ワンハンドローイングの「ローイング」には英語で「オールでボートを漕ぐ」という意味があります。実際にワンハンドローイングの「ヒジを曲げた状態で後方に引く」という動作はオールを漕いでいる時の動作とよく似ています。
一見すると腕を鍛える筋トレ種目のように思えますが、実はメインのターゲットは背中の筋肉です。
しかしながら、ポイントを押さえることなくトレーニングを行ってしまい、背中よりも「腕が疲れる」と悩むケースは珍しくありません。
そこで今回は背中の筋肉にしっかりと効かせるために知っておきたいワンハンドローイングのトレーニング方法とポイントを紹介します。
ワンハンドローイングで鍛えられる筋肉
ワンハンドローイングで鍛えられる筋肉は主に2種類です。
鍛えられる筋肉1.広背筋
広背筋は脇の下から背中の下側全体に広がる筋肉です。上腕の骨と接しているため、肩や腕の動きに関わります。特に「脇を閉じた状態で腕を後方に引く」という動作に強く関与します。
具体例を挙げるならば、「綱引きで綱を引く」「オールを漕ぐ」などの動作では広背筋が活躍します。
鍛えられる筋肉2.僧帽筋
僧帽筋は首の付け根あたりから背中にまで菱形に広がる筋肉です。主に肩や肩甲骨を動かす動作に関与します。
したがって、僧帽筋を鍛える時は、肩甲骨が動いているかどうかを確認するようにしてください。
その他、「三角筋後部」「菱形筋」「大円筋」などの筋肉もワンハンドローイングでトレーニングできます。
ワンハンドローイングの効果
ワンハンドローイングでは広背筋と僧帽筋が鍛えられるとわかったところで、それらを鍛えることでどのような効果が得られるのかを見ていきましょう。
- 広背筋を鍛えれば、背中が広くなる
広背筋を鍛えると背中に筋肉がつき、背中が大きくなります。スーツが似合わないとお悩みの男性にぴったりなトレーニングでしょう。また、広背筋は脇の下から背中全体に広がっているため、鍛えることで背中がギュッと引き締まって見えます。
- 僧帽筋を鍛えれば、背中が厚くなる
僧帽筋は鍛えることで背中に厚みが生まれます。背中をたくましくしたいのであれば、広背筋と併せて鍛えると良いでしょう。逆三角形の体を目指すならぜひとも鍛えていただきたい部分です。
ワンハンドローイングの種類と鍛えられる筋肉
ここからはワンハンドローイングのトレーニング方法を紹介します。
ワンハンドローイングの種類 | 効果的な筋肉 |
ワンハンドローイング | 広背筋、僧帽筋 |
ワンハンドローイング(ベンチなし) |
なお、トレーニングの難易度を☆の数で5段階評価しています。☆の数が多いほどトレーニングの難易度が上がります。
ワンハンドローイング(☆☆☆)
ベンチに片手片ヒザをついて行います。ベンチを使う方法が基本形です。ワンハンドローイングのメインターゲットは背中の筋肉のため、肩や腕の筋肉に余計な力が入らないようにしましょう。
ワンハンドローイングのポイントは5つあります。
1つ目は「背中と床を平行に保つ」こと。実際にやってみると分かりますが、背中と床が平行ではない(頭が上がっている)状態よりも、背中と床が平行になっている状態の時の方が背中により強く重力がかかります。そしてその分、広背筋にかかる負荷も大きくなるため、より効果的に鍛えられます。
2つ目は「背すじを伸ばす」こと。背中が丸まってしまうと広背筋に上手く刺激が伝わりません。背すじはまっすぐと伸ばしましょう。
3つ目は「ダンベルは軽く握る」こと。ダンベルを力を込めてギュッと握ってしまうと、腕の筋肉の関与が強くなってしまいます。ダンベルはあまり強く握りしめずに、できるだけ軽く握るようにしてください。
4つ目は「ヒジをしっかりと上げる」こと。ヒジをしっかりと上げることで広背筋が使われます。また、ヒジは真上ではなく、斜め後方に引くと、広背筋がより効果的に刺激されます。
5つ目は「脇を閉じる」こと。脇が開いた状態では大胸筋が使われやすいため、脇は閉じるようにしてください。
- 片手と片ヒザをベンチや台につき、上半身を床と平行にします。
- 胸を張って背すじをまっすぐにしたまま、ダンベルを持ちます。この時、腕や肩はできるだけリラックスさせ、脇を閉めましょう。
- 息を吸いながらダンベルを引き上げます。
- 息を吐きながらゆっくりと元の状態に戻り、同様の動作を繰り返します。
◆回数の目安:左右各10回×3セット
ワンハンドローイング(ベンチなし)(☆☆☆)
ワンハンドローイングはベンチなしでも行えます。
ワンハンドローイング(ベンチなし)のポイントはベンチや台を使う場合とほとんど同じですが、ベンチや台を使わない場合は特に「体勢を安定させる」ことに意識を向けてください。
具体的には以下の2つのポイントを心がけるとよいでしょう。
1つ目は「背すじをまっすぐに伸ばす」こと。広背筋がしっかりと伸びるように、背すじをまっすぐに保ち、骨盤から頭が一直線上に並ぶような体勢をとりましょう。
2つ目は「上半身を動かさない」こと。台やベンチにヒザや手をつかずにトレーニングするため、体勢が崩れてしまいがちです。腹筋に力を入れて体勢を保ってください。
- 片足を前に出してヒザを曲げます。
- 足を出していない方の手にダンベルを持ちます。
- 脇を閉めながら、みぞおちの高さまで息を吸いながらヒジを引きます。
- 息を吐きながらゆっくりとまた元の状態に戻し、同様の動作を繰り返します。
◆回数の目安:左右10回×3セット
広背筋をより効果的に鍛える場合は「チンニング(懸垂)」がおすすめ
チンニング(懸垂)も「広背筋」を鍛えるトレーニングになります。ワンハンドローイングよりも大きな負荷がかかるため、トレーニングの効果は圧倒的に高くなりますが、かなり難易度が高くなってしまいます。
また、チンニングを行うためには懸垂バーが必要になるため、ジムで行うトレーニングと考えた方がよいでしょう。もしも実践する場合は「「チンニング」(懸垂)で背中や腕を鍛える!その効果と種類を解説」を参考にしてみてください。
ベントオーバーローイングとの違い
ワンハンドローイングと同じく、背中を鍛えるトレーニングにベントオーバーローイングがあります。
大きな違いは見た目でも分かる通り、片腕でローイングをするか、両腕でローイングをするかです。
ワンハンドローイングは可動域が大きいため、より広範囲の筋肉を鍛えられます。さらに、片方の背中に集中して刺激を与えられるという特徴もあります。
ベントオーバーローイングは、より重い重量を扱うことができ、強い刺激を背中の筋肉に与えられます。
どちらも、背中を鍛えるためには重要なトレーニングです。うまく使い分けて理想の背中を作ってください。
まとめ
今回は「ワンハンドローイング」について紹介しました。
ここだけは押さえておきたい!ワンハンドローイングのポイント
- ターゲットは「広背筋」と「僧帽筋」である
- 背すじをまっすぐに伸ばすこと
- 腕ではなく背中の筋肉を使うこと
今回紹介したトレーニングのポイントをしっかりと踏まえて、広背筋を効果的に鍛えましょう。
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