ハンギングワイパーは鉄棒や懸垂バーにぶら下がり、両足を上げて、下半身をワイパーのように左右に振るトレーニングです。腹筋全体に大きな負荷をかけることができ、特に腹斜筋を鍛えるにはもってこいの種目。
ただし、腹筋の力で下半身を持ち上げて振る必要があるため、難易度はかなり高くなります。「一から腹筋を鍛える」ために行うというよりも「ある程度鍛えた腹筋にさらに磨きをかける」ために行う種目といった方がより適当でしょう。
普段から筋トレをしているという方でもいきなりハンギングワイパーをするのは難しいため、今回はハンギングワイパーを実践できるようにステップを追って説明していきます。
ハンギングワイパーで鍛えられる筋肉と効果
ハンギングワイパーで鍛えられる筋肉は主に2種類あります。
ハンギングワイパーで鍛えられる筋肉1.腹斜筋
腹斜筋は両脇腹についている筋肉で、「体をねじる」動きで使われます。
左右からお腹をぎゅっと引き締めるようにしてついているため、「ウエストを細くしたい」「くびれを作りたい」という場合には腹斜筋を鍛えます。
ハンギングワイパーで鍛えられる筋肉2.腹直筋
腹直筋はお腹の真ん中で縦に長く伸びており、主に「腰を曲げる」動作をする時に使われる筋肉です。また、肋骨の下部から骨盤まで伸びているため、「姿勢を維持する」役割も担っています。
図を見ると分かるように、縦に伸びる「白線(はくせん)」と横に伸びる「腱画(けんかく)」によって区切られている腹直筋は、いわゆる「シックスパック」を作る筋肉です。「腹筋を割る」という場合は腹直筋を鍛え上げることが欠かせません。
ハンギングワイパーの効果
すでにご説明した通り、ハンギングワイパーで鍛えられるのは主に「腹斜筋」と「腹直筋」になります。では、この2つの筋肉を鍛えることでどんな効果が得られるのでしょうか?
ここではハンギングワイパーを実践することで得られる効果を紹介します。
- 腹斜筋が鍛えられ、ウエストが引き締まる
お腹の両サイドにある腹斜筋が鍛えられることで、ウエストがぎゅっと引き締められます。腹斜筋はくびれを作るために欠かせない筋肉です。
- 腹直筋が鍛えられ、腹筋を割りやすくなる
腹直筋はシックスパックを作る筋肉です。鍛えれば、「腹筋を割る」ことにつながります。
ただし、腹筋を綺麗に割るためには、筋肉を鍛えることに加えて、脂肪を落とすことも欠かせません。有酸素運動や食事管理をして体脂肪にも気を配ってください。
ハンギングワイパーまでの3ステップ
ハンギングワイパーをいきなり実践するのは難しいでしょう。そのため、まずはライイング・ウインドシールドワイパーやハンギング・レッグレイズといった種目を行い、腹筋の強化に努めましょう。
トレーニング名 | 効く部位 |
ライイング・ウインドシールドワイパー | 腹斜筋、腹直筋 |
ハンギング・レッグレイズ | 腹直筋 |
ハンギングワイパー | 腹斜筋、腹直筋 |
なお、トレーニングの難易度を☆の数で5段階評価します。☆の数が多いほど難しいトレーニングになります。
ステップ1.ライイング・ウインドシールドワイパー(☆☆☆)
まずはライイング・ウインドシールドワイパーで「腹斜筋を使って下半身を左右に振る」感覚を掴みましょう。
ライイング・ウインドシールドワイパーのポイントは2つです。
1つ目は「肩を床から離さない」ことです。体をねじる際に肩が床から離れると、胴体のひねりが小さくなってしまいます。これでは十分に腹斜筋を鍛えることができないので、肩が床についているか意識しましょう。
2つ目は「慣れたら太ももと床の角度を45度にする」ことです。まずは、太ももと床が垂直になる体勢でトレーニングしてください。
ただし、慣れてきたら太ももと床の角度を45度にして行いましょう。そうすることで腹直筋への負荷が高まります。
- 仰向けになり、両ヒザが離れないように足でタオルなどを挟みます。
- 太ももが床と垂直になるよう上げます。慣れてきたら45度の傾斜をつけましょう。
- そのまま右(左)に90度を目標に曲げます。ゆっくり動作すると負荷が高まります。
- 横に倒した下半身を起こしていきます。肩が離れないよう気をつけましょう。
- 反対の方にも同様に90度を目標に曲げます。
◆回数の目安:10〜15回×3セット
ステップ2.ハンギング・レッグレイズ(☆☆☆☆)
次は懸垂バーを使うハンギング・レッグレイズを紹介します。ここでは「腹直筋を使って下半身を持ち上げる」感覚を覚えましょう。
ハンギング・レッグレイズのポイントは3つあります。
1つ目は「しっかりと足を伸ばす」ことです。足を揃え、伸ばして行う方が負荷が高まります。足を伸ばしてできない場合は、ヒザを曲げても構いませんが、負荷が弱まります。
2つ目は「反動をつけない」ことです。反動をつけてしまうと、腹筋以外の筋肉の関与が強くなってしまいます。反動が生じるのを極力抑えるためには、「足を上げる」というよりも「腹直筋の下部(下腹部)を丸めて、その結果つま先が持ち上がる」というイメージで動作を行うことが重要です。
3つ目は「ゆっくりと足を下ろす」ことです。足を下ろす動作は重力に逆らうようにゆっくりと行ってください。こうすることで、筋肉に継続して負荷をかけられます。
- 鉄棒にぶら下がります。掴む向きは順手でも逆手でも構いません。
- 左右の足を揃えて、反動をつけずに腹筋だけを使って腰を90度曲げます。
- ゆっくりと重力に逆らうように足を下ろします。
◆回数の目安:10〜15回×3セット
ステップ3.ハンギングワイパー(☆☆☆☆☆)
いよいよ、ハンギングワイパーです。ステップ1とステップ2で習得したことを活かして実践してみましょう。
ハンギングワイパーのポイントは2つあります。
1つ目は「上半身を固定する」ことです。上半身が大きくブレてしまうと下半身を十分にひねることができず、腹斜筋が効果的に使われません。「全く動かさない」となるとかなり難しいですが、なるべく動かさないという意識は忘れずに持っておきましょう。
2つ目は「動作をゆっくりと行う」ことです。ゆっくりと行うことで、筋肉に対して継続的に負荷をかけられるため、トレーニングの効率が良くなります。
- 鉄棒にぶら下がります。手は順手でも逆手でも構いません。
- 左右の足を揃えてつま先を真上に向けるように体を曲げます。
- そのまま右(左)に90度を目標に曲げます。ゆっくり動作すると負荷が高まります。
- 横に倒した下半身を起こしていき、ねじれをなくし体を真っ直ぐにします。
- 反対の方にも同様に90度を目標に曲げます。
◆回数の目安:10〜15回×3セット
また、以下の動画のようにヒザを曲げて行う方法もあります。こちらの方が難易度は気持ち程度ですが低くなります。
ハンギングワイパーは回数よりもフォームが重要
ハンギングワイパーに限ったことではありませんが、回数よりもフォームを重要視してください。
回数を増やせばその分筋肉への負荷が大きくなるのは確かですが、ただしそれは「正しいフォーム」を維持できた場合に限ります。誤ったフォームで回数を重ねたところで、大した効果は期待できません。
特に、ハンギングワイパーは「正しいフォームを維持する」だけでも大変な難しさです。まずは1セット3〜5回程度と少ない回数で構いませんので、フォームの維持を優先してください。
むやみに回数を増やすのではなく、「正しいフォームで行える」回数を増やすことを目標にしてください。
まとめ
今回は「ハンギングワイパー」を紹介しました。
ここだけは押さえておきたい!ハンギングワイパーのポイント
- 上半身は固定して、できるだけブレないようにする
- 反動を使わない
- ゆっくりとした動作で行う
何度も繰り返しているようにハンギングワイパーは難易度の高いトレーニングです。腹筋が鍛えられていないと実践すること自体が難しいでしょう。
その分、腹筋へかかる負荷は大きくなるため、「最近腹筋のトレーニングをやっても効果が感じられなくなった」という、トレーニングの“ 停滞期”を迎えた方にはうってつけの種目です。
ハンギングワイパーでウエストラインをしっかりと引き締めましょう。
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