ショルダープレスは頭上でウエイトの上げ下げを繰り返すトレーニングで、主に鍛えられる筋肉は、肩についている「三角筋」になります。三角筋を鍛えれば「肩幅を広くする」「肩に厚みを出す」といった効果が期待できるでしょう。
ただし、ショルダープレスはターゲットの「三角筋」に的確に効かせるのが非常に難しいトレーニングです。「三角筋ではなく、背中の僧帽筋(そうぼうきん)ばかりに効いてしまう」というのは、筋トレをする方々にとって“ あるある”の悩み。
ショルダープレスで的確に三角筋を鍛え、理想の肉体に近づけるためには正しいフォームを知ることが欠かせません。そこで今回はショルダープレスのやり方やコツを紹介します。
ショルダープレスで鍛えられる筋肉
すでにご説明した通り、ショルダープレスで鍛えられるのは肩にある「三角筋」という筋肉です。
三角筋はぐるっと肩を覆っている筋肉で、体積がとても大きいことから、前部の鎖骨部、中部にある肩峰(けんぽう)部、後部の肩甲棘(こうきょく)部の3つに分けることができます。
これら3つはそれぞれ働きも異なるため、三角筋のトレーニングを行う場合はそれぞれトレーニングの種目を変えて鍛え分けるのが一般的です。今回取り上げるショルダープレスでメインのターゲットとするのは三角筋の前部になります。
また、三角筋の前部は主に「腕を上げる」動作に強く関与します。
【自宅編】ショルダープレスの種類とやり方
ここからはショルダープレスのやり方を「自宅編」と「ジム編」に分けて紹介しますが、まずは「自宅編」から始めましょう。
種類 | 効く部位 |
ダンベル・ショルダープレス | 三角筋の前部 |
ワンアーム・ダンベル・ショルダープレス |
なお、トレーニングの難易度を☆の数で5段階評価しています。☆の数が多いほどトレーニングの難易度が上がります。
ダンベル・ショルダープレス(☆☆☆)
最初に紹介するのはショルダープレスの基本形です。
ダンベル・ショルダープレスのコツは3つあります。
1つ目は「親指側にダンベルを傾ける」ことです。親指側(体の内側)に向かってダンベルを少し傾けることで三角筋前部に刺激が入りやすくなります。
2つ目は「体よりもやや前でダンベルを上げ下げする」ことです。三角筋の前部に的確に効かせるには、体の真横ではなく、体よりもやや前でダンベルを上げ下げすることが重要です。
3つ目は「ダンベルを上げる時にヒジを伸ばし切らない」ことです。ヒジを伸ばしきってしまうと、三角筋の緊張状態が解けてしまいます。ヒジが完全に伸び切る直前でストップさせましょう。
- ベンチ(もしくは背もたれのあるイス)に座ります。
- ダンベルを横に持ち、ヒジを曲げて耳の横で構えます。これがスタートポジションです。
- 息を吐きながら、ヒジを伸ばしてダンベルを上げます。
- ヒジが伸び切る直前まで上がったら、息を吸いながらダンベルを戻します。
◆回数の目安:10回×3セット
ワンアーム(片方の手)・ダンベル・ショルダープレス☆☆☆
片手で行うショルダープレスです。両手でトレーニングしていると、どうしても利き手側ばかりが偏って鍛えられやすいもの。そこでワンアーム・ダンベル・ショルダープレスを行って、片手ずつ左右均等にトレーニングしていくのもよいでしょう。
ワンアーム・ダンベル・ショルダープレスのコツは「体勢を安定させる」ことです。片手だけにダンベルを持つため、バランスが崩れてしまいがち。「腹筋に力を入れる」「もう片方の手をお尻にやる」などして体勢を安定させてください。
- ダンベルを持って立ちます。ヒジを曲げて肩の高さでダンベルを構えてください。これがスタートポジションです。
- 息を吐きながらヒジを伸ばしてダンベルを上げます。
- ヒジが伸び切る直前まで上がったら、息を吸いながらダンベルを戻します。
◆回数の目安:10回×3セット
【ジム編】ショルダープレスの種類
それでは、次はバーベルやジムのマシンを使って行うショルダープレスを紹介していきましょう。
ショルダープレスの種類 | 効果的な筋肉 |
スミスマシン・バーベル・ショルダープレス | 三角筋の前部 |
マシン・ショルダープレス |
スミスマシン・バーベル・ショルダープレス(☆☆☆☆)
スミスマシンとはラックのガイドに沿ってバーベルを上下に動かせるマシンのことです。スミスマシンを使うことで怪我のリスクを減らせます。
スミスマシン・ショルダープレスのコツは「反動の力に頼らない」ことです。重いバーベルを上げるためには大きなパワーが必要ですが、だからといって反動で上げてしまうと、三角筋以外の筋肉の関与が強くなってしまいます。ターゲット以外の筋肉の関与はなるべく抑え、三角筋の力でバーベルを上げるようにしましょう。
- バーベルが顔の前にくるよう調整し、ベンチに座ります。(背もたれがある方がオススメです)
- 肩幅の1.5倍ぐらいの幅でバーベルを握ります。
- 腕を伸ばしてバーベルを持ち上げましょう。
- ヒジが伸び切る手前で止め、ゆっくり下ろしていきます。
◆回数の目安:10回×3セット
ショルダープレスはダンベルを使って行うのが一般的で、バーベルを使う場合は「ミリタリープレス」と別名で呼ばれます。ただし、両者は動作が非常に似ているため、明確に分類することが難しく、ダンベルかバーベルかに関わらず、両者を同じものとしてみなす場合も少なくありません。
そのため、ミリタリープレスが「バーベル・ショルダープレス」と表記されることも多くあります。ミリタリープレス(バーベル・ショルダープレス)の実践方法は「ミリタリープレスで広い肩を作る!効果的なトレーニング方法を解説」で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてみましょう。
マシン・ショルダープレス(☆☆☆)
最後にショルダープレス用のマシンを使うやり方を紹介します。
マシン・ショルダープレスのコツは3つあります。
1つ目は「ベンチに深く座る」ことです。浅く座ると上半身が安定せず、三角筋以外の筋肉へと負荷が逃げてしまいやすくなります。深く腰掛けて、上半身を安定させるようにしてください。
2つ目は「両拳の指側が内側を向くようにグリップを握る」ことです。文章で説明するとわかりにくいため、動画(1:00〜)を再生させて確認してみましょう。
マシンの細かい作りはメーカーによって異なりますが、もしも仕様上可能であれば両拳の指側が体の内側を向くようにグリップを握りましょう。こうすることで三角筋前部をより効果的に鍛えられます。
3つ目は「バーを下げ切らない」こと。バーを完全に下げ切ってしまうと、三角筋の緊張が解けてしまいます。バーを下ろし切る直前の位置をスタートポジションに設定するといいでしょう。
- バーが肩よりも少し高くなるぐらいにベンチの高さをセットします。背筋をまっすぐ伸ばして深く座りましょう。
- バーを少し浮かせます。これがスタートポジションです。
- マシンの縦のバーを握って、持ち上げていきます。
- ヒジが伸び切る手前で止めて、スタートポジションに戻ります。
◆回数の目安:10回×3セット
ショルダープレスで僧帽筋の関与を抑える2つのコツ
冒頭でも言及したように、「三角筋ではなく、僧帽筋に効いてしまう」というのは三角筋を鍛えようとしている多くの方が抱える悩みです。ここではショルダープレスを行う上で僧帽筋の関与を抑えるためのコツを2つお伝えします。
- 肩をすくめない
肩をすくめる動作には僧帽筋が使われやすいため、首を伸ばして肩はすくめないように注意しましょう。
- 肩の位置を固定する
肩の上げ下げには僧帽筋が使われます。肩は動かさずにしっかりと固定して、腕だけを動かすようにしてください。
まとめ
今回は「ショルダープレス」を紹介しました。
ここだけは知っておきたい!ショルダープレスのポイント
- 体よりも少し前で腕を上げる
- 肩をすくめない
- ヒジを伸ばし切らない
ショルダープレスのように、ダンベルやバーベルなどのウエイトを用いる種目を行なう時、多くの方の頭を悩ませるのが「重量の設定」ではないでしょうか?
筋トレにおいては、「RM」という概念を用いてウエイトの重量を示すのが一般的です。ちなみに、RMとは「やっと一回こなせる程度の重さ」という意味です。
最初のうちは自分の筋力がどれほどあるのか把握しづらいので、徐々に重量を上げ自分の限界を測るようにしましょう。
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