ヒップスラストは仰向けの姿勢で腰を上げ下げするトレーニングで、お尻の筋肉・大殿筋を集中的に鍛えることができ、ヒップアップにとても効果的です。
しかし、「ヒップスラストをしたら腰痛になった」というケースがよくありますが、そもそもヒップスラストは腰を使うトレーニングではありませんので、腰が痛くなる場合はフォームやウエイトの重量が適切ではない可能性が高いでしょう。
今回は、ヒップアップしたいなら知っておきたい正しいヒップスラストのやり方を解説します。
ヒップスラストで鍛えられる筋肉と効果
ヒップスラストはその名の通り「お尻」の筋肉を鍛えるトレーニングで、お尻の筋肉の中で一番大きな「大殿筋(だいでんきん)」がメインのターゲットです。
大殿筋はお尻の膨らみを作っている筋肉です。お尻全体を支えている筋肉のため、ヒップアップには大殿筋のトレーニングが欠かせません。
大殿筋は日常生活ではハムストリングと共に「太ももを後方に動かす」働きをしていますが、ヒップスラストにおける大殿筋の働きは「重力に対抗してお尻を持ち上げる」ことにあります。
ヒップスラストをして腰が痛くなってしまうのは大殿筋を上手く使えていないからでしょう。大殿筋をしっかりと活用してお尻を持ち上げることで、腰回りに負担が偏ってしまうのを防げます。
また、ヒップスラストにおいては大殿筋以外にも、腹筋や太ももの裏側の筋肉・ハムストリングに負荷がかかることがありますが、あくまでも「補助として使われる筋肉」というスタンスでよいでしょう。
【自重編】ヒップスラストの種類
ここからはヒップスラストのトレーニング方法を、家でも簡単にできる「自重トレーニング」と、バーベルやダンベルなどの「器具を使うトレーニング」の2つに分けて紹介します。
まずは「自重編」からみていきましょう。
ヒップスラストの種類 | 効く部位 |
シングルレッグヒップスラスト | 大殿筋 |
なお、トレーニング名の横に記載されている☆はトレーニングの難易度を示しており、☆の数が増えるほど難易度が高くなります。
シングルレッグヒップスラスト(☆☆)
シングルレッグヒップスラストは片足を上げた状態でお尻を上げ下げするトレーニングです。
シングルレッグヒップスラストのポイントは「しっかりとお尻を持ち上げる」こと。
大殿筋はお尻を持ち上げるときに使われるため、しっかりとお尻を上げるようにしましょう。
- 床に仰向けに寝転がり、膝を90度くらいに曲げます。
- 両手は手のひらを下にして伸ばしておきます。
- 片足をまっすぐ上げて、ゆっくりとお尻を締めながら持ち上げます。
- 肩からお尻が一直線になった状態で1~2秒間静止します。
- お尻が床に付いてしまわないように、ゆっくりとお尻を下げていきます。
◆回数の目安:左右10回×3セット
【器具編】ヒップスラストの種類と鍛えられる筋肉(ジム編)
次に器具を使っておこなうヒップスラストを紹介します。
種類 | 効く部位 |
バランスボールヒップスラスト | 大殿筋 |
ダンベルヒップスラスト | |
バーベルヒップスラスト |
バランスボールヒップスラスト(☆☆☆)
バランスボールヒップスラストのポイントは「体勢を安定させる」こと。
足が床から離れたり、バランスボールが転がったりすると、体勢が安定せず、お尻から負荷が逃げてしまうため、注意ください。
ただし、最初はボールの上でバランスを取るのが難しいかもしれません。転倒すると危険なため、バランスが取りにくい場合は無理にトレーニングしないようにしましょう。
- バランスボールの上に背中の上半分を乗せて、仰向けになります。
- その状態でお尻を上げ下げしましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
ダンベルヒップスラスト(☆☆☆)
ダンベルヒップスラストはダンベルを骨盤の上あたりに乗せてお尻を上げるトレーニングです。
ダンベルヒップスラストのポイントは2つあります。
1つ目のポイントは「足の筋肉の力に頼らない」こと。
お尻ではなく足に負荷が逃げてしまうのはよくある間違いです。足の裏をしっかりと床につけてお尻の筋肉を総動員させてください。
また、肛門に力を入れようにしてお尻を上げるとお尻の筋肉を効果的に使えます。
2つ目のポイントは「お尻を限界まで持ち上げる」こと。
ヒップスラストではお尻を持ち上げたときに最も負荷がかかりますので、お尻をしっかりと上げましょう。
- ベンチの前に座り、肩甲骨がベンチに当たるように位置を調節します。
- 足は肩幅に開き、膝は90度になるように座ります。
- ダンベルを持つ前に、肩甲骨から上をベンチに乗せて、胴体が床と平行になるように構えましょう。
- 3の状態のまま、床に置いたダンベルを持ち上げて、左右それぞれの太ももの付け根辺りにダンベルをセットします。
- ゆっくりとお尻を下げます。
- ゆっくりとお尻を締めながら、胴体と床が平行になる姿勢まで戻します。
◆回数の目安:10回を3セット
バーベルヒップスラスト(☆☆☆☆)
バーベルヒップスラストはバーベルを骨盤の上あたりに乗せてお尻を上げるトレーニングです。
バーベルヒップスラストのポイントは2つあります。
1つ目のポイントは「股関節の動きを意識する」こと。
上で述べたようにヒップスラストに対して「腰への負担が大きそう」というイメージを持っている方は多いかもしれませんが、腰が痛くなる場合はフォームが間違っている可能性が高いでしょう。
ヒップスラストはそもそも腰の力でウエイトを上げ下げするのではなく、股関節を動かしてお尻を上げ下げするトレーニングです。ヒップスラストの動きの中心は股関節やお尻の筋肉にあることをしっかりと意識してください。
2つ目のポイントは「骨盤部の保護パッドを使用する」こと。
バーベルと接する部分に大きな負荷がかかりやすいため、怪我を防ぐためにも専用のパッドを利用して骨盤部を保護することをおすすめします。
- ベンチの前に膝を立てて座り、軽くもたれた時にちょうど肩甲骨がベンチに当たるように位置を調節します。
- 肩幅ほどに開いた足を90度になるように構えましょう。
- ウエイトを調整したバーベルを、股関節の上、ちょうど太ももの付け根辺りに乗せ、両手を軽く添えます。
- お尻を締めるイメージで、ゆっくりとバーベルを持ち上げます。
- 胴体が床と平行になる高さまでしっかり上げたところで、1~2秒間静止します。
- ゆっくりと元の姿勢に戻します。
◆回数の目安:10回×3セット
ヒップスラストの注意点
数種類のヒップスラストを紹介しましたが、全てのヒップスラストに共通する注意点が2つあります。
1つ目は「お腹に力を入れる」こと。
お腹を引き込むように力を入れると、体幹を固定されます。そのため、力が出しやすくなり、より効果の高いトレーニングができます。さらに、体幹を固定すると、腰痛予防にも繋がるため、ヒップスラストの際はお腹に力を入れることを意識してください。
2つ目は「脚の筋肉の力をに頼らない」こと。
こちらは既に、ダンベルヒップスラストの説明でも述べましたが、全てのヒップスラストで注意する点です。
脚の筋肉に頼っては、うまくお尻の筋肉は使えません。ヒップスラストの際は、お尻を締めることでお尻を上げるよう意識してください。
まとめ
今回はお尻の筋トレに効果的なヒップスラストを紹介しました。
これだけは押さえておきたい!ヒップスラストのポイント
- お尻の筋肉を意識すること
ヒップスラストではお尻の筋肉に加えて腹筋や足の筋肉も使いますが、それらの筋肉ばかりに頼ってしまうと、お尻の筋肉が鍛えられません。お尻の筋肉が使われているかしっかりと確認してください。
また、「腰に負荷がかかっている」という場合は「フォームが崩れていないか」「ウエイトの重量が重すぎていないか」というところに立ち返ってみましょう。「ちょうどよいウエイトの重量」は人によって異なりますので、自分に最適なトレーニング方法を見つけていきましょう。
ヒップスラストはヒップアップに効果的なトレーニングです。しかし、キュッと上がったお尻を作るためには大殿筋だけではなく、太ももや大殿筋以外のお尻の筋肉もあわせて鍛える必要があります。
さらに、全身のスタイルアップを目指して美しいプロポーションを追求するのであれば、ヒップアップだけではなく「くびれ」を作ったり、「二の腕」を引き締めたりといったことも必要でしょう。
全身のバランスを整えてよりキレイな体を作りたいという方はこれをきっかけに、さまざまなトレーニングを取り入れていきましょう。
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