内転筋は太ももの内側についており、歩いたり走ったりする時に股関節の動きと連動して働きます。
内転筋にこりが生じて硬くなってしまうと、バランスを取りづらくなったり、腰痛になりやすくなったりすることも……。
今回は、内転筋を柔らかく保つために効果的なストレッチ方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
内転筋にこりが生じる原因
最初に、内転筋にこりが生じる原因を簡単にご紹介します。
- 椅子に座っている時間が長い
- 加齢や運動不足で内転筋が衰えている
原因1.椅子に座っている時間が長い
1つ目の原因は「椅子に座っている時間が長い」です。
椅子に座っている時、内転筋は体重の重さによって椅子に押し付けられるような形になるため、カチカチに硬くなりやすい傾向にあります。加えて、その状態では血管が圧迫されてしまうことから、血液の流れが滞り、乳酸などの疲労物質が排出されません。
疲労物質が排出されなければ、筋肉の回復力は衰えてしまうため、筋肉のこりも治ることなくどんどん悪化していきます。
また、椅子に座って足を組む癖がある方は血液の流れが悪くなりやすいため、一層の注意が必要です。
原因2.加齢や運動不足で内転筋が衰えている
2つ目の原因は「加齢や運動不足で内転筋が衰えている」です。
筋肉量が少なくなると、ほんの少しの動作でも筋肉にとっては負担となり、筋肉は疲れやすくなります。
また、筋肉量が少ない状態では血液を流す力が弱くなるため、血流は滞ります。血流が悪い状態では疲労物質が排出されず、必要な栄養素や酸素が届きにくくなるため、筋肉の回復力はどんどん低下していきます。
このように、加齢や運動不足などが原因で筋肉が衰えると、「筋肉が疲れやすく回復しにくいため、疲労がどんどん蓄積されていく」という負のスパイラルに陥りやすくなるのです。
内転筋のストレッチのやり方
それでは、内転筋の柔軟性を高めるストレッチのやり方をご紹介します。
- 寝ながらできる内転筋のストレッチ
- 座位で行う内転筋のストレッチ
- 股関節にも効く内転筋のストレッチ
やり方1.寝ながらできる内転筋のストレッチ
- 仰向けに寝た状態で膝を立てます。
- 左足を固定して右足を横に倒します。
- 内転筋が伸びた状態で10秒〜30秒キープします。
- 元の位置にゆっくり戻します。
- 反対も同様に行います。
やり方2.座位で行う内転筋のストレッチ
※開始から0:39頃までが「座位で行う内転筋のストレッチ」のやり方を紹介する内容です。
- 座位で両足の裏を合わせます。
- 足をできるだけ体に引き寄せます。
- 背筋を伸ばしてゆっくり体を倒していきます。
- 内転筋が伸びた状態で10秒〜30秒キープします。
- 元の位置にゆっくり戻します。
やり方3.股関節にも効く内転筋のストレッチ
- 足を大きく開いて腰を下ろします。
- 両足のつま先を外側に向けます。
- 状態をキープしたまま肘で両足の膝を広げます。
- 内転筋が伸びた状態で10秒〜30秒キープします。
- 元の位置にゆっくり戻します。
内転筋のストレッチをすることで得られる効果
内転筋のストレッチには、当然ながら「内転筋の柔軟性が高まる」という効果がありますが、それ以外にもストレッチをすることで得られる効果がいくつかあります。
- 股関節の柔軟性が高まり、むくみが改善される
- 骨盤の歪みが矯正され、姿勢が良くなる
- 高齢者のリハビリに役立つ
効果1.股関節の柔軟性が高まり、むくみが改善される
1つ目の効果は「股関節の柔軟性が高まり、むくみが改善される」です。
内転筋の柔軟性が高まると、股関節がスムーズに動くようになることから、股関節周辺の筋肉の運動量が増え、それに伴って下半身の血流が良くなります。
下半身は重力の影響を受けるため、水分が溜まりやすく、むくみやすい傾向にありますが、血流が良くなれば余分な水分や老廃物が排出されるため、むくみにくくなります。
効果2.骨盤の歪みが矯正され、姿勢が良くなる
2つ目の効果は「骨盤の歪みが矯正され、姿勢が良くなる」です。
内転筋は骨盤に繋がっている筋肉で、骨盤を正常な位置に保つ働きを担っています。
内転筋が硬くなると、骨盤を正しい位置に維持する力が弱くなるため、骨盤の歪みが発生しやすくなるのです。骨盤が歪むと、O脚になったり、腰まわりが太く見えたりします。
O脚や腰回りのスタイルに悩みを抱えている方は、内転筋の柔軟性を高めることで解決できるかもしれません。
効果3.高齢者のリハビリに役立つ
3つ目の効果は「高齢者のリハビリに役立つ」です。
「足腰が重くなってきた」「歩くのが辛い」など歩行に困難さを感じている高齢者の方の多くが「内転筋が硬直している」という問題を抱えています。
内転筋は歩く時に重要な働きをしており、内転筋が硬直すると足を伸ばせなくなり、上手く歩けなくなってしまうのです。また、内転筋は体のバランスをとる筋肉でもあることから、内転筋が弱ってしまうと歩行時にバランスを崩すことが増え、怪我に繋がってしまうことも……。
リハビリ代わりに内転筋をストレッチして柔軟性を高めれば、足をスムーズに動かせるようになり、歩行が楽になるでしょう。
内転筋のストレッチをする時によくある悩みと対処法
最後に、内転筋のストレッチをする際によくあるお悩みと、それについての対処法をご紹介します。
お悩み1.座位で行うストレッチをしていますが、体を前に倒すと痛いです。
無理をせずストレッチを行う方法を教えてください。
ストレッチを始めたばかりの頃は、体を倒せるほど内転筋に柔軟性がない方も多いです。無理をせず、少しずつ内転筋を柔らかくしていきましょう。
お悩み2.寝ながらできるストレッチをしていますが、左側の足を上手く倒せません。
例えば、自分の場合は右足に比べて左足を上手くストレッチできません。なぜでしょうか?
左右のバランスを整えるために、伸びにくい方の足を重点的にストレッチしましょう。根気強く続ければ、徐々に骨盤のバランスが改善されていきますよ。
まとめ
今回は内転筋のストレッチのやり方を紹介しました。
歩行という人間にとって大事な行為に関与する内転筋は、年齢や性別に関係なく重要な筋肉と言えるでしょう。だからこそ、日頃からストレッチをして柔軟性を保つことが大切です。
しかし、正しいフォームや強度でストレッチを行わないと、かえってこりを悪化させてしまう恐れもあります。だからこそ、筋肉の柔軟性を高め、体全体のバランスを整えていきたいという方には、信頼できるパーソナルトレーニングをおすすめします。
体の構造を熟知したトレーナーによるストレッチは自己流でのストレッチとは比べ物にならないくらい効果を実感できることでしょう。ぜひパーソナルトレーニングをお試しください。
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