綺麗な後ろ姿をつくる要素の一つとして「肩甲骨」は欠かせません。肩甲骨のラインがしっかりと出ている後ろ姿は女性らしさがあり、背中に目立つ肩甲骨の見た目から「天使の羽」とも呼ばれます。
ウエディングドレスのような背中の開いた洋服を着た時に、肩甲骨が見える背中はとても魅力的に映るでしょう。
しかし、普段の姿勢や筋肉の衰えによって、肩甲骨のラインが出ないツルっとした平面的な背中になってしまいます。そのため、肩甲骨を出すには「姿勢の改善」と「筋肉をつける」ことが大事な要素です。
今回は肩甲骨周りを鍛えて「魅せる背中」に近づくためのトレーニングを紹介していきます。
肩甲骨周りをトレーニングすることで立体的な背中になる理由
「肩甲骨が見えない」という人もいれば、「立体的に浮き出ている」という人もいます。
この差は肩甲骨の仕組みが原因です。肩甲骨は胴体に固定されておらず、自由に動かすことができます。肩甲骨を触りながら腕を動かすとよくわかるのですが、肩甲骨は周辺の筋肉の動きによって上下左右へ滑らかに動くようになっています。
なかでも肩甲骨の「開く」と「閉じる」二つの動きが天使の羽をつくるには重要です。
腕を体の前で閉じる際に肩甲骨は「開き」、腕を左右に開く際に肩甲骨は「閉じ」ます。肩甲骨が閉じると肩甲骨が目立つ天使の羽と呼ばれる立体的な背中になりますが、開いた状態では肩甲骨は目立たず背中は平面的です。
猫背や巻き肩になると肩が前に出るため、肩甲骨が開きやすくなります。これが習慣化することで肩甲骨が見えないツルっとした背中になります。
また、肩甲骨を閉じる筋肉が衰えることで、肩甲骨が開きやすくなることもあります。
肩甲骨が立体的に現れない理由はこれらだけではありませんが、上記の通り「姿勢」と「筋肉の衰え」が要因の一つと言えるでしょう。
肩甲骨が見える魅力的な背中にするために、姿勢の改善と背中の筋トレに励みましょう。
肩甲骨周りの鍛えるべき筋肉は僧帽筋
肩甲骨の周辺にはたくさんの筋肉がありますが、その中でも僧帽筋を鍛えると効果的です。
僧帽筋は背中に広がる大きなひし形の筋肉です。
主に肩甲骨を閉じる、上げる、下げるなどの動きに関わり、肩甲骨を動かすことで肩や腕を動かしています。肩こりを感じる部分としても有名です。
また、大きな筋肉のため上部・中部・下部の3つに分かれており、それぞれ担う動きに少しずつ違いがあります。肩甲骨を閉じる動きにはどの部位も関わっていますが、特に中部の関与が大きいため、僧帽筋中部を重点的に鍛えましょう。
僧帽筋を鍛えることで肩甲骨が閉じ、胸を張った綺麗な姿勢を保ちやすくなります。そのため肩甲骨が目立つ魅力的な背中を目指せます。
【自宅編】僧帽筋を鍛えるのに効果的な筋トレ
それではここからは、僧帽筋を鍛えるトレーニングを「自宅編」と「ジム編」に分けて紹介していきます。まずは自宅編です。
トレーニング名 | 効果的な筋肉 |
ダンベルシュラッグ | 僧帽筋(上部) |
ダンベルベントオーバーローイング | 僧帽筋(中部・下部) |
ダンベルリアレイズ |
トレーニングの難易度を☆の数で5段階評価しています。☆の数が多いほど難しいトレーニングです。
ダンベルシュラッグ(☆☆)
肩をすくめることで両手に持ったダンベルを引き上げるトレーニングです。僧帽筋上部を刺激します。
ダンベルシュラッグのポイントは3つです。
1つ目は「肩を上げる」ことです。肩をすくめることで、肩甲骨を上下に動かします。首を縮めても外見上は似たような動作になりますが、これでは肩甲骨が動きません。そのため肩を上げ下げして、肩甲骨を上下させるよう意識することが大切です。
2つ目は「腕の力を抜く」ことです。腕に力が入ると腕に負荷が逃げてしまいます。僧帽筋に上手く刺激がいかないようになってしまうため、腕の力は抜いてリラックスさせましょう。
3つ目は「しっかりと肩を落とす」ことです。肩をすくめて元の位置に戻す運動のように見えるかもしれません。しかし、筋肉は可動域を広くする方が鍛えられるため、肩を落として動く範囲を広げましょう。
ダンベルの代わりにチューブでも行える
ダンベルの代わりにトレーニング用のチューブの両端を持って、真ん中を足で踏んで行うことも可能です。チューブの張力で持続的に負荷をかけられるというダンベルにはないメリットもあります。
- 両足を肩幅程度に広げ、両手にダンベルを持って立ちます。
- この時、手のひらが自分の方へ向くようにダンベルを持ちましょう。
- 肩をすくめるようにして、肩甲骨を上げることでダンベルを持ち上げます。
- 一番高い位置で、数秒静止しましょう。
- ダンベルを下ろしていき、元の位置から肩を落としましょう。
- 肩を落としたらまた上げていきます。
◆回数の目安:15回×3セット
ダンベルベントオーバーローイング(☆☆☆)
上半身を前傾させた状態で、両手に持ったダンベルを両ヒジを曲げて引き上げるトレーニングです。僧帽筋の中部と下部に効果があります。
ダンベルベントオーバーローイングのポイントは4つです。
1つ目は「前傾姿勢を保つ」ことです。前傾姿勢になることで背中の筋肉を使いやすいようにしているため、この姿勢を保つことが大切です。ベントとは腰を曲げることを意味し、前傾姿勢がこのトレーニングの要点です。
2つ目は「胸を張る」ことです。胸を張って、背中を反らすことで背中の筋肉が使いやすくなります。疲れてくると段々背中が丸まりやすくなるため、特にトレーニング終盤は姿勢に注意しましょう。
3つ目は「脇を締める」ことです。脇が開いた状態では、肩の三角筋に負荷が逃げてしまいます。背中に効かせるためには脇を締めるよう意識しましょう。
4つ目は「肩甲骨を閉じる」ことです。ダンベルを上げ切る際に、肩甲骨を閉じるよう意識しましょう。前述のように肩甲骨を動かすことで僧帽筋が鍛えられるためです。
- ダンベルを両手に持ち、足は腰幅ぐらいに開きます。
- 背すじを伸ばし、お尻をしっかりと引いて、45度ほど前傾します。
- 姿勢を保ったまま、肩甲骨を閉じるようにしてダンベルを引き上げます。
- ダンベルは胸ではなく、おへそに向かって引き上げましょう。
- 重力に逆らうようにゆっくりと下ろしていきます。
◆回数の目安:10~12回×3セット
ダンベルリアレイズ(☆☆☆)
ダンベルリアレイズのポイントは4つです。
1つ目は「前傾姿勢をキープする」ことです。前述したように、前傾することで背中の筋肉に負荷がかかりやすくなっています。この前傾姿勢を保つよう意識しましょう。
2つ目は「ヒジを固定する」ことです。腕を開いていく際に、ヒジが動いてしまうと腕の筋肉が使われやすくなります。これでは僧帽筋に負荷がかかりづらくなるため、ヒジは軽く曲げた状態で固定しておきましょう。
3つ目は「反動をつけない」ことです。反動をつけてダンベルを上げると、ターゲット以外にも多くの筋肉が使われてしまいます。僧帽筋以外の筋肉の関与をなるべく抑えるために、反動をつけないようにしましょう。
4つ目は「肩甲骨を閉じる」ことです。腕を開く際に、肩甲骨を閉じるよう意識します。肩甲骨を動かして僧帽筋に負荷を集中させましょう。
腰に不安がある場合は座って行う
前傾姿勢になるため腰に負担のかかりやすい種目ですが、ベンチなどに座ることで腰への負荷をやわらげられます。また、下半身が安定するため腕や肩甲骨の動きに集中しやすくなるというメリットもあります。
- 肩幅程度に足を開いて立ち、上半身を斜めに倒します。
- ダンベルを持つ前に、素振りで腕を開閉して肩に効く腕の角度を見つけましょう。
- 前傾姿勢のまま両手にダンベルを持ち、腕をゆっくりと開いて体の横まで持ち上げます。
- ヒジを動かさないよう注意しましょう。
- 両腕が床と平行になるぐらいまで上がったら、ゆっくりとダンベルを元の位置まで戻します。
◆回数の目安:10回×3セット
【ジム編】僧帽筋を鍛えるのに効果的な筋トレ
ここからはジムで行える僧帽筋に効果的なトレーニングを紹介していきます。
トレーニング名 | 効果的な筋肉 |
シーテッドローイング | 僧帽筋(中部・下部) |
マシンリアレイズ |
シーテッドローイング(☆☆☆)
座った状態でケーブルを引くトレーニングです。ケーブルマシンの持ち手をVバーにすることで、手の距離を狭くできます。両手を近づけると僧帽筋を鍛えやすくなります。
シーテッドローイングのポイントは4つです。
1つ目は「脇を締める」ことです。脇が開いたまま行うと大胸筋が強く働いてしまいます。僧帽筋に効かなくなるため、脇はしっかりと閉じましょう。
2つ目は「背すじを伸ばす」ことです。背中が丸まってしまうと、背中の筋肉は十分に働きません。胸を張り、背すじを真っ直ぐ伸ばしましょう。
3つ目は「肩甲骨をしっかりと閉じる」ことです。肩甲骨をしっかりと閉じながらケーブルを引きます。腕を引くというよりは、肩甲骨を閉じたことで腕が引っ張られるようなイメージで行うと良いでしょう。
4つ目は「上半身を動かさない」ことです。ケーブルを引くことで体が後ろに傾くと、反動が働きやすくなります。背中の筋肉以外の関与をなるべく抑えるために、上半身は動かすことなくしっかりと固定しましょう。
- マシンにVバーを取り付けます。
- マシンに座り、ヒザを少し曲げておきます。
- 両手でバーを握り、背すじを伸ばして胸を張りましょう。
- 肩甲骨を閉じるようにハンドルを腹部まで引き付けます。
- ハンドルをゆっくりと戻し、同様の動作を繰り返しましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
マシンリアレイズ(☆☆☆)
マシンを使うことで、前傾せずとも僧帽筋を鍛えられます。マシンの軌道に沿った動きをすることで初心者でも安全に効果的にトレーニングができます。
マシンリアレイズのポイントは「後ろに体重をかけない」ことです。後ろに大きく腕を開くため、無意識のうちに体重を後ろにかけがちです。後傾しないよう注意しましょう。
- パッドに体の前面を当て、ヒジを少し曲げた状態でグリップを握ります。
- ヒジを固定したまま、肩甲骨を閉じるように腕を広げていきます。
- 両腕が真横に一直線に並ぶまで広げ、ゆっくりと両腕を閉じましょう。
◆回数の目安:10回×3セット
魅力的な背中になるには肩甲骨のストレッチも重要
肩甲骨周りの筋肉が凝り固まっていると、うまく肩甲骨が閉じず、立体的な背中になることは難しくなります。そのため、魅力的な背中になるには、肩甲骨周りのストレッチで筋肉をほぐすことが重要です。
僧帽筋のストレッチをすることで、肩甲骨周りの筋肉をほぐすだけでなく、僧帽筋の疲労回復にも役立ちます。肩甲骨のストレッチの際は、僧帽筋もしっかりストレッチするようにしましょう。
肩甲骨のストレッチにおすすめのタイミングは、「トレーニング後」もしくは「お風呂上がり」です。体が温まった状態でストレッチをすることで、より効率よく筋肉をほぐすことができます。
まとめ
今回は肩甲骨の目立つ魅力的な背中になるためのトレーニングをご紹介しました。
ここだけは押さえておきたい!肩甲骨が魅力的な背中になるためのポイント
- 肩甲骨は姿勢が悪いと目立たなくなってしまう
- 僧帽筋が衰えることで肩甲骨が開きやすくなる
- 僧帽筋を鍛えるには肩甲骨を意識的に動かすことが効果的
肩甲骨を目立つようにするためには、僧帽筋を鍛え、胸を張った良い姿勢を心がけるようにしましょう。
最初のうちに正しいトレーニングフォームを身につけることが、もっとも効果がでる最短の方法です。こまめにチェックすることを心掛けましょう。
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