言わずもがな、「食事制限」はダイエットの定番手段です。
「摂取カロリーよりも消費カロリーを増やせば痩せる」というダイエットの基本に則り、摂取カロリーを手っ取り早く減らす方法として多くの人が一番に思いつくのが「食事制限」なのでしょう。
しかしながら、過度な食事制限を行ってしまうと、体重が落ちにくくなったり、健康へ悪影響が出たりといったこともあるため、十分な注意が必要です。
今回は、食事制限を安全に行う方法をご紹介します。
また、中には「食事制限」と「運動」どちらがよりダイエットに効果的なの?という疑問を抱えている方もいると思いますので、併せて「食事制限」と「運動」のどちらがダイエットに効果的なのかということについても考えていきます。
無理なくダイエットできる食事制限の方法
「食事制限」は無理のないペースで一定期間続けるからこそ効果があります。ここでは、無理なく行える食事制限の方法をご紹介します。
- 夜だけ炭水化物を抜く
- 主食を豆腐・糸こんにゃくに置き換える
- 間食するならチーズやナッツにする
- 低カロリーかつ満足感を得やすい食材を摂る
方法1.夜だけ炭水化物を抜く
夕食時に主食である炭水化物を抜いて、糖質が脂肪に変わるのを防ぎましょう。
なぜ炭水化物を抜く必要があるかというと、炭水化物に含まれる糖質の摂取を抑え血糖値が上昇するのを防ぐためです。
血糖値が上昇すると、平常値に戻すためにインスリンというホルモンが分泌されます。これは血糖値を下げる役割以外にも、余った糖質を脂肪として蓄える働きを持っています。
そのため、インスリンの分泌量が多くなったり、余分な糖質が多くなったりすると、それだけ脂肪がつきやすくなると言えます。
特に夜は日中と違い活動量が減るため、糖質をエネルギーとして消費しにくい時間帯です。糖質を控えるなら夕食時がおすすめです。
主食を抜いた分はおかずを増やす
ただ主食を抜くだけでは、その分の栄養やエネルギーが不足してしまいます。例えば、炭水化物には食物繊維も含まれており、これが不足すると便秘などの体調不良につながります。主食を抜いた分の栄養バランスを考慮しましょう。
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方法2.主食を豆腐・糸こんにゃくに置き換える
主食には多くの糖質が含まれますが、主食なしのおかずだけの食事に抵抗がある方もいるでしょう。そんな時は他の食品で代用すれば、続けやすくなります。
例えばご飯であれば、木綿豆腐で代用することができます。ご飯(100gあたり糖質量36.8g)を木綿豆腐(100gあたり糖質量1.2g)で代用すれば大幅な糖質カットとなります。
- 木綿豆腐の水気を布巾などで十分に絞り、手でもみ砕いて粒状にする。
- フライパンで乾煎りして水気を飛ばしてパラパラにしたら完成。
たったこれだけで、ご飯代わりになります。乾煎りしているため、冷蔵庫で2~3日は保存でき、作り置きしておくことも可能です。
他にも、糸こんにゃく(100gあたり糖質量0.1g)を麺の代用にすることもできます。穀物から作られる麺類はどれも糖質が高いため、糸こんにゃくで代用すれば大幅に糖質をカットできます。
1~2分ほどゆでて臭みを抜き、水気を切れば、通常の麺類と同様に調理することで、麺類の代わりになります。
ただし、同じくヘルシーなイメージのある春雨は糖質の一種であるデンプンが多量に含まれるため、糖質が高く代用品には向きません。
※食品の糖質量は厚生労働省提供の「食品成分データベース」から引用
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「糖質制限中におすすめの「主食」の代用品とおかずのレシピを紹介」では主食の代用品に加え、糖質を抑えるおすすめレシピも紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
方法3.間食するならチーズやナッツにする
ダイエット中でも小腹が空いて間食をしたくなることもあるはず。そんな時はチーズやナッツなどの血糖値が上がりにくいおやつがおすすめです。
チーズにはカルシウムや脂肪燃焼を促すビタミンB2、美肌効果のあるビタミンAなどが含まれており、栄養・美容の両面からバランスの良い食材です。
また、ナッツには食物繊維や代謝を上げてくれる不飽和脂肪酸、アンチエイジング効果のあるビタミンEなどが含まれています。加えてナッツは噛み応えがあるため、少量でも満足感を得やすくなっています。
ただし、カシューナッツなど糖質が高いものもあるため注意が必要です。食べ過ぎにも注意してください。
チーズは1日約60gまで、ナッツは素焼きのものを1日約25gまでにしましょう。
方法4.低カロリーかつ満足感を得やすい食材を摂る
過食を防ぐためには、低カロリーながら満足感を得やすいサツマイモがおすすめです。
サツマイモのカロリーは、100gあたり134kcalです。同量のご飯(168kcal)と比べても低カロリーとなっています。
また、糖質量はサツマイモが100gあたり28.7gであるのに対し、ご飯は同量で36.8g含まれています。
さらに、サツマイモは食物繊維が多く含まれている(100gあたり2.2g)ため、ご飯(100gあたり0.3g)よりも血糖値を上げにくく、腹持ちが良いという特徴があります。
食物繊維は消化しにくいため、先に食物繊維を摂ると糖質の吸収がゆっくりになることがわかっています。糖質の吸収が穏やかになると、血糖値が急上昇し、インスリンが過剰に分泌されるのを防ぐことが期待できます。
つまり、同じ糖質を含む食品でも、食物繊維の量が多い食品の方が血糖値の上昇がおだやかになります。
食べ方としては、朝食か昼食にサツマイモご飯を取り入れるのがおすすめです。また、ご飯やパンなどの主食をサツマイモに置き換えるのもおすすめです。
ただし前述したように、糖質を含むことに変わりはないので食べ過ぎには注意し、夕食時に食べるのも控えるようにしてください。
ダイエットで食事制限をする際に考えられるデメリット
冒頭で触れたように、食事制限には「痩せにくくなる(停滞期が訪れる)」「健康を害する」などのリスクもあります。ここでは、ダイエットで食事制限をする際に考えられるデメリットを紹介します。
- 停滞期が訪れやすい
- 便秘になりやすい
- リバウンドしやすい
デメリット1.停滞期が訪れやすい
ダイエットにつきものの停滞期が訪れやすいという特徴があります。
そもそも停滞期の大きな原因の1つは、体に備わるホメオスタシス機能が挙げられます。
環境の変化などによって、体温や血糖値などが乱されないよう一定に保つための機能。体重の安定もそのうちの1つで、体内のバランスを保ち健康を維持するために必要なものです。
食事制限で摂取エネルギーが減ることによって、体重が減少していくと体は‟飢餓状態‟であると誤認します。すると、飢餓を乗り越えるために「食事からの摂取エネルギー量上昇」「消費エネルギーの抑制」といった反応を起こします。
つまり、体重の減少がストップするため、停滞期に陥ります。
これは本能的な反応なので、程度の差はあれどどのようなダイエットでも起こり得る可能性があり、仕方がない部分ではあります。
しかし、無理な食事制限など間違った方法でのダイエットほど、体が危機を感じるため起こりやすくなります。
デメリット2.便秘になりやすい
主食を抜くことで、食物繊維が不足し便秘につながることがあります。
前述した通り炭水化物には糖質だけではなく、食物繊維も含まれています。そのため、ただ炭水化物を抜くだけだと食物繊維が不足してしまいます。
食物繊維が不足すると、腸内細菌の「善玉菌」よりも「悪玉菌」の方が多くなってしまい、腸内環境が悪化します。
また、食物繊維が水分を吸収して膨らむことで、便のカサが増し、「ぜん動運動」という便を排出する動きが活性化するのですが、食物繊維が不足すればこの動きが鈍化してまいます。
腸内で便が滞りやすくなるため、結果的に便秘に悩まされてしまうというわけです。
食物繊維の不足を防ぐためには、主食を抜く際は意識的に野菜や海藻など食物繊維を多く含む食材を口にするようにしてください。
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食物繊維不足で起こる問題やそれを防ぐ方法については「糖質制限中の「食物繊維」不足を防ぐ!目安の摂取量と食材を紹介」で詳しく解説しています。ぜひこちらも参考にしてみてください。
デメリット3.リバウンドしやすい
食事制限にはリバウンドしやすいというリスクもあります。
というのも、筋肉の維持に取り組まずに食事制限だけでダイエットを試みると、脂肪だけではなく筋肉も一緒に落ちていくことになります。
筋肉量が低下するということは、基礎代謝が下がりエネルギー消費も落ちるということです。その状態で食事制限を止め、普段通りの食事に戻すと、脂肪がつきやすくなってしまいます。
つまり、リバウンドを引き起こしてしまうというわけです。
そのため基礎代謝の低下を防ぐために、筋肉を維持しながらダイエットを行う必要があります。筋トレで筋肉を保ちながら、痩せていくのがおすすめです。
「食事制限」と「運動」はどちらの方がよりダイエットに効果的なのか
ここまで、ダイエットにおける無理なく行える食事制限の方法をご紹介してきましたが、この記事を読んでいる方の中には、「結局のところ、食事制限と運動のどちらがよりダイエットに効果的なのか?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、食事制限と運動、どちらもダイエットには効果的です。
ダイエットの基本的な考え方は、「消費カロリーを摂取カロリーよりも増やすこと」。食事制限で摂取カロリーを減らしても良いですし、反対に運動をして消費カロリーを増やすのも良いでしょう。
食事制限も運動のどちらがよりダイエットに有効かというのは一概には言えません。
例えば、「毎日高カロリーな食事をしている」「食べる量が他人よりも多い」というように、太る原因が食生活にある場合は、食事制限で摂取エネルギー量を抑えた方が有効かもしれません。
しかし「デスクワークでほとんど運動をしない」「近距離でも車を使って歩くことがほぼない」という方であれば、食事制限よりも運動を習慣づけて消費エネルギーを増やした方が有効かもしれません。
このように、太る原因は人それぞれで、体質なども考慮すればダイエットに有効な手段は人によってまちまちです。
ダイエットは食事制限と有酸素運動と筋トレを組み合わせて行うのがおすすめ
前述したように、ダイエットは消費エネルギー>摂取エネルギーとすることが基本となります。そのためには、摂取エネルギーを減らす食事制限と消費エネルギーを増やす運動(有酸素運動+筋トレ)を組み合わせて行う方が効果的です。
筋トレには有酸素運動のような脂肪燃焼効果はありませんが、筋肉量をアップさせることで基礎代謝を向上させることができます。
呼吸など生命維持に最低限必要なエネルギー。1日に消費される約6~7割を占め、そのうち約3~4割が筋肉によって消費される。残りは内臓などで消費されるため、コントロールできるのは筋肉による消費のみとなっている。
筋肉量に比例して基礎代謝量も増加するため、筋トレで鍛えることは、消費エネルギー増加につながるというわけです。加えて、筋トレの後に有酸素運動を行えば、脂肪燃焼効果が高まる効果もあります。
これらのことから、食事制限によって摂取エネルギーを減らし、有酸素運動で脂肪を燃焼させ、筋トレで基礎代謝を高めるという風に、3つを組み合わせることがダイエットに効果的だと言えます。
どれか1つだけというよりも、食事制限×有酸素運動×筋トレと組み合わせることをおすすめします。
まとめ
いくらダイエットのためとはいえ、食事制限はつらいもの。今回ご紹介した方法を参考に無理のない範囲で行ってください。
無理のない食事制限というのは、長続きしやすくダイエットにつながりやすいというだけではなく、体調を崩すリスクを軽減するためにも必要なことです。
とはいえ、無理のない範囲とはどの程度なのかがわからず行き過ぎてしまうこともあるでしょう。そのため食事制限を正しく行うには栄養に関する知識が必要不可欠です。
例えば「主食を抜いた分どのようなおかずを増やすべきか」「自分の食生活の問題点はどこでどう改善すべきか」というのはなかなかわからないもの。健康的にかつ効果的なダイエットに取り組むためには、パーソナルトレーニングで専門家から直接指導して貰うのがおすすめです。
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