ダイエットをする上で欠かせない「代謝」。「代謝が良い」「代謝が高くなる」という言葉がありますが、そもそも「代謝」とは何を指すのでしょうか?
今回は、代謝の意味から、代謝を上げるために効果的なトレーニングの方法や食材をご紹介します。
- そもそも代謝って何?
- 代謝を上げるために効果的なトレーニング方法は?
- 代謝を上げる食材には何がある?
代謝とは?|「代謝を上げる」の意味
代謝とは人間の体内で起こる、外界から取り入れた物質を使った化学反応の総称です。代謝は大きく「異化」と「同化」の2つに分けられます。
- 「異化」:物質を分解する反応のこと。例)糖質→ブドウ糖、タンパク質→アミノ酸
- 「同化」:物質を合成する反応のこと。例)アミノ酸→タンパク質
代謝の主な目的は「エネルギーを作り出して消費する」こと(エネルギー代謝)。したがって、「代謝を上げる」「代謝を良くする」というのは、エネルギー代謝によるカロリーの消費量を増やす、という意味で使われることがほとんどです。
エネルギー代謝は、使われるシーンや目的によって主に以下の3パターンに分けられます。
基礎代謝を上げる|筋肉量を増やす
基礎代謝とは人間の生命を維持するために使われる最低限のエネルギーのこと。基礎代謝は人間が1日のうちに消費する全てのエネルギーのうち、6割を占めています。
内臓や脳、筋肉を動かしたり、呼吸をしたりするために使われており、安静にしている間も寝ている間も生命を維持し続ける限り基礎代謝は発生します。
基礎代謝が使われる上位の部位には肝臓、脳、筋肉、腎臓、心臓などがありますが、この中で自分の意思で動かせるのは筋肉しかありません。そのため、基礎代謝を上げるためには、筋肉量を増やすのが効果的です。
活動代謝を上げる|日常生活における運動量を増やす
活動代謝とは、ジョギングや筋トレなどの運動や、通勤する、仕事をするなどの日常生活の中で消費されるエネルギーのことです。さらに、活動代謝から運動によるエネルギー消費量を引いたものをNEAT(非運動性活動熱産生)と呼びます。
活動代謝を増やすためには、単純に運動頻度を増やすか、あるいは通勤時に1駅分歩く、階段を使う、姿勢を維持する(姿勢を維持するためには背中やお腹の筋肉が使われている)など、意識的に体を動かすようにしてNEATを増やすかのどちらかでしょう。
DIT(食事誘発性熱産生)を上げる|タンパク質を積極的に摂る
DITとは食事をした時に発生するエネルギー消費のこと。主に消化吸収のために内臓を動かしたり、体の体温を上げるために使われます。
ちなみに、なぜ体の体温を上げるのかというと、栄養素を分解・合成させるために必要な酵素が最も活発に働く温度が37〜38度だから。
また、DITは食べるものによって差があります。三大栄養素を比較してみても、それぞれDITが異なり、炭水化物と脂質はカロリーのうちDITとして消費されるのは7%に留まりますが、タンパク質は摂ったカロリーのうち30%がDITに使われます。
つまり、DITを上げるためにはタンパク質を積極的に摂取することが重要なのです。
運動で代謝を上げる|基礎代謝を上げるトレーニングメニュー
基礎代謝を向上させるためには筋トレを行って、筋肉量を増やすことが重要です。また、代謝の向上を目的とする場合は、体積の大きな筋肉が多くついている下半身を鍛える種目を取り入れることで効率良く筋肉量を増やせます。
特にランジやスクワットなどの複数の筋肉を同時に使うようなトレーニングは代謝アップにぴったりの種目と言えるでしょう。
ここでは、「代謝を上げたい!」という方におすすめの代謝を上げるトレーニングメニュー(1週間)をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 土曜日 | 日曜日 |
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休み |
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休み |
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休み |
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※各種目10回×3セットを目安に行う。
基礎代謝とは別に、筋トレ後48〜72時間は代謝が向上すると言われています。その理由としては、筋トレで損傷した筋繊維を回復させたり、筋トレで枯渇したグリコーゲンを補充したりなど、体に備わる恒常性の機能「ホメオスタシス」(体を一定の状態に保つ機能)が作用しているから、という説が有力です。
種目1.ランジ
- 足を踏み出す時のフォーム(①踏み出して着地する時に前足のヒザの角度が90度になるようにする②前足はかかとからつま先の順に着地する③前足の太ももと後ろ足のふくらはぎが平行になるまで上体を落とす④後ろ足のつま先がまっすぐ前を向くようにする⑤頭からお尻までが一直線で結ばれる姿勢を保つ)に気をつける
- お腹に力を入れる
ランジの詳しいトレーニング方法は「ランジで太ももとお尻を鍛える!効果的なトレーニング方法を紹介」をご覧ください。
種目2.スクワット
- 足を肩幅よりやや広めに開く
- つま先は外側に向ける
- 体を落とした時に背中とすねが平行になるように意識する
- ヒザはつま先よりも前に出てOK
- 自然な立ち姿になるまで体勢を戻す
スクワットの詳しいトレーニング方法は「そのスクワットは間違っている?!太ももに効くフォームを解説」をご覧ください。
種目3.プッシュアップ
- 体のラインをまっすぐにキープする
- 体をゆっくりと深く落とす
- 呼吸を止めない
プッシュアップの詳しいトレーニング方法は「プッシュアップ(腕立て伏せ)は胸の筋トレ!効果的なやり方を解説」をご覧ください。
種目4.ショルダープレス
- 親指側にダンベルを傾ける
- 体よりもやや前でダンベルを上げ下げする
- ダンベルを上げる時にヒジを伸ばし切らない
ショルダープレスの詳しいトレーニング方法は「ショルダープレスで三角筋を鍛える!僧帽筋の関与を抑えるコツを解説」をご覧ください。
種目5.ベントオーバーローイング
- 肩甲骨を寄せて胸を張る
- 脇を閉める
ベントオーバーローイングの詳しいトレーニング方法は「ベントオーバーローイングで背中を強化!腰を痛めないコツも解説」をご覧ください。
種目6.クランチ
- 自分のおへそを覗き込む
- 起き上がるときに息を吐き、戻すときに息を吸う
クランチの詳しいトレーニング方法は「筋トレ初心者必見|10種類のクランチのやり方と効果を徹底解説」をご覧ください。
食事で代謝を上げる|DIT を上げる食材リスト
すでにお伝えした通り、DIT を上げるためにはタンパク質を積極的に摂取しましょう。また、以下に、代謝を上げるために効果的な食材を表にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
食材名 | 種類 | メモ |
オリーブオイル | 脂質 | オリーブの葉から抽出されたエキスはアドレナリンの分泌を促し、代謝を高める。 |
唐辛子 | 辛味成分 | 唐辛子の成分カプサイシンは脂肪燃焼や血行促進を促す。生姜の成分ショウガオールは体温をアップさせて代謝を高める。Z |
生姜 | ||
青魚 | タンパク質 | DITの高いタンパク質は毎食ごとに必ず食べる。特に青魚に豊富に含まれるEPAやDHAは交感神経を刺激して代謝を高める。 |
大豆食品 | ||
肉類 | ||
乳製品 | ||
卵 | ||
玄米 | 未精製食品 | 食物繊維を多く含み、血糖値が上がりにくい未精製製品のものを選ぶ。 |
五穀米 | ||
そば | ||
黒ぱん | ||
玉ねぎ | ケルセチン (抗炎症物質)を豊富に含む |
ケルセチンやタウリンなどの抗炎症物質は白色脂肪細胞の炎症を抑えて肥満を予防する。 |
アスパラガス | ||
ブロッコリー | ||
イカ | タウリン (抗炎症物質)を豊富に含む |
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タコ | ||
牡蠣 |
▲ 参考:雑誌Tarzan No.727「上げろ! 「代謝力」」
まとめ
今回は代謝を高めるために効果的なトレーニングメニューや食材をご紹介しました。
いくら食事制限や有酸素運動で体脂肪を落としても、代謝を上げなければ、その効果が頭打ちになる日がいつかやってくるでしょう。
また、代謝の向上を考えずに、有酸素運動や厳しい食事制限による体重を落とすだけのダイエットを行ったとしても、ダイエット後にリバウンドしてしまう可能性が相当高いと言えます。
ダイエットの成功を一時的なものにしたくないのであれば、「代謝を上げる」というアプローチは避けては通れません。
パーソナルトレーニングの中には、プログラム終了後のことも見据えた上で、リバウンドのリスクを減らす指導を得意としているジムもあります。ダイエットを成功させ、さらに体形をずっとキープしたいという方はぜひパーソナルトレーニングを受けてみてください。
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