かかとを上げ下げすることで足首の曲げ伸ばしを繰り返す「カーフレイズ」はふくらはぎの筋肉を鍛えるために効果的なトレーニングです。
しかし、カーフレイズの動きは非常に単純であるため、「正しいフォームになっているかどうか」ということがおろそかにされているケースは少なくありません。
トレーニングの効果をしっかりと出すためには、正しいフォームを身につける必要があるでしょう。
今回はカーフレイズの正しい実践方法を紹介します。
カーフレイズで鍛えられる筋肉と効果
カーフレイズで鍛えられる筋肉は2種類あります。
鍛えられる筋肉1.腓腹筋
腓腹筋はふくらはぎを構成する下肢三頭筋(かしさんとうきん)の1つです。大腿骨(だいたいこつ)下部からアキレス腱まで伸びており、足関節(足首)を伸ばすときやヒザ関節を曲げるときに働きます。
腓腹筋はヒザ関節をまたいでついているため、カーフレイズで効果的に腓腹筋を鍛えるためにはヒザをしっかりと伸ばした状態でトレーニングすることが重要です。
腓腹筋は「筋肥大しやすい」という特徴を持っているため、腓腹筋を重点的に鍛えれば「陸上の短距離走の選手」のような「ガッチリとしたたくましい」ふくらはぎに近づけることでしょう。
また、腓腹筋やヒラメ筋といったふくらはぎの筋肉は収縮することで血液を心臓へ送り返す「ポンプ」の役割も果たしており、別名「第二の心臓」とも呼ばれています。このため、腓腹筋を鍛えることは下半身の血行促進にもつながります。
鍛えられる筋肉2.ヒラメ筋
ヒラメ筋は腓腹筋と同様に下肢三頭筋の1つです。スネのあたりから足首の裏のアキレス腱まで伸びており、足関節(足首)を伸ばすときに働きます。
腓腹筋と違って、ヒラメ筋はヒザ関節をまたいでいません。そのため、カーフレイズでヒラメ筋を効果的に鍛えるならばヒザを曲げた状態でトレーニングするのがポイントになります。
ヒラメ筋の特徴は鍛えても「筋肥大しにくい」という点です。「下半身の血行をよくするためにある程度の筋肉はつけたいけれど、ふくらはぎが太くなるのは嫌」という方はヒラメ筋を重点的に鍛えましょう。
自宅でできる自重カーフレイズの種類と鍛えられる筋肉
以下に自重でおこなうカーフレイズを表にまとめました。
種類 | 効く部位 |
スタンディングカーフレイズ | 腓腹筋 |
シーテッドカーフレイズ | ヒラメ筋 |
ドンキーカーフレイズ | 腓腹筋、ヒラメ筋 |
マシンやウエイトを利用しない自重トレーニングは正しいフォームでおこなわなければ効果が出にくいものです。
正しいフォームが身につくまでは、「回数」よりも「フォーム」に重点を置いて1回1回を丁寧におこないましょう。
以下では、自重でおこなえるトレーニング方法を紹介いたします。
またトレーニングの難易度を☆の数で5段階評価しています。☆の数が多いほど難しいトレーニングということです。
スタンディングカーフレイズ(☆☆)
スタンディングカーフレイズのポイントは2つあります。
1つ目のポイントは「ヒザをしっかりと伸ばした状態でおこなう」こと。
これにより腓腹筋にしっかりと効かせることができます。
2つ目のポイントは「かかとを下げる動作をゆっくりとおこなう」こと。
かかとを下げる動作はゆっくりと丁寧におこなってください。そして、床につく手前までしっかりと下げましょう。こうすることで腓腹筋が十分に伸ばされ、より高いトレーニング効果が得られます。
- 段差につま先(親指の付け根まで)だけをのせます。
- かかとを上げて、体を持ち上げます。
- かかとを下げて、ふくらはぎを伸ばします。
◆回数の目安:20〜30回
シーテッドカーフレイズ(☆☆☆)
シーテッドカーフレイズのポイントは2つあります。
1つ目のポイントは「膝を90度に曲げた状態でおこなう」こと。
ヒザ関節を曲げることで腓腹筋ではなく、ヒラメ筋に効果的に効かせられます。
2つ目のポイントは「かかとを床につけない」こと。
動画では分かりにくいですが、かかとは床につく手前でストップさせましょう。かかとが床についてしまうと負荷が逃げてしまうため、トレーニングの効果が薄くなってしまいます。
- 椅子に座り、段差につま先(親指の足の付け根まで)だけのせます。
- 手でヒザを抑えて(動画中ではダンベルです)負荷をかけます。
- そのまま足首を伸ばしてヒザを持ち上げます。
- 足首を曲げてふくらはぎを伸ばします。
◆回数の目安:20〜30回
ドンキーカーフレイズ(☆☆☆☆)
ドンキーカーフレイズの「ドンキー」は英語で「ロバ」という意味です。
言葉が示すように、ドンキーカーフレイズは単に前傾姿勢でおこなうのではなく、荷物を運ぶ「ロバ」のように背中に人を乗せておこなわれることも多くあります。
ただし、人を乗せなくともトレーニングはできますので、最初は人を乗せずにトレーニングするところから始めましょう。
ドンキーカーフレイズをおこなう際は以下2つのポイントに気をつけてください。
1つ目のポイントは「体を前傾させて足首を斜め上に向かって伸ばす」こと。
斜め上に向かって足首をしっかりと伸展させることで腓腹筋に効果的にアプローチできます。
2つ目のポイントは「足幅を肩幅よりも広く開く」こと。
ドンキーカーフレイズでは不安定な体勢でトレーニングをおこないます。したがって、体幹を安定させないと、狙った場所に負荷をかけることができません。
体幹を安定させるためには、足幅を肩幅よりも少し広く開くといいでしょう。
- 股関節を曲げて足の裏側が伸びている状態でベンチに両ヒジをつけます。
- 段差につま先(親指の付け根)だけのせます。
- そのまま足首を伸ばしてヒザを上に持ち上げます
- 足首を曲げてふくらはぎを伸ばします。
◆回数の目安:20〜30回
ジムでできるカーフレイズの種類と効く部位
自重で効果を感じづらくなった方や、ジムに通っている方はマシンやウエイトを利用して鍛えましょう。
ここからはジムでできるカーフレイズを3種類紹介します
種類 | 効く部位 |
マシンスタンディングカーフレイズ | 腓腹筋 |
スタンディングカーフレイズ(スミスマシン) | 腓腹筋 |
マシンシーテッドカーフレイズ | ヒラメ筋 |
マシンスタンディングカーフレイズ(☆☆☆)
マシンスタンディングカーフレイズのポイントは2つあります。
1つ目のポイントは「背筋をまっすぐ伸ばす」こと。
背筋を伸ばすことでヒザがしっかりと伸ばされ、効果的にトレーニングがおこなえます。
また、腰が曲がった状態でトレーニングをすると、無理な体勢がたたって「怪我」につながりかねません。背筋をしっかりと伸ばすようにしてください。
2つ目のポイントは「かかとを下げる動作をゆっくりとおこなう」こと。
自重でおこなうスタンディングカーフレイズと同様に、かかとを下ろす動作を丁寧におこなうのがトレーニングの効果を高めるポイントです。
- ビハインドネック(首の後ろ)でバーベルを担ぎます。
- つま先の位置を調整し、親指の付け根までが台にのっている状態にします。
- 足首を伸ばして体を持ち上げます。
- 足首を曲げてふくらはぎを伸ばします。
◆回数の目安:10〜15回
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