アップライトロウ(アップライトローイング)は、胸の前でウエイトを上下させるトレーニングです。
アップライトロウでは、首から背中の上部に位置する「僧帽筋」と、肩の筋肉である「三角筋」を鍛えていきます。肩幅を広くして、逆三角形の体にしたいという方や、背中に厚みを出したい方におすすめです。
今回はアップライトロウの効果的な筋トレ方法を紹介します。
アップライトロウで鍛えられる筋肉と効果
アップライトロウで鍛えられる筋肉は主に2種類です。
鍛えられる筋肉1.僧帽筋
僧帽筋は首の付け根から肩甲骨~背中にまで広がる筋肉で、主に上部、中部、下部の3つの部分に分けられます。
「上部:肩甲骨を上げる」「中部:肩甲骨を寄せて胸を張る」「下部:肩甲骨を下げる」ことに使われ、肩甲骨を動かすことで、腕や肩の動きに関わっています。
それぞれの部位で得意とする動きが違うため、鍛える際にはその動きに沿ったトレーニングを行う必要があります。
僧帽筋を鍛えることで背中に厚みが出るため、たくましい印象の背中を作ることができます。
鍛えられる筋肉2.三角筋
三角筋は肩周りの筋肉で、肩甲骨から上腕骨、肩関節まで広がっています。こちらも僧帽筋同様3つに分かれており、前部、中部、後部でそれぞれ担う役割が異なります。
「前部:腕を前に上げる」「中部:腕を横に上げる」「後部:腕を後ろに上げる」というように、腕の動かし方によって役割があります。各部位ごとにバランスよく鍛えましょう。
アップライトロウでは三角筋中部・後部が鍛えられます。
三角筋を鍛えることで肩にボリュームが出るため、肩幅を広くする効果があります。逆三角形の体を目指すには肩幅も重要なため、鍛えておきたい部位です。
【ウエイト編】アップライトロウのやり方と鍛えられる部位
ここからはアップライトロウのやり方と鍛えられる部位について解説します。まずは、ウエイトを使ったアップライトロウを見ていきましょう。
種類 | 効く部位 |
ダンベル・アップライトロウ | 僧帽筋、三角筋(中部・後部) |
ケトルベル・アップライトロウ | |
バーベル・アップライトロウ |
またトレーニングの難易度を☆の数で5段階評価します。☆の数が多いほど難しいトレーニングです。
アップライトロウの重量は10回前後で限界になる重さがおすすめ
まずは10回前後で限界がくる重さで行いましょう。できるようになってきたら、重さを上げていきます。ただし、アップライトロウは手首を痛めやすいため、急激に重量を上げず、段階的に加重しましょう。
ダンベル・アップライトロウ(☆☆☆)
ヒジを高く上げることでダンベルを持ち上げます。
ダンベル・アップライトロウのポイントは3つあります。
1つ目は「肩から動かす」ことです。ヒジを曲げて手から先に動かすのではなく、肩をすくめてヒジを持ち上げるようにしましょう。肩の筋トレのため、肩を使う意識が大切です。
2つ目は「ヒジを高く上げる」ことです。ウエイトを持ち上げる際に、ヒジを高く上げることで自然と肩甲骨が上がりやすくなります。
3つ目は「ゆっくり下ろす」ことです。勢いよく下ろすとヒジや肩に負担がかかるため、重力に逆らうようにゆっくりと下ろしていきましょう。そうすることで負荷を高める効果もあります。
- 両足を肩幅に開いて直立します。
- 背すじをしっかりと伸ばし、ダンベルを順手で持ちます。
- 脇を開き、両ヒジを高く上げるようにしてダンベルを引き上げていきます。
- この時、息を吸いながら行うようにし、顔はまっすぐ前を向きます。
- ダンベルを鎖骨の高さまで持ち上げたら一旦停止します。
- 息を吐きながらゆっくりとダンベルを下ろしましょう。
◆回数の目安 : 10回×3セット
ケトルベル・アップライトロウ(☆☆☆)
ダンベルの代わりに、球体に持ち手がついたやかんに似た形のウエイトであるケトルベルを用いることも可能です。持ち手が半円状になっているため、手首を不自然に曲げることなくウエイトを持ち上げられるのがメリットです。
ケトルベル・アップライトロウのポイントはダンベル・アップライトロウと同様です。
- 両足を肩幅に開いて直立します。
- 背すじをしっかりと伸ばし、ケトルベルを順手で持ちます。
- 脇を開き、両ヒジを高く上げるようにしてケトルベルを引き上げていきます。
- この時、息を吸いながら行うようにし、顔はまっすぐ前を向きます。
- ケトルベルを鎖骨の高さまで持ち上げたら一旦停止します。
- 息を吐きながらゆっくりとケトルベルを下ろしましょう。
◆回数の目安 : 10回×3セット
バーベルアップライトロウ(☆☆☆☆)
バーベルを使うことでより高い負荷をかけることができます。ただしダンベルなどに比べ可動域が狭くなってしまいます。また、まっすぐなストレートバーよりもEZバーの方が手首への負担が軽減されます。
バーベルアップライトロウのポイントは3つあります。
1つ目は「バーベルを持ち上げる時に反動を使わない」ことです。高重量を扱うため無理に持ち上げようとすると無意識に反動を使ってしまいがちです。肩以外の筋肉を使うことになるため、体を固定するよう意識しましょう。
2つ目は「軽い重量から始める」ことです。いきなり高重量を扱うと肩に負担がかかりすぎケガにつながる恐れがあります。バーベルは可動域が制限されていることで肩に負担がかかりやすいため、無理な高重量は危険です。
3つ目は「ワイドグリップで行う」ことです。持つ手の間隔が狭いと手首を不自然に曲げなくてはいけないため、手首に負荷がかかりやすいです。また、腕の筋肉を使いやすいため両手の間隔は肩幅の1.5倍ほど広くしましょう。
- 両足を肩幅に開いて直立します。
- 背すじをしっかりと伸ばし、バーベルを順手で持ちます。肩幅の1.5倍ほど両手の間隔を空けて持ちましょう。
- 脇を開き、両ヒジを高く上げるようにしてバーベルを引き上げていきます。
- この時、息を吸いながら行うようにし、顔はまっすぐ前を向きます。
- バーベルを鎖骨の高さまで持ち上げ、一旦停止しましょう。
- 息を吐きながらゆっくりとバーベルを下ろします。
◆回数の目安 : 10回×3セット
【マシン編】アップライトロウのやり方と鍛えられる部位
アップライトロウはウエイト以外にも、ジムでケーブルマシンを使うやり方もあります。ケーブルの張力で常に一定の負荷がかかるため、トレーニング中ずっと負荷をかけ続けられるのが特徴です。
種類 | 効く部位 |
ケーブル・アップライトロウ | 僧帽筋、三角筋(中部・後部) |
ケーブル・アップライトロウ(☆☆☆☆)
ケーブルマシンにロープアタッチメントやストレートバーをつけて行います。
ケーブルアップライトロウのポイントは「ケーブルを引いた頂点で数秒静止する」ことです。ケーブルの張力が一番強くかかる引ききった地点を保つことで、強い負荷をかけることができます。
- 両手でハンドルを持ち、マシンの前で直立します。
- 胸を張って息を吐きながらハンドルを上に引き上げましょう。
- 脇を開き、両ヒジを高く上げるようにしてケーブルを引っ張っていきます。
- この時、息を吸いながら行うようにし、顔はまっすぐ前を向きます。
- ヒジが肩の高さまで来たら、数秒静止しましょう。
- 息を吐きながらゆっくりとケーブルを下ろします。
◆回数の目安:15回×3セット
アップライトロウの注意点
アップライトロウには注意すべき点が2点あります。
1つ目の注意点が「肩甲骨を寄せない」こと。
アップライトロウでは肩甲骨を寄せると、僧帽筋上部に刺激が入りやすくなります。アップライトロウで僧帽筋上部を鍛えたい場合は問題ありませんが、三角筋を鍛えたい場合は肩甲骨を寄せないようにしてください。
逆三角形の体になるためには、僧帽筋上部よりも三角筋の方が重要です。
軽く上半身を丸めるイメージを持つと肩甲骨が開き、より三角筋を使えるためおすすめです。
2つ目の注意点が「肘を外に開く」こと。
アップライトロウでは、肘を真上に上げるのではなく、肘を外に向かって開くイメージを持つと、より三角筋に刺激が入ります。
「上半身を軽く丸めて、肘を外に開く」この意識を持つことが正しいフォームでアップライトロウをするために重要です。
アップライトロウで手首や肩を痛めないために気を付けるべき2つのポイント
アップライトロウで手首や肩に痛みを感じる方もいます。特に肩は故障しやすい部位でもあるため、トレーニングで痛めてしまわないよう注意が必要です。以下のようなポイントを押さえておきましょう。
- 軽い重量から始める
ウエイトが重くなればなるほど負荷とともに関節への負担も高まります。まずは軽いものから慣れていき、徐々に重くしましょう。
- バーベルを使う場合はワイドグリップで行う
両手の間隔を狭くバーベルを持つと、上げきった地点で手首が不自然に曲がることとなります。手首への負担が大きくなるため、肩幅の1.5倍ほどのワイドグリップで行いましょう。EZバーを使うこともおすすめです。
まとめ
今回は僧帽筋、三角筋を鍛えるトレーニング「アップライトロウ」を紹介しました。
ここだけは押さえておきたい!アップライトロウのポイント
- 肩から持ち上げる
- ヒジを高く上げる
- 反動を使わない
- ゆっくり下ろす
アップライトロウはシンプルなトレーニングですが肩を大きくし、背中を厚くすることができます。逆三角形の体を目指すなら必須の筋肉を一度に鍛えられるのも魅力です。
ただし、手首を痛めやすいという難点もあるため、フォームを守って無理なくトレーニングしましょう。
冒頭でも述べたように、僧帽筋・三角筋ともに3つの部位に分かれており、各部位をバランスよく鍛えるにはそれぞれに合ったトレーニングを行う必要があります。TOREMOでは動画や画像付きでさまざまなトレーニングついてもを紹介しています。理想の体に近づくためのトレーニングを見つけることができるので、ぜひ参考にしてみてください。
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