ヒップアブダクションは「足を開く」動作を行うことでお尻の筋肉を鍛えていくトレーニングになります。
お尻の筋トレというとお尻の大部分を占める「大殿筋」がメインのターゲットになることが多いですが、ヒップアブダクションでメインのターゲットとするのは、中殿筋と小殿筋です。
つい大きな大殿筋ばかりを鍛えがちですが、中殿筋や小殿筋もしっかりと鍛えることでより綺麗なヒップラインを作ることができるため、今回は中殿筋や小殿筋に効果的なトレーニング種目「ヒップアブダクション」を紹介します。
ヒップアブダクションで鍛えられる筋肉と効果
ヒップアブダクションはお尻の筋肉を効果的に鍛えていく筋トレです。お尻は「大殿筋」「中殿筋」「小殿筋」の3つの筋肉から構成されますが、メインのターゲットとなるのは中殿筋と小殿筋になります。
中殿筋はお尻の上側についている筋肉です。そして、小殿筋はその下に重なってついています。さらに、中殿筋と小殿筋は働きにほとんど違いがなく、主に「足を横に動かす」「歩く時にバランスを取る」動作で使われています。
中殿筋や小殿筋を鍛える一番のメリットは「ヒップアップ」の効果が期待できることでしょう。大きな大殿筋ばかりに目を向けてしまいがちですが、小さな筋肉である中殿筋や小殿筋もしっかりと鍛えるようにしてください。
ただし、筋トレは大きな筋肉から小さな筋肉へと順に鍛えていくのが基本です。「ヒップスラストでお尻をキュッと上向きにする!やり方を解説」や「ヒップエクステンションで「セクシー」なヒップラインを作る方法」を参考にして、大殿筋のトレーニングにも励みましょう。
ヒップアブダクションの注意点
最初にヒップアブダクションを行う上での注意点を2つお伝えします。ヒップアブダクションの基本になるため、しっかりと押さえておきましょう。
1つ目の注意点は「足を後ろに動かさない」ことです。ヒップアブダクションのメインターゲットである中殿筋や小殿筋が「足を横に動かす」動作に効くのに対して、「足を後ろに動かす」動作で強く関与するのが、お尻の大きな筋肉である大殿筋です。
したがって、足を後ろに動かしてしまうと、中殿筋や小殿筋よりも大殿筋の関与が強くなってしまいやすいため注意しましょう。
2つ目の注意点は「つま先を外や上に向けない」ことです。つま先を外や上に向けてしまうと中殿筋や小殿筋から負荷が逃げやすくなってしまいます。つま先は常に体の正面方向を向くように意識してください。
【自宅編】ヒップアブダクションの種類とトレーニングの手順
ここからはヒップアブダクションのトレーニング方法を「自宅編」と「マシン編」に分けて紹介しますが、まずは「自宅編」から見ていきましょう。
トレーニング名 | 効く部位 |
ライイング・ヒップアブダクション |
|
チューブ・ライイング・ヒップアブダクション | |
チューブ・スタンディング・ヒップアブダクション |
トレーニング難易度を☆の数で5段階評価します。☆の数が多いほど難しいトレーニングです。
ライイング・ヒップアブダクション(☆)
ライイング・ヒップアブダクションは横になった状態で足を上に上げるトレーニングです。
ライイング・ヒップアブダクションのポイントは2つあります。
1つ目は「股が天井に対して真横を向くようにする」ことです。股が天井を向くようにして構えるのはよくある間違いです。股が天井に対して真横を向くような体勢を取りましょう。
2つ目は「足をゆっくりと上げる」ことです。反動を利用して足を上げると、お尻以外の全身の筋肉が使われやすくなってしまいます。お尻の筋肉に負荷がかかっていることを意識しながら、足をゆっくりと上げましょう。
3つ目は「足を真上に上げる」ことです。動画では足をやや斜め方向に上げるようにアドバイスされていますが、こうしてしまうと「足を後ろに動かす」動作に必要な大殿筋の関与が強くなってしまいます。中殿筋や小殿筋に効かせる場合は、足は真上に上げましょう。
4つ目は「トップポジションで1秒間静止する」ことです。足を上げる位置が高くなるほどお尻にかかる負荷が大きくなるため、トップポジションで1秒間静止することでお尻の筋肉を効果的にトレーニングできます。
5つ目は「つま先を正面に向ける」ことです。上でも紹介しましたが、つま先を正面方向に向かせることで中殿筋や小殿筋にしっかりと負荷をかけられます。
- 床に横向きに寝そべり、ヒジで上半身を支えます。
- 上側の足のヒザは伸ばした状態にし、下側の足は軽くヒザを曲げます。
- 上側の足をゆっくりと上に高く持ち上げます。
- 挙げた足をゆっくり下げ、元の状態に戻します。
- 片側が終わったら、反対の足でも同様の動作をします。
◆回数の目安:10回×3セット
チューブ・ライイング・ヒップアブダクション(☆☆)
ライイング・ヒップアブダクションの負荷を大きくしたい場合はチューブを使うとよいでしょう。動画のように足をチューブバンドに通してトレーニングできます。
トレーニングの手順やポイントは通常のライイング・ヒップアブダクションと同様です。
チューブ・スタンディング・ヒップアブダクション(☆☆)
柱などチューブをくくりつけられる場所があれば、立った状態でトレーニングを行うこともできます。
チューブ・スタンディング・ヒップアブダクションのポイントは3つあります。
1つ目は「足を真横に上げる」ことです。上でも説明しましたが、足を後ろに動かしてしまうと、大殿筋の関与が強くなってしまうため、中殿筋や小殿筋にしっかりと効かせるためには足を真横に上げましょう。
2つ目は「上半身をしっかりと固定する」ことです。上半身が不安定になり、前後左右に動いてしまうと、反動がつきやすくなります。メインターゲット以外の筋肉の関与をなるべく抑えるために、上半身はなるべく動かさないようにしましょう。
3つ目は「お尻の位置を固定する」ことです。足と一緒にお尻が上がってしまうと、足の筋肉の関与が強くなりやすいため、お尻はなるべく動かさないようにしましょう。
- チューブをくくりつけた柱の横に立ちます。柱とは隣り合っていない方の足首にチューブを巻きます。
- まっすぐ立ちましょう。これがスタートポジションです。
- 足を体の外側に向かって開きます。
- スタートポジションに戻りましょう。この動作を繰り返します。
◆回数の目安:10回×3セット
【マシン編】ヒップアブダクションの種類とマシンの使い方
ここからはジムにあるマシンを使うヒップアブダクションのトレーニング方法を紹介します。
トレーニング名 | 効く部位 |
ケーブル・ヒップアブダクション |
|
マシン・ヒップアブダクション |
ケーブル・ヒップアブダクション(☆☆☆)
まずはケーブルマシンを使うトレーニング方法です。
トレーニングのポイントはチューブ・スタンディング・ヒップアブダクションと同じですが、ケーブルマシンを使う場合はマシンの柱を掴むことで体勢を安定させるとよいでしょう。
動画では柱をギュッと掴んでいますが、あまりにも強い力で柱を掴んでしまうと、余計な力が働きやすくなってしまいます。できるだけそっと触れるくらいの力で掴むようにしてください。
- マシンに対して横向きに立ち、ケーブルを反対側の足につける。
- マシンの柱に触れ、バランスを保ちます。
- マシンとは反対側の足をゆっくり開きます。
- ある程度開いたら、元の位置まで足を戻します。
- 反対側の足も同様の動作をします。
◆回数の目安:10回×3セット
マシン・アブダクション(☆☆☆)
最後に「アブダクションマシン」を使ったやり方を紹介します。アブダクションマシンを使うメリットとしては「両足を同時にトレーニングできるため効率が良い」ことと、「マシンにガイドされることで中殿筋に的確に効かせやすい」ことが挙げられます。
マシントレーニングと言うと、「上級者向けのトレーニング」と思われる方も多いかもしれませんが、それは誤解です。マシンは使い方さえ間違えなければ、正しいフォームを自然と保てるような設計になっているため、フォームが乱れやすい初心者にこそおすすめです。
※動画の初めから1:16秒までが「ヒップアブダクション」の説明です。1:17秒以降は別種目ヒップアダクションの説明になります。
マシン・アブダクションのポイントは「足を閉じる時にウエイトを最後まで下げきらない」ことです。ウエイトが完全に下り切ってしまうと、その瞬間負荷の大きさがゼロになってしまいます。筋肉の緊張状態を保つために、ウエイトが下がり切る手前で動作を止めましょう。
- マシンに座り、両方の太ももをパッドで挟みます。
- 足を開きます。
- ゆっくりと足を閉じます。
- 同様の動作を繰り返します。
◆回数の目安:10回×3セット
まとめ
今回は「ヒップアブダクション」を紹介しました。
ここだけは押さえておきたい!ヒップアブダクションのポイント
- メインのターゲットは中殿筋と小殿筋
- 足を体の外側に開く動作が特徴
- 足は真横に伸ばすこと
- つま先は正面方向に向けること
ヒップアブダクションは「ヒップアップ」に効果的なトレーニングです。そこでもっとも重要なことは「正しいフォームを身に付けること」です。
筋トレの効果を高めるうえで「回数よりもフォームが大事」というのは、ヒップアブダクションに限らず筋トレ全般においていえることです。
「筋トレの効果が思うように出ない」という方はフォームが誤っている可能性があります。今回紹介した、動画や図をもとに正しいヒップアブダクションに修正をしていきましょう。
コメント