スクワットは普段の日常生活でよく行う、「足を屈伸させる動き」にフォーカスしたトレーニングです。
スクワットの動きには下半身の多くの筋肉が動員されるため、下半身全体をバランスよく鍛えるのに向いています。また、下半身には人体の3分の2にあたる筋肉があると言われているため、スクワットで下半身を強化すれば、それだけ多くの筋肉の筋力向上や基礎代謝の向上といった効果が期待できます。
しかしながら、「正しいフォームを維持するのが非常に難しい」というところがスクワットの特徴であり、難点の1つです。
誰もが経験したことのあるであろうスクワットですが、実は立ったりしゃがんだりするだけの単純なトレーニングではありません。適切なフォームで正しく行わなければ、鍛えたい部位に上手く刺激がいかず効果が薄くなってしまいます。それだけでなく、トレーニングの中で腰やヒザなどを痛める原因にもなってしまいます。
そこで今回は、スクワットの効果を十分に引き出す正しいやり方やフォームを紹介します。
スクワットで鍛えられる3つの筋肉とその効果
スクワットは太ももにある2つの筋群と1つのお尻の筋肉をメインに鍛えることができるトレーニングです。
大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
大腿四頭筋は太もも前面に広がる大きな筋肉群です。大腿四頭筋という名の通り4つの筋肉で構成されています。
大腿四頭筋は「ヒザを伸ばす」動きに主に用いられ、普段の生活の中では「ヒザを伸ばしてジャンプする」「歩く」などの動作に使われます。
大腿四頭筋は人体で最も体積の大きな筋肉で、太もも前面という目立ちやすい位置にあるため筋トレの効果を実感しやすくなっています。
ハムストリング
ハムストリングは太もも裏側の筋肉群です。
大腿四頭筋とは反対に、主に「ヒザを曲げる」際に用いられる筋肉です。日常生活においては「走る」「歩く」など様々な動作で使われています。
このハムストリングは急激な運動によって肉離れを起こしやすい筋肉としても有名です。普段から意識的に筋トレをして鍛えたり、ストレッチをして柔軟性を高めることで予防しましょう。
大殿筋(だいでんきん)
大殿筋はお尻を覆う筋肉で、椅子に座った時に接地する部分です。股関節の動きに関わっているため、脚を動かすのに必要不可欠な筋肉です。
普段の生活では「椅子から立ち上がる」「ジャンプする」「歩く」「走る」などの様々な動作において活躍しています。
お尻の表面にあるこの大殿筋を鍛えることによって、お尻全体が持ち上げられヒップアップ効果が期待できます。
スクワットの基本動作
一口にスクワットと言っても、実は基本的なスクワット以外にもフォームの異なる数多くの「派生型」が存在します。ここから様々なフォームのスクワットを紹介していきますが、まずは基本となるスクワットフォームをマスターしましょう。基本を押さえておけば、派生型にも活かせます。
- 足を開きます。
- ゆっくり腰を落としていきます。
- ヒザを伸ばしますが、ヒザは伸ばし切らず軽く曲げておきましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
派生型の多いスクワットですが、それら全てに共通して言えることは「フォーム」が重要だということ。フォームが崩れてしまったり、間違ったフォームのままトレーニングを続けていくと、意図しない筋肉へ負担がかかることとなり、本来の効果は得られません。まずは基本となるスクワットのフォームをマスターし、狙った筋肉を刺激できるようになりましょう。
【自重編】スクワットの種類と鍛えられる筋肉
ここからはスクワットの実践方法を「自重編」と「ジム編」に分けて紹介していきます。まずは「自重編」から見ていきましょう。
なお、トレーニングの難易度は☆の多さで示しています。5段階評価で、☆の数が多くなるほど難易度が上昇します。
種類 | メインで効く部位 |
ウォール・スクワット(☆) | ハムストリング・大殿筋 |
椅子スクワット(☆☆) | 大腿四頭筋・大殿筋 |
片足スクワット(☆☆☆) | 大腿四頭筋・大殿筋・ハムストリング |
ウォール・スクワット(☆)
ウォール・スクワットのポイントは「脚を広げ過ぎない」こと。
腰を落とすときに脚が開き、がに股になるのはヒザが外側を向いているせいです。がに股になってしまうと、ハムストリングや大殿筋を上手く刺激できません。必要以上に脚が開いてしまわないように、ヒザとつま先が前を向くよう意識しましょう。
- 両足を腰幅に開き、つま先は壁にくっつけます。
- 両腕を上に伸ばし、バンザイした状態で壁に両手をつきましょう。
- 背筋をまっすぐ保つため、顔は上へ向けてください。
- お尻を突き出すようにして股関節を曲げ、息を吐きながらゆっくりと腰を下ろします。
- ハムストリングを使っていることを意識しながら、息を吸いつつ静かに元のポジションに戻ります。
◆回数の目安:12回×3セット
椅子スクワット(☆☆)
椅子スクワットのポイントは2つあります。
1つ目のポイントは「椅子の高さ」です。
自分のヒザよりも座面の位置が高い椅子を選ぶようにしてください。椅子の高さはお好みで構わないのですが、ヒザを曲げてしゃがんだ時に、床とヒザが平行になるぐらいの高さがオススメです。
2つ目のポイントは「ゆっくりと腰を下ろす」こと。
椅子に接地するとはいえ、あくまでスクワットなので座るようにストンと腰を下ろすのではなく、ゆっくりと腰を下ろしましょう。
- 椅子の前に立って両足を肩幅に開きます。(浅く腰掛けられる程度に離れた位置です。)
- 足先を外側に15度開きましょう。
- ヒザが足先よりも前に出ないようにし、胸を張り背筋を伸ばしてゆっくりヒザを曲げます。
◆回数の目安:15回×3セット
片足スクワット(☆☆☆)
片足スクワットのポイントは「背中を丸めない」こと。
片足スクワットは両足を前後に大きく広げ、片足ずつ負荷をかけていくことで両足でのスクワットよりも負荷を高めるトレーニング法です。このとき背中が丸まり背筋が伸びていないと後ろ足に重心がかかってしまい、負荷が分散してしまいます。
また、つま先より前にヒザが出ないよう気を付けましょう。両手を胸の位置でクロスさせ、肩甲骨を寄せて胸を張りながら行うとより効果的です。
- 片足を後ろに下げます。
- 前の足に体重をかけます。
- 前足のヒザをゆっくりと90度を目指して曲げます。
◆回数の目安:左右15回~30回×3セット
【ジム編】スクワットの種類と鍛えられる筋肉
自重だけでは負荷が足りなくなってきたら、ジムでマシンや器具を使ってみましょう。ある程度筋肉がついて自重だけでは物足りなく感じてきていても、マシンや器具を使ったより高負荷の筋トレでさらに鍛えることができます。
種類 | 効く部位 |
スミスマシン・スクワット(☆) | 大腿四頭筋・ハムストリング・大殿筋 |
フルスクワット(☆☆☆) | 大腿四頭筋・ハムストリング・大殿筋 |
フロントスクワット(☆☆☆) | 大腿四頭筋 |
スミスマシン・スクワット(☆)
スミスマシン・スクワットのポイントは2つあります。
1つ目のポイントは「足の裏全体に重心をおく」こと。
かかとだけで体重を支えてしまっていると、ヒザを曲げた際つま先が浮いてしまいます。これは重心が後ろに偏っている証拠で、大腿四頭筋へかかる負荷が薄れてしまいます。足の裏全体に体重を分散させるような意識でトレーニングすることが重要です。
2つ目のポイントは「大腿四頭筋を意識する」こと。
大腿四頭筋が使われていなければ、違う筋肉へ負荷がかかっている可能性があります。大腿四頭筋に負荷がかかっているか確認しながらトレーニングしましょう。体の重心バランスを上手くコントロールすることが大事です。
- 足を肩幅に開き、真っすぐ立ちます。
- 背中は胸を張って自然なアーチを描くようなイメージで、バーベルを担ぎましょう。
- 骨盤が前を向いた状態を保ちながら、静かに腰を下ろします。
- ヒザが完全に曲がりきる手前で止め、ゆっくりとヒザを伸ばします。
◆回数の目安:10回×3セット
フルスクワット(☆☆☆)
フルスクワットは太ももだけでなくお尻・腰・腹筋と、たくさんの筋肉が総動員されるため、下半身を中心に全身をバランスよく鍛えられる筋トレと言えます。そんなフルスクワットのポイントは2つです。
1つ目のポイントは「軽い重量から始める」こと。
ウエイトが重すぎるとフォームが乱れ、ヒザや腰などを痛めることとなります。
ケガはもちろんですが、フォームが乱れていては効果が期待できないので、最初は軽めのウエイトで無理のない範囲から始めましょう。自分のできる範囲を見極め、徐々にステップアップしていくことが大切です。いきなり高重量のウエイトで始めるのは危険なので止めましょう。
また、疲れてくるとフォームが乱れがちです。そんなときは無理せず軽いウエイトに切り変えることも必要です。フォームの乱れはケガにもつながるので、その都度フォームチェックをするよう心がけて下さい。
2つ目のポイントは「ヒザと腰を同時に落とす」こと。
ヒザが腰より先行して下りてしまうとヒザ関節にばかり負担が偏り、ヒザを痛める原因になってしまいます。ヒザと腰を同時に落とすためには、「つま先よりも前にヒザを出さない」ことを意識することが重要です。
- 両足を肩幅まで開き、バーベルを肩の上にのせます。
- 胸を張って、背中が自然に反るよう意識しましょう。
- お尻を突き出し、股関節からゆっくり曲げます。このとき体の重心がブレないよう注意しましょう。
◆回数の目安:7回~9回×5セット
フロントスクワット(☆☆☆)
フロントスクワットのポイントは「まっすぐ正面を見たまま、目線を下げない」こと。
目線を下げずに保つことで前かがみにならず、姿勢を保てるため腰への負担を防げます。難易度の高いスクワットなのでまずは軽めのウエイトから始め、段階的に重量を上げるようにしていきましょう。
- バーベルのバーを肩幅の位置で握ります。
- 手首を返して手のひらを天井に向けた状態でバーを持ち上げます。
- ヒザがつま先より前に出ないよう意識し、しっかりと腰を落としていきます。
- 元に戻ります。
◆回数の目安:7~8回×3セット
スクワットは脚幅で効果が変わる
スクワットは脚幅を変えることで、鍛える筋肉を変化できます。
脚幅を肩幅より広くした場合は、内転筋(太ももの内側の筋肉)を鍛えることが可能です。
内ももが気になる方は、脚幅を広めにしてスクワットをするようにしましょう。
また、脚幅を広めると腰への負担が減るため、腰に不安がある方にもおすすめです。
- 関連記事
「【内もも痩せ】内転筋を鍛えて太ももの間に「スキマ」を作る方法」こちらの記事には内もものトレーニングについて紹介されています。
そして、スクワットの脚幅を狭めた場合は、脚の外側と大臀筋を重点的に鍛えられます。ヒップアップのためにスクワットをする場合は、脚幅を狭くしてお尻を突き出すようなスクワットもおすすめです。
まとめ
今回はスクワットを紹介しました。
スクワットは多くの下半身の筋肉を同時に使うため、下半身をバランスよく鍛えられます。
しかし、スクワットの成果を十分に得るためには「正しいフォーム」が必要不可欠で、間違ったフォームではいくら回数をこなしても思ったほど効果は得られません。
また、スクワットにウエイトなど自重以外の負荷を加えることで、更なる筋力アップを図ることも可能です。ガッチリとした筋肉質な下半身を手に入れるためにも、スクワットを再検証し正しい「フォーム」を身に付けましょう。
スクワットは筋トレの中でも比較的始めやすく、男らしい太い太ももを作るのにも、女性らしいしなやかな太ももを作るのにも有効なトレーニングです。だからこそ、正しいフォームで行って、十分な効果を得られるように取り組んでいきましょう。
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