速筋・遅筋の違いで筋肉の太さが変わる|筋繊維の測定方法を紹介

フィジカル

ボディメイクをするにあたって、「筋肉を大きくしたい」もしくは反対に「筋肉を大きくしたくない」という2つの考えがあるかと思います。

「筋肉を太くしてたくましい体にしたい」、「筋肉をつけて引き締めたい」これらを叶えるには、筋繊維の違いを知ることが重要です。

筋繊維には大きく分けて、瞬発力のある「速筋繊維」と持久力のある「遅筋繊維」の2種類あります。速筋繊維は太くなりやすい筋肉として知られ、太い筋肉が目立つたくましい体を目指すなら積極的に鍛えたい筋肉です。

今回は速筋繊維と遅筋繊維の違いに加え、自身の速筋繊維・遅筋繊維の割合を知る方法も紹介します。

筋繊維とは

筋肉は筋繊維が集合することで構成されています。筋繊維を束ねたものが筋肉というイメージです。

この筋繊維は「速筋繊維」「遅筋繊維」に大別され、筋肉によって、速筋繊維・遅筋繊維の割合が異なります。

とはいえ、速筋繊維と遅筋繊維が完全に分かれているわけではありません。筋肉を構成する筋繊維の割合が、速筋繊維・遅筋繊維のどちらが多いかで筋肉の特性が左右されます。

また、速筋繊維と遅筋繊維の割合は先天的に決まっているもので、個人差があります。そのため遺伝的要素が大きく、人種などにも左右されます。

速筋繊維と遅筋繊維の役割と違い

速筋繊維と遅筋繊維の違いは大きく4つあります。以下の項目に注目してみると、それぞれの違いがわかりやすくなるでしょう。

  • 瞬発力と持久力
  • 筋肉の色
  • エネルギー源となる栄養素
  • 有酸素運動と無酸素運動

【遅筋繊維】持久力が高く赤っぽい筋繊維

遅筋繊維はスタミナがあるのですが、筋肉の収縮速度が遅く力が弱いという特徴があります。赤っぽい色をしていることから、「赤筋」とも呼ばれます。

遅筋繊維は脂質をエネルギー源にしており、酸素を効率的にエネルギーとするミトコンドリアが多く含まれているのが特徴です。大きな力を出すことはできませんが、持久力があるため持続的に力を発揮できます。

酸素を取り込む必要があるため、有酸素運動時に力を発揮します。

また、筋力は筋の太さに比例するため、大きな力を発揮しない遅筋繊維は太くありません。マラソン選手の足がそこまで太くないのはこれによるものです。

遅筋繊維の特徴

  • 持久力が高いが、力は弱い
  • 赤い色をしている
  • 脂質がエネルギー源で、酸素が必要
  • 有酸素運動向き

【速筋繊維】瞬発力が高く白っぽい筋繊維

速筋繊維は筋肉の収縮速度が速く力も強いのですが、スタミナがないという特徴があります。白っぽい色をしていることから、「白筋」とも呼ばれます。

速筋繊維はグリコーゲン(糖)をエネルギー源にしており、瞬間的に大きな力を出すことができるのが特徴です。しかし、疲れやすいため持続的に力を発揮することはできません。

筋トレのような無酸素運動時に力を発揮します。

また、速筋繊維は細かくは速筋と遅筋の中間的な「Ⅱa型繊維」と速筋繊維の特徴が顕著な「Ⅱb型繊維」の2つに分けられます。

Ⅱa型繊維は色も遅筋繊維の赤色と速筋繊維の白色が混ざったピンク色です。グリコーゲンをエネルギー源とする「Ⅱb型繊維」と違って、「Ⅱa型繊維」はグリコーゲンと脂質の両方をエネルギーにします。

速筋繊維は遅筋繊維と反対に、太くなりやすい性質があります。短距離スプリンターの足が太いのはこの違いによるものです。

速筋繊維の特徴

  • 瞬発力はあるが持久力に乏しい
  • 速筋と遅筋の中間の「Ⅱa型繊維」
  • 白い色をしている(Ⅱa型繊維はピンク色)
  • グリコーゲン(糖)がエネルギー源で、酸素は不要
  • 無酸素運動向き
遅筋繊維 速筋繊維
【Ⅰ型繊維】 【Ⅱa型繊維】 【Ⅱb型繊維】
ピンク
瞬発力 遅い 中間 速い
疲労 遅い 中間 速い
エネルギー源 脂質 両方
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速筋繊維と遅筋繊維は魚で例えると覚えやすい

白身=速筋繊維、赤身=遅筋繊維と考えると違いがわかりやすくなります。海底でじっとしており、エサが来ると瞬間的に食いつくヒラメ(白身)と、常に回遊していて泳ぎ続けるマグロ(赤身)では動きが大きく違います。

速筋繊維と遅筋繊維はトレーニングで変わるのか

速筋繊維と遅筋繊維の割合は先天的なものが大きいのですが、「速筋繊維を増やしたい」もしくは「遅筋繊維を増やしたい」と考えられる方もいらっしゃるでしょう。

基本的に、筋肉の部位ごとに元々どちらの割合が高いかは異なります。例えば、歩行などで常に使われるヒラメ筋は遅筋の割合が高く、瞬発的な動作が求められる太ももの大腿四頭筋は速筋の割合が高くなっています。

日常的に使われる筋肉ほど遅筋繊維の割合が高く、使用頻度の低い瞬間的に力を発揮する筋肉ほど速筋繊維の割合が高い傾向にあります。

速筋繊維と遅筋繊維は移行しない

結論からいうと、速筋繊維と遅筋繊維には大きな隔たりがあり、異なる筋繊維へ変わることはまずありません。これは「速筋繊維を遅筋繊維に」、「遅筋繊維を速筋繊維に」どちらの場合であっても同様です。

持久力をつけるためのトレーニングを積んだからといって、速筋繊維が遅筋繊維へと変わることはありません。

マラソン選手は遅筋繊維が多く、スプリンターは速筋繊維が多い傾向にありますが、これも先天的なものと考えられています。

速筋繊維を遅筋繊維に近づけることはできる

速筋繊維を遅筋繊維に変えることはほぼできませんが、速筋繊維を遅筋繊維に近づけることは可能です。

前述したように速筋繊維には白い「Ⅱb型繊維」とピンク色の「Ⅱa型繊維」という2種類があります。この速筋繊維内での移行は発生することがわかっています。

原則として、筋繊維タイプの比率は先天的に決まり、トレーニングしてもその割合は変化しにくい。ただし、「TypeⅡa」⇔「TypeⅡb」の移行は比較的起こりやすく、使えば使うほど「TypeⅡb」から「TypeⅡa」へ移行することが知られている。

引用:石井直方監修、荒川裕志著「筋肉の使い方・鍛え方パーフェクト事典」

マラソンなどの持久力を高めるためのトレーニングに励めば、「Ⅱb型繊維」は遅筋繊維に近い「Ⅱa型繊維」へと移行していきます。

これは反対も同様で、瞬間的に力を発揮するトレーニングに励めば、「Ⅱa型繊維」は速筋繊維としての側面が強まり「Ⅱb型繊維」へと移行していきます。

速筋繊維・遅筋繊維の割合を調べる測定方法

50m走と、12分間ランニングした速度を測ることでおおよその速筋繊維と遅筋繊維の割合がわかります。

50m走と、12分間走それぞれの速度と距離を測定し、【速筋繊維の割合=-59.8+69.8×(50m走の速度(秒速)÷12分間走の速度(秒速))】の式に当てはめることで、おおよその割合が計算できます。

以下の例では50m走の記録が10秒、12分間走の記録が2160mと仮定しています。

速筋の割合を出す計算式(例)

【移動距離 ÷ 移動時間 = 速度】

  1. 50m÷10秒=5m/秒
  2. 2,160m ÷12分(720秒)=3m/秒

速筋繊維の割合=-59.8+69.8×(5m/秒÷3m/秒)=56.533…

速筋繊維の割合=約57%

あくまで目安としての計測方法ですが、記録を計って計算式に当てはめるだけという手軽な方法です。

計算式では速筋の割合が求められるため、上記例の場合だと速筋繊維が約57%、遅筋繊維が約43%ということになります。

まとめ

今回は速筋繊維と遅筋繊維について紹介しました。

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ここだけは押さえておきたい!速筋と遅筋のポイント

  • 速筋繊維は瞬発力はあるが、スタミナに欠ける
  • 遅筋繊維はスタミナはあるが、瞬発力に欠ける
  • どちらかだけで構成されているのではなく、割合が多いかどうかで筋肉の性質が変わる
  • 筋繊維の割合は先天的な要素が大きい
  • 速筋繊維が遅筋繊維に、遅筋繊維が速筋繊維には変わらない

瞬発力はあるがスタミナのない速筋繊維と、持久力はあるが瞬発力のない遅筋という異なる特徴を持つ筋繊維によって、筋肉は作られています。

速筋繊維は遅筋繊維に比べ太くなりやすい筋肉です。ボディメイクをするには「筋肉を大きくしたい」もしくは反対に「筋肉を大きくしたくない」という考えがあるでしょう。あなたが目指す体形ごとに、鍛えるべき筋肉と控えるべき筋肉があります。

TOREMOでは動画や画像付きでさまざまなトレーニングについてもを紹介しています。理想の体に近づくためのトレーニングを見つけることができるので、ぜひ参考にしてみてください。

参考文献

  • 石井直方監修、荒川裕志著「筋肉の使い方・鍛え方パーフェクト事典」

※速筋繊維の移行の箇所

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