「筋トレをするならタンパク質を摂った方がいいと聞いたけれど、どれくらいの量をどのタイミングで摂れば良いの?」「タンパク質ってどんな食材に含まれるの?」などの疑問を抱いている方はいませんか?
今回は、筋トレをするならタンパク質を摂取した方が良いと言われる理由や、タンパク質を摂取するタイミング、量などをご紹介します。
- どうしてタンパク質を摂った方が良いの?
- タンパク質はいつ摂れば良いの?
- タンパク質はどのくらいの量を摂れば良いの?
- タンパク質を多く含む食材は何?
筋トレをする時に「タンパク質」が必要な理由
筋トレをするなら、タンパク質の摂取が必要不可欠です。まずはその理由からご説明しましょう。
理由1.筋肉はタンパク質から作られるから
筋肉はタンパク質から作られます。当然ながら、材料がなければ筋肉を作ることができないため、筋肉を育てるためにはタンパク質をしっかりと摂取することが大切です。
また、タンパク質は20種類のアミノ酸により構成されますが、そのうち、「必須アミノ酸」と呼ばれる9種類は体内で合成できません。必須アミノ酸が1種類でも必要量に達していないとタンパク質がきちんと合成されないため、タンパク質の中でも特に「必須アミノ酸」を多く含む食材を食べるようにしましょう。
理由2.トレーニングによる疲労を回復させるから
アミノ酸が2種類以上結合したものを「ペプチド」と言いますが、ヒスチジンとβーアラニンなどが結合したものをイミダゾールジペプチドと言います。
このイミダゾールジペプチドの働きの1つとして挙げられるのが筋肉の疲労を回復させる効果です。
代表的なイミダゾールジペプチドにカルノシンとアンセリンがありますが、人の体に多く存在するのはカルノシン。疲労回復にはカルノシンとアンセリンの両方が大切であるため、アンセリンを多く含むマグロや鶏肉をたくさん食べることで、筋肉の疲労回復を促進させられると言われています。
筋トレにおけるタンパク質(プロテイン)摂取のタイミング
では、どのタイミングでタンパク質を摂取するのが良いのでしょうか。
確実に摂取してほしいのは筋トレ後30分〜45分のタイミングです。なぜなら、タンパク質の合成がもっとも活発化するのが筋トレ後30分〜45分の間だと言われているからです。
このタイミングの時にタンパク質が不足していると、せっかくの筋肉量アップのチャンスが台無しになってしまいます。
筋トレ直後はプロテインやBCAA(必須アミノ酸のうち「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」を取り出したもの)をしっかりと摂取して、タンパク質の合成を加速させましょう。
筋トレ直後はタンパク質と糖質を1:3の比率で摂取する
筋トレ後にプロテインを飲む際は、併せて糖質も摂取するようにしましょう。
その理由は2つあります。
1つ目の理由は、トレーニング後に糖質を摂取することで筋肉中にあるタンパク質の分解を抑制できるから。
トレーニング後の体は、体を動かすエネルギー源である糖質が不足した状態にあります。糖質が不足したまま放置していると、筋肉中のタンパク質が分解されて糖質が作られる働きが生じるため、筋肉の分解が促進されてしまいます。
したがって、筋肉中のタンパク質の分解を抑制するために、素早く糖質を補給することが大切なのです。
2つ目の理由は、糖質はタンパク質の合成を手助けするから。
糖質はタンパク質が消化・吸収される段階で必要な栄養素であり、糖質を摂取することで分泌されるインスリンはアミノ酸を血液中に送り込む働きを活性化させます。
1日あたりのタンパク質の目安の摂取量
1日あたりのタンパク質の目安の摂取量は体重1kgにつき1gです。ただし、本格的な筋トレをする場合はタンパク質をより多く摂取する必要があるため、1.4〜1.8gを目安にすると良いでしょう。
タンパク質は1日3食の食事を通してしっかりと摂取することが重要ですが、筋トレ直後はタンパク質を素早く供給する必要があるため、食材を通してではなく、より消化されやすいプロテインを活用することをおすすめします。
ちなみに、横浜リゾート・スポーツ専門学校講師・坂詰真二氏が監修している書籍『筋トレと栄養の化学』では運動後のプロテインの摂取量の目安は体重の6分の1をgにした値とされています。
筋トレ中の効果的なタンパク質の摂り方のコツ
ここからは、筋トレをする方にぜひ知っておいてほしいタンパク質の効果的な摂取方法をご紹介します。
コツ1.1日3食の食事でもタンパク質を摂取して血液中のアミノ酸濃度を常に一定に保つこと
血液中のアミノ酸濃度を常に一定に保ち、必要なタイミングで素早くアミノ酸を筋肉に送りこめる体制を整えておくことが筋肉を育てていくために重要です。
したがって、タンパク質は筋トレ直後にプロテインを摂取するだけでは不十分。1日3食の食事でもしっかりとタンパク質を摂取するようにしてください。
コツ2.朝食では必ずタンパク質を摂ること
寝ている間はタンパク質の摂取がストップされるため、分解されるタンパク質の量が増えやすい傾向にあります。
タンパク質の分解を食い止めるために、朝食でタンパク質を補給するようにしましょう。
コツ3.ビタミン・ミネラルをしっかり摂ること
タンパク質が消化・吸収される段階においては、ビタミンやミネラルが必要不可欠です。
タンパク質だけを摂っていても筋肉を効果的に作ることはできないため、野菜やフルーツなどビタミンやミネラルが豊富な食材もしっかり食べるようにしましょう。
特に、バナナやブロッコリーに多く含まれるビタミンB6はタンパク質の合成をサポートする働きがあります。
コツ4.筋トレ後48時間はタンパク質をしっかり摂ること
タンパク質の合成がピークを迎えるのは筋トレ後30〜45分の間。その後ペースは緩やかになるものの、筋トレ後24〜48時間程度は通常よりもタンパク質の合成が活発化している状態が継続します。
そのため、筋トレ直後だけではなく、筋トレをした翌日や翌々日もタンパク質をしっかり摂ることを意識しましょう。
タンパク質を豊富に含む食材リスト
以下では、タンパク質を豊富に含む食材を紹介します。食事を摂る際の参考にしましょう。
食材名 | タンパク質量 |
うなぎの蒲焼き1尾160g | 36.8g |
牛すじ肉100g | 28.3g |
鯖味噌煮缶1缶160g | 31.0g |
いわし味付け缶1缶150g | 30.6g |
鶏ささみ肉100g | 23.0g |
豚ひれ肉100g | 22.8g |
カツオ1切れ150g | 25.0g |
鯖1切れ120g | 24.8g |
マグロ赤身100g | 24.3g |
焼き豆腐1丁300g | 23.4g |
キンメダイ1切れ120g | 21.4g |
牛ひれ肉100g | 21.3g |
子持ちガレイ1切れ170g | 20.3g |
鶏ひき肉100g | 20.9g |
コンビーフ缶100g | 19.8g |
鶏卵Mサイズ2個 | 12.6g |
鶏レバー100g | 18.9g |
あたりめ20g | 13.8g |
出典:「Tarzan特別編集 ≪新装版≫足りないヒトの・・・・・・タンパク質チャージ術!」
タンパク質の質はアミノ酸スコアで決まる
タンパク質の質はアミノ酸スコアで決まります。
アミノ酸スコアとは、タンパク質に含まれる必須アミノ酸の含有バランスを点数化したものです。
他のアミノ酸がどんなにあろうと、必須アミノ酸が1種類でも必要量に満たしていないと、タンパク質は効果的に合成されません。
必須アミノ酸は体内での合成もできないため、食事を通して意識的に必須アミノ酸9種類をしっかりと摂るようにしましょう。
▼必須アミノ酸の種類
必須アミノ酸 | 多く含まれる食材 |
ロイシン | 肉や乳製品 |
イソロイシン | 牛乳、プロセスチーズ、鶏肉、サケ |
リジン | 肉、魚、卵、大豆製品 |
メチオニン | 牛乳、レバー、全粒小麦 |
フェニルアラニン | 乳製品、肉、魚介類、豆類 |
スレオニン | 七面鳥、卵、ゼラチン |
トリプトファン | 乳製品、大豆製品、ナッツ類 |
バリン | プロセスチーズ、仔牛肉、レバー |
ヒスチジン | チェダーチーズ、ハム、鶏肉、仔牛肉 |
参考:栄養学博士白鳥早奈英監修「知っておきたい栄養学」
筋トレの効果を高める「ロイシン」を積極的に摂取すること
必須アミノ酸の中でもとりわけ「ロイシン」はタンパク質の合成に欠かせない栄養素です。
ロイシンの働きは「筋肉の細胞内の遺伝子に呼びかけて、筋肉の合成を促す」こと。
ロイシンは、チーズや大豆食品、肉類に多く含まれており、かつBCAAの構成要素の1つでもあります。
タンパク質を摂取するメリット
タンパク質を摂取するメリットは「筋肉の成長」以外にも多くあります。
メリット1.DITが高いから太りにくい
カロリーとなる3大栄養素「糖質(炭水化物)」「脂質」「タンパク質」はそれぞれ炭水化物とタンパク質は1gあたり4kcal、脂質は1gあたり9kcalあります。
このカロリーのうち、一部はDIT(食事誘発性熱産生)として消費されますが、3大栄養素のうち、DITの割合が一番高いのがタンパク質です。つまり、タンパク質は摂取しても脂肪になりにくいということ。
同じカロリーの食事でもタンパク質の割合が多ければDITが高くなるため、太りにくいメニューだと言えます。
メリット2.貧血予防になる
貧血の原因の1つがヘモグロビンの欠乏です。貧血を予防するために「鉄分をしっかりと摂る」ということはよく知られていますが、実は貧血を予防するためには、鉄分だけではなく、タンパク質の摂取も欠かせません。
なぜなら、ヘモグロビンはタンパク質と鉄分が合体して作られるからです。鉄分を摂っているのに貧血が改善されないという方はタンパク質が不足しているのかもしれません。
メリット3.抗酸化作用がある
人間は呼吸を通して酸素をたくさん吸い込んでいますが、吸入した酸素のうち、一部は活性酸素に変換されます。
活性酸素は疲労や老化、ガンを招きやすいと言われている、健康を維持する上であまり望ましくない物質です。したがって、活性酸素を除去する働き、つまり抗酸化作用のある食材を食べることが大切になりますが、抗酸化作用のある食材の1つに牛肉や鶏肉、豚肉などの食肉が挙げられます。
というのも、食肉には「抗酸化ペプチド」と呼ばれるアミノ酸が含まれているからです。有害な活性炭素を少しでも除去するためには、食肉を意識して食べるのが良いでしょう。
メリット4.美肌効果
肌のツヤやハリを出すのに欠かせないコラーゲンはタンパク質から作られるため、美しい肌を作るためにはタンパク質の摂取が必要不可欠です。
イメージとしては、コラーゲンを増やすというよりも、回転率を上げると言った方が正確です。コラーゲンは一度作られるとなかなか壊れにくいという特徴がありますが、コラーゲンは時間が経つと硬くなってしまうため、いくらコラーゲンの量が多くても古いコラーゲンが多いと肌からハリが失われます。
そこで、タンパク質を積極的に摂取して新鮮なコラーゲンをどんどん生み出し、肌の表面の下・真皮層にあるコラーゲンを常にフレッシュな状態にしておくことが大切なのです。
また、タンパク質は肌の保湿成分であるヒアルロン酸の生成量にも関係していると言われているため、この意味でもタンパク質は美肌に欠かせない栄養素だと言えるでしょう。
タンパク質を摂り過ぎるデメリット
反対にタンパク質を摂り過ぎるデメリットもあります。
目安ですが、体重1kgにつき2gを超えるタンパク質の摂取は控える方が無難です。
デメリット1.内臓に負担がかかる
アミノ酸をタンパク質に再合成する作業は肝臓で行われるため、タンパク質の摂取量が増えると肝臓に負担がかかります。
特に、アルコールを飲む方は要注意。アルコールの分解も肝臓で行われるため、タンパク質の過剰摂取とアルコール摂取が重なると肝臓の負担が大きくなってしまいます。
デメリット2.カルシウム不足になりやすい
体内で使われずに余ってしまったアミノ酸は肝臓で分解されてアンモニアとなり、やがて尿として体外に排出されますが、アミノ酸が排出される際は一緒にカルシウムも排出されてしまうというデメリットがあります。
カルシウムは骨を作るために欠かせない栄養素です。筋トレをしていてタンパク質の摂取が増える際は、カルシウムの摂取量も気持ち多めになるように心がけると良いでしょう。
デメリット3.腸内環境が悪化しやすい
横浜リゾート&スポーツ専門学校講師・坂詰真二氏の著書『筋トレと栄養の科学』によると、人間の体が一度に吸収できるタンパク質の量は40gとされています。
そのため、タンパク質を摂取しようと肉類を大量に摂取してしまうと、アミノ酸として吸収されることなく、大腸に送られます。中には十分に消化されることなく大腸に届いてしまうこともあり、大腸内で腐敗したり、大腸菌を増やしたりするケースがあります。
このように、肉類などの動物性タンパク質の過剰摂取は腸内環境の乱れにつながりやすく、おならの臭いがきつくなったり、便秘や下痢になったりする可能性があるため、注意しましょう。
デメリット4.脂肪になる
タンパク質を摂れば摂るほど筋肉が作られるという訳ではありません。必要以上のアミノ酸は脂肪として体に蓄積されます。
また、タンパク質を多く含む肉類は脂質を多く含むため、タンパク質を摂取しようと肉類ばかりを食べていると、結果的に肥満に繋がってしまう可能性もあるため、注意してください。
まとめ
今回は筋トレをする場合にタンパク質を摂取した方が良い理由や、摂取するタイミング、量、食べるべき食材などをご紹介しました。
筋トレを続けていると、自分のカラダへの興味が湧きやすいものです。「何を食べたら筋肉がより効率的に育つの?」「トレーニングをより効果的に行うためにはどんな食事を摂れば良いの?」など、人間のカラダの成り立ちは想像以上に奥深いと感じている方も多いのではないでしょうか?
もしもカラダの仕組みやトレーニングについて興味が湧いてきたという方はパーソナルトレーニングの利用を検討してみるのもおすすめです。パーソナルトレーニングでは、トレーニング手法はもちろん、食事についてのアドバイスをもらえるケースも多くあります。
まずは体験からでも問題ありません。ぜひ一度パーソナルトレーナーの話を聞きに行ってみましょう。
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