「シーテッドローイング」は座った状態(シーテッド)で、チューブやマシンのケーブルを引き、まるでボートのオールを漕ぐ(ローイング)ような動作を行うトレーニングです。
「ケーブルを引く」動作から、腕を鍛えるトレーニングかと思われやすいですが、実はメインのターゲットは背中の筋肉になります。
ただし、背中の筋肉に的確に効かせるためにはコツを押さえておく必要があります。そこで今回はシーテッドローイングのトレーニング方法とコツを紹介します。
シーテッドローイングで鍛えられる部位
シーテッドローイングのメインターゲットは広背筋です。
広背筋は肩甲骨の下(脇の下あたり)から背中に広がっており、主に、「脇を締めて腕を後方に引く」動作で使われます。そのため、シーテッドローイングでもしっかりと脇を締めて腕をグッと引くことが大切です。
また、以下で紹介するうちの1つナローグリップ・シーテッドローイングでは僧帽筋がメインのターゲットとなります。
僧帽筋は首の後ろから両肩と背中の中央に向かって伸びており、菱形のような形をしています。僧帽筋は主に肩甲骨を上げ下げしたり、体の中央に向かって引き寄せたりする時に使われる筋肉です。
シーテッドローイングの種類
ここからはシーテッドローイングのトレーニング方法をご紹介します。
シーテッドローイングの種類 | メインで効く部位 |
チューブ・シーテッドローイング |
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ナローグリップ・シーテッドローイング |
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ワイドグリップ・シーテッドローイング |
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マシン・シーテッドローイング |
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なお、トレーニングの難易度を☆の数で5段階評価しており、☆の数が多いほど難易度が高くなります。
チューブ・シーテッドローイング(☆☆)
最初に紹介するのは、自宅でのトレーニングにおすすめしたいチューブ・シーテッドローイングです。
チューブ・シーテッドローイングのコツは4つあります。
1つ目は「脇を閉める」こと。脇が開いた状態では大胸筋が強く働いてしまいます。脇はしっかりと閉じましょう。
2つ目は「背すじを伸ばす」こと。背すじが丸まってしまうと、広背筋が十分に働きません。胸を張り、背すじをまっすぐ伸ばしましょう。
これらは今回紹介するシーテッドローイング全てに共通する大事なポイントです。しっかりと覚えておいてください。
3つ目は「チューブを脇腹のあたりまで引く」こと。すでに説明した通り、広背筋は「腕を後方に引く」動作で使われる筋肉です。チューブを脇腹あたりまでしっかりと引いて、広背筋を刺激しましょう。
4つ目は「チューブを戻し切る前に再び引く」こと。チューブの張力がゼロになるところまで完全に戻してしまうと、それまでかかっていた負荷がゼロに近くなってしまいます。チューブの張力がゼロになる前に再び引く動作に移ってください。
- 床に座り、両足を伸ばします。
- 足の裏にチューブを回し、両足を揃えてまっすぐ伸ばします。
- 胸を張りながら、ヒジを曲げて脇腹までチューブを引っ張ります。
- ゆっくりとチューブを戻し、同様の動作を繰り返しましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
ナローグリップ・シーテッドローイング(☆☆☆)
次に紹介するのはケーブルマシンを使うシーテッドローイングです。ケーブルマシンを使う場合、両手間の距離を狭く(ナロー)する方法と広く(ワイド)する方法の2種類があります。
まずはナローグリップ・シーテッドローイングからみていきましょう。ナローグリップの場合はケーブルマシンにVバーを取り付けます。メインのターゲットは僧帽筋になりますが、広背筋を鍛えることも可能です。
ナローグリップ・シーテッドローイングのコツは2つあります。
1つ目は「左右の肩甲骨をしっかりと寄せる」こと。左右の肩甲骨をしっかりと引き寄せるイメージでトレーニングを行うと、背中の筋肉が使われているのを感じやすくなります。
また、上でも説明したように僧帽筋は肩甲骨の動きに関与しているため、左右の肩甲骨をしっかりと寄せることで僧帽筋を効果的に鍛えられます。
2つ目のポイントは「上半身を動かさない」こと。体が後傾するまでケーブルを引いてしまうと、反動が働きやすくなり、背中の筋肉以外の関与が強くなりがちです。背中の筋肉以外の関与をなるべく抑えるためにも、上半身は動かすことなくしっかりと固定しましょう。
- マシンにVバーを取り付けます。
- マシンに座り、ヒザを少し曲げておきます。
- 両手でバーを握り、背筋を伸ばして胸を張りましょう。
- 肩甲骨を寄せるようにハンドルを腹部まで引き付けます。
- ハンドルをゆっくりと戻し、同様の動作を繰り返しましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
ワイドグリップ・シーテッドローイング(☆☆☆)
続いては、ワイドグリップのシーテッドローイングです。ケーブルマシンに手の幅を広く取れるアタッチメントを取り付けて行います。ワイドグリップの場合、メインのターゲットは広背筋です。
ワイドグリップ・シーテッドローイングのコツは「上半身を動かさない」こと。ナローグリップのところでも言及しましたが、上半身は動かさずしっかりと固定してください。前傾してもいけませんし、後傾してもいけません。特にワイドグリップの場合はバーを戻す際にケーブルに引っ張られて体が前傾しやすいため、注意しましょう。
- マシンにアタッチメントを取り付けます。
- マシンに座り、ヒザを少し曲げておきます。
- 両手でバーを握り、背筋を伸ばして胸を張りましょう。
- 肩甲骨を寄せるようにハンドルを腹部まで引き付けます。
- 体が前傾し過ぎないよう注意してハンドルをゆっくりと戻し、同様の動作を繰り返しましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
マシン・シーテッドローイング(☆☆☆☆)
最後に紹介するのはローイングマシンを使うシーテッドローイングです。シートが前後にスライドするため、背中の筋肉だけではなく、太ももやお尻など下半身のトレーニングにもなる種目です。
マシン・シーテッドローイングのコツは2つあります。
1つ目は「下半身の力を使う」こと。ローイングマシンを使う場合は、背中だけではなく、加えて下半身の力も利用しましょう。
2つ目は「滑らかに全身を動かす」こと。「ヒジを伸ばす」「上半身を前に倒す」「ヒザを曲げながら座席を前にスライドさせる」「ヒザを伸ばしながら座席を後ろに倒す」「バーを引く」といった一連の動作を流れるように行いましょう。
- 両足をマシンのフットプレートに置き、ケーブルを引きます。また、座席を後ろまでスライドさせます。
- 両足を伸ばし、上半身を斜め後ろに倒します。この時、アタッチメントを胸の下で構え、ヒジが外側を向くようにしっかりと曲げましょう。
- 2の体勢からヒジだけを伸ばします。
- さらに上半身を前に倒します。
- ヒザを曲げながら座席を前にスライドさせ、足先に近づきます。この時あごは地面を向き、上半身でヒザを抱え込むような体勢になります。
- ヒザを伸ばしながら座席を後ろへスライドさせます。徐々に上半身を後傾させながらバーを引きましょう。座席が下がり切ったら再びヒジを曲げます。ここまでが1回の動作になります。この一連の動作を繰り返し行います。
◆回数の目安:10回×3セット
シーテッドローイングの重量設定について
シーテッドローイングに限った話ではありませんが、「ウエイトの重量をどのくらいに設定するか」ということは筋トレをしている方ならば誰もが一度は頭を悩ませたことのあるテーマでしょう。
一般的には「1セットで10回なんとかこなせる」程度の重量が目安とされています。しかし、「鍛える部位」や「筋トレの目的」、そしてもちろん個人の体つき次第で「適切な重量」は変わってくるため、一概にこれが“ 正解”というものはありません。
筋トレをする上で「重量の設定」はとても重要なファクターです。だからこそ、重量の設定は自己流で行わず、パーソナルトレーナーなどの専門家に指導してもらって決めるのが一番です。
まとめ
今回は「シーテッドローイング」を紹介しました。
ここだけは押さえておきたい!シーテッドローイングのポイント
- メインのターゲットは「広背筋」である
- 背すじを伸ばす
- 上半身を動かさない(マシン・シーテッドローイングは除く)
- 腕をしっかりと引く
この記事ではトレーニングの基本的なコツを紹介しましたが、実際のところ注意すべき点や意識するべき点は個人によって異なります。
最初のうちは丁寧にトレーニングフォーム固めを行い、効果的なトレーニングを行える基礎をしっかりと身につけるようにしましょう。
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