「サイドレイズ」は、ダンベルを持って、肩を支点に腕を開いていくトレーニングで、肩の筋肉「三角筋」を鍛える種目の代表格ともいえます。
しかし、正しいフォームで行わないと、肩ではなく、首から背中に伸びる「僧帽筋」という筋肉ばかりが鍛えられてしまい、思ったような結果を得られないことも少なくありません。
そこで今回は三角筋にしっかりと効かせるために知っておきたい「サイドレイズの正しいトレーニング方法とコツ」を紹介します。
サイドレイズで鍛えられる筋肉
サイドレイズのメインのターゲットとなるのは肩についている「三角筋」です。三角筋は主に肩を動かす際に使われます。
三角筋は「前部」「中部」「後部」の3つの部分に分かれているため、筋トレをする時もトレーニング種目を変えて、鍛え分ける必要がありますが、今回紹介する「サイドレイズ」で鍛えるのは主に三角筋の中部です。
三角筋の中部は主に「腕を床に対して水平方向に伸ばして動かす」時に使われます。
サイドレイズの種類
以下ではサイドレイズのトレーニング方法を紹介します。
種目名 | メインのターゲット |
ダンベル・サイドレイズ | 三角筋の中部 |
シーテッド・サイドレイズ | |
リーニング・ワンアーム・サイドレイズ | |
マシン・サイドレイズ |
サイドレイズをする時に多くの方が悩むのが「ダンベルの重量設定」ではないでしょうか。
ダンベルの重量を決める上で重要なことは「重さからではなく、回数から考える」ことです。「1セットでやっと10回こなせる」程度を目安にしましょう。
ただし、ダンベルなどのウエイトを使ったトレーニングに不慣れな方の場合、まずは男性であれば3~5kg、女性であれば0.5~2kgくらいの軽重量から始めるようにしてください。
また、サイドレイズで腕を上げる途中に手首をひねって小指を上げるとトレーニング効果が高まる、という説があります。しかし、実際のところ、この「小指を上げる」方法は肩関節を痛めるリスクがあるため、実践しない方が無難です。
なお、トレーニングの難易度を☆の数で5段階評価しています。☆の数が多いほどトレーニングの難易度が上がります。
ダンベル・サイドレイズ(☆☆)
サイドレイズの基本形です。両手にダンベルを持ち、立った状態で行います。
ダンベル・サイドレイズのコツは6つあります。
1つ目は「上半身を前傾させる」こと。三角筋は斜め(体の正面側に向かって上がっている)についていることから、直立した状態で腕を上げるよりも、上半身を前傾させた状態で腕を上げる方が三角筋に与える負荷を大きくできます。(※動画1:03〜を参照ください。)
2つ目は「腕全体を上げる」こと。サイドレイズを行う上でよくある間違いの1つに「前腕のみを上げてしまう」ことがありますが、これでは三角筋が上手く使われません。「ダンベルよりもヒジが先に上がる」イメージで、腕を伸ばして上げるようにしてください。
3つ目は「ダンベルを下げる動作をゆっくりと行う」こと。
勢いよくダンベルを下げてしまうと、負荷が小さくなります。三角筋の緊張状態を維持するために、ダンベルを下げる動作はゆっくりと行いましょう。
また、ダンベルを下げる時は一定速度を保つのが大切です。
4つ目は「ダンベルを下げる時に脇を完全に閉じない」こと。脇を完全に閉じるとその瞬間三角筋にかかる負荷がゼロに近い状態になります。脇を閉じ切る手前のところで動作を止めて、常に脇を少し開いた状態をキープすることで負荷を維持しましょう。
5つ目は「小指からあげる」こと。サイドレイズでダンベルを上げる際は、親指ではなく小指が上にくるようにしましょう。
親指が上に来ると、三角筋前部に負荷がかかります。ダンベルサイドレイズで三角筋中部に負荷を与えるには、小指から上げる意識が重要です。
6つ目は「肩甲骨を軽く広げる」こと。肩甲骨を広げ、軽く体を丸めると、より三角筋中部に刺激を与えやすくなります。
ただし、体を丸めすぎると逆にフォームが乱れてしまうため「少しだけ猫背になる」くらいのイメージでサイドレイズをすると効果的です。
- 足を肩幅に開いて、胸を張り両手にダンベルを持って構えます。ヒジは軽く曲げておきましょう。
- そのまま腕が地面と水平になるまで持ち上げていきます。肩の上げすぎに注意しましょう。
- そこからゆっくり重さに逆らいながら、下ろしていきます。
- 脇を完全に閉じないところまで下ろしたら、また上げていきましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
シーテッド・サイドレイズ(☆☆)
シーテッド・サイドレイズは座った状態で行うサイドレイズです。座って行うことで体勢がより安定するため、立位のサイドレイズよりも肩の筋肉にしっかりと意識を集中させられます。
シーテッド・サイドレイズのコツは立った状態で行う基本のサイドレイズと同じです。
- ベンチに座り、背筋を伸ばします。
- ヒジは軽く曲げた状態で、両手に持ったダンベルを腕を広げるように持ち上げます。
- ヒジが肩の高さになるぐらいまでダンベルを持ち上げます。
- ゆっくりと下ろしていきましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
リーニング・ワンアーム(片手)・サイドレイズ(☆☆☆)
リーニング・ワンアーム・サイドレイズは片手で柱に捕まり、体を横方向にやや倒した状態で行うサイドレイズです。体が傾くことで基本のサイドレイズよりも三角筋に負荷がかかりやすい状態になります。
リーニング・ワンアーム・サイドレイズのコツも基本のサイドレイズとほぼ同様になりますが、このトレーニングならではのコツとしては「下半身をしっかりと固定する」ことがあります。体勢が安定するように、柱に足をしっかりとつけて下半身が動かないようにしましょう。
- 片手で柱などを握り、傾いた体勢を作ります。
- もう片方の手でダンベルを握ります。
- 斜めの体勢のまま、肩と水平になるぐらいまで、腕を上げていきましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
マシン・サイドレイズ(☆☆)
サイドレイズ用のマシンを使ってトレーニングすることも可能です。
マシン・サイドレイズのコツは「手首に力を入れない」ことです。手首に力が入ってしまうと、腕の筋肉の関与が強くなってしまうため、注意しましょう。
- マシンに座り、外側に大きく開きます。
- 両ヒジを曲げてパットに当てます。(グリップがついているマシンなら、しっかりグリップを握りましょう)
- 両腕が水平になるまで、腕を開いていきます。肩を意識しましょう。
- 同じ軌道でゆっくりと戻していきます。
◆回数の目安:10回×3セット
マシントレーニングを初心者にもおすすめしたい2つの理由
マシントレーニングには「より大きな負荷でトレーニングできる」という中・上級者向けのメリットもありますが、実は初心者にもとてもおすすめです。
- マシンは使い方さえ正しければ、自然とフォームが安定するように設計されているため、正しいフォームを身につけやすい
- ターゲット(三角筋)以外の筋肉の関与が最小限に抑えられるため、「意図せぬ筋肉が鍛えられてしまった!」という失敗が少ない
サイドレイズで「僧帽筋」に効いてしまうのを防ぐ2つのコツ
サイドレイズを行う上でよくある悩みの1つに「三角筋ではなく僧帽筋に効いてしまった」ということがあります。僧帽筋の関与をなるべく抑えるために以下2つのことを押さえておきましょう。
- 腕を肩よりも高く上げない
ダンベルを上げる時は、腕と肩が同じ高さになる位置まで上げましょう。
- 肩をすくませない
肩をすくめる動作には僧帽筋が関与しているため、肩を動かしてしまうと、僧帽筋に効きやすくなってしまいます。ダンベルを上げる時も肩の位置はしっかりと固定して、腕だけを動かすイメージでトレーニングしましょう。
サイドレイズは「両手」と「片手」でどちらでも行える
一般的にサイドレイズは両手を同時にトレーニングしますが、上で「リーニング・ワンアーム・サイドレイズ」を紹介したうように、片手ずつ行うこともできます。
- 両手で行うメリット:左右の筋肉をバランスよく鍛えられる
- 片手で行うメリット:片方に集中できるため、より高負荷のトレーニングが可能になる
ただし、片手で行う場合は「バランスが取りづらくなるため、フォームが崩れやすい」弊害もあります。初心者の方の場合は、フォームを身につけるために、最初は「両手」から始めることをおすすめします。
サイドレイズとショルダープレスの違い
サイドレイズとよく混同されてしまうトレーニング種目に「ショルダープレス」があります。ショルダープレスはヒジを曲げて、肩の高さで、ダンベルを横にして持ち、頭上にダンベルを上げる動作を行う種目です。
種目名 | メインのターゲット | ヒジの動き |
ショルダープレス | 三角筋の前部 | 曲げ伸ばしする |
サイドレイズ | 三角筋の中部 | 伸ばしたままにする |
実際に動画を見て比較してみましょう。
- サイドレイズ
- ショルダープレス
三角筋の「前部」を鍛える場合はショルダープレスを、「中部」を鍛える場合はサイドレイズを行いましょう。
まとめ
今回は「サイドレイズ」を紹介しました。
ここだけは押さえておきたい!サイドレイズのポイント
- 肩の位置はしっかりと固定して、腕だけを動かす
- ダンベルを下げる時に脇を完全に閉じない
- 肩をすくめない
サイドレイズは「三角筋中部」に有効な筋トレですが、バランスの整った美しいスタイルを作るためには肩の筋肉だけではなく首や胸、腕など、その他の筋肉もまんべんなく鍛える必要があります。「均整の取れたカラダになりたい!」という方は、当メディアではさまざまなトレーニング方法を紹介していますので、ぜひ参考にして見てください。
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