ダンベルフライはダンベルを使って主に大胸筋を鍛えるトレーニングです。
ダンベルフライの基本動作「腕を胸の前で開いて閉じる」動きは一見単純そうに見えますが、実はベンチの傾斜や腕の動かし方によって効果のある部位が異なってくるため、簡単なトレーニングではありません。
また、ダンベルフライを行う上でよくある間違いの1つに「フォームが崩れて肩の筋肉・三角筋前部に効いてしまう」ということがあります。
このように、ダンベルフライをする上では「正しいフォーム」を押さえられているかどうかが、トレーニングの効果を大きく左右しますので、今回はダンベルフライのトレーニング方法と効果を高めるポイントを紹介します。
ダンベルフライで鍛えられる筋肉と効果
トレーニング方法の前にダンベルフライでメインのターゲットとなる「大胸筋(だいきょうきん)」について知っておく必要があります。
まずは大胸筋の位置を確かめてみましょう。
大胸筋の位置を確かめる方法
- 片手を胸に当てます。
- 反対の手で水泳の平泳ぎの手の動きをします。
このときピクピク動いているのが大胸筋です。
大胸筋は全身を構成する単体の筋肉の中で3番目に体積の大きな筋肉です。そのため、鎖骨あたりにある上部と胸骨のあたりにある中部、腹直筋のあたりにある下部とでそれぞれ働きが異なり、場所ごとにトレーニング方法を変えて鍛え分ける必要があります。
大胸筋を鍛えるポイント
- 上部:大胸筋を斜め上方向に収縮させる。
- 中部:大胸筋を体に対して垂直に収縮させる。
- 下部:大胸筋を斜め下方向に収縮させる。
ダンベルフライの基本のやり方とポイント
では、ここからダンベルフライの実践方法をみていきます。
ダンベルフライにはいくつか種類がありますが、まずはダンベルプレスの基本型を押さえましょう。さらに、ダンベルプレスをする上で必ず知っておきたいトレーニングのポイントも解説します。
ダンベルフライ(☆☆)の基本の動作
ダンベルフライはベンチの上に仰向けで寝た状態で、ダンベルを上げて腕を横方向に開閉するトレーニングです。文字だけでの説明では分かりづらため、まずは実際に動画を見て「ダンベルフライ」の動作を確認してください。
- ダンベルを持ってベンチ台に寝転がります。
- ダンベルを真上に上げて手のひらを合わせるように持ちます。
- 肩を落とし、肩甲骨を寄せて胸を張ります。
- 息を大きく吸い込みます。
- 腕を開いてダンベルをゆっくり降ろします。
- 息をゆっくり吐きながらダンベルを円を描くように上げます。
- これを繰り返します。
◆回数の目安:10〜15回
これがダンベルフライの基本の動きになりますが、動作のイメージは出来たでしょうか?
ちなみにこの記事では基本型も含めて3種類のダンベルフライを紹介しますが、それぞれを分けるのは「ベンチの傾斜」になります。動画を見るとわかるように、ベンチに角度をつけず、フラットに寝かせた状態で行うのが基本型です。
また、ベンチの傾斜によって大胸筋の上部・中部・下部のどこに効くか変わってきますが、ダンベルフライ(基本型)でメインターゲットとなるのは「大胸筋中部」です。
ダンベルフライの5つのポイント
ダンベルフライの基本の動作がイメージ出来たところで、次はダンベルフライのポイントを見ていきましょう。
ダンベルフライのポイントは4つあります。
1つ目のポイントは「肩甲骨をしっかり寄せて胸を張る」こと。
肩が前に出ている状態でダンベルフライを行うと三角筋前部に負荷が逃げてしまいます。しっかり肩甲骨を寄せて胸を張ることで肩が前に出づらくなり、大胸筋のみに負荷がかけやすくなります。
2つ目のポイントは「ダンベル同士をぶつけない」こと。
ダンベル同士がぶつかるところまで上げてしまうと、肩が前に出てしまうため、三角筋前部に負荷が逃げてしまいます。
腕が垂直になる位置まで上げたらストップしましょう。動画ではダンベルが大きすぎてぶつかっていますが基本的にはぶつけないように注意してください。
3つ目のポイントは「円を描くようにダンベルを上げる」こと。
ダンベルを直線的に(まっすぐ上に突き上げるように)上げるのではなく、少しヒジを曲げて両手で円を描くようにダンベルを上げることが、大胸筋を効果的に鍛えるポイントです。回数を重ねて疲れてくると、ダンベルを直線的に上げてしまいがちなので、その場合はトレーニングの回数やダンベルの重量を調節しましょう。
4つ目のポイントは「ヒジの角度を固定する」こと。
ヒジの角度が定まらずに、ヒジが曲がったり伸びたりしてしまうと上腕二頭筋に負荷が逃げるため、ヒジの角度は変えずに、肩から動かすようにしてください。
5つ目のポイントは「胸筋を収縮させてダンベルを上げる」こと。
ダンベルを上げる際は「胸筋を収縮させる→ダンベルが上がる」という意識をもってください。つまり、腕からダンベルを上げるのではなく、体の中心(胸筋)からダンベルを上げる意識をもつということです。
腕でダンベルを上げる意識をもつと、胸筋が使われにくくなります。ダンベルフライでは、胸筋を使ってダンベルを上げていることを強く意識してください。
以上5つのポイントは以下で紹介する派生型のダンベルプレスにも当てはまるため、しっかりと押さえておきましょう。
ダンベルフライの種類
ここからはダンベルフライの派生型を紹介していきます。
種類 | ベンチの傾斜 | 効く部位 |
インクラインダンベルフライ | 頭の位置が高くなっている | 大胸筋上部 |
デクラインダンベルフライ | 頭の位置が低くなっている | 大胸筋下部 |
なお、トレーニング名の横に記載してある☆はトレーニングの難易度を示します。5段階評価で、☆数が多いほど、トレーニングの難易度が高くなります。
インクラインダンベルフライ(☆☆☆)
インクラインダンベルフライは頭の位置を高く出来るベンチ・インクラインベンチを使います。
インクラインダンベルフライのポイントは「ベンチの角度を30〜45度にする」こと。
角度が高すぎると三角筋前部に効きやすくなり、低すぎると大胸筋中部に効きやすくなります。大胸筋上部を効果的に鍛える角度の目安は30〜45度程度です。
- インクラインベンチ台の角度を30〜45度に調整します。
- ダンベルを持ってインクラインベンチ台に座ります。
- ダンベルを上げながらインクラインベンチ台に背中をつけます。
- ダンベルを真上に上げて手のひらを合わせるように持ちます。
- 肩を落とし、肩甲骨を寄せて胸を張ります。
- 息を大きく吸い込みます。
- 腕を開いてダンベルをゆっくり降ろします。
- 息をゆっくり吐きながらダンベルを円を描くように上げます。
- これを繰り返します。
◆回数の目安:10〜15回
デクラインダンベルフライ(☆☆☆)
デクラインダンベルフライは頭の位置を低く出来るベンチ・デクラインベンチを使います。
デクラインダンベルフライのポイントは「肩をすくめない」こと。
ダンベルプレス(基本型)のところで「肩を落として固定する」というポイントを紹介しましたが、この点に特に注意しなければならないのがデクラインダンベルフライです。
頭の位置が低く、肩が下がるように傾斜がつくデクラインダンベルフライでは、ダンベルフライ(基本型)やインクラインダンベルフライよりも肩がすくみやすいので、「しっかり肩を落とす」ということを十分に意識しましょう。
- ダンベルを持ってデクラインベンチ台に寝転がります。
- ダンベルを真上に上げて手のひらを合わせるように持ちます。
- 肩を落とし、肩甲骨を寄せて胸を張ります。
- 息を大きく吸い込みます。
- 腕を開いてダンベルをゆっくり降ろします。
- 息をゆっくり吐きながらダンベルを円を描くように上げます。
- これを繰り返します。
◆回数の目安:10〜15回
「ダンベルフライ」と「ベンチプレス」の違い
ダンベルフライと間違われやすいトレーニング種目として「ベンチプレス」があります。特にダンベルで行うダンベルプレスの場合は、ダンベルフライと同様に仰向けの状態でダンベルを動かすためフォームが若干似ています。
ダンベルフライとベンチプレスはどちらも同じ大胸筋に効果のあるトレーニングですが、動作が異なるため、大胸筋に与える刺激も違っています。ダンベルフライでは開く力を、ベンチプレスでは押す力を使います。
また、ベンチプレスの場合は肩の三角筋と腕の上腕三頭筋も副次的に鍛えられるのも違いです。
以下で詳しい動きの紹介と比較を行います。
- ダンベルフライ
今回ご紹介してきたように、腕を開閉することでダンベルを動かします。腕を開く動作が大胸筋を刺激します。ダンベルプレスよりも大胸筋の外側に効きやすくなっています。
- ベンチプレス
腕を曲げ伸ばしすることでバーベルを上下させます。大胸筋以外にも、三角筋と上腕三頭筋も刺激できます。
ベンチプレスのトレーニング方法は「正しいベンチプレスのやり方|肩や手首を痛めないフォームを解説」で詳しく紹介しています。
以上のように、腕の動きが異なることで、大胸筋への刺激も異なるものとなっています。ダンベルフライは大胸筋の外側に効きやすいため「胸全体を大きくする」効果があり、ダンベルプレスは「胸板を厚くする」のに効果的です。
トレーニング名 | 動き | 効果のある筋肉 | 大胸筋への効果 |
ダンベルフライ | 腕を左右に開く | 大胸筋 | 胸全体を大きく広げる |
ベンチプレス | 腕を上方へ押す | 大胸筋、三角筋、上腕三頭筋 | 胸板を厚くする |
まとめ
今回は大胸筋に効果的なトレーニングの1つである「ダンベルフライ」を紹介しました。
これだけは押さえておきたい!ダンベルフライのポイント
- 肩を落として固定すること
- ヒジの角度を安定させること
- ベンチの傾斜によって鍛えられる大胸筋の場所が違う!
種類 | ベンチの傾斜 | 効く部位 |
ダンベルフライ | フラットな状態 | 大胸筋中部 |
インクラインダンベルフライ | 頭の位置が高くなっている | 大胸筋上部 |
デクラインダンベルフライ | 頭の位置が低くなっている | 大胸筋下部 |
ダンベルフライは大胸筋を鍛えるのに効果的ですので、「胸板を厚くしたい」という方におすすめのトレーニングです。積極的に取り入れていきましょう。
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