ハムストリングは太ももの裏側にある筋肉で、「大腿二頭筋」「半膜様筋」「半腱様筋」の3つから構成される筋肉です。主に、「ヒザを曲げる」時に使われ、歩行時など日常生活でも頻繁に使われます。
よく使う筋肉だからこそ、定期的にストレッチをして伸ばさないと筋肉が硬直して「こり」に発展するケースも少なくありません。
今回はハムストリングにこりが生じる原因と、柔軟性を保つために効果的なストレッチの方法をご紹介します。
ハムストリングにこりが生じたり硬くなったりする原因
最初に、ハムストリングにこりを生じさせたり、硬くさせてしまう原因を簡単にご紹介します。
- 長時間同じ体勢でいることが多い
- トレーニングのしすぎ
- 筋肉量の減少
原因1.長時間同じ体勢でいることが多い
1つ目の原因は「長時間同じ体勢でいることが多い」です。
デスクワークが中心の方や長距離ドライバーの方など、長時間同じ体勢をとる方はハムストリングが収縮したまま固まってしまいやすいです。筋肉が収縮したまま固まると、血管が圧迫されるため、血液の流れは停滞します。
血液の流れが悪くなると、疲労物質である乳酸が蓄積されるため、痛みやこりを誘発しやすくなってしまいます。
原因2.トレーニングのしすぎ
2つ目の原因は「トレーニングのしすぎ」です。
ハムストリングを酷使するようなハードなトレーニングを行っている方は要注意。筋肉はトレーニング後にしっかりと休ませ、回復させることで成長していきますが、トレーニング後に筋肉をしっかりとストレッチしないと、筋肉が休まりません。
なぜなら、筋肉が硬いままだと、血管は筋肉によって圧迫され続け、筋肉の回復に必要な酸素や栄養を届けることができないからです。そのため、筋肉が回復せずに、いつまで経ってもこりや痛みが治らないという悪循環に陥りやすくなります。
また、トレーニングで筋肉に負荷を与えると、筋肉中に疲労物質である乳酸が溜まります。乳酸を溜めて脳に「筋肉が疲れている」と合図を送ることは筋肉を成長させる上で重要ですが、脳に認識させた後は筋肉を回復させなければならないため、血行を良くして疲労物質を排出させる必要があります。
原因3.(高齢者に多い)筋肉量の減少
3つ目の原因は「筋肉量の減少」です。
運動不足気味の方や高齢者の方は筋肉量が減少しやすく、その結果血行不良になることで、こりが生じることがあります。
筋肉は、伸びたり縮んだりすることで、血液を押し出し、体中に循環させているため、筋肉量が少ないと血液の流れが滞ります。
血液の流れが悪くなると、「血液によって運ばれる酸素が不足し、疲労物質が出やすくなる」「筋肉に必要な栄養分が届かず、回復スピードが遅くなる」などの悪影響があり、こりや痛みに発展してしまうのです。
ハムストリングのストレッチのやり方
それでは、ハムストリングの柔軟性を高めるストレッチのやり方をご紹介します。
- テニスボールを使ったハムストリングのストレッチ
- 座位で行うハムストリングのストレッチ
- 立って行うハムストリングのストレッチ
やり方1.オフィスでできるテニスボールを使ったハムストリングのストレッチ
- 椅子に座った状態で太ももの下にテニスボールを入れます。
- ヒザから先をゆっくり上げていきます。
- 45度くらいまで上げたらゆっくり下げます。
- この動作を左右5回〜10回ずつ行います。
やり方2.座位で行うハムストリングのストレッチ
- 座位の状態で足を伸ばします。
- 息を吐きながら両手をつま先につけるイメージで体を倒します。
- ハムストリングが伸びた状態で5秒〜10秒ほど静止します。
- 元の位置までゆっくり戻します。
やり方3.立って行うハムストリングのストレッチ
- 椅子に片足を乗せます。
- 足を伸ばした状態をキープして体を倒していきます。
- ハムストリングが伸びた状態で10秒〜20秒キープします。
- 元の位置までゆっくり戻します。
ハムストリングのストレッチをすることで得られる効果
続いて、ハムストリングのストレッチをすることで得られる効果をご紹介します。
- 腰痛が改善する
- 足腰の弱い高齢者向けのリハビリになる
効果1.腰痛が改善する
1つ目の効果は「腰痛が改善する」です。
ハムストリングがこったり、こわばったりすると、腰痛を招くことがあります。
特に、デスクワークの時間が長い方は要注意。デスクワークで椅子に座っている間はハムストリングが常に張った状態になるため、ハムストリングがこり固まってしまいやすいです。ハムストリングが硬くなると、かがむ動作の時にハムストリングが伸びないため、背中や腰付近の筋肉に負担がかかり、腰痛を招きます。
だからこそ、ハムストリングの柔軟性を保つことは腰痛の改善や予防に役立ちます。
効果2.足腰の弱い高齢者向けのリハビリになる
2つ目の効果は「足腰の弱い高齢者向けのリハビリになる」です。
年齢を重ねるうちに、筋肉量は減少し、筋肉が硬くなりやすいものです。特に、「歩行が困難になってきた」と足腰の弱りを感じている方はハムストリングの柔軟性を高めることで、足腰を鍛えるリハビリになります。
若い人のように筋トレをするのが難しい高齢の方にとっては、ストレッチが筋肉を収縮させるトレーニングの代わりにもなります。
ハムストリングのストレッチをする時によくある悩みと対処法
最後に、ハムストリングのストレッチをする際によくあるお悩みと、それについての対処法をご紹介します。
お悩み1.座位で行うハムストリングのストレッチで筋肉をしっかりと伸ばすコツは?
ハムストリングをしっかりと伸ばすコツを教えてください。
ヒザが伸びていないと、ハムストリングが伸びにくくなります。ヒザは伸ばした状態でキープし、ストレッチの強度は体を前傾させる角度で調整すると良いでしょう。
お悩み2.バレエで怪我をしました。リハビリ目的でストレッチをする時の注意点を教えてください。
痛みが若干あるため心配ですが、ストレッチを継続しても良いでしょうか?
特に、今回の記事で紹介したテニスボールを使うストレッチをする際はテニスボールと太ももの間にタオルなどを敷くことでボールによる刺激を緩和できます。
リハビリ目的でストレッチを行う場合、痛みを感じるほど強い刺激を与えるのは良くありません。タオルを活用して、優しくストレッチすることから始めてください。
まとめ
今回はハムストリングのストレッチのやり方を紹介しました。
ハムストリングは全身の中でもこりやすい筋肉の1つです。長年の生活習慣により、ちょっとやそっとではこりが緩和されないくらいガチガチになっている方もいることでしょう。
だからこそ、おすすめしたいのがストレッチを取り入れたパーソナルトレーニングです。週に1度でもプロフェッショナルなトレーナーにストレッチを教えてもらう機会が持てれば、自宅で実践するストレッチの質も格段に上がることでしょう。
ぜひ、パーソナルトレーニングを利用してみてください。
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