スナッチは全身の筋肉を使ってダンベルやバーベルを頭の上まで一気に持ち上げるトレーニングです。重量のあるウエイトを一気に持ち上げるため、使う筋肉は太ももにお尻、腕、肩など全身に渡ります。
オリンピックの種目にも採用されているトレーニングで、ジムで実践していると周囲から憧れの眼差しで見られるかもしれません。
そこで、今回はスナッチで鍛えられる筋肉とトレーニング方法を解説しますが、スナッチは上級者向けのトレーニングです。
筋トレの経験が浅い初心者の方は「スクワットの正しいフォームを身につけて効果的に筋肉を鍛える方法」や「アームカールは手のひらの向きで効果が変わる!種類とやり方を解説」を参考に難易度の低いトレーニングから始めるようにしましょう。
スナッチで鍛えられる筋肉
スナッチでは全身の筋肉が広く使われますが、ここではその中でも特に使われる筋肉を6つ紹介します。
スナッチで鍛えられる筋肉1.大腿四頭筋
大腿四頭筋は太ももの前面にある大きな筋肉で、主に「ヒザを伸ばす」動作で使われます。
スナッチではウエイトを上げ下ろしする時に大腿四頭筋が大きなパワーを発揮します。
また、大腿四頭筋は体積がとても大きいため、鍛えることで太ももが太くたくましくなります。
スナッチで鍛えられる筋肉2.大殿筋
大殿筋はお尻の筋肉で、主に「股関節を動かす」時に働きます。スナッチではウエイトを持ち上げ始める瞬間と頭上に持ち上げた瞬間に、身体を支えるためにお尻へグッと力を入れることによって、効果的に刺激できます。
大殿筋はお尻全体に広がっているため、鍛えることでお尻全体が引き締まって見えます。
スナッチで鍛えられる筋肉3.ハムストリング
ハムストリングは太ももの後ろ側にある筋肉で、主な働きは「ヒザを曲げる」ことですが、他にも「前傾姿勢から体勢を戻す」「ジャンプする」などの動作でも使われます。
スナッチにおいてもヒザを曲げる時は太ももの裏側の筋肉を意識してみましょう。
ハムストリングは太ももの裏側にあることから鍛えても目立ちにくく、「筋肉をつけたいけれど、ゴツゴツした体になるのは嫌」という方が鍛えるのにおすすめの筋肉です。
スナッチで鍛えられる筋肉4.上腕二頭筋
上腕二頭筋は手のひらを上に向けた時に二の腕の上側についている筋肉です。主に「ヒジを曲げる」動作で使われるため、スナッチでもウエイトを上げ下ろしする時に力を発揮します。
「力こぶ」を作る筋肉であるため、鍛えることで太くたくましい腕を作れます。
スナッチで鍛えられる筋肉5.上腕三頭筋
上腕三頭筋は手のひらを下に向けた時に二の腕の下側についている筋肉で、主に「ヒジを伸ばす」動作で使われ、スナッチでもヒジを伸ばしてウエイトを持ち上げる時に大きな力を発揮します。
また、上腕三頭筋は二の腕の3分の2を占めいます。「腕を太くしたい」という場合はどうしても「力こぶ」を形成する上腕二頭筋ばかりを鍛えがちですが、上腕三頭筋も一緒に鍛えることで腕の厚みがグッと増します。
スナッチで鍛えられる筋肉6.三角筋
三角筋は肩にある筋肉で、肩関節の動きに強く関与しています。そのため、「ウエイトを持ち上げる」動作を行うスナッチには三角筋の力が大きく影響します。
三角筋を鍛えることで肩幅が広くなり、結果的に「逆三角形ボディ」に近づけます。
スナッチの種類
ここからはスナッチのトレーニング方法を紹介しますが、スナッチは筋肉への負荷が非常に大きいため、必ず事前にストレッチを行うようにしてください。動的ストレッチ・静的ストレッチ|2種類の効果と実践方法を総まとめでは全身のストレッチの方法を紹介していますので、ぜひご覧ください。
種類 | 効く部位 |
ダンベル・スナッチ(☆☆☆☆) |
|
ケトルベル・スナッチ(☆☆☆☆) | |
バーベル・スナッチ(☆☆☆☆☆) |
※トレーニングの難易度を☆の数で5段階評価しており、☆の数が多いほど難易度が高くなります。
ダンベル・スナッチ(☆☆☆)
ダンベル・スナッチはダンベルを片手に持ち、頭の上まで一気に持ち上げるトレーニングです。
ダンベル・スナッチのポイントは3つあります。
1つ目は「全身の筋肉の力を使う」こと。アームカールやレッグカールなど、ある1つの筋肉だけをターゲットにする「アイソレーション種目」とは違い、スナッチは複数の筋肉を同時に鍛えていく「コンパウンド種目」です。
「腕」や「太もも」など特定の部位に意識を集中させるのではなく、全身の力を総動員させる意識を持ってトレーニングしましょう。
2つ目は「空いた手でバランスを取る」こと。ダンベルを上に上げる分、体勢が不安定になりやすいものです。空いた方の手でバランスを取って、できるだけ体の軸がブレないようにしましょう。こうすることで、体幹を鍛えるトレーニングにもなります。
3つ目は「ダンベルを真上に持ち上げる」こと。前に振るのではなく、真上に持ち上げるイメージで動作を行いましょう。
- 足を肩幅よりもやや広めに開き、ダンベルを持って直立します。
- 一瞬ヒザを曲げて上体を少し落とし、次の瞬間ダンベルを勢いよく持ち上げます。
- ダンベルがトップまで持ち上がったら1秒〜3秒程度静止します。
- ダンベルを下ろす時はヒザを屈伸させながら、肩の位置で一度止めます。
- ヒジを曲げながら元の位置まで戻していきましょう。
◆回数の目安:8〜10回
また、ダンベルが落下すると大変危険です。ダンベルを持つ前に手の汗をしっかりと拭き取り、ダンベルの中央部分をしっかりと握るようにしましょう。
ケトルベル・スナッチ(☆☆☆)
次はケトルベルという球体に持ち手がついたやかんに似た形の器具を使ったトレーニング方法になります。
ケトルベル・スナッチのポイントは基本的にはダンベル・スナッチと同じです。ただし、ケトルベルは取っ手の部分とウエイトの部分が分かれているため、手元が不安定になりやすく、それに伴って体勢がくずれやすいという特徴があります。
重さのあるウエイトを扱うスナッチでは、体勢の崩れは怪我につながり兼ねないため、ここではケトルベル・スナッチを行う時に「体勢を安定させる」ためのポイントをご紹介します。
1つ目は「ケトルベルを上げた時に、ケトルベルを体にしっかり引き寄せる」こと。ケトルベルを十分に引き寄せないまま、頭上まで上げてしまうと、遠心力のパワーを受けるため、体勢が不安体になりがちです。
2つ目は「ヒジを伸ばす」こと。ケトルベルを持ち上げたトップの高さでヒジが伸び切っていないと、ケトルベルの重さを受け止めきれずに体勢が崩れてしまう恐れがあります。
- 肩幅より広めに両足を広げて、片手でケトルベルを持ちます。
- 上半身を前傾させながら、ヒザを曲げてケトルベルを股の間に通します。
- 後ろへスイングした反動を活かしながら、両ヒザや腰のバネを使って持ち上げます。
- ケトルベルが腰の高さを越えた辺りでヒジを曲げ、胸の高さまできたら体の方へ引き寄せます。
- 今までの下半身の反動を殺さずに、肩の高さまで上げ、頭上へと持ち上げます。
- ヒジを伸ばし切ったら重力に従ってケトルベルを落とし、最初の股の間の位置まで戻しましょう。
◆回数の目安:8~10回
誤って落としてしまうと大変危険です。滑り止め付きの手袋を着用したり、持ち手を握る前に汗を拭いたりして、手が滑らないようにしましょう。
バーベルスナッチ(☆☆☆☆)
最後にバーベルのスナッチを紹介します。2018年現在オリンピックの種目として採用されているスナッチもバーベルを扱うスナッチになります。
バーベルスナッチのポイントは「体全体で持ち上げる」こと。ダンベル・スナッチやケトルベル・スナッチと同様に、スナッチでは特定の筋肉のみで持ち上げようとせず体全体で持ち上げることが全身をバランスよく鍛えるためのポイントになります。
![](https://toremo.jp/wp/wp-content/uploads/2017/12/toremoblack-1.jpg)
バーベル・スナッチの注意点
スナッチは難易度の高い種目です。いきなりウエイトをつけて行うのではなく、まずはバーだけを持ち上げてみて、「ウエイトを持ち上げる」感覚を掴んでみましょう。
- 足を肩幅よりもやや広めに開き、バーベルのセンターに立ちます。
- 背筋を伸ばしたまま身体を前傾させ、バーベルを握ります。
- 目線を正面かやや上に保ったまま、足と背中に力を入れながら持ち上げていきます。
- 腰あたりまで上がってきたら、反動をつけて頭上まで勢いよく持ち上げましょう。
- 頭上で1〜3秒程度キープしたら、ヒジを曲げて胸前で受け止め、自然に腕を下ろしていきます。
- 落下してくるウエイトをキャッチするようなイメージで元の位置に戻しましょう。
◆回数の目安:8〜10回
筋力があってもスナッチができるとは限らない
スナッチを行うにあたって、もちろん筋力は必要ですが、スナッチは単に筋力があればできる、という種目ではありません。
スナッチの一連の動作は単純そうに見えて意外に複雑で、重い重量を上げるためにはある種感覚に近い“テクニック ”も必要になります。だからこそ、初心者が取り組むならばスナッチを正しく実践できる人にアドバイスをもらった上でトレーニングを行うことをおすすめします。
まとめ
今回は「スナッチ」を紹介しました。
![](https://toremo.jp/wp/wp-content/uploads/2017/12/toremoblack-1.jpg)
ここだけは押さえておきたい!スナッチのポイント
- 特定の部位だけではなく、全身の筋肉の力を使うこと
- 体勢を安定させること
スナッチは全身の筋肉をバランスよく強化できるトレーニングで、動画の印象よりもはるかに難易度の高いトレーニングになります。
たとえ、「筋トレの経験はあるし、筋力には自信がある!」という方でも油断は禁物です。落下による怪我に十分注意して取り組んでいきましょう。
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