ダイエットをしている方の中には糖質の摂取量を控えているという方もいることでしょう。
しかし、たとえダイエット中であっても筋トレをする場合は糖質を摂取することをおすすめします。
今回は筋トレ時に糖質を摂取した方が良い理由や摂取のタイミング、タンパク質との摂取割合をご紹介します。
- 筋トレ時に糖質を摂取した方が良い理由は何?
- 糖質はどのタイミングで摂取すれば良いの?
- 筋トレ中の糖質制限はNG?
筋トレ時は「糖質」を摂取した方が良い理由
糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたもので、米やパンなどの穀類や、カボチャやジャガイモなど根菜に豊富に含まれます。
ブドウ糖に分解されると、小腸で吸収され、その後血液中に溶け込み、血糖となって全身の細胞に運ばれます。また、グリコーゲンとして、筋肉と肝臓に貯蓄されます。糖質1gでおよそ4kcalに値します。
まずは筋トレ時に糖質を摂取した方が良い理由をご紹介します。
理由1.筋トレでは「糖質」がメインのエネルギーとして消費されるから
筋トレ時にメインのエネルギーとして消費されるのが「糖質」です。
筋トレ中は筋肉や肝臓に貯蔵されているグリコーゲンを消費しますが、人間の体にはタンパク質や脂質を分解して糖を作り出す「糖新生」という働きが備わっているため、グリコーゲンが不足すると、筋肉中のタンパク質が分解されて糖質に変換されてしまいます。
だからこそ、筋トレ前に糖質を補給しておき、さらに筋トレ後も素早く糖質をチャージして必要以上にタンパク質が分解されてしまうのを防ぐ必要があるのです。
理由2.「インスリン」がアミノ酸を筋肉中に運ぶ働きをするから
アミノ酸とはタンパク質を構成する分子のこと。タンパク質はそのままのサイズでは大きすぎるため、細胞で使えるほどのサイズ(=アミノ酸)まで分解され、小腸で吸収されます。
糖質を摂ると、血糖値が上昇するため、上昇した血糖値を通常値に戻す(血糖値を下げる)ホルモン「インスリン」が分泌されます。
インスリンの働きの1つがアミノ酸を血液中に送り込むこと。つまり、インスリンが分泌されると、アミノ酸がより短時間で血液中に届けられるようになるということです。
特に、筋トレ直後から30〜45分間の「ゴールデンタイム」においてはインスリンのアシストが重要になります。
タンパク質の合成がもっとも活発化する、筋トレ直後から30〜45分間のタイミングのこと。このタイミングでタンパク質やアミノ酸を供給することで、タンパク質の合成がより活発化して筋肉の回復が促進されます。
ゴールデンタイムは筋肉を育てる絶好の機会。ゴールデンタイムを逃さないように、筋トレ後は素早くタンパク質を補給する必要があるため、糖質を一緒に摂取してインスリンを分泌させるという訳です。
筋トレで「糖質」を摂取すべきタイミング
ここまで説明してきてすでにお分かりかもしれませんが、筋トレをする時は、筋トレ前と後の両方のタイミングで糖質を摂取するのが効果的です。
- 筋トレ前に糖質を摂取することで得られる効果
トレーニング中にエネルギー(グリコーゲン)が不足し、筋肉中のタンパク質が分解され、糖に変換されてしまうのを防ぎます。
- 筋トレ後に糖質を摂取することで得られる効果
トレーニング後の体はエネルギーが枯渇した状態です。エネルギーが枯渇した状態で放置すると、体は筋肉中のタンパク質を分解して糖を生み出そうとします。こうなると、筋トレでタンパク質の合成が活発化されても相殺されてしまい、せっかくの筋トレの効果が薄れてしまいます。
タンパク質の分解を抑制するためにも、筋トレ後に糖質を摂取することは重要です。
また、糖質を摂取してインスリンが分泌されれば、より素早くアミノ酸が血液中に運ばれやすくなります。「ロイシン」などのアミノ酸はタンパク質の合成を加速させる働きを持っているため、筋トレ後に糖質を補給することで、タンパク質の合成がより効率的に行われるようになります。
筋トレ直後は「糖質:タンパク質=3:1」の割合で摂取する
筋トレ直後の糖質とタンパク質の摂取割合には黄金比率があることが分かっています。
運動直後のタンパク質と糖質の摂り方には、黄金比率があります。タンパク質1に対して糖質を3。1:3の比率で補給すると吸収効率が最大になるという実験データがあるのです。
出典:横浜市リゾート&スポーツ専門学校講師坂詰真二著「筋トレと栄養の科学」
また、運動直後は、血液が筋肉に集まっているため、消化機能が低下した状態にあります。タンパク質や糖質を固形物で摂取すると、消化に時間がかかってしまい、ゴールデンタイムを逃してしまうかもしれません。
したがって、筋トレ直後は消化に時間のかからない粉末や液体状のものでタンパク質や糖質を摂取するのが効率的です。オレンジジュースなど果汁の入ったジュースに粉末状のプロテインを溶かして飲むと良いでしょう。
運動直後に摂取するタンパク質はゴールデンタイムに筋肉を作る材料になる訳ではありません。「ロイシン」などのアミノ酸にタンパク質の合成を加速させる働きがあることから、「筋トレ直後はタンパク質を摂取すると良い」と言われています。
筋トレ直後に摂取するタンパク質は、タンパク質の合成を後押しするような役割に留まるため、それほど多くの量を摂取する必要はありません。
横浜市リゾート&スポーツ専門学校講師・坂詰真二氏の著書「筋トレと栄養の科学」では、運動後のプロテイン摂取目安量は体重の6分の1をgにした量とされています。
このプロテインの量をもとに、糖質の摂取量を考えましょう。
筋トレ時に「糖質制限」をすると筋肉が付きにくくなる
糖質の摂取量を制限する糖質制限ダイエット。短期間で効果を実感しやすいダイエット法ですが、筋トレをしている方にとっては、筋肉が付きにくくなるというデメリットがあります。
繰り返しお伝えしているように、人間の体にはタンパク質や脂質を分解して糖を生み出す「糖新生」という働きが備わっており、糖質の摂取量を制限して、糖質が不足すると、筋肉中のタンパク質が分解されやすくなってしまうからです。
糖質制限の筋肉が落ちやすいというデメリットを補うために、糖質制限と筋トレを組み合わせて行うダイエット法もありますが、筋肉を増やすことを優先的に考えるのであれば、極端な糖質制限は控えるのが無難です。
まとめ
今回は、筋トレ時に糖質を摂取した方が良い理由や、摂取のタイミング、タンパク質との摂取割合をご紹介しました。
筋肉を育てるためには、トレーニングだけではなく、適切な栄養を摂取することも必要不可欠です。トレーニングを頑張ったとしても、その後の栄養摂取に問題があれば、トレーニングの効果が損なわれてしまう可能性もあります。
栄養面も含めて体づくりを効率的に行う場合は、ぜひパーソナルトレーニングの利用を検討してみてください。パーソナルトレーナーがあなたのライフスタイルや目的、体の作りを考慮した上で、理想の体を作るための道筋を示してくれるはずです。
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