体を動かした後に飲む“ 一杯”は言葉では表現できないほど格別です。
しかしながら、まことしやかに囁かれる「アルコールを飲むと筋トレの効果が半減する」という噂を気にしている方もいるのではないでしょうか?
そこで今回はアルコールと筋トレの関係についてパーソナルトレーナーに教えて頂きました。
- 筋トレをする日は飲まない方がいい?
- 飲酒の筋トレへの影響は?
- いつ、どのくらい、どんなお酒なら飲んでもいいの?
- 筋トレをするとお酒に強くなるの?
筋トレをする日はお酒を控えるべき?
ズバリ聞かせて頂きたいのですが、トレーニングをした日にお酒を飲むのはNGでしょうか?
体を動かした後のお酒は格別ですよね。お気持ちは分かりますが、「筋トレの効果を最大限まで高めたい」と考えるのであれば、筋トレをする日の飲酒は控えた方が良いでしょう。
ただし、毎日の飲酒を楽しみながらも、筋トレや食事管理をしっかりと行うことで、筋肉を増やしたりダイエットに成功したりする方もいらっしゃいますよ。
とはいえ、結果が思うように出ない場合は、自分の目標を達成するためにお酒を控える決断をすることも必要になってくるかもしれませんね。
筋トレに与えるアルコールの影響
では、アルコールの摂取は筋トレにどのような影響を与えるのでしょうか?ここでは、アルコールが筋トレに与える影響をご説明します。
影響1.肝臓で行われるタンパク質合成の効率を低下させて筋肉の回復を妨げる
アルコールを摂取すると、肝臓で「アセトアルデヒド(有毒物質)への分解」と「無毒化」が行われます。
肝臓は体内の化学反応が多数行われる臓器であり、タンパク質の合成も肝臓を通して行われます。
つまり、筋トレ後にアルコールを飲むと、本来タンパク質の合成に使われるはずだった分のエネルギーが、アルコールの分解と無毒化に割り当てられることになるため、アルコールを全く飲まない時と比べると、タンパク質の合成効率が下がりやすくなってしまうのです。
特に、筋トレ後30分から45分間は「ゴールデンタイム」と呼ばれる、タンパク質の合成が最も活発化するタイミングです。筋トレ直後に飲酒をすると、最も大きなタンパク質合成のチャンスを逃してしまう恐れもあるでしょう。
影響2.タンパク質の合成作用が低下して筋肉が作られにくくなる
アルコールを摂取すると、タンパク質の合成作用が低下して、筋トレ後の筋繊維の修復や合成効率が低下してしまう可能性があります。
アルコールを摂取することでタンパク質の合成作用が低下してしまう理由の1つは、タンパク質の合成を促進させるホルモン「テストステロン」の分泌量が減るということです。
厚生労働省労働局が平成14年に出した「アルコール関連問題等に対する取組の現状と課題」という資料には以下のような記述があります。
通常の飲酒でも、アルコールは睾丸における男性ホルモン(テストステロン)の産生を抑えてしまいます。
出典:厚生労働省労働局「アルコール関連問題等に対する取組の現状と課題」(平成14年)
また、「American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism」が2015年に発表したデータでは、「アルコールはタンパク質合成を低下させる」と結論づけられています。
これらのデータを見る限り、特に男性は、アルコールを飲むということは、タンパク質の合成作用が低下するリスクがあることを認識しておいた方が良いでしょう。
影響3.タンパク質の分解作用が上昇して筋肉が減りやすくなる
アルコールを摂取すると、タンパク質の分解作用が上昇するとも言われています。
アルコールを摂取することでタンパク質の分解作用が上昇してしまう理由の1つは、タンパク質の分解を促進するホルモン「コルチゾール」の分泌量が増えるということです。
東京大学名誉教授平山宗宏氏らが監修を務める公益社団法人アルコール健康医学協会のハンドブック「アルコールと健康」には以下の記述があります。
中等量から大量のアルコールを摂取すると、視床下部の神経伝達路が刺激され、CRFの分泌を介して、下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモンの分泌が促進される。その結果、副腎皮質機能が亢進し、血漿コルチゾール値が上昇する。
出典:社団法人アルコール健康医学協会のハンドブック「アルコールと健康」
また、「American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism」が2016年に発表したレポートにおいても、「アルコールの摂取はタンパク質の分解反応を刺激している可能性がある」と指摘されています。
影響4.水分量の減少を招いて筋肉の回復や合成効率を下げる
ご存知の方も多いと思いますが、アルコールには利尿作用があるため、アルコールを摂取すると体内の水分が排出されやすくなってしまいます。
体内の水分が担っている役割の1つが、各器官への栄養供給です。そのため、水分量が減ると栄養分の供給が停滞して、筋肉の回復スピードも落ちてしまいやすくなります。
影響5.筋繊維の部分的な壊死が起こる
アルコールを飲むと、筋肉の合成が停滞したり、分解が促進されたり、筋繊維が壊死したりする「急性アルコール性筋症」という症状が起こることがあります。
これは、アルコールを分解する過程で水やビタミンなどの栄養素が大量に消費されることが原因で、タンパク質の合成にまで手が回らなくなり、結果的に筋肉を維持するために必要なタンパク質が不足してしまうという症状です。
「お酒を飲んだ後に筋肉に痛みが生じた」というケースがありますが、これは急性アルコール性筋症の一例です。
筋トレとお酒に関するQ&A
では、最後に島村トレーナーに筋トレとお酒に関する質問にお答え頂きます。
Q1.筋トレ後、何時間経過したらアルコールを摂取しても良いですか?
なぜなら、汗をたくさんかいたことで筋トレ後は体内の水分量が低下しやすいため、その状態で利尿作用のあるアルコールを飲むと脱水症状を引き起こしやすくなるからです。
ちなみに、筋トレ後はお酒の回りも早くなりますし、睡眠の質も下がりやすいため、筋肉の回復が充分に行われない原因になってしまう恐れもあります。(話の本筋から逸れますが、筋肉の成長を促す成長ホルモンは睡眠中にたくさん分泌されますので、睡眠はしっかりと摂りましょう。)
Q2.筋トレ後にアルコールを飲むならば、適量はどのくらいでしょうか?
「どうしても……」という場合は、乾杯の一杯のみで我慢しましょう。ウォッカ、ウイスキー、焼酎、テキーラなどの蒸留酒です。ストレートではなく、水で薄めて飲みましょう。
Q3.筋トレをするとお酒に強くなるというのは本当ですか?
筋トレをしたからお酒に強くなるというよりも、筋肉量が多い人ほどアルコールに強い傾向はあると思います。
というのも、アルコールが分解されていく過程で生まれる成分の中には筋肉のエネルギーになるものがあり、筋肉量が多い人ほど、そのエネルギーを筋肉内で消費できるため、アルコール処理能力が高いと言えるからです。
また、筋トレをしている人の多くがアミノ酸やビタミンなど、アルコールの毒素を解毒するために必要な栄養素をしっかりと摂取しているため、「筋トレをしている人はアルコールに強い」というイメージが付いている可能性もありますね。
Q4.筋トレをしている人におすすめのお酒の種類は何ですか?
蒸留酒は、醸造酒を蒸留して抽出したアルコールで作られています。蒸留する過程でアルコールと香味成分のみを抽出するため、糖分がほとんど含まれていないという点でおすすめです。
まとめ
今回は、アルコールと筋トレの関係についてご紹介しました。
「筋トレをするならばアルコールは避けた方が良い」と理解はしているものの、仕事上の付き合いなどでお酒を控えるのが難しいという方もいることでしょう。そのような場合は、筋トレや食事管理を徹底的に行って、リカバリーしていく必要があります。
また、断酒せずにダイエットやボディメイクを行いたいという方は、個人のライフスタイルに合わせてオーダーメイドでプログラムを考えてもらえるパーソナルトレーニングを利用してみるのもおすすめです。
名前 | 営業時間 | 体験メニューの価格 | トレーニングエリア |
島村麗乃 | 6:00~21:00 | 5,000円~ |
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