チェストプレスの「チェスト」は「胸」を、「プレス」は「押す」を意味し、つまりチェストプレスは大胸筋(だいきょうきん)の力を使って「押す」動作を行うトレーニングになります。
チェストプレスは自重ではなく専用のマシンを使ってトレーニングするのが一般的です。しかし、チェストプレス用のマシンはどこのジムにも置いてあることが多いため、ジムに行きさえすれば高い確率で実践出来ることでしょう。
さらに、プッシュアップやベンチプレスなど他の大胸筋を鍛えるトレーニングと比べるとチェストプレスは難易度が低いため、大胸筋の筋トレの中では初心者向けの種目です。
このように「チャレンジしやすい」ところがチェストプレスのメリットですが、きちんとポイントを押さえておかなければ効果は期待出来ません。
今回は大胸筋のトレーニングには欠かせないチェストプレスの正しい実践方法を紹介しますので、ジムに行く前にぜひチェックしてみましょう。
チェストプレスで鍛えられる筋肉と効果
チェストプレスで鍛えられのは「大胸筋」です。
大胸筋は左右の胸を覆っている筋肉で、扇のような形をしています。
腕の骨についているため、腕の動きに関与しており、日常生活においては「手を前に出す」「胸の前で物を抱きかかえる」などの動作に使われます。
チェストプレスでは「肩甲骨をしっかり寄せる」ことと「肩をすくめることなく、落としておく」ことで大胸筋を効果的に鍛えることが出来ます。
胸全体に広がっているため、大胸筋を鍛えると厚い胸板を手に入れることが出来ます。
チェストプレスで大胸筋を効果的に鍛えるために知っておきたいこと
チェストプレスでは大胸筋の他に二の腕の「上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)」や前肩の「三角筋(さんかくきん)」が自然と使われやすいものです。したがって、大胸筋を効果的に鍛えるためにはこの2つの筋肉の関与を意識的に抑えることが重要です。
チェストプレスのコツと注意するポイント
ここからはチェストプレスの実践方法を解説していきますが、まずはチェストプレスがどのようなトレーニングなのか理解するために、トレーニング動画を見てみましょう。
これがチェストプレスの基本の動作になります。
以下ではフォームの異なる3種類のチェストプレスを紹介しますが、全ての種類に共通する注意すべきポイントがあるため、最初にお伝えします。
1つ目は「肩甲骨を寄せて胸を張る」こと。肩が前に出ている状態でチェストプレスを行うと三角筋前部に負荷が逃げてしまいます。大胸筋を集中的に鍛えるため、肩甲骨を寄せて胸を張るように意識してください。
2つ目は「肩をすくめないこと」肩甲骨を寄せていても、体に力が入りすぎ、肩がすくむ人は多くいます。肩がすくむと大胸筋に正しい負荷を与えられません。正しいチェストプレスをするには、肩甲骨を寄せて肩を落とすようにしましょう。
3つ目は「動作をゆっくりにする」こと。チェストプレスでは大胸筋に負荷を与えるため、ゆっくり動作を行います。目安としては、押す動作に2秒かけて、戻す動作に4秒かけてください。
これらはどんな種類のチェストプレスにも共通して言えるポイントです。
また、チェストプレスをする際はトレーニングの前にウエイトの重量を設定する必要があります。筋トレにおいて重量の設定は、かかる負荷の大きさやフォームに関わる重要事項のため、ジムのトレーナーやパーソナルトレーナーに相談の上、重量を設定しましょう。
チェストプレスの種類と鍛えられる筋肉
以下では3種類のチェストプレスを紹介しますが、チェストプレスはバーを押し出す方向によって種類が異なり、大胸筋のどこに効くか変わります。
種類 | バーを押す方向 | 効く部位 |
チェストプレス | 前方向にまっすぐ | 大胸筋中部 |
インクラインチェストプレス | 斜め上方向へ | 大胸筋上部 |
デクラインチェストプレス | 斜め下方向へ | 大胸筋下部 |
なお、トレーニングの難易度を☆の数で5段階評価します。☆の数が多いほどトレーニングの難易度は上がります。
チェストプレス(☆☆)
チェストプレスはバーをまっすぐ前に押し出し、大胸筋中部を効果的に鍛えます。
上で紹介したチェストプレス全体に共通する2つのポイントに加えて、チェストプレスならではのポイントが2つあります。
1つ目は「座席の高さは、ハンドルが胸の位置にくるように調節する」こと。この高さが自然な軌道でバーを前に押し出すための目安になります。
2つ目は「肩を常に座席にくっつける」です。肩が座席から離れてしまうと、三角筋に負荷が逃げてしまうため、肩を座席から離さないように注意してください。
- ハンドルが胸の位置に来るように座席の高さを調整します。
- 足元のバーを足で押してハンドルを前に出します。
- 肩甲骨を寄せて肩を落とします。
- 息を大きく吸い込みます。
- ゆっくりハンドルを戻します。
- 息を吐きながらハンドルを前に押し出します。
- これを繰り返します。
◆回数の目安:10〜15回
インクラインチェストプレス(☆☆)
インクラインチェストプレスはバーを斜め上方向に押し上げるトレーニングで、大胸筋の上部を刺激します。
インクラインチェストプレスのポイントは「座席の奥深くに座る」こと。
座席に浅く座ってしまうと、三角筋に効いてしまいます。バーを押し上げるときも座席からお尻を浮かさないように姿勢をキープしてください。
- マシンに深く座ります。
- ハンドルを握ります。
- 肩甲骨を寄せて胸を張り、肩を落とします。
- 息を大きく吸い込みます。
- 息を吐きながらハンドルを押し出します。
- 息をゆっくり吸いながら元に戻します。
- これを繰り返します。
◆回数の目安:10〜15回
デクラインチェストプレス(☆☆)
デクラインチェストプレスは斜め下方向に向かってバーを押し下げるトレーニングで、大胸筋の下部を鍛えるのにおすすめです。
ただし、以下で紹介する動画はデクラインチェストプレス用のマシンではなく、ケーブルマシンを使ったデクラインチェストプレスになります。
デクラインチェストプレスならではのポイントは「腕を引くときに反動の力に頼らない」こと。大胸筋の下部は、「両ヒジを斜め上方向に引き上げる」動作で使われます。
大胸筋の下部を効果的に鍛えるために腕を引く動作を丁寧におこなってください。
- チェストプレスマシンに座ります。
- ハンドルを握り、お尻を浮かせて体を真っ直ぐにします。
- 肩を落とし、肩甲骨を寄せて胸を張ります。
- 息を大きく吸い込みます。
- 息を吐きながら脇を閉じるように腕を前方下に押し出します。
- 息をゆっくり吸いながら元に戻します。
- これを繰り返します。
◆回数の目安:10〜15回
まとめ
今回は「チェストプレス」を紹介しました。
これだけは押さえておきたい!チェストプレスのポイント
- 肩甲骨を寄せて胸を張ること
- 大胸筋に負荷がかかっていることを意識すること
チェストプレスは大胸筋を効果的に鍛えるために欠かせない種目の一つです。チェストプレスマシンは初心者でも扱いやすいので、積極的に取り入れていきましょう。
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