ランジは、片足を前に出して着地と同時に、上体を落としていくトレーニングです。
太ももやお尻の筋肉に負荷がかかるため、「ヒップアップしたい」「下半身を引き締めたい」という方にはぜひ取り組んでほしいところ。同じく下半身のトレーニングとしてはスクワットが有名ですが、単に上体を落とすだけではなく、足の動きを加えることで、スクワットとは異なる刺激を筋肉に与えることができます。
筋肉は同じトレーニングばかりを繰り返していると次第に「慣れ」が生じて効きにくくなることがあるため、「下半身を引き締めたい」という方はスクワットと併せてランジにも取り組んでみましょう。今回はランジのトレーニング方法とポイントを紹介します。
ランジで鍛えられる筋肉
ランジで鍛えられる筋肉は大きく分けて4種類あります。
ランジで鍛えられる筋肉1.大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
大腿四頭筋は太ももの前側にある筋肉で、主に「ヒザを伸ばす」時に使われます。分かりやすく例を挙げるならば「歩く」「ヒザを伸ばしてジャンプする」などの動作で働きます。
ランジでは上体を上げる時に大腿四頭筋が強く働くため、体を上げる時に太ももの前側に力が入っているか意識しましょう。
「太ももを太くするなら大腿四頭筋を鍛えるべし!効果的な筋トレを紹介」でも触れているように、大腿四頭筋は「太ももを太くしたい!」という方に重点的に鍛えてほしい筋肉になります。
ランジで鍛えられる筋肉2.ハムストリング
大腿四頭筋の反対側、つまり太ももの裏側に位置するのがハムストリングです。主に「ヒザを曲げる」時に使われており、日常生活においては「歩く」「階段を上る」などの動作で使われます。
ランジにおいて特にハムストリングに負荷がかかる瞬間は「前に出した足を戻す時」です。その瞬間は裏ももが使われているかどうかしっかりと意識するようにしましょう。
また、「太ももの筋トレで「ハムストリング」を鍛えれば「美脚効果」がある」にもあるように、ハムストリングは「筋肉をつけたいけれど、足が太くなるのは嫌」という方に積極的に鍛えてほしい筋肉になります。
ランジで鍛えられる筋肉3.内転筋
内転筋は太ももの内側についており、主に「足を内側に閉じる」動作を担っています。普段の生活の中でも、歩行などの多くの動作で使われています。
ランジの基本形ではそれほど強く関与しませんが、「サイド・ランジ」や「クロス・ランジ」など、横方向の動作を行うランジの派生形を行うことで鍛えることが可能です。
「【内もも痩せ】内転筋を鍛えて太ももの間に「スキマ」を作る方法」でも紹介していますが、「太ももの間にスキマを作りたい!」という方は内転筋を鍛えるとよいでしょう。
ランジで鍛えられる筋肉4.大殿筋
大殿筋はお尻の筋肉で、股関節に関わる動きに強く関与しています。もっと具体的に言えば、「ジャンプする」「走る」「椅子から立ち上がる」などの動作で力を発揮しており、足を動かす上では欠かせない筋肉です。
ランジでは、「上体を落とす」「上体を上げる」などの動作を始めとして、ほぼ常に使われることになります。スクワットでも鍛えることはできますが、スクワットよりもランジの方が股関節を動かす機会が多いため、大殿筋のトレーニングとしては効果的です。
また、「ヒップアップに効く筋トレで「美尻」をGET|よくある2つの間違い」でも、ヒップアップするために鍛えるべき筋肉の1つとして大殿筋を紹介していますが、大殿筋はお尻の大部分を覆っており、お尻の膨らみを作っている筋肉でもあるため、鍛えることでヒップラインを整えることができます。
【自重編】ランジの種類
ここからはランジのトレーニング方法を「自重編」とウエイトを用いる「加重編」に分けて紹介しますが、まずは自重編からみていきましょう。
種類 | メインターゲット |
フロント・ランジ |
|
ジャンプ・ランジ | |
サイド・ランジ |
|
クロス・ランジ |
なお、トレーニングの難易度を☆の数で5段階評価しており、☆の数が多いほど難易度が上がります。
フロント・ランジ(☆☆)
ランジの基本形となるのが「フロント・ランジ」です。前方(フロント)に足を踏み出し、ヒザを曲げて上体を落としていきます。メインのターゲットは「大腿四頭筋」「ハムストリング」「大殿筋」です。
フロント・ランジのポイントは2つあります。
1つ目は「足を踏み出す時のフォームに気をつける」ことです。
足の踏み出す時のフォームで気をつけるべき点
- 踏み出して着地する時に前足のヒザの角度が90度になるようにする
- 前足はかかとからつま先の順に着地する
- 前足の太ももと後ろ足のふくらはぎが平行になるまで上体を落とす
- 後ろ足のつま先がまっすぐ前を向くようにする
- 頭からお尻までが一直線で結ばれる姿勢を保つ
2つ目は「お腹に力を入れる」ことです。腹筋には姿勢を維持する役割があることから、お腹に力を入れることで、姿勢がまっすぐ保たれやすくなります。
- 足は腰幅程度に開き、背筋を伸ばしてつま先を正面に向けて直立します。これがスタートポジションです。
- 胸を張り、姿勢をキープしたまま片足を前に踏み出します。ヒザが内側に入らないよう注意しましょう。この時に息を吸います。
- かかとから着地し、つま先もしっかり床につけ、ヒザが90度になるまで腰を下ろします。
- 体の反動は使わず、前足で床を蹴るようにしてスタートポジションまで戻ります。この時、息を吐きます。左右の足を入れ替えながら、動作を繰り返しましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
ジャンプ・ランジ(☆☆☆)
「ジャンプ・ランジ」は、フロント・ランジにジャンプの動作が加わるトレーニングで、足を前後に入れ替える動作を空中で行います。メインのターゲットは「大腿四頭筋」「ハムストリング」「大殿筋」になります。
ジャンプ・ランジのポイントは2つあります。
1つ目は「着地する時に、上体を深く落とす」ことです。体をしっかりと落とすことで下半身の筋肉にしっかりと負荷がかかり、トレーニングの効果が高まります。
2つ目は「上半身の姿勢を地面と垂直に保つ」ことです。空中に浮いている瞬間も姿勢をキープするように意識しましょう。前かがみにならないように、胸を張って姿勢を維持してください。
- フロント・ランジのように、前方へ片足を踏み出します。
- ヒザの角度が90°になるまで、後ろ足のヒザが床スレスレになるまで腰を落としましょう。
- そこから両足を一気に伸ばし、真上に高くジャンプします。
- 空中で前後の足を入れ替えます。
- 先ほどとは前後の足が入れ替わった状態で、着地します。
- 深く沈み、同様にジャンプしましょう。
◆回数の目安:左右各5回×3セット
サイド・ランジ(☆☆)
「サイド・ランジ」は横(サイド)に足を開いていくランジです。メインのターゲットは「内転筋」「ハムストリング」「大殿筋」になります。
サイド・ランジのポイントは2つあります。
1つ目は「内転筋を意識する」ことです。体を落とす時に、ヒザを曲げる方の内転筋が使われます。体を落とす時は内転筋に力が入っていることを確かめながら動作を行いましょう。
2つ目は「上体をしっかりと落とす」ことです。上体を十分に落とせていないと、大殿筋があまり鍛えられません。ヒザを曲げない方の足の内ももがしっかりと伸びるところまで上体を落としてください。
ただし、上体を深く落とすためには股関節の柔軟性が必要です。トレーニングの前後にストレッチに取り組み、筋肉を伸ばしておくと、よりスムーズに動作を行えるでしょう。
- 足は肩幅の2倍程に開き、背筋を伸ばし胸を張って直立します。つま先は45°ぐらい開きましょう。
- 片方の足へ体重を移しながら腰を沈めていきます。反対側の足の内ももがしっかり伸びるまでヒザを曲げます。
- 自分が下りられるとこまでいったら、元に戻りましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
クロス・ランジ(☆☆☆)
「クロス・ランジ」はサイド・ランジと同様に横方向に足を開いていく動くトレーニングですが、そこに「ひねる」動作が加わるのが特徴です。メインのターゲットは「内転筋」「ハムストリング」「大殿筋」になります。
クロス・ランジのポイントは2つあります。
1つ目は「ヒザを高く上げる」ことです。ヒザを高く上げるほど、大殿筋や内転筋にかかる負荷が大きくなるため、トレーニングの効果が高まります。
2つ目は「左右の移動距離を同じにする」ことです。左右で差が生じてしまうと、筋肉もアンバランスに鍛えられてしまいます。床にマーキングするなどして、左右の移動距離が同じになるように意識してください。
- 足は肩幅程度に開き背筋を伸ばして直立する。
- 姿勢をキープしたまま片ヒザを高く上げ、上げた足と逆サイドに着地します。
- クロスさせた足に体重のほとんどをかけ、ヒザが90度になるまで体を下ろします。
- 反動は使わず、床を蹴るように足の力で元の位置まで戻りましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
【加重編】ランジの種類
ここからはダンベルやバーベルなど、ウエイトを利用して行うフロント・ランジを紹介します。自重のランジを10回程度楽にこなせるようになったら、負荷を大きくするためにもウエイトを利用するとよいでしょう。
種類 | メインターゲット |
ダンベル・フロント・ランジ |
|
バーベル・フロント・ランジ |
トレーニングの手順やポイントは自重のフロント・レンジと同じになりますが、加重のランジを行う時は「ウエイトの重量」をどの程度に調節するかが重要になってきます。
「ウエイトは重ければよい」という訳ではなく、ウエイトが重すぎるとフォームが崩れてしまいやすく、狙った筋肉が効果的に鍛えられません。あくまでも「正しいフォームを維持できる」重量でトレーニングするようにしてください。
また、重量の設定をする時は「重さ」を基準に考えてしまいがちですが、「ちょうどよい重さ」には個人差があります。「正しいフォームで1セット10回やっとこなせる程度の重量に設定する」という考えのもと、「回数」から逆算して考えるようにしましょう。
ダンベル・フロント・ランジ(☆☆☆☆)
両手にダンベルを持って行うフロント・ランジです。メインのターゲットは「大腿四頭筋」「ハムストリング」「大殿筋」です。
トレーニングのポイントは自重のフロント・レンジと同じですが、上でも紹介したように重量設定には注意しましょう。
- 両手にダンベルを持ちます。足は腰幅程度に開き、背筋を伸ばしてつま先を正面に向けます。
- 胸を張り、姿勢をキープしたまま片足を前に踏み出します。
- かかとから着地し、前足をしっかり地面につけ、ヒザが90度になるまで腰を下ろします。
- 体の反動は使わず、かかとで床を蹴るようにして元の位置まで戻りましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
バーベル・フロント・ランジ(☆☆☆☆☆)
バーベルを担いで行うフロント・ランジです。メインのターゲットは「大腿四頭筋」「ハムストリング」「大殿筋」です。
重量のあるバーベルを使うことでトレーニングの難易度はかなり高くなります。ウエイトが重くなる分、筋肉にかかる負荷は大きくなりますが、その分ケガのリスクも高まります。安全にトレーニングを行うために、以下で紹介する2つの注意点を守りましょう。
1つ目の注意点は「初心者はスミスマシンを使う」ことです。実際にスミスマシンを使ったバーベル・フロント・ランジのトレーニング例を見てみましょう。
スミスマシンを利用する場合はバーベルが固定されるため、左右の足を入れ替えずに上体の上げ下ろしを行います。
2つ目の注意点は「事前にバーベルにウエイトをつけない(バーだけを持った)状態でフォームの確認をする」ことです。バーベルのバーは、それ自体が10kg程度の重さがあることがほとんどで、それだけでも十分な負荷になります。
まずはウエイトをつけずにバーだけを持ってフォームの確認をしてください。
- 足は肩幅程度に開き、肩にバーベルをセットします。
- 肩甲骨の上あたりに担ぎ、両手を肩幅より開いて握れば準備完了です。
- バランスを保ったままゆっくりと片足を前に踏み出しましょう。
- ヒザが90°になるまで曲げ、後ろ足のヒザが床スレスレになるまで腰を下ろしていきます。
- かかとから蹴り出すように元の位置に戻りましょう。
◆回数の目安:10〜15回
まとめ
今回は下半身のトレーニングに効果的な「ランジ」を紹介しました。
これだけは押さえておきたい!ランジのポイント
- 「大殿筋」「大腿四頭筋」「ハムストリング」「内転筋」など下半身の筋肉を効果的に鍛えられる
- 上体をしっかりと落とすこと
- 上半身の姿勢をまっすぐに保つこと
- ウエイトを使う時は重量の設定に注意すること
下半身が引き締まればスーツを着てもスカートを履いても様になるため、下半身の引き締めは男女関係なく、多くの方にとって永遠の課題かもしれません。正しいトレーニングを正しいフォームで適切な量で行う必要があります。
トレーニングを始めたうちは、そういった点に気をつけながら取り組んでいきましょう。
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