筋肉の輪郭が浮き出た分厚い胸板に感じられる“男らしさ”。たくましい胸板は「マッチョ」の象徴です。そんな胸板を手に入れるには、どんなトレーニングをすればいいのでしょうか?
代表的な筋トレとして挙げられるのが「腕立て伏せ」や「ベンチプレス」。どちらも比較的、始めやすいトレーニングですが、正しいフォームで行わないと胸部ではなく、肩周辺の筋肉に負荷がかかってしまうなど、本来鍛えたい筋肉を効率よく鍛えることができません。
そこで今回は、より効率よく胸板を厚くするためのトレーニング方法とポイントを紹介します。合わせて胸板を鍛えるトレーニングでありがちな悩みや質問をパーソナルトレーナーに聞いたので、男らしい分厚い胸板を手に入れたい方は、ぜひ参考にしてください!
胸板を厚くするために鍛えるべき2つの筋肉
これはすべての筋トレに共通することですが、効率よく筋肉を鍛えるには、まずどの筋肉を鍛えるかを意識する必要があります。胸板を厚くするためには「大胸筋」と「小胸筋」の2つの筋肉がポイントになります。
大胸筋は胸を覆っている大きな筋肉です。そのためトレーニングによって鍛える場所が微妙に異なってきます。例えば、厚みを出すためには「大胸筋上部」を、筋肉の輪郭や溝を作って胸板に立体感を持たせるためには「大胸筋の下部と内側」に重点を置いてトレーニングするとよいでしょう。
一方、小胸筋は大胸筋の内側にあるインナーマッスルで、大胸筋をサポートするような役割があります。意識するのが難しい筋肉ではありますが、小胸筋を大胸筋とともに鍛えると胸板にハリが出て厚みを強調することができるので、頭の片隅に置いておくといいでしょう。
胸板を厚くするのに効果的な筋トレ法(自重編)
ここからは胸板を厚くするための効果的なトレーニング法を「自重編」と「器具・マシン編」に分けて紹介します。
まずは自重編。特別な器具を使わず、自宅でも行える筋トレなので、ジムに行けないときのトレーニングとしてもおすすめです。
胸板を厚くするトレーニング1.プッシュアップ(腕立て伏せ)
プッシュアップとは、いわゆる「腕立て伏せ」のこと。上腕二頭筋や上腕三頭筋とともに、大胸筋全体を鍛えるベーシックなトレーニングです。
うつ伏せの状態で両手を床に着け、ヒジを曲げ伸ばしして、体を地面に近づけたり、持ち上げたりします。体をギリギリまで床に近づけられるとより効果的に大胸筋を鍛えることができます。
ポイントは、体が上下する際に腰が折れたり、ヒザが曲がったりするなど、姿勢が崩れないように注意すること。真っ直ぐな姿勢がキープできないときはヒザを曲げて床に着けた状態で行ってみましょう。
また、床に着く両手の幅を変えることで、鍛えられる主な筋肉を調整することができます。
例えば両手を肩幅よりも少し開きぎみに構えて行う「ワイドプッシュアップ」は、大胸筋の中でも特に外側の筋肉を鍛えることができます。実際に手の位置を変えて行ってみると負荷がかかる部分が変わってくるので、手の位置をいろいろ変えながら行ってみるとよいでしょう。
胸板を厚くするトレーニング2.インクラインプッシュアップ
インクラインプッシュアップは、主に大胸筋下部を鍛えることができる腕立て伏せです。足よりも高い位置に両手を置き、腕立て伏せを行います。
一般的なプッシュアップに比べて負荷が軽くなるため、初心者でも始めやすいトレーニングですが、そのぶんフォームが重要になってきます。
かかとから頭のてっぺんまでが一直線上に並ぶように体勢をキープして行うことがポイント。大胸筋や小胸筋に刺激があることを意識しながら行いましょう。
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プッシュアップの詳しいトレーニング方法は「プッシュアップ(腕立て伏せ)は胸の筋トレ!効果的なやり方を解説」の記事をご参照ください。
胸板を厚くするために効果的な筋トレ法(器具・マシン編)
次はジムのマシンや器具を使ったトレーニングにトライしてみましょう。
自重によるトレーニングに比べて、バーベルやダンベルなどの器具やマシンを使って行う筋トレは、より大きな負荷がかかるため、効率よく鍛えられる反面、間違った方法で行うとケガもしやすくなります。
ポイントは、適正な重さの器具を使い、正しいフォームで行うこと。まずは軽い重さのものから慣らしていきながら正しいフォームを確認してください。 万が一ウェイトを落としそうになったときに支えてもらえるように、はじめのうちは必ず横で人に見てもらいながら行いましょう。
胸板を厚くするトレーニング3.ベンチプレス
ベンチプレスは、大胸筋全体を鍛えることができる筋トレです。ベンチに仰向けの姿勢でバーベルを両手で持ち、ヒジを曲げ伸ばししながらバーベルを上げたり下げたりします。
このとき、万が一、手が滑ってバーベルを落とさないようにバーベルは必ず順手で握るようにしましょう。また、筋トレ初心者の方は安全のためにもトレーナーと一緒に行うようにしてください。
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ベンチプレスの詳しいトレーニング方法は「正しいベンチプレスのやり方|肩や手首を痛めないフォームを解説」をご覧ください。
胸板を厚くするトレーニング4.ダンベルフライ
ダンベルフライは、仰向けの状態で両手にそれぞれダンベルを持ち、両腕を開いたり閉じたりして大胸筋を鍛えるトレーニングです。
ダンベルフライには、ポジションによって2つの種類があります。頭が足よりも高い位置にある姿勢で行うのが「インクラインダンベルフライ」。主に大胸筋上部と内側を鍛えることができます。
一方、頭が足よりも低い姿勢で行う「デクラインダンベルフライ」では、大胸筋下部と内側を鍛えることができます。
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デクラインダンベルフライの詳しいやり方は「肩を痛めず大胸筋に効かせるダンベルフライのやり方を徹底解説」をご覧ください。
胸板を厚くするトレーニング5.チェストプレス
チェストプレスは、マシンを使って行い、大胸筋全体を鍛えることができる筋トレです。座った姿勢でマシンのグリップをつかみ、腕を前後に動かします。
チェストプレスのようなマシンを用いた筋トレは、腕の動かし方がブレずに同じ動作を繰り返し行うことができます。筋肉をつけたいときはこの同じ動作を繰り返し行うことが重要なので、大胸筋を厚くするためには、マシンを使用したトレーニングが効果的です。
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チェストプレスの詳しいトレーニング方法は「チェストプレス|大胸筋の上・中・下部を鍛え分けるやり方を解説」をご覧ください。
【TOREMOお悩み相談室】胸板を厚くしたい方の悩みや疑問をパーソナルトレーナーに聞いてみました!
最後に読者から寄せられた胸板を厚くするための筋トレに関する悩みを、パーソナルトレーナーに聞いてみました。今回、回答してくれるのは金田大治郎トレーナーです!
金田さん、本日はよろしくお願いいたします!今回のテーマは、マッチョの象徴でもある大胸筋のトレーニングですが、まずこちらの悩みから。
Q1.胸板を厚くするために胸筋の筋トレをしていますが、ちゃんと効いているのか不安です
「鍛えるべき筋肉を意識して行うとよい」とよく言われますが、普段は胸筋を意識することがないので正しくできているかわからないですよね。何か感覚をつかむコツはありますか?
胸回りの筋肉が硬くなっていると、刺激を感じにくいことがよくあります。そこでトレーニングを行う前に背中の後ろで手を組み、胸を張ってみてください。すると大胸筋がストレッチされることが感じられるかと思います。このように、まずは大胸筋をストレッチなどでリラックスさせると同時に、大胸筋に負荷がかかる感覚を確認してみましょう。
それからもう一度大胸筋に負荷がかかるトレーニングを行ってみると、前よりもはるかに大胸筋を感じやすくなっているはずです。
なるほど!ストレッチなどで大胸筋を伸ばして、まずは大胸筋が刺激される感覚を覚えるというのが、1つの解決策になりそうです。
Q2.毎日筋トレしていますが、トレーニング後はいつも胸筋が痛みます。
むむ!これはオーバートレーニングでしょうか?!この方は、筋トレ後は胸筋に力が入らなくなり、無理に力を入れようとすると痛みが走るそうです。その結果、4〜5日に一度しかトレーニングができず、トレーニングを始めて4カ月くらい経ちましたが、痛みがあるばかりでなかなか筋肥大の効果が見られず、悩んでいるようです。
その方の現在の筋力や、それに対するウェイトの重さや回数などを確認しないと正確なアドバイスはできませんが、そもそも痛みを感じながら我慢してトレーニングを続けると、思わぬケガにつながる可能性があります。したがって、もしも痛みがある場合は、すぐにトレーニングを中断したほうがよいでしょう。
痛みを感じる原因として考えられるのは肩周りの柔軟性です。大胸筋を支えている肩周りがこりかたまっていたり、関節が少しでもずれていたりすると、筋肉よりもその関節や腱などに負荷がかかってしまいやすく、痛みが生じる場合があります。
そこでトレーニングを行う前にストレッチポールなどの筋膜リリースと言われる器具を使って、骨や各関節の位置を本来ストレスのないポジションに整えてからトレーニングを行うようにしましょう。
筋トレを行う前に、しっかりと体をほぐしたり整えたりする準備運動が大切だというわけですね。準備を怠るとケガにもつながるので、ここはしっかりとやっていきましょう。
Q3.大胸筋の大きさが「左右非対称」になってしまいます
その他に今回、多かったのが左右差に関する悩みです。特に大胸筋は大きさが左右非対称だと、ちょっとかっこ悪いですよね。そもそも大胸筋が左右非対称になってしまう原因と、その対策方法を教えてください。
人それぞれに利き手があるように、「大胸筋の大きさが左右非対称になってしまう」という悩みを持つ人はけっこう多いですね。解決策としては、両腕の柔軟性の違いをなくすことから取り組むとよいと思います。
まずは左右差をチェックする方法として、背中の後ろで片方の手を肩の上から、もう片方は腰辺りから手を伸ばして、手が組めるか試してみてください。すると、左右の柔軟性の差がわかります。
そこで硬いと感じた方の筋肉をストレッチなどで柔らかくしてから筋トレすることで、バランスよく鍛えやすくなるでしょう。
また、おそらく実際の動きも左右不均等になっていることが考えられるので、トレーニングする際には鏡などを利用して客観的にフォームをチェックしながら行うと、意識して左右差をなくしていくことができるので、ぜひ試してみてください。
Q4.大胸筋の下部ばかりが鍛えられて、上部が上手く筋肥大しません
これもバランスよく鍛えるためにはどうすればいいか、という内容ですが、この方は大胸筋でも上部と下部の鍛え方で悩んでいるようです。上部を効率よく鍛えるトレーニング方法とポイントを教えてください。
大胸筋は大きな筋肉なので、トレーニングのやり方次第でこうした悩みが出やすい筋肉でもあるんですね。
バーベルのような器具を使ったトレーニングで大胸筋下部ばかりに負荷がかかる理由として「胸の位置と負荷をかける器具の位置関係」が適切でないことが考えられます。
単純にみぞおち近くから持ち上げる動作と、肩の位置近くから持ち上げる動作とでは、重力や負荷のかかり方が変わってきます。
この中で特に大胸筋上部を鍛えたい場合は、ベンチを斜めにして行う「インクラインダンベルプレス」がおすすめです。 上半身を傾けて行うダンベルプレスやベンチプレスは、重力を上手く使うことで、胸全体から一定の部位だけに負荷がかかるようになるので、ぜひ試してみてください!
金田さん、本日はありがとうございました!
まとめ
「胸板を厚くする(=筋肥大させる)」には、大胸筋を鍛えることで達成されます。ジムでマシンや器具を使って行う筋トレでは、正しいフォームと適正な重さで行うことが大切。まずは軽めのウェイトで始めて、慣れてきたら少しずつ回数や、重さを徐々に増やしていきましょう。無理はケガにつながるので、絶対に禁物です。
鍛えらえる大胸筋の部位 | 効果的な筋トレ法 |
全体 |
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上部 |
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下部 |
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内側 |
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外側 |
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この中でもベンチプレスとダンベルフライは、重い器具を体の上で持ち上げます。自分がギリギリ持てる重量で行うときは必ず誰かに補助をしてもらいましょう。
特にベンチプレスはトレーニング中に持ち上げられずにつぶれてしまうと、大事故につながります。自分がどの程度の重さまで持ち上げられるのか把握していない段階では、自分の限界に挑戦するのは避けましょう。
まずは軽めの重量で筋トレに慣れ、正しいフォームでトレーニングできることを最優先にしましょう。その後徐々に重量を上げ負荷をかけていきましょう。
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