら、筋肉に十分な刺激を加える前に疲れてしまってトレーニングの効果が十分に得られないからです。

そのため、自分にとって最適な負荷を、「1RM」を基準にして見つけましょう。

1RMとは

Repetition Maximumの略で、その人が持ち上げられる重量の限界点のことで、1RMはギリギリ一回できる限界値を指します。

限界値である1RMではあまりにも負荷が高く、トレーニングにはなりません。

1RMの75~85%がその人に適した負荷です。例えばベンチプレスで100kgを持ち上げられる場合、75~85㎏のバーベルを使ってのベンチプレスが筋肥大に理想的なトレーニングだと言えます。

1RMの75~85%の負荷で鍛えると、大体「6~12回」で限界がきます。これ以上の回数を難なくこなせるようであれば、適切な負荷でのトレーニングとは言えません。

また、自分に合った負荷で鍛えることが大切なため、いくら他人が高重量のトレーニングを行っていても比較しないことが大切です。比べるなら他人ではなく、過去の自分と比べましょう。

筋肥大に有効な筋トレ法2.セットを組む

筋トレは1セットより3セットで行う方が筋肥大に有効です。

セットで分けて10回×3セット行っても、1セットで続けて30回行っても、合計回数としてはどちらも同じ30回です。合計回数が一緒なら違いがないように思えてしまいますが、1回1回の負荷が異なります。

10回程で限界がくる負荷と、30回こなせる負荷であれば、前者の方が高い負荷でトレーニングを行っていることになります。

1セットと3セットでは筋肥大の効果に差があるため、途中で限界だと感じても「せめてあと1セット」と頑張ってください。東京大学の石井直方教授は著書でこう述べています。

実は、トレーニング科学の分野では、1セットしかやらないときの効果は、単純に3セットやったの効果の3分の1というわけではなく、それ以下だということがわかっているのです。

引用:石井直方著「痩筋力 確実にやせる筋トレ術」

ただし、この3セットはあくまでも目安のセット数であり、大事なのは筋肉を限界まで追い込むことです。特に筋トレ初心者の場合、3セットを行う前に限界がきてしまうかもしれませんが、現時点での限界なのであれば仕方ありません。

また、セットごとに段々と回数が減ってしまってもかまいません。回数が減っていくということは、それだけ筋肉を使えている証拠でもあります。徐々にできる回数を増やしていけるようにしましょう。

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セット間のインターバルは1分が筋肥大に最適

インターバル1分が厳しい場合は3分とし、徐々にインターバルを短くできるように努めましょう。ただし、短過ぎても十分な休息にならずトレーニングの効果を損なうため、インターバルを1分より縮める必要はありません。

筋肥大に有効な筋トレ法3.ネガティブトレーニング

筋肉を伸ばす動作を意識するネガティブトレーニングで、筋肉を損傷させ超回復を促しましょう。

私たちの体は、筋肉が伸びたり縮んだりすることで動いています。この動作をくり返すうちに筋肉が傷ついていくのですが、なかでも伸びる際に傷がつきやすく、その傷を修復することで筋肉が成長します。

筋肉の伸び縮みの例

ヒジを曲げる:力こぶを作る上腕二頭筋は縮み、その反対側に位置する上腕三頭筋は伸びる
ヒジを伸ばす:上腕二頭筋が伸び、上腕三頭筋は縮む

伸ばしたゴムに切れ目が入るように、筋肉も伸ばした際に傷がついていきます。筋トレ中は「エキセントリック収縮」もしくは「ネガティブ動作」などと呼ばれる、筋肉が伸びる動作を意識すると筋肥大に効果的です。

筋トレの動きで言うと、「ウエイトを下ろす・戻す」動作でエキセントリック収縮は起こっています。懸垂で腕を伸ばす際や、腕立て伏せで体を下ろす際なども同様です。

このような動作はサッと素早く行われがちですが、負荷をかけるにはゆっくりと行うことが大切です。

ネガティブ動作を意識して、ゆっくりと負荷をかけるネガティブトレーニングが筋肥大には効果的です。

上記の例で言うと、懸垂ならゆっくりと腕を伸ばしながら下りる、腕立て伏せならゆっくりとヒジを曲げながら体を下ろすという風になります。

疎かになりがちな「ウエイトを下ろす・戻す」動作をしっかりと意識して、ゆっくりと行うことで負荷を高めるのが、ネガティブトレーニングの最も重要なポイントであり基本です。

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ネガティブトレーニングの具体的な方法やポイントは「筋肥大の鍵を握る「ネガティブトレーニング」を徹底解説」で紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

筋肥大に有効な筋トレ法4.休息日を設ける

超回復には2~3日かかるため、その間は筋肉を休ませましょう。

早く筋トレの成果を出したいと思うあまり、毎日筋トレを行うのは効果的ではありません。約48~72時間かけて行われる超回復の期間は、しっかりと筋肉を休ませることが重要です。

そのため、同じ部位を鍛える筋トレは毎日ではなく2~3日空けて行うようにしましょう。負荷をかけて筋肉を追い込むことと同じくらい休息も大切です。

とはいえ、トレーニング期間の短縮など、毎日筋トレを行いたい場合もあるでしょう。そういった場合には、違う筋肉を日替わりで鍛えることをおすすめします。月曜日は足の筋肉、火曜日は腕、水曜日は腹筋……と毎日違う筋肉を鍛えれば、筋肉を休ませながら鍛えていくことができます。

大きな筋肉ほど休息期間を長くしよう

大きな筋肉ほど超回復には時間がかかります。太ももの大腿四頭筋や大胸筋など、大きな筋肉ほどじっくりと休ませることが大切です。

日替わりでローテーションさせる場合であっても、週に最低1日は筋トレを行わない休息日を設けてください。1週間のトレーニングスケジュールを考える際は、ただ行いたい筋トレを並べるのではなく、休息日と筋肉の大きさも踏まえて考えましょう。

筋肥大に必要なたんぱく質を補給する

超回復には、筋肉を修復するための栄養素も必要になります。なかでも、筋肉を構成するたんぱく質が不足しないよう気をつけましょう。

筋肥大を目指すのであれば、1日あたり「体重×2g」のたんぱく質を摂取することが望ましいです。

例えば、体重60㎏の方なら120~180gはたんぱく質が必要となる計算です。

食品群 食品100gあたりに含まれるたんぱく質の目安(g)
肉類 生ハム(24.0)、ささみ(23.0)、ローストビーフ(21.7)、豚ロース(19.3)
魚介類 イワシ丸干し(32.8)、いくら(32.6)、魚肉ソーセージ(11.5)
大豆製品 油揚げ(18.6)、納豆(16.5)、豆乳(3.6)

たんぱく質を食事から多く摂取しようとすれば、摂取カロリーも比例して多くなってしまうでしょう。たんぱく質を摂取しつつ、カロリーを抑える献立を考える必要があります。

毎日毎日、低カロリーで高たんぱく質な食事を摂るのが難しい場合は、プロテインを活用すれば、手軽にカロリーを抑えながらたんぱく質を補給することができます。ただし、たんぱく質は過剰に摂取すると脂肪として蓄えられるため、摂り過ぎには注意しましょう。

また、筋トレ後30分は筋肉を修復するために、栄養素が吸収されやすいタイミングです。この間に、吸収が早いプロテインでたんぱく質を摂取すれば、筋肉へたんぱく質を届けやすくなります。

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筋肥大のために摂取すべき栄養素や必要な目安などは「筋肥大を促進させる食事バランスは「高たんぱく・低糖質・低脂質」」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

筋肥大ができない原因

どんなにトレーニングをしても、なかなか筋肉が大きくならない方はいるものです。

なかなか筋肥大ができない方には、いくつかの原因が考えられます。ここでは、なかなか筋肥大ができない方にありがちな間違いについて紹介します。

1つ目は、筋肥大をしない方は「トレーニングをしすぎている」ことが考えられます。「筋肥大のためには限界まで追い込むことが重要」と先ほど紹介しましたが、過度のトレーニングはオーバートレーニングといって、むしろトレーニング効果が下がってしまいます。

常に筋トレのことを考えるほど筋トレが好きな方は、オーバーワークになりやすい傾向があります。筋肥大をしない方は、自分のトレーニングの量が適切か、一度考えることをおすすめします。

2つ目は「糖質を十分摂取していない」ことが考えられます。筋肥大にはタンパク質だけでなく糖質の摂取も重要です。減量のために糖質を制限している方は、それだけ筋肥大が難しくなります。筋肥大で体を大きくしたい方は、糖質も摂取するようにしましょう。

3つ目は「寝不足になっている」ことが考えられます。適切な睡眠時間が確保できていないと、筋肥大は起きにくくなります。いつも寝不足を感じている方は、生活を工夫して睡眠時間を確保してください。

まとめ

今回は筋肥大のメカニズムを解説しました。

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ここだけは押さえておきたい!筋肥大のメカニズム

  • 筋肉は傷つき、修復されることで負荷に適応していく
  • 自分に合った重量で負荷をかけることが大事
  • 1セットより3セットの方が筋肥大に有効
  • 筋肉に傷がつきやすいネガティブトレーニングが有効
  • 筋肉には休息も必要
  • 超回復のためにたんぱく質など栄養素を摂取することも大事

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