寝転がった状態から足を上げて鍛えるレッグレイズは「腹直筋の下部」を鍛えるのにとても効果的なトレーニングです。
メジャーなトレーニングのため、「簡単にできる」と思われがちですが、実際は、「フォームが乱れて腹筋に効いていない」「トレーニング回数が適切でないが故に怪我をしてしまう」などの問題があります。
そこで、今回はパーソナルトレーナーによる監修のもと、レッグレイズの効果を最大化させる方法をお伝えします。
レッグレイズで鍛えられる3つの筋肉と効果
レッグレイズで鍛えられる筋肉は3種類あります。
腹直筋(ふくちょくきん)
腹直筋は腹筋の真ん中にある筋肉です。主に上半身を丸めるときに働いており、レッグレイズでは足を持ち上げて下半身側からお腹の筋肉を丸めることで腹直筋を刺激します。
したがって、腹直筋を鍛える上では「足だけではなくお尻から持ち上げる」ことが重要です。
腹横筋(ふくおうきん)
腹横筋とは腹筋の内側にあるインナーマッスルのこと。主にお腹をへこますときに使われる筋肉ですので、レッグレイズをするときは「お腹を思い切りへこませる」ことを意識しましょう。
腹筋の内側にある腹横筋を鍛えればウエストを細く引き締めることができます。
腹斜筋(ふくしゃきん)
腹斜筋は脇腹にあり、胸の下あたりからお腹の内部に向かって斜めに走っているため、この筋肉を鍛えることで「逆三角形ボディ」に近づけます。
腹斜筋は上半身をひねるときに働いています。通常のレッグレイズではほとんど使われませんが、後で紹介するワイパーを使ったレッグレイズで効果的に鍛えることができます。
レッグレイズの効果を最大化させる基礎知識
レッグレイズの効果を最大化させるためには、トレーニングの適切な「回数」「頻度」「呼吸法」「フォーム」などについてしっかりと理解しておく必要があります。
それでは、パーソナルトレーナーの金田先生にレッグレイズの効果を最大化させるための方法を伺っていきましょう。
こんにちは!パーソナルトレーナーの金田です。今日はよろしくお願いします。
レッグレイズの「回数」と「頻度」の目安を教えてください。
回数は「10〜15回×3セット」を目安にしてください。頻度は週に2〜3回のペースで始めてみるとよいでしょう。
とはいえ、回数や頻度をどのくらいに設定するかということは、トレーニングをする目的によって変わります。
ただし、はっきりと言えるのは、「むやみに回数を増やすよりも、フォームを維持しつつ、腹部を意識することを重要視した方が効果的である」ということです。
特に、レッグレイズは背中が反りやすく正しい姿勢を保持することが難しいトレーニングだと言えます。
回数を重ねて疲労が溜まってくると、フォームが崩れやすくなってしまいやすいですが、フォームが崩れた状態でのトレーニングは効果が小さくなるどころか、怪我をしてしまうリスクもあります。
例えば、「背中が反る」というのはレッグレイズを行う上でよくある誤ったフォームの一例ですが、これでは足や背中周りの筋肉の関与が強くなってしまい、お腹の筋肉が効果的に使われません。さらには、腰痛につながる恐れもあります。
そのため、回数を追求するのではなく、あくまでも「姿勢の保持」を重視してください。最初に提示した目安の回数や頻度も「正しいフォーム」で行うからこそ意味があります。
レッグレイズをする時の呼吸法について教えてください。
レッグレイズの呼吸法は、「足を下げる時に”吐く”」、「足を上げる時に”吸う”」ことが基本になります。
なぜなら、足を下げる時に息を吐くことで横隔膜(インナーマッスル)を刺激することができるからです。
また、レッグレイズのように体が反りやすい種目においては、「息を吐く」ことで肋骨が内側に入ります。こうすることで、体が反ってしまうことを防げ、さらには腹部全体が刺激される効果もあります。
レッグレイズを行う時の理想的な角度を教えてください。
具体的な角度というよりも、足の位置を骨盤(腰)の位置あたりにセットするように心がけてください。
また、初心者の方は、片方のヒザを90度に曲げた状態で、まずは片足でトレーニングをするのがおすすめです。慣れてきたら両足で行ったり、少しずつヒザを伸ばしたまま行ったりして、腹筋への負荷を徐々に高めて行きましょう。
さらに、腹筋を意識してトレーニングできるようになれば、両足を床スレスレまで下ろして行うことで、負荷を大きくできます。
【自重編】レッグレイズの種類
一言でレッグレイズといえども、数多くの種類があります。
以下に「自重」編と「ジム」編に分けて、レッグレイズの種類とそれぞれのレッグレイズによって効かせられる部位をまとめています。
まずは「自重」編のレッグレイズから紹介しましょう。
なお、トレーニング名の横に記載されている☆は難易度を示します。5段階評価となっており、☆が多いほど難しい種目です。
種類 | 効く部位 |
基本のレッグレイズ | 腹直筋下部、腹横筋 |
ベントニーレッグレイズ | 腹直筋下部、腹横筋 |
シングルレッグレイズ | 腹直筋下部、腹横筋 |
基本のレッグレイズ(☆☆)
レッグレイズのポイントは2つあります。
1つ目のポイントは「お尻ごと足を持ち上げる」こと。
この意識でおこなうと腹直筋の下部がしっかりと丸まるので、効果的にトレーニングをおこなえます。
2つ目のポイントは「息を吐くときにしっかりとお腹をへこませる」こと。
トレーニング中は呼吸を止めないように注意してください。息を吐くときにお腹をへこませることで腹横筋が鍛えられます。
- 仰向けに寝転がって、腕を地面にぴったりくっつけます。
- 息を大きく吸い込みます。
- 息をゆっくり吐きながら足をまっすぐにした状態で地面と垂直になるまで上げます。
- 息を吸いながらゆっくりと戻りましょう。
◆回数の目安:10〜15回
ベントニーレッグレイズ(☆☆)
「ベントニー」は英語で「ヒザを曲げる」という意味であり、その名の通りベントニーレッグレイズはヒザを曲げてトレーニングをおこないます。
ベントニーレッグレイズでは主に以下2つのポイントに注意しましょう。
1つ目のポイントは「膝が伸び切らないようにする」こと。
ベントニーレッグレイズの特徴はヒザを曲げることで通常のレッグレイズよりも負荷を重くするトレーニングです。ヒザが完全に伸び切ってしまうと、「ベントニー」ではなくなりますので、ヒザが伸び切らないように意識してください。
2つ目のポイントは「腰を浮かせない」こと。
腰が浮いてしまうと、腹筋にかかるはずの負荷が逃げてしまいます。腹筋に力を入れて床と背中をぴったりくっつけて腰が浮かないように注意しましょう。
- 仰向けに寝転がって、腕を地面につけて体勢を安定させます。
- 息を吐きながら、ヒザを曲げた状態で足を上げます。
- 息を吸いながらゆっくり戻りましょう。
◆回数の目安:10〜15回
シングルレッグレイズ(☆☆)
シングルレッグレイズのポイントは2つあります。
1つ目のポイントは「ヒザをまっすぐに伸ばす」こと。
ヒザが曲がったままだと腹筋にかかる負荷が小さくなってしまいます。
2つ目のポイントは「ヒザを伸ばすときに息を吐き、ヒザを曲げるときに息を吸うこと」こと。
呼吸をしっかりとおこなうことで、筋肉の収縮がスムーズになり、トレーニングの効果が高まることでしょう。
- 仰向けになります。足を上げて、ヒザを90度に曲げます。
- 息をゆっくり吐きながら片足を前に伸ばします。
- 息を吸いながらゆっくりと戻します。
- 同様に反対側の足を伸ばし待てください。
◆回数の目安:10〜15回
【ジム編】レッグレイズの種類
自重トレーニングを簡単に目安「15回」こなせるようになったら、自重では負荷が足りなくなっている証拠です。
ジムに通っている方はマシンやウエイトを利用して、より大きな負荷がかるトレーニングをおこなってください。
以下ではジムでできる高負荷のレッグレイズを2種類紹介します
種類 | 効く部位 |
ハンギングレッグレイズ | 腹直筋、腹横筋 |
インクラインレグレイズ | 腹直筋、腹横筋 |
ハンギングレッグレイズ(☆☆☆☆)
ハンギングレッグレイズのポイントは2つあります。
1つ目のポイントは「腕に力を入れない」こと。
腕に力が入ってしまうと、お腹に力が入りづらくなります。腕を曲げて反動で足を動かすなどはせず、あくまでも腕にはバーに掴まれるだけの力だけを入れるようにしてください。
2つ目のポイントは「反動の力で足を下げない」こと。
反動の力で足を下げてしまうと腹筋が使われません。腹筋の緊張状態を維持するために足を下げるときも、お腹に力を入れて足を下げてください。
- 懸垂バーにぶら下がります。
- 大きく息を吸います。
- 息を吐きながら足を地面と平行になるくらいまで上げます。
- ゆっくり足を下ろします。
◆回数の目安:10〜15回
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