「デッドリフト」はパワーリフティングの種目の1つで、床に置かれたバーベルを直立姿勢になるまで持ち上げるトレーニングです。
スクワット、ベンチプレストと共に「筋トレBIG3」と呼ばれており、デッドリフトだけで背中から下半身にかけての多くの筋肉を鍛えることができます。
かなり重い負荷をかけて行なうトレーニングのため、自宅ではなくジムのフリーウェイトコーナーで行なうのが一般的です。この記事ではデッドリフトにはどんな種類や効果があるのかを詳しく紹介します。
デッドリフトで鍛えられる筋肉部位と効果
デッドリフトの最大のメリットは、一度に多くの筋肉を鍛えられること。ここではメインターゲットとなる筋肉部位を4つ紹介します。
ハムストリング
1つ目はハムストリングです。
ハムストリングは、下半身の中でも特に強靭な筋肉で、「大腿二頭筋」「半膜様筋」「半腱様筋」の3つから成る太もも裏に位置する筋肉です。主に股関節を補助する役割があり、つま先を内側・外側に向ける動き(股関節の内外旋)に関わります。
ハムストリングを鍛えることで、太もも全体を引き締められます。
大殿筋(だいでんきん)
2つ目は大殿筋です。
大殿筋はお尻を覆っている筋肉で、人体を構成する単一の筋肉としては最大の体積を誇ります。
主に「足を後ろに伸ばす」「股関節を外側に開く」動作に使われ、日常においては「椅子から立ち上がる」ときや「地面を蹴って走り出す」瞬間において使われます。
大殿筋はヒップアップに欠かせない筋肉です。
大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
3つ目は大腿四頭筋です。
大腿四頭筋は太ももの前側にある筋肉で、複合筋の中では最も体積の大きな筋肉となります。
主に「ヒザを伸ばす」動作に使われており、日常生活においても走ったり、歩いたり、ジャンプしたりと様々な場面で活躍しています。
大腿四頭筋は大きな筋肉であるため、鍛え上げれば「たくましい太もも」を作れます。
広背筋(こうはいきん)
4つ目は広背筋です。
広背筋は背骨・骨盤後部から、上腕骨まで広がった大きな三角形の筋肉です。主に肩関節を動かす役割を担い、普段歩くときに腕を前後に振るのはこの広背筋の働きです。
広背筋は「背中を広くする」上で重要な筋肉であり、多くの男性が憧れる「逆三角形ボディ」を作るためには必ず鍛えておきたい筋肉になります。
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
5つ目は脊柱起立筋です。
脊柱起立筋は背骨に沿って走行している縦に長い筋肉です。
主に姿勢をキープする役割を担っていますが、その他「呼吸をサポートする」「背中を反らす」「体を横に曲げる」などの働きもあります。
脊柱起立筋は体の土台となる筋肉であることから、鍛えることで姿勢がよくなり、さまざまな筋トレの効率が高まることでしょう。
デッドリフトの種類
ここからは3種類のデッドリフトの実践方法を紹介します。
種類 | メインで効く筋肉部位 |
ダンベルデッドリフト | 脊柱起立筋・ハムストリング・大殿筋 |
ルーマニアンデッドリフト | ハムストリング・大殿筋 |
スモウデッドリフト | 広背筋・脊柱起立筋・大腿四頭筋 |
デフィシットデッドリフト | 大腿四頭筋 |
デッドリフトに限らず筋トレはフォームしだいで効果が大きく増減します。正しいフォームで実践してこそ、狙った筋肉を鍛えることができます。回数をこなすよりも、まずはフォームにこだわってみましょう。
なお、各種デッドリフトの難易度を☆の数で評価しています。☆が多くなるほど難易度が高いトレーニングとなりますので、トレーニングの際の目安にしてください。
ダンベルデッドリフト(☆☆)
ダンベルデッドリフトは両手に持ったダンベルを持ち上げるトレーニングです。
ダンベルデッドリフトのポイントは「腕を動かさない」ことです。
腕は動かさず固定しましょう。腕に力が入ったり、動かしたりしてしまうと腕に負荷が行ってしまい背中への効果が薄れてしまいます。背中の力で起き上がることで、ダンベルを持ち上げるよう意識しましょう。
ケガを防ぐために気を付けて欲しい2つのポイント
- 1つ目は「背中を反らす」こと。
背中が丸くなると、腰を痛めやすくなります。胸を張って、目線は前を向くよう意識しましょう。疲れが出ると丸くなりやすいため、トレーニング終盤は特に要注意です。
- 2つ目は「ダンベルは脚に沿わせる」こと。
ウエイトを上げる際も下ろす際も足に沿わせるようにしましょう。足から離してしまうと腰に負担がいき、痛める原因になります。足に接してしまっては負荷が抜けるため、ギリギリの距離を保ちましょう。
この2つのポイントはデッドリフト全般に共通することのため、覚えておきましょう。
- 足を肩幅より少し広く開き、ダンベルを持ちます。
- 背中を反らしながら、お尻を突き出すように前傾していきます。
- 床につくすれすれで引き上げます。
◆回数の目安:8~12回×3セット
ルーマニアンデッドリフト(☆☆)
ルーマニアンデッドリフトはヒザを軽く曲げた状態で、床と上半身が直角になっている体勢からバーベルを上げ下げするトレーニングです。
ルーマニアンデッドリフトのポイントは2つあります。
1つ目は「腰を曲げるときに股関節を意識する」こと。
できるだけお尻を斜め後ろに突き出し、股関節を伸ばすイメージで腰を曲げてください。そうすることで、しっかりと「大臀筋」や「脊柱起立筋」を鍛えることができます。
2つ目は「バーベルを持ち上げたときに背筋を伸ばして維持する」こと。
胸をしっかりと張り背筋を伸ばした姿勢を維持することで、腰への負担を減らすことができます。その分、ハムストリングへの負荷を高めることにもなります。
- 背筋を伸ばし、足を腰幅以下に開いてバーベルの前に立ちます。
- そのまま上体を前傾させ、肩幅程度でバーベルを握ります。
- 股関節が伸びるのを意識しながら、バーを身体に沿わせるようにしてバーベルを持ち上げましょう。
- お尻をできるだけ突き出し、若干ヒザを曲げて、上体が床と平行になるまでバーベルを下ろします。ここから、バーベルの上げ下げを繰り返しましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
スモウデットリフト(☆☆☆)
スモウデッドリフトでは力士が四股を踏むときのように足幅を広くとってトレーンニングします。
スモウデットリフトのポイントは「反動を利用しない」こと。
スモウデットリフトは両足を幅広く構えるため、他のデッドリフトに比べてバーベルを持ち上げにくく、つい反動の力に頼ってしまいがちです。
しかし、持ち上げる際に反動を利用してしまっては効果が半減してしまったり、怪我の原因になることも考えられます。スモウデッドリフトを行う場合は他のデッドリフトよりもウエイトの重量を軽めに設定しておくのがおすすめです。
- 相撲の四股を踏むイメージで両足を肩幅の2倍ほどに開き、バーベルの前に立ちます。
- つま先を外側に向けます。
- ヒザを曲げて腰を落とし、肩幅程度に開いた手でバーベルを握ります。
- 背筋を伸ばしたまま、立った状態になるまでバーベルを持ち上げます。
- ゆっくりとバーベルを下ろしましょう。ここから、バーベルの上げ下げを繰り返します。
◆回数の目安:50kgの重量で10回×3セット
デフィシットデッドリフト(☆☆☆☆)
デフィシットデッドリフトは薄い板やバーベルのプレートの上に乗っかって行うデッドリフトです。板の上に乗っかる分、通常のデッドリフトよりもバーベルを持ち上げる距離が伸びるため、より大きな負荷がかかるのが特徴です。
デフィシットデッドリフトのポイントは「軽めの重量で行なう」こと。
デフィシットデッドリフトはバーベルを持ち上げる距離が伸び、大きな力が必要となるため、通常のデッドリフトよりも軽めの重量で始めることがポイントです。
- プレートや箱を用意し、その上に立ちます。
- ノーマルデッドリフト同様、肩幅より少し広めにバーベルを握ります。
- 背筋を伸ばしたまま、上体を起こしていきます。
- 背中の反りを維持したまま、ゆっくりとバーベルを下ろします。ここから、バーベルの上げ下げを繰り返しましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
デッドリフトに役立つサポートアイテム
デッドリフトは高重量でトレーニングをすることが多いため、体への負担が高くなります。そのため、デッドリフトの際は、体を補助するサポートアイテムを取り入れ、怪我を予防することが大切です。
さらに、サポートアイテムを使うと、より重い重量でデットリフトができます。
ここからは、デッドリフトの際に役立つサポートアイテムを紹介します。
デッドリフトに役立つアイテム1.トレーニングベルト
デッドリフトは腰への負担が大きく、怪我をしやすいトレーニング種目です。そのため高重量でデッドリフトをする場合は、トレーニングベルトで腰を補助し、怪我を予防することをおすすめします。
トレーニングベルトを着用すると腹圧が上がり、体幹を固めることができます。体幹を固めることで、腰を補助することができ、怪我の可能性が下がります。
体幹を固めると力も出しやすくなり、より重い重量でデッドリフトも可能です。トレーニング効率を上げるためにも、トレーニングベルトはおすすめです。
デッドリフトに役立つアイテム2.リストストラップ
デッドリフトでは高重量を持ち上げるため、握力がなくなり、背中の筋肉を十分に追い込めない場合があります。リストストラップを用いて握力を補助することで、握力がなくなることを防ぎ、より質の高いトレーニングができます。
リストストラップは安価で手に入るものが多く、デッドリフト以外にもラットプルダウンなど、多くの筋トレ種目の補助として利用できるため、用意しておくことをおすすめします。
まとめ
今回は「デッドリフト」を紹介しました。
ここだけは押さえておきたい!デッドリフトのポイント
- 全身の筋肉をバランスよく鍛えられる!
- 自分に合った重量で行うこと
※注意
デッドリフトは筋トレの中でも特に負荷が大きく、難易度の高い種目です。ジムなどで重い重量を上げている人を見ると、憧れから真似をしたくなるかもしれませんが、自分の筋力に見合わない重量を持ち上げるのは大変危険であるため、控えましょう。
重いバーベルを持ち上げるデッドリフトでは意図せぬ筋肉の力も働きやすく、狙った筋肉を的確に鍛えるためには正しいフォームを維持することが重要です。
筋トレの効果を高めるうえで「回数よりもフォームが大事」というのは、デッドリフトに限らず筋トレ全般においていえることです。
「筋トレの効果が思うように出ない」という方はフォームが誤っている可能性があります。今回紹介した、動画や図をもとに正しいデッドリフトに修正をしていきましょう。
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