短期間で効果を実感しやすいことで知られる糖質制限ダイエット。「半年後の結婚式までに何としてでも痩せたい」「夏までに水着が似合う体形になりたい」など、短期間で集中的にダイエットをしたいという方におすすめですが、一方で「頭痛が生じやすい」「リバウンドしやすい」などのリスクがあることも事実です。
糖質制限ダイエットを安全にかつ効果的に行うためには、糖質制限ダイエットのメリットやデメリット、正しい実践方法をきちんと理解しておく必要があるでしょう。
そこで、今回は糖質制限ダイエットで痩せる理由から、糖質制限のメリット・デメリット、正しい実践方法まで、糖質制限ダイエットを行う上で知っておくべき知識を徹底解説します。
糖質制限ダイエットとは
糖質制限ダイエットはその名の通り、糖質の摂取量を控えるダイエット法です。
糖質は、脂質やタンパク質と並ぶ重要な栄養素の1つです。
「糖質」という言葉から、糖質=「甘いもの」と思われる方も多いですが、お米、芋類などに含まれるデンプンも糖質の一種であることを覚えておきましょう。
また、糖質=炭水化物と認識も思われる方も多いですが、糖質は炭水化物から食物繊維を引いたものですので、正確には異なります。
ただ、外食時や市販の加工食品を食べる時などは、糖質量の記載がなくとも、炭水化物量の記載があればそちらを参考にしても構いません。
糖質制限をすれば痩せられる理由
糖質は体内でブドウ糖に分解されますが、エネルギーとして使われることなく余ってしまったブドウ糖は脂肪として体内に蓄積されます。つまり、糖質制限は脂肪のもととなるものを控えることで太るのを防ぐダイエット法です。
また、糖質制限には血糖値の上昇を防ぐという目的もあります。
というのも、糖質を摂取すると、体内の血糖値が上昇してしまうため、血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが分泌されるのですが、インスリンには血糖値を下げる他に、余ったブドウ糖を脂肪として蓄えるという働きもあるからです。
糖質制限ダイエットの3つの方法
医師の江部康二氏の著書『糖質制限の教科書』では、糖質の摂取許容量が異なる3パターンの糖質制限ダイエットのやり方が提唱されています。
ライフスタイルなども考慮して、自分に合ったものから始めましょう。厳しいものから挑戦して段々緩めていく、緩いものから始めて段々厳しくしていくといった方法もあります。
方法1.スーパー糖質制限食|主食を1日3食抜く
一番厳しい糖質制限の方法で、朝・昼・夕の3食全ての主食を抜きます。
そのため、3食ともにおかずが中心の食事内容となります。糖質の摂取量は1日に30~60gに制限します。お茶碗1杯のご飯(150g)に占める糖質量が約55gのため、それとほぼ同等です。
食事全体の糖質量をしっかりと考える必要はありますが、その分最も効果が現れやすいためモチベーションを維持しやすい方法でもあります。また、1回の食事につき摂取する糖質は20g以下に抑えましょう。
方法2.スタンダード糖質制限食|主食を1日2食抜く
オーソドックスな糖質制限の方法で、主食を1日2食抜きます。
糖質を摂るタイミングはお昼がおすすめです。日中は活動が盛んでエネルギー消費が激しいため、摂取した糖質が比較的消費されやすい時間帯だからです。自身のライフスタイルに合わせて、主食の摂取タイミングを考えましょう。
糖質の摂取量は1日に70~100gに制限します。これはお茶碗1杯のご飯に換算すれば2杯分未満となります。
完全に主食を抜く必要がないため、無理せず続けることができます。また、昼食は外食が多いという方にもおすすめです。
方法3.プチ糖質制限食|主食を1日1食抜く
最も制限が緩い方法で、主食を1日1食抜きます。
エネルギーとして消費されにくい夕食時に主食を抜くようにしましょう。糖質の摂取量は1日に110~140gに制限します。これはお茶碗1杯のご飯に換算すれば2杯半ほどとなります。
他の2つと比べると効果の現れ方はゆっくりとなってしまいますが、気軽に始めやすい方法です。
糖質制限ダイエットの効果やメリット
糖質制限ダイエットには、痩せるという効果以外にも、様々な効果やメリットがあります。ここでは、糖質制限ダイエットを行うメリットをご紹介します。
- 短期間でダイエット効果を実感しやすい
- お肉や油物を我慢しなくても良い
- 肌荒れの改善と肌の老化防止に効果がある
- 集中力と睡眠の質が向上する
メリット1.短期間でダイエット効果を実感しやすい
まず挙げられる大きなメリットは、ダイエット効果を短期間で実感しやすいという点でしょう。
糖質制限によって、脂肪が分解され始めるのは開始から2週間ほど経過した時期が目安です。
個人差はありますが早ければ2週間ほどでダイエット効果が見え始めるので、そのまま1~2か月ほどは行ってみましょう。最低でも2週間は続けることが必要です。
しばらく続けても効果が現れない場合は、糖質制限の方法に間違いがあるなど、何らかの原因が存在していると考えられます。
糖質制限開始から1週間ほどで体重が落ちるのは脂肪ではなく水分が原因
糖質は自身の3倍もの水分と結びついているため、体内にある糖質が減少すればそれに伴って水分量も減ります。すると一気に体重が減ったように感じられるのです。
ただし、この段階ではまだ水分が抜けただけで、脂肪が減少したわけではありません。本当の意味で「痩せる」ためには、そこからさらに糖質制限を続けていく必要があります。
メリット2.お肉や油物を我慢しなくても良い
冒頭でも述べた通り、糖質制限ダイエットと従来のカロリー制限ダイエットでは根本的に考え方が異なります。
ご説明した通り、糖質制限はインスリンの分泌を抑えて、余ったブドウ糖が脂肪に変わるのを防ぐダイエット法です。インスリンが分泌される原因である血糖値の上昇は、いくら脂質を摂ったところで起こりません。
そのため糖質をしっかりと制限していればお肉や油物を食べても大丈夫なのです。むしろ、お肉などタンパク質が多く低糖質な食材は積極的に食べるべきです。
メリット3.肌荒れの改善と肌の老化防止に効果がある
糖質制限を行うことは「美肌効果」にもつながります。
- ビタミンB1が肌トラブル改善のために使われやすくなる
- 肌の老化となる「糖化」を抑えることができる
肌トラブル改善にはビタミンB1が必要になるのですが、糖質が多いとそれを代謝するためにビタミンB1が使われてしまいます。糖質の代謝にはビタミンB1が必要不可欠なため、糖質をたくさん摂ればそれだけ多くのビタミンB1が代謝で消費されることとなります。
そのため、糖質が抑えられ代謝に用いられるビタミンB1が減少すれば、肌トラブルの改善に使われるビタミンB1が増えると考えられます。とはいえ、肌荒れの原因は様々なため、糖質制限が必ずしも美肌につながるわけではありません。
また、糖質制限によって、肌の老化の原因となる「糖化」を抑えることが「肌の老化」を防ぐことにつながります。
余分な糖質とタンパク質が結びつくことで、「AGE(終末糖化産物)」と呼ばれる老廃物の一種が作り出される反応のこと。このAGEは肌の老化やシミ、シワの原因になると言われており、これが皮膚の細胞に溜まることで肌のくすみを引き起こします。
AGEの発生要因となる糖質を制限することで、肌の老化を抑制できると考えられます。
このように、糖質制限は美肌を保つためにも効果的であると言えるでしょう。
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糖質制限によって得られる効果については「糖質制限の効果|ダイエット以外にも美肌や集中力UPに役立つ」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
メリット4.集中力と睡眠の質が向上する
糖質を控えることで、食後の眠気を感じにくくなり、集中力が高まります。というのも、食後に感じる眠気の原因の1つは「食前と食後の血糖値のギャップ」にあるからです。
食事を通して糖質を摂取すると血糖値は上昇します。その上昇した血糖値を通常値に戻すためにインスリンが分泌されますが、インスリンの分泌を受けて、血糖値が急激に下がり、脳が低血糖の状態になることで食後眠気が発生しやすくなります。
糖質を制限することで、血糖値の急上昇・急下降を抑えると、食後に眠気を感じにくくなるでしょう。
また、糖質制限を行うことで、タンパク質の摂取量が増えると睡眠のリズムが整いやすくなります。
「メラトニン」というホルモンが朝起きる際と眠りにつくタイミングで作用することで、睡眠と覚醒の自然な切り替えが行われています。
このメラトニンはタンパク質を構成するアミノ酸の一種である「トリプトファン」が材料になっているため、タンパク質をしっかりと摂取することでメラトニンの生成が増え、スムーズに深く寝付くことができます。
このように、糖質制限を行うことで食後の眠気が抑えられたり、睡眠の質が向上したりすることで、結果的に集中力が高まることでしょう。
糖質制限ダイエットのデメリット
多くのメリットがある糖質制限ダイエットですが、同時にデメリットも存在します。ここでは、糖質制限ダイエットに伴うデメリットをご紹介します。しかし、なかには間違った糖質制限によって生じるデメリットもあるため、正しい知識をつけることが必要です。
- 頭痛が生じることがある
- リバウンドの可能性がある
- 便秘になりやすい
- 体臭がキツくなることがある
- お酒に弱くなったと感じやすい
- 外食先でのメニュー選びが大変になる
デメリット1.頭痛が生じることがある
糖質を過度に制限することで脳がエネルギー不足に陥ってしまい、「低血糖」になることで頭痛などの不調が生じることがあります。
脳を動かすエネルギーのほとんどは糖質が分解されたブドウ糖です。そのため糖質が不足することでエネルギー不足となった脳は、「頭痛」「吐き気」「めまい」「手指の震え」「不安感」「動悸」などの症状として、SOSを出します。
しかし、しっかりとタンパク質や脂質を摂取していればこのような症状は起こりません。
というのも、糖質が不足してもタンパク質や脂質が足りていれば、糖の代替物を作り出すことができるからです。糖質制限中は控えた糖質の分のタンパク質や脂質を摂取することが、体調維持のためにも必要となります。
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糖質制限中に起こりやすい不調の原因やその対策については「糖質制限中の「頭痛」「めまい」「吐き気」の原因と対処法を解説」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
デメリット2.リバウンドの可能性がある
タンパク質の摂取が足らず、エネルギーが不足するとリバウンドのリスクが高まります。
先ほど述べた通り、糖質制限中は糖質の代わりにタンパク質がメインのエネルギー源となります。十分にタンパク質が摂取できていれば問題ありませんが、出来ていない場合、体は不足したエネルギーを補うため筋肉中のタンパク質を分解して、エネルギーにしてしまいます。
筋肉中のタンパク質が分解されれば、筋肉によって支えられている基礎代謝量が少なくなってしまうでしょう。
1日におけるエネルギー消費のうち6〜7割を占めており、呼吸や体温調節など生命維持に使われるエネルギーです。ほとんどが臓器などコントロールできない部分で消費されますが、3~4割ほどは筋肉によって消費されるため、筋肉の量によって消費エネルギー量が変化します。
基礎代謝が低下すれば、エネルギー消費が低くなるため「太りやすく痩せにくい」体質になってしまうのです。筋肉量が落ちたまま通常の食事に戻せば、リバウンドしやすくなります。
筋肉が分解されるのを防ぐためにも、タンパク質をしっかりと摂取することが大切です。
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糖質制限ダイエットでリバウンドしやすい理由とその防止策を「糖質制限ダイエットでリバウンドしやすい理由と防止策を紹介」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください
デメリット3.便秘になりやすい
糖質制限で主食を控えることが、便秘につながる可能性があります。
主食である炭水化物には、冒頭でも述べた通り食物繊維も含まれています。この食物繊維には整腸作用があるため、炭水化物を抜いたことで腸内環境が悪化し、便秘になることが考えられます。
そのため、炭水化物を抑えることでカットされた分の食物繊維を他の食品から補うことが大切です。
食物繊維の摂取目安は、厚生労働省発表の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では以下のように定められています。
- 成人男性:1日に20g以上
- 成人女性:1日に18g以上
食物繊維はネバネバとした食感が特徴で繊維が柔らかい野菜や果物、海藻類などに多く含まれる「水溶性食物繊維」と、ザラザラした舌触りが特徴で繊維の硬い野菜や根菜、キノコや豆類などに多く含まれる「不溶性食物繊維」に分けられます。
どちらもバランスよく摂取することが大切で、「水溶性1:不溶性2」の割合での摂取が理想です。
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糖質制限で便秘になってしまう原因を「糖質制限をすると便秘になるのはなぜ?原因と解消法を解説」で詳しく解説しています。
また、「糖質制限中の「食物繊維」不足を防ぐ!目安の摂取量と食材を紹介」では、食物繊維不足を防ぐための方法を解説しているので、ぜひこれらも参考にしてみてください。
デメリット4.体臭がキツくなることがある
糖質制限を行うことで、体臭がキツくなることがあります。
これは糖質制限によって食生活が変わったことに起因するのですが、メインエネルギー源が糖質からタンパク質や脂質に変わったことで「ケトン体」と呼ばれる物質が増えたことが主な原因です。
「アセト酢酸」「βヒドロキシ酪酸」「アセトン」の総称。タンパク質に含まれるアミノ酸や、脂質に含まれる脂肪酸が分解される時に発生する副産物のようなものです。
ケトン体は糖質の代わりにタンパク質に含まれるアミノ酸や、脂質に含まれる脂肪酸が分解される過程で発生しますが、実はこのケトン体もエネルギーとして使われます。
しかし、発生したケトン体が血液中に放出され全身を巡ると、水溶性であるため汗などにも溶け、体外にツーンとしたすっぱい独特の臭いを放つこととなります。
この臭いをやわらげるには、酸性であるケトン体を中和するために牛乳や大豆製品、梅干しなどのアルカリ性の食品を摂取することが有効です。
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糖質制限によって体臭がキツくなることについては「糖質制限をすると「体臭」がキツくなる原因と対策を解説」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
デメリット5.お酒に弱くなったと感じやすい
糖質制限を始めたことでお酒に弱くなったと感じる方が多いのは、肝臓の働きが低下することが主な原因です。
何度かお伝えした通り、糖質が不足するとタンパク質や脂質で糖質の代わりとなるエネルギーを作ります。これを「糖新生」と呼ぶのですが、糖新生は”肝臓”で行われます。
また、脂質に含まれる脂肪酸の代謝や、タンパク質に含まれるアミノ酸の代謝が行われるのも”肝臓”です。
このように、糖質制限中は肝臓に負担がかかりやすいため、肝臓の機能が低下しやすくなっています。そのため肝臓が上手くアルコールを処理できず、血中のアルコール濃度が高くなりやすいのです。
これに加え、糖質制限中は前述したように体内の糖質が減ったことで、水分量も減っています。結果、血中のアルコール濃度が通常よりも高くなりやすくなります。
これらのことから、糖質制限中は普段よりも少ない量のお酒で酔いやすくなっているため、通常よりもアルコール量を少なくする方が良いでしょう。
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デメリット6.外食先でのメニュー選びが大変になる
食材などの糖質量を考慮しなければいけないため、外食でのメニュー選びが大変になるというデメリットもあります。
糖質はあらゆるものに含まれるため、慣れるまではどの食品を避けるべきなのか判断が難しいでしょう。また、食品だけでなく、調味料にも気を配らないといけないため、何がどれだけ入っているかわからない外食時は特にメニュー選びが困難になります。
知らず知らずのうちに糖質を摂り過ぎており、糖質制限をしている”つもり”になっているだけということにもなりかねません。
最近では、メニューに糖質量が記載されているお店もあるため、そのようなお店を利用するのもおすすめです。また、糖質制限用のアプリでは、料理に含まれる糖質量を表示してくれるものもあります。
こういったものを活用して、うっかり糖質を摂らないよう気をつけましょう。
糖質制限ダイエットを成功させるためのコツ
糖質制限ダイエットを成功させるためには、押さえておいていただきたい「コツ」がいくつかあります。以下の4つのコツを押さえることで、糖質制限ダイエットの効果を十分に引き出し、理想の体形を目指しましょう。
- タンパク質をしっかりと摂取すること
- 筋トレをして筋肉量を維持すること
- カロリー不足にならないよう注意すること
- 停滞期を乗り越えること
糖質制限ダイエットのコツ1.タンパク質をしっかりと摂取すること
何度も述べた通り、糖質制限ダイエットではタンパク質を摂取することがとても重要です。
糖質の代わりに主なエネルギー源となるタンパク質が不足すれば、体はたちまちエネルギー不足となります。デメリットとしてご紹介した低血糖による頭痛や吐き気などの症状が出ることもあるため、注意が必要です。
このエネルギー不足を補うために体が筋肉を分解することもありますが、筋肉量が減ればそれに比例して消費エネルギーも減るためダイエットの妨げとなるでしょう。
体調不良やダイエット効果の低下を防ぐためにも、糖質を控えた分おかずを増やすなどして、しっかりとタンパク質が摂取できるよう努めてください。
定期的な運動習慣がない方の場合:体重×0.93g
筋トレをする方の場合:1.6〜1.7g
バーベルなどの重い負荷を扱うトレーニングを行う方の場合:1.8〜2.0g
出典:坂詰真二『筋トレと栄養の科学』
タンパク質には肉や魚などに含まれている動物性タンパク質と、納豆や豆腐などに含まれている植物性タンパク質の2種類があります。動物性タンパク質の方が吸収率が良いため、そちらを積極的に食べるようにすると良いでしょう。
食事から必要量を賄えるのが理想ですが、難しい場合はプロテインを活用するのもおすすめです。
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糖質制限中にタンパク質が不足することで起こるデメリットは「糖質制限中にタンパク質を摂りリバウンドを防ぐ!適切な摂取量を解説」で詳しく解説しています。
また、プロテインを飲む効果や飲み方などについては「糖質制限中に「プロテイン」を飲む効果とおすすめの飲み方を紹介」で詳しく解説しています。ぜひこれらも参考にしてみてください。
糖質制限ダイエットのコツ2.筋トレをして筋肉量を維持すること
前述した通り、糖質制限中はエネルギー不足から筋肉が分解されることがあるため、エネルギー消費の低下を防ぐために筋肉の維持が欠かせません。
筋肉を維持するにはその材料となるタンパク質の摂取が大切ですが、加えて筋トレで鍛えることが必要不可欠です。筋トレで筋肉を維持し、リバウンドを防ぎながら健康的に痩せていくことが理想的な糖質制限ダイエットだと言えます。
ただし、糖質制限中の筋トレで注意していただきたいのが、筋トレの前後には糖質を摂るということです。
「糖質制限中なのに大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、筋トレのような無酸素運動では主に糖質がエネルギー源となるため、糖質が不足すると筋肉中のタンパク質が分解されて糖質に変換される、糖新生という働きが生じてしまいます。
これでは、せっかく筋トレでタンパク質の合成が優位になっても糖新生によって相殺されてしまい、結果的に筋肉が効率良く増えないということになりかねません。
筋トレ前はトレーニング時のエネルギーを確保するために、筋トレ後はエネルギーが枯渇した体に栄養を補給するために、糖質を摂取するようにしましょう。
ちなみに、筋トレ前はおにぎり1個やバナナ1本を食べるのが目安。筋トレ後については、スポーツトレーナー坂詰真二氏の著書『筋トレと栄養の科学』の中で「糖質:タンパク質=3:1」が黄金比率だと言われています。
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糖質制限ダイエットのコツ3.カロリー不足にならないよう注意すること
ダイエットの効果を高めようと、糖質だけでなくカロリーまで制限してしまう方がいますが、これは間違いです。体が必要とする分のカロリーは摂取しましょう。
カロリーとはエネルギーを表す単位です。カロリー不足はエネルギーが足りていないということなので、体には様々な不調が表れます。過剰に摂取すれば太る原因になりますが、後述する停滞期を誘発することにもなるので、カロリーは制限しないようにしてください。
また、糖質制限中にカロリーまで制限してしまうと食べられるものが随分制限されることになり、長続きしないでしょう。
基本的に糖質制限ダイエットでは、カロリーを細かく計算する必要はありません。「カロリーは控えるべきもの」という考え方に捉われてカロリー不足に陥らないよう注意してください。
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摂取すべきカロリー量の目安など、糖質制限中のカロリーコントロールについては「糖質制限中は「カロリー」を無視してもOK?|目安摂取量を解説」で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
糖質制限ダイエットのコツ4.停滞期を乗り越えること
多くのダイエットと同じく、糖質制限ダイエットでも停滞期が訪れる可能性はあります。
そもそも停滞期が訪れる大きな要因として、人体に備わる「ホメオスタシス機能」が挙げられます。これは体温や血糖値などを一定に保つための機能で、体重の増減にも関与するものです。
糖質制限ダイエットによって体重が減ったことで、脳は緊急事態だと勘違いして、生命を維持するため「省エネモード」になります。
これによって食物からのエネルギー吸収率が良くなったり、消費エネルギーが節約されたりすることで、痩せにくい状態になってしまうのがいわゆる「停滞期」です。しかし、ホメオスタシス機能が働くということは、それまでダイエットが順調だった証拠とも考えられます。
停滞期を脱出するためには、筋トレや有酸素運動で消費エネルギーを増やすことや、チートデイといって「あえてたくさん食べる日を作る」ことで、エネルギーを蓄えなくても大丈夫だと体に認識させる方法が有効です。
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停滞期が続く期間や、詳しい脱出方法については「糖質制限中に「停滞期」に陥るのはなぜ?原因と脱出方法を解説」で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
食材に含まれる糖質量一覧
ここでは食材に含まれる糖質量を一覧でご紹介します。どんな食品にどれだけ糖質が含まれているか把握しておくことで、しっかりと糖質を制限しましょう。
食材に含まれる糖質量は、食品に記載されている「栄養成分表示」や、文部科学省が公表している「食品成分データベース」などで確認することができます。「炭水化物ー食物繊維=糖質」なので、炭水化物の欄だけでなく、食物繊維の欄も確認してください。
料理や食品に含まれる糖質量をチェックできるアプリなどもおすすめです。
食材に含まれる糖質量1.穀類
ご飯を始めとする穀類は、糖質が多く含まれるため、糖質制限中はなるべく控えましょう。冒頭で紹介した通り、スーパー糖質制限の場合は完全に控える必要があります。
穀類そのものだけでなく、お餅や煎餅、ケーキのようなお米や小麦粉を原料にした食品も要注意です。
ただし、穀類には多くの食物繊維が含まれるため、ご飯や麺類を控えたことで食物繊維不足にならないよう注意しましょう。
品目 | 100gあたり糖質量(g) |
白ご飯 | 36.8 |
玄米ご飯 | 34.2 |
赤飯 | 40.7 |
餅 | 49.5 |
食パン | 44.3 |
うどん(茹で) | 20.8 |
そう麺 | 70.2 |
そば(茹で) | 24.0 |
スパゲティ(乾) | 69.5 |
餃子の皮 | 54.8 |
コーンフレーク | 81.2 |
薄力粉 | 73.4 |
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食材に含まれる糖質量2.肉類
肉類にはタンパク質が豊富に含まれており、糖質が低いため積極的に摂取すべき食材です。タンパク質不足やカロリー不足に陥らないためにも、糖質をカットした分はしっかりと摂取しましょう。
ただし、ウインナーやハンバーグのような加工された食品の場合、「つなぎ」や「調味料」などで糖質が増している場合があります。外食時はもちろんですが、お惣菜などを購入する際にも注意してください。
品目 | 100gあたり糖質量(g) |
サーロイン(脂身つき) | 0.3 |
牛ヒレ赤肉 | 0.3 |
牛ひき肉 | 0.5 |
牛タン | 0.1 |
豚肩ロース(脂身つき) | 0.1 |
豚もも赤肉 | 0.2 |
豚ひき肉 | 0.0 |
鶏肉むね(皮つき) | 0.0 |
鶏肉もも(皮つき) | 0.0 |
鶏ひき肉 | 0.0 |
ベーコン | 0.3 |
ウインナー | 3.0 |
食材に含まれる糖質量3.魚介類
魚介類も肉類同様に糖質が少なく、タンパク質や脂質を摂れるためおすすめの食材です。ただし、なかにはカキのように比較的糖質が高いものもあるため、魚介類であれば全て糖質が低いというわけではありません。
また、練り物などの加工品も、つなぎや調味料によって糖質が高い傾向にあります。
海藻類は糖質が低く、食物繊維が豊富なため糖質制限向きの食材です。ただし、こちらも調味料によって糖質が高くなっている場合があるため注意が必要です。
品目 | 100gあたり糖質量(g) |
アジ | 0.1 |
サンマ | 0.1 |
サバ | 0.3 |
マグロ | 0.1 |
あさり | 0.4 |
カキ | 4.7 |
車エビ | 0.0 |
ウニ | 3.3 |
ちくわ | 13.5 |
蒸しかまぼこ | 9.7 |
もずく | 0.0 |
めかぶ | 0.0 |
刻み昆布 | 6.9 |
食材に含まれる糖質量4.大豆製品・豆類・種実類
大豆製品は糖質が低く、植物性のタンパク質を多く含むため糖質制限中に重宝する食材です。特に豆腐は主食の代用品やパン粉の代わりなど、糖質制限中の献立で大活躍します。
ただし、小豆やカシューナッツなど糖質が高い豆類・種実類もあります。豆類・種実類全般が低糖質というわけではありません。
品目 | 100gあたり糖質量(g) |
木綿豆腐 | 1.2 |
絹ごし豆腐 | 1.7 |
厚揚げ | 0.2 |
ひきわり納豆 | 4.6 |
無調整豆乳 | 2.9 |
アーモンド(フライ・味付) | 10.4 |
カシューナッツ(フライ・味付) | 20.0 |
くるみ(炒り) | 4.2 |
小豆(乾) | 40.9 |
ゴマ(炒り) | 5.9 |
ピスタチオ(炒り・味付) | 11.7 |
食材に含まれる糖質量5.野菜類
葉野菜は基本的に糖質が低く、糖質制限中に不足しがちな食物繊維を摂れるため積極的に食べるべき食材です。
根菜も食物繊維が豊富なのですが、レンコンや玉ねぎなど糖質が高めのものが多いため、食べ過ぎには注意が必要です。
また、芋類は糖質の一種であるデンプンが豊富に含まれるためなるべく控えましょう。春雨やタピオカのようなデンプンから作られる食品も気をつけてください。
品目 | 100gあたり糖質量(g) |
サツマイモ | 29.2 |
じゃがいも | 16.3 |
片栗粉 | 81.6 |
枝豆 | 3.8 |
かぼちゃ | 17.1 |
キャベツ | 3.4 |
きゅうり | 1.9 |
ゴボウ | 9.7 |
大根 | 2.7 |
玉ねぎ | 7.2 |
トマト | 3.7 |
白菜 | 1.9 |
もやし | 1.3 |
レタス | 1.7 |
にんにく | 20.6 |
レンコン | 13.5 |
食材に含まれる糖質量6.キノコ類
キノコ類は全体的に糖質が少ないため、糖質制限中におすすめの食材です。糖質が少ない肉類や魚介類との相性もいいため、重宝するでしょう。
まいたけやマッシュルームのようにほとんど糖質を含まないものも多いため、食事のボリュームアップにも使えます。
品目 | 100gあたり糖質量(g) |
生しいたけ | 1.4 |
しめじ | 1.1 |
えのき | 3.7 |
エリンギ | 3.1 |
まいたけ | 0.0 |
マッシュルーム | 0.1 |
食材に含まれる糖質量7.果物類
ヘルシーなイメージがある果物ですが、糖質が高いため、糖質制限中には控える必要があります。生食だけでなくジュースなどの加工品にも気をつけましょう。
特にバナナやりんごなど糖度の高い果物は高糖質なため、食べる際は少量にとどめるようにしてください。スーパー糖質制限を行うのであれば、避けるべきです。
また、果物の中でも柑橘系のものは比較的糖質が低い傾向にあります。
品目 | 100gあたり糖質量(g) |
イチゴ | 7.1 |
キウイ | 11.6 |
グレープフルーツ | 9.0 |
洋ナシ | 12.5 |
パイナップル | 11.9 |
バナナ | 21.4 |
ぶどう | 15.2 |
りんご | 13.1 |
レモン | 7.6 |
アボカド | 0.9 |
食材に含まれる糖質量8.乳製品
チーズなどの乳製品は糖質が低いのですが、牛乳は比較的糖質が高い食品です。1日にコップ1杯程度であれば問題ありませんが、シチューのような牛乳をたくさん使った料理を食べると思った以上に糖質を多く摂っていることがあります。
乳製品はタンパク質も豊富で低糖質なためおすすめの食材ですが、牛乳そのものには注意が必要です。
品目 | 100gあたり糖質量(g) |
牛乳 | 4.8 |
生クリーム(乳脂肪) | 3.1 |
プロセスチーズ | 1.3 |
カマンベールチーズ | 0.9 |
クリームチーズ | 2.3 |
ヨーグルト(無糖) | 4.9 |
食材に含まれる糖質量9.調味料
糖質制限で意外と見落としがちなのが調味料の糖質量です。
ヘルシーなイメージの和食ですが、みりんなどは糖質が高いため、食材の糖質が低くても味付けによっては糖質が高くなることは十分あります。気づかぬうちに糖質過多にならないよう、調味料にも気を配ってください。
調味料を使い過ぎない、なるべくさっぱりとした味付けを心がけることをおすすめします。
また、カロリー制限ダイエットでは避けがちな油やマヨネーズですが、実は糖質が少なく、エネルギー源となる脂質を補給できる食品です。
品目 | 100gあたり糖質量(g) |
濃口醤油 | 10.1 |
淡口醤油 | 7.8 |
ウスターソース | 26.3 |
めんつゆ | 8.7 |
ケチャップ | 25.6 |
マヨネーズ(卵黄型) | 1.7 |
みりん | 43.2 |
サラダ油 | 0.0 |
オリーブオイル | 0.0 |
ゴマ油 | 0.0 |
食材に含まれる糖質量10.飲料
飲み物にも糖質は含まれています。お茶などの飲み物は糖質が低くなっていますが、紅茶やコーヒーは砂糖の量に注意しましょう。液体に溶けた糖は吸収されやすいため、飲みものに含まれる糖分には気をつけてください。
また、糖質が高いことで知られるビールですが、お酒=高糖質ではありません。お酒が好きな方はビールを避け、糖質の低いウイスキーなどの蒸留酒を飲むのがおすすめです。
品目 | 100gあたり糖質量(g) |
コーラ | 11.4 |
ウーロン茶 | 0.1 |
ほうじ茶 | 0.1 |
トマトジュース | 3.3 |
ミックスジュース | 3.6 |
コーヒー | 0.7 |
紅茶 | 0.1 |
ビール | 3.1 |
清酒 | 4.5 |
ワイン(白) | 2.0 |
ワイン(赤) | 1.5 |
ウイスキー | 0.0 |
ブランデー | 0.0 |
糖質制限中におすすめのコンビニで買える食品
時間がない朝や忙しいお昼はコンビニで済ませるという方もいらっしゃるでしょう。コンビニでも低糖質な食品は販売されています。
代表的なのが多くのコンビニで見られる「サラダチキン」です。鶏肉なので糖質が低く、100gで約23.8gものタンパク質を摂取できることから糖質制限ダイエット向きの食品です。
また、ブランなどを利用した「低糖質パン」は、糖質制限中でも食べられるパンです。他にも、ヨーグルトは手軽に食べられタンパク質が豊富なためおすすめです。ただし、砂糖などで味付けされていない、プレーンのヨーグルトを購入してください。
飲み物であれば、低糖質で高タンパク質な「豆乳」も糖質制限にぴったりの食品です。
まとめ
糖質制限ダイエットは糖質を控えることで、インスリンの分泌を抑え、ブドウ糖が脂肪に変わるのを防ぐことを目的としています。
しかし、糖質がどのような食品に、どの程度含まれているのかをしっかりと把握していなければ、いつの間にか糖質を摂取してしまい「痩せない」と感じることとなってしまいます。
また、糖質を控えた分のエネルギーとなるタンパク質や脂質を摂取すること、不足しがちな食物繊維を摂ることなど意識すべき点は色々あります。
大量にご飯を残すようなことのないよう、マナーを守って糖質制限をしてくださいね。
これらのことを全て押さえたうえで糖質制限ダイエットを行うことで、健康的に美しくダイエットすることが可能になるのです。
とはいえ、栄養について把握することは難しく、毎日毎食の栄養を考えるのも大変でしょう。その際はぜひTOREMOを参考にしてみましょう。
TOREMOでは糖質制限に関するさまざまな記事を用意しています。医師・管理栄養士監修の元、正しい糖質制限に関する情報を発信しております。
TOREMOで得た情報をもとに、ぜひ糖質制限に取り組み理想の体を手に入れましょう。
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