ダイエット、ボディメイク、運動不足の解消、健康維持など、筋トレをする目的は様々ありますが、どんな目的で取り組むとしてもなんとなく行っているようでは、筋トレの効果を最大限に得ることは難しいでしょう。
筋トレはむやみやたらに数をこなすのではなく、方法やポイントをしっかりと押さえた上で取り組むことをおすすめします。
今回は、筋トレの効果を高めるために知っておきたい、筋トレのメリットや効果を高めるポイント、実際のトレーニングメニューをご紹介します。
ボディメイクもフィジークも筋トレは必須
筋トレと言えば、ムキムキのマッチョになるというイメージを持っていませんか?しかし「「腹筋女子」は新・イイ女の条件!美しい腹筋を作る秘訣を徹底解剖」で紹介しているように、最近では、単に「細い」のではなく、メリハリのある引き締まった体形を作るために筋トレをしている女性有名人も多くいます。
ヒップがキュッと上がり、ウエストがしなやかにくびれた、メリハリのある体形を目指すのであれば、筋トレをして筋肉をつけることが大切です。
有酸素運動と食事制限だけでは“ キレイに”痩せない|ダイエットによくある勘違い
摂取カロリーよりも消費カロリーを増やせば、当然体重は落ちます。しかし、上でもご説明したように、単に細いだけではなく、お尻がキュッと上がっていたり、ウエストがくびれていたりするようなメリハリのある体形を作るためには有酸素運動と食事制限だけでは不十分です。
ヒップアップするためにはお尻の丸みを作る大殿筋という筋肉を、くびれを作るためには脇腹にある腹斜筋という筋肉を鍛える必要があります。
また、筋トレをする場合は、体重の変化よりも見た目の変化を重要視するようにしてください。
筋肉は脂肪よりも重いため、筋肉量を増やすと、体重は増えてしまいやすいものです。体重だけを重要視していると、筋トレでせっかく引き締まった体を作れているのに、「体重が減っていないから、ダイエットが上手くいっていない」と誤った認識をしてしまうかもしれません。
筋トレをすることで得られる効果やメリット
では、筋トレをすると具体的にどのような効果やメリットがあるのでしょうか?ここでは、筋トレの効果やメリットをご紹介します。
- メリハリのある体を作れる
- 基礎代謝が上がり、リバウンドしにくい体質になれる
- 有酸素運動の効果を高められる
筋トレのメリット1.メリハリのある体を作れる
まずは、メリハリのある体を作ることができるという点が挙げられます。
冒頭でもご紹介した通り、モデルなど女性芸能人はただ細いだけではなく、ほど良く筋肉をつけることで健康的で美しい体を維持しています。単純に体重を落とすだけであれば、有酸素運動や食事制限だけでも問題はないでしょう。
ただ、ダイエット後の「体重」ではなく「見た目の変化」に重点を置くのであれば、筋トレをするかしないかでは体形に大きな違いが出ます。引き締まった太ももやセクシーなくびれ、上向いたお尻は筋肉を鍛えてこそ手に入ります。
筋トレのメリット2.基礎代謝が上がり、リバウンドしにくい体質になれる
筋肉量が増えることで基礎代謝が向上するため、リバウンドしにくい体質にすることができます。
基礎代謝というのは、何もしていない状態でも姿勢の維持や呼吸、体温調整など無意識に行われる様々な生命維持活動で消費されるエネルギーのことです。
これは1日の消費エネルギーの約6~7割にまで及ぶため、この基礎代謝が高い人ほど、生活の中で消費されるエネルギーが大きい人と言い換えることができます。そのため、「基礎代謝の高い人=痩せやすい人」だと言えるでしょう。
基礎代謝は生命維持に関わるため、ほとんどが内臓や脳などの器官で消費されます。ですが、基礎代謝のうち約3〜4割は筋肉で消費されるため、筋肉量を増やすことで消費エネルギー量を増やすことができます。
東京大学の石井直方教授は著書の中で以下のように述べています。
筋肉が2kg増えれば、安静時の消費エネルギーは1日あたり50~100kcal程度増えると考えられます。
引用:石井直方著「痩筋力 確実にやせる筋トレ術」
筋肉をつけて基礎代謝を向上させることで、脂肪が蓄積されにくい「エネルギーを消費しやすい」体になるのです。
単に痩せやすくなるのはもちろんですが、消費エネルギーが増すことで太りにくくなるとも言えます。「太りにくく痩せやすい体」になるため、筋肉をつけることはダイエット後のリバウンド防止につながります。
- 関連記事
基礎代謝とダイエットの関係については「基礎代謝とダイエットの関係|痩せやすい体には筋肉が必要」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
筋トレのメリット3.有酸素運動の効果を高められる
筋トレには、有酸素運動の脂肪燃焼効果を高める働きもあります。
有酸素運動とはゆっくりとしたペースで長く継続して行う運動のこと。有酸素運動では、糖と脂肪がエネルギーとして使われるため、脂肪燃焼効果があり、ダイエットに効果的な運動です。
どういうことかというと、先に筋トレを行ってから有酸素運動をすることで、糖と脂肪の使われる比率に変化が生じ、脂肪の使われる割合が増えやすくなるのです。
脂肪はそのままでは燃焼せず、「脂肪酸」に分解されて初めてエネルギーとして消費することができます。
そのためには、「アドレナリン」や「成長ホルモン」といったホルモンが必要となりますが、これらのホルモンは交感神経が活性化することで分泌が促進されます。
筋トレで筋肉を刺激すると交感神経が活性化するため、筋トレ後に有酸素運動を行うと、脂肪をエネルギーとして消費しやすくなるというわけです。
ちなみに、この分解された脂肪酸は消費されなかった場合、また元の脂肪へと戻ってしまいます。
実際に、東京大学の石井直方教授は著書の中で以下のように述べています。
筋トレ後の代謝が上がった状態の間は脂肪が使われる割合が上がるということもわかっています。
参考文献:石井直方著「痩筋力 確実にやせる筋トレ術」
体脂肪が気になるという方は、先に筋トレを行ってから有酸素運動に取り組むのがおすすめです。
- 関連記事
筋トレと有酸素運動の関連性については「筋トレと有酸素運動を両立させる3つのポイントを解説」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
とある研究によると、有酸素運動において糖と脂肪が使われる割合は、男性の体では「5:5」であるのに対して、女性は「3:7」であるという報告もなされており、女性の方が有酸素運動によって得られる脂肪燃焼効果が大きいとも言われています。
また、「筋トレ→有酸素運動」は「脂肪燃焼」が目的の場合は非常に効果的ですが、有酸素運動には筋肉を分解する側面もあるため、「筋肉量の増加」を一番の目標とする場合は、有酸素運動は控えた方が賢明です。
筋トレの質を高めるためのポイント
筋トレはただがむしゃらに鍛えれば成果が出るというわけではなく、”正しいやり方”というものがあります。間違った筋トレではただ疲れるだけで、あまり効果を得られないでしょう。
ここでは、しっかりと筋肉を鍛えるために大切な、筋トレのポイントを解説していきます。
- 正しいフォームを身につける
- 呼吸をしっかりと行う
- 大きな筋肉から鍛える
- 拮抗筋を鍛える
- オールアウトさせる
- 睡眠時間をしっかりととる
筋トレのポイント1.正しいフォームを身につける
まず大切にしていただきたいのが、筋トレのフォームです。フォームは筋トレにおいて最も重要な要素と言っても過言ではなく、正しいフォームで行うことで初めて十分な成果を得ることができます。
なぜなら筋トレのフォームは、メインターゲットとなる筋肉を刺激するという明確な目的があるからです。
そのため、間違ったフォームでは意図しない筋肉を使ってしまうことや、ケガや事故につながることもあります。
また、同じように動かしているつもりでも、回数を重ねて疲労が蓄積してくるうちに、いつの間にか狙った筋肉以外を鍛えている可能性もあります。
このような状態では、鍛えたい筋肉を効果的に鍛えることはできません。
鍛えたい筋肉に負荷を集中させるためにも、筋トレを安全に行うためにも正しいフォームを身につける必要があります。
正しいフォームを覚えるには最初が肝心
間違ったフォームを身につけてしまうと矯正が難しいため、最初から正しいフォームを覚えることが重要です。
例えば、お箸の持ち方を矯正するのが難しいように、一度覚えた動きや癖を直すことはそれなりの労力が必要となります。そのため、初めから正しいフォームを覚えることで、効率良く筋肉を鍛えられるでしょう。
- 関連記事
筋トレのフォームについては「筋トレ効果はフォームで変わる!正しい筋トレを身につける3つの方法」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
筋トレのポイント2.呼吸をしっかりと行う
筋トレ中は自然な呼吸を心がけましょう。
筋トレ上級者になると、トップポジション(例えば、フリーウエイト種目でバーベルが一番高い位置まで上がった時)でのみ息を吐くというトレーニング手法もありますが、呼吸を止めると血圧が急上昇しやすく、血管に負担がかかることから、筋トレ初心者の場合は、無理のない重量で自然な呼吸を維持しながら行うようにしてください。
ちなみに、筋トレをする時の呼吸法は「力を込める時に息を吐き、力を抜く時に息を吸う」のが基本形です。
ただし、腹部以外のトレーニングでは、お腹がへこむほど息を履いてしまうと、かえって腹圧が弱くなり、怪我の危険が高まるため、軽く吐く程度に留めておいた方が良いでしょう。
※負荷に耐えている時に腹筋が硬くなりますが、その腹筋が硬くなった状態のことを「腹圧が高い」と言います。
- 関連記事
筋トレ時の呼吸方法については「筋トレの呼吸は止めずに吐くことが大事|その理由と効果を解説」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
筋トレのポイント3.大きな筋肉から鍛える
筋トレでは鍛える順番も大切で、大きな筋肉から小さな筋肉へと順に鍛えていくことがセオリーです。「なんとなく思いついたものから」「できるものからやっている」という場合は、鍛える順番を意識することで筋トレの効果が高まるでしょう。
まず筋肉というのは、大きい筋肉ほど動かすために必要なエネルギー量が多くなるものです。
例えば、「太ももの筋肉をメインターゲットとするスクワット」と「上腕二頭筋がメインターゲットとなるダンベルカール」とでは、より大きな筋肉を使うこととなるスクワットの方が多くのエネルギーが必要となります。
そのため、十分なエネルギーがあるうちに、大きな筋肉から優先的に鍛える必要があります。そうすることで最大限の力を引き出せ、トレーニングの効果が高まるからです。
つまり、鍛えたい部分ほど優先して鍛えるようにしましょう。
また、大きな筋肉を鍛えることで、それを補助する末端の小さな筋肉も同時に鍛えられるというメリットもあります。
筋肉はそれぞれ独立しているのではなく、連動しており、メインターゲット以外の筋肉も間接的に鍛えられます。腕の筋肉だけを使っているつもりでも、肩の筋肉なども自然と補助的に使われることがあります。
これは特定の筋肉に的を絞ったトレーニングマシンを使用しない限りは、多くの筋トレで言えることです。
体の中でも特に大きな太ももの大腿四頭筋や背中の広背筋、胸の大胸筋などを鍛えると、必ず周辺の小さな筋肉も鍛えられます。大きな筋肉は体の中心部に多い傾向があり、体の中心に近い下半身の筋肉>体の中心に近い上半身の筋肉>末端部分の筋肉と覚えておきましょう。
時間効率という点からも、小さな筋肉をこまめに鍛えるより、大きな筋肉から鍛えるのがおすすめです。
小さな筋肉ほどスタミナがない
小さな筋肉は少ないエネルギーでも動かすことができますが、筋肉そのものにスタミナがありません。そのため、小さな筋肉から鍛えてしまうと、大きな筋肉を鍛えようとした頃には、小さな筋肉は疲労困憊の可能性があります。
筋肉は周囲の筋肉と連動しているため、小さな筋肉がスタミナ切れになれば、連動する大きな筋肉のパフォーマンスも落ちてしまいます。
- 関連記事
筋トレの順番については「筋トレの順番は「大きな筋肉から鍛える」が鉄則!その理由を解説」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
筋トレのポイント4.拮抗筋を鍛える
鍛えたい筋肉と対になる「拮抗筋」を鍛えることも、筋トレの効果を高めることにつながります。
拮抗筋というのは、特定の筋肉を指す言葉ではありません。メインに鍛えたい筋肉を主動筋、主動筋と反対の働きをする筋肉を拮抗筋と呼びます。これらはどちらか一方ではなく、両方をバランス良く鍛えることが重要です。
拮抗筋はほとんどの場合が、骨や関節をまたいで主動筋の反対側に位置しています。そのため、拮抗筋もセットで鍛えることで全身をバランス良く鍛えることができます。
- 上腕二頭筋と上腕三頭筋:腕の骨をまたいで反対側に位置する
- 大腿四頭筋とハムストリング:太ももの骨をまたいで反対側に位置する
※肩の三角筋のように、拮抗筋が存在しない筋肉もあります。
例えば、もし大胸筋ばかり鍛えれば体の前面ばかりが引き締まり、背面は筋肉が少ないアンバランスな体つきになるかもしれません。これは極端な例ではありますが、拮抗筋も鍛えることで、バランスの良い体に仕上げることができます。
また、バランス良く鍛えることは見た目だけではなく、フォームの安定にもつながります。
例えばベンチプレスを行う場合、主動筋として大胸筋や上腕三頭筋へ刺激が集中します。しかし、これらの押すための筋肉だけではなく、引く動きをする拮抗筋もこの時同時に動いています。
そのため拮抗筋を鍛えることで、動作がよりスムーズになり、フォームの安定感が増すということです。
- 関連記事
拮抗筋を鍛える効果については「筋トレの効果がUPする!「拮抗筋」について徹底解説」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
筋トレのポイント5.オールアウトさせる
筋肉はある程度鍛えると、負荷に慣れてしまい成長が滞る停滞期に入ることがあります。その停滞期の打破におすすめなのがオールアウトです。
オールアウトとは「全て出し切る」という意味で、筋肉を限界まで追い込むことで筋トレの効果を高めるテクニックの1つです。
例えば、筋トレを目標回数である10回目で「目標をクリアしたからOK!」と終えるのではなく、その限界の状態からプラス数回チャレンジして力を出し切ります。
オールアウトでは、筋肉が慣れている強度以上の刺激を与え、限界まで追い込むため筋肉に“慣れ”を許しません。一定の負荷に慣れてしまった筋肉を限界まで追い込むことで、停滞期を打破します。
ウエイトを用いる場合は、「1RMの80%を目安に重量設定する」ことが大切です。
その人が最大限の力で持ち上げられる重さを1RMといいます。例えば、30kgがその人の1RMであれば、これの80%は24kgとなります。オールアウトするにはこの重さのウエイトを、8〜10回上げることを目標としましょう。
当然ながら1RMでは負荷が強過ぎてトレーニングができないため、負荷が強くフォームを保てる80%程度が適切です。
1RMの80%というと、初心者にとってはかなり重く感じられます。そのため初めは筋肥大に最低限必要とされる65%から始めると良いでしょう。
1RM(100%)=最大重量 | 80%(オールアウトの目安) | 65%(最低限必要な目安) |
30kg | 24kg | 約20kg |
ただし、1RMの65%では負荷が小さくオールアウトするには、ある程度の時間が必要です。重さに慣れて余裕が出てきたら1RMの80%でトライしてみましょう。
オールアウトはまず自重トレーニングで目指そう
オールアウトは、限界まで筋肉を追い込むという特性上、シンプルなトレーニングに向いたテクニックです。なぜなら複雑な動きやテクニックを必要とする種目では、オールアウトし切る前にフォームが崩れて筋トレの効果が薄れてしまうからです。
また、限界を迎えてウエイトを落とすなど事故のリスクを考えると、できればスクワットなど自重だけで行うトレーニングの方が安全でしょう。
- 関連記事
オールアウトの詳しい方法やポイントなどは「オールアウトで筋トレ効果を最大化!力を出し切るオールアウトのコツと注意点」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
オールアウトさせることと同じくらい、筋トレではインターバル(セット間の休息時間)が重要な要素として挙げられます。
「1セットを8〜10RM前後で行う」という場合の「8〜10RM」は「完全に元気な状態で8〜10回をギリギリこなせる重さ」ではなく、トレーニング時点での疲労度合いを考慮した上で8〜10回をギリギリこなせる重さという意味です。
そのため、同じ種目であったとしてもインターバルの時間を短くする場合はその分筋肉の疲労度が増すため、重量を下げる必要があるでしょう。
また、各セットで負荷を落とすことなく、高重量を維持したままトレーニングを行うために、筋肉を回復させようとインターバルを長めに確保するトレーニング手法もあります。
筋トレのポイント6.睡眠時間をしっかりととる
筋肉を成長させるためには、筋トレで負荷を与えるだけではなく、しっかりと睡眠をとることも大切です。
そもそも筋肉は、「損傷」と「修復」を繰り返すことで以前より強く太い筋肉となります。
この過程は「超回復」と呼ばれますが、超回復は成長ホルモンが筋肉の材料となるタンパク質の合成を高めることで起こる働きです。
成長ホルモンは睡眠中に活発に分泌され、東京大学の石井教授は著書の中で以下のように述べています。
このとき出てくる成長ホルモンは、タンパク質の合成を高めるように働きますから、その結果、トレーニングによって壊された筋肉が補修され、成長していくことになります。つまり、睡眠中に筋肉が成長するのです。
引用:石井直方著「痩筋力 確実にやせる筋トレ術」
このように、筋肉の成長と睡眠は密接な関係にあります。
また、成長ホルモンは睡眠中であれば常時分泌されているわけではなく、入眠してからおよそ1~3時間後のノンレム睡眠へ切り替わるタイミングで活発に分泌されます。
「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」は90~120分間で入れ替わるため、ノンレム睡眠に切り替わるたび成長ホルモンは分泌されます。しかし、最も多く分泌されるのは、最初にノンレム睡眠に入るタイミングです。
睡眠時間や寝るタイミングによってではなく、「睡眠の深さ」によって成長ホルモンの分泌量は左右されるため、より多くの成長ホルモンを分泌させるには睡眠の質を高める工夫が必要です。
寝ている間に筋肉が勝手に育つわけではない
いくら成長ホルモンが分泌されても、鍛えていなくては意味がありません。あくまでも筋トレを行っていることが大前提です。前述したように筋肉の成長には「損傷」と「修復」の両方が必要不可欠です。
一方で、いくら筋トレを頑張っても、徹夜をしてしまえば成長ホルモンの分泌は妨げられます。筋トレ後はしっかりと睡眠をとるようにしてください。
- 関連記事
睡眠前に避けるべきことや睡眠の質を高める方法など「筋トレ後の「睡眠」が筋肥大を促進させる!その理由を解説」ではより詳しく睡眠の筋トレについて解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
筋トレの効果を最大化させる回数と重量と頻度
筋肉は負荷を加えることで成長するとお伝えしてきましたが、最適な負荷は人それぞれ異なります。また、ひたすら鍛え続ければいいというわけでもありません。
ここでは、筋トレを行ううえで大切な「回数と重量と頻度」についてお伝えしていきます。
筋トレの効果を最大化させる回数
筋トレを行う目標回数を設定してから実施する方が多いことでしょう。なかには、回数は多ければ多いほどいいと思われる方もいるかもしれません。
しかし、そうではありません。1セットの回数は「6~12回」が理想的です。
そして、筋肥大のためには、この回数を3セット行いましょう。
1セット10回を3セット行っても、1セットに30回行っても、トータルの回数で言えば同じ30回にもかかわらず、セットを組む理由がわからない方もいるかもしれません。
しかし、続けて30回行える負荷と、10回ずつ分けてしかできない負荷では、1回ごとの負荷が大きく異なります。トータルの回数では同じでも、1回ごとの質が違うというわけです。
また、連続で30回行えば、疲れが溜まりフォームも雑になりがちです。
特に初心者の場合は、3セットをこなすのは難しいかもしれません。しかし、1セットと3セットでは筋肥大の効果に差があるため、「もう1セットだけ」と踏ん張ってください。石井直方教授は著書でこう述べています。
実は、トレーニング科学の分野では、1セットしかやらないときの効果は、単純に3セットやったの効果の3分の1というわけではなく、それ以下だということがわかっているのです。
引用:石井直方著「痩筋力 確実にやせる筋トレ術」
このように、セットを組んで行った方が確実に筋肉を成長させることにつながります。
とはいえ、筋トレで大切なのは限界まで筋肉を追い込むことです。3セットという数字はあくまで目安で、筋肉をしっかりと追い込めるなら2セット目で限界を迎えてもかまいません。
また、全てのセットを同じ回数で行う必要もありません。むしろ、1セット目>2セット目>3セット目とセットごとに、できる回数が徐々に減っていくのは、しっかりと筋肉を追い込めている証拠とも言えます。
回数はあくまでも目安です。目標回数を忠実に目指すのではなく「あともう1回」と限界まで行い、余力を残さないことが大切です。
筋トレの効果を最大化させる重量
回数やセット数が重要とは言っても、軽い重量で行ったところで意味はありません。あなたに合った負荷で、トレーニングに励む必要があります。
とはいえ、重過ぎる重量では十分な効果を得る前に疲れてしまいます。大切なのは自分にとって適切な重量でトレーニングすることなのですが、その最適な負荷を見つけるのに役立つのが、先ほども紹介した「1RM」という考え方です。
1RMは最大挙上重量とも呼ばれ、その人がギリギリ1回できる限界値のこと。1RMの65~80%がその人に適した筋肥大に必要な負荷で、この負荷で行えるギリギリの回数が前述の「6~12回」です。
例えば、ベンチプレスで最大100kgを持ち上げられるのであれば、65~80㎏のバーベルで、1セットに6~12回行うのが理想的ということになります。
1RMの65%は筋肥大に最低限必要な負荷のため、できれば80%を目指して行うようにしましょう。
筋トレの効果を最大化させる頻度
早く結果を出したいからと、毎日筋トレを行う方もいるかもしれませんが、これは誤りです。同一の筋肉を鍛える場合は週に2~3日、異なる筋肉なら週に4~5日をトレーニングにあてましょう。
先ほども述べた通り、筋肉は「損傷」と「修復」によって成長します。しかし、この超回復はすぐに行われるのではなく、トレーニング後から約48~72時間かけてゆっくりと行われます。
つまり、超回復には少なくとも2、3日はかかるため、その間は筋肉を休ませるべきだということです。
ただし、異なる筋肉を日替わりで鍛えることで、毎日筋トレを行うことも可能です。しかし、この場合でも週に最低1日は休息日を設けるようにしてください。
超回復は大きな筋肉ほど時間がかかります。1週間のトレーニングメニューを考える際は、筋肉の大きさも考慮しましょう。
トレーニングにある程度慣れてくると、筋肉の回復スピードが上がり、超回復までの時間が短くなるため、週1~2回の頻度では不十分になってきます。
したがって、トレーニング中級者以上の方は、トレーニングの頻度を週4~5回まで増やした方が効率良く筋肉は成長しやすいです。
- 関連記事
筋トレの効果を高めるための回数などのポイントは「筋トレの効果を最大化!筋肥大に最適な回数・重量・セット数を解説」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
自宅でできる筋トレ鉄板メニュー
筋トレのメリットや押さえるべきポイントを理解していただいたうえで、代表的な筋トレメニューを紹介します。まずは自宅で行える筋トレメニューからです。
- スクワット
- プッシュアップ
- クランチ
自宅でできる筋トレ鉄板メニュー1.スクワット
筋トレの定番であるスクワットは主に、太もも前側の筋肉である大腿四頭筋や太もも裏のハムストリング、お尻の大殿筋などを鍛える種目です。
胸を張って背すじを丸めないようにしましょう。背中が丸くなると下半身に上手く負荷がかかりません。適度に胸を張って背中が丸くならないようにしましょう。
最初はできていても、疲れてくると段々姿勢が崩れがちなので、最後まで意識し続けることが大切です。
また、ゆっくりと行うようにしてください。素早く行うと、反動がつきやすくなります。反動がつくと下半身の筋肉以外の筋肉も関わってしまうため、狙った筋肉に負荷が集中しなくなります。1回ごとを丁寧にゆっくりと行うことが大切です。
- 関連記事
スクワットの詳しいフォームやポイントは「そのスクワットは間違っている?!太ももに効く正しいフォームを解説」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
自宅でできる筋トレ鉄板メニュー2.プッシュアップ
プッシュアップとはいわゆる腕立て伏せのことで、腕を鍛えるイメージがありますが実際には主に大胸筋を鍛えるトレーニングです。
体のラインを真っ直ぐにキープしましょう。お尻の位置が下がってしまうと、腰に負担がかかるばかりか、ターゲットとなる大胸筋や腕の筋肉に負荷がかかりにくくなってしまいます。
疲れてくると姿勢が疎かになりがちですが、しっかりと最後まで頭からかかとが一直線になるようキープしてください。
また、体を落とす際はゆっくりと深く落としましょう。素早く行ってしまうと体が十分に落としきれず、大胸筋への負荷が軽い浅いプッシュアップになってしまいます。
- 関連記事
プッシュアップのバリエーションやフォームのポイントは「プッシュアップ(腕立て伏せ)は胸の筋トレ!効果的なやり方を解説」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
自宅でできる筋トレ鉄板メニュー3.クランチ
クランチは仰向けの状態から上半身のみを起き上がらせるトレーニングで、一般的に「腹筋運動」と呼ばれます。
上半身を起き上がらせるのではなく、自分のおへそを見つめるようにして、腹筋を丸める意識で動作を行うようにしましょう。
- 関連記事
クランチのバリエーションやフォームのポイントは「筋トレ初心者必見|10種類のクランチのやり方と効果を徹底解説」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
ジムでできる筋トレ鉄板メニュー
次に、ジムでできる筋トレメニューをご紹介していきます。ベンチプレスのようなフリーウエイトの種目は、ウエイトが思わぬ事故につながることもあるため、パワーラックやスミスマシンを用いるなど安全に行う工夫をしましょう。
- ベンチプレス
- ラットプルダウン
- デッドリフト
ジムでできる筋トレ鉄板メニュー1.ベンチプレス
ベンチプレスはベンチに仰向けになり、バーベルを持ち上げることで大胸筋や三角筋など上半身を鍛える種目です。
ただ持ち上げるだけの種目に見えますが、様々なテクニックを必要とするトレーニングとなっています。その1つが「ブリッジ」と呼ばれる、「左右の肩甲骨を寄せて、かつ下げることで、胸から腹部までのラインで半円を描く姿勢」です。
肩が前に出ていると三角筋前部にばかり負荷がかかりやすいのですが、ブリッジを作ることで肩が前に出づらくなり大胸筋に負荷がかかりやすくなります。
足で踏ん張ることで、このブリッジの姿勢を保つことが大切です。
- 関連記事
ベンチプレスのフォームやポイントは「正しいベンチプレスのやり方|肩や手首を痛めないフォームを解説」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
ジムでできる筋トレ鉄板メニュー2.ラットプルダウン
ラットプルダウンはウエイトのついたバーを下方向に引くことで主に広背筋を鍛えるトレーニングです。広背筋は鍛えることで姿勢改善効果が期待できます。
バーを引っ張るという特性上、腕の力で引きがちですが、背中の筋肉でバーを引くことが大切です。ヒジだけ動いて、肩関節が動いていないようでは、腕の筋肉ばかりが使われて広背筋が使われません。肩関節から腕を動かすようにしてください。
また、背中が丸まってしまうと、広背筋の動きが制限されます。そのため、しっかりと胸を張って広背筋が動きやすくする必要があります。
- 関連記事
ラットプルダウンのフォームやポイント、バリエーションなどは「背中に効く筋トレ「ラットプルダウン」のフォーム別のやり方とコツを紹介」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
ジムでできる筋トレ鉄板メニュー3.デッドリフト
デッドリフトはパワーリフティングの種目の1つで、広背筋やハムストリング、大腿四頭筋など背中から下半身にかけての多くの筋肉を鍛えることができます。
こちらも腕の力ではなく、背中の力を使うことが大切です。そのため、腕は動かさず固定しましょう。
腕に力が入ったり、動かしたりしてしまうと背中への負荷が薄れてしまいます。背中の力で起き上がり、ウエイトを持ち上げるイメージで行いましょう。
デッドリフトは多くの筋肉が関わるため、正しいフォームを覚えなくては狙った筋肉を上手く刺激することができません。また、腰を痛めるなどケガにつながることも考えられるため、軽いウエイトでしっかりとフォームを習得するようにしましょう。
- 関連記事
デッドリフトのバリエーションやフォームは「「デッドリフト」で下半身を満遍なく強化!その種類と効果を解説」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
筋トレの効果を高める食事のポイント
筋肉をつけるには、筋トレや睡眠など様々な要素がありますが、筋肉の素となる栄養素を摂取する「食事」も大切な要素です。ここでは、筋トレの効果を高めるためのポイントを紹介します。
食事のポイント1.タンパク質をしっかりと摂取する
筋肉は超回復によって成長していきますが、筋肉の修復にはその材料となる「タンパク質」が必要です。
1日におけるタンパク質の摂取目安は「体重1kgに対し1g」とされていますが、筋肥大を目指す場合は少し多めの1日あたり「体重×2g」を目安にしましょう。
ただし、以下の宮城島トレーナーからのコメントにもあるようにタンパク質の過剰摂取には十分ご注意ください。
タンパク質は筋肉を合成する上で確かに重要ですが、余ってしまえば脂肪として体に蓄えられますし、 一部は肝臓や腎臓で分解されて体外に排出されるため、過剰摂取は内臓への負担が大きくなります。
体重に関わらず、タンパク質の1日あたりの摂取量は最大でも120g以内に抑えておくことが無難でしょう。
また、筋肉を作るために必要な栄養素はタンパク質だけではありません。筋トレなどの無酸素運動では糖から作られる物質(グリコーゲン)がメインのエネルギー源となるため、糖質(炭水化物)の摂取は必要不可欠です。
さらに、体内で糖やタンパク質を使うためには、ビタミンB1やビタミンB6などのビタミン類のサポートも必要になってきます。
ビタミン類の助けなしでは、糖質やタンパク質のみを摂取したところで効率良く活用されないため、ビタミン類が豊富な野菜なども併せて食べるようにしましょう。
- 関連記事
筋肥大のために必要な栄養素や食事内容について「筋肥大を促進させる食事バランスは「高たんぱく・低糖質・低脂質」」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
食事のポイント2.筋トレ後にプロテインを摂取する
食事からタンパク質を摂取するのはもちろんですが、筋トレ後にプロテインを摂取することで筋肉の成長を促しましょう。
筋トレ後の30分ほどは、筋繊維を修復するために栄養を吸収しやすいタイミングで、この時に摂取することでタンパク質が筋肉へ届きやすくなります。
筋トレ後すぐは、消化が上手くいかず食事からタンパク質を摂取するのは適さないため、消化しやすいプロテインがおすすめです。
ただし、筋トレでエネルギーとして消費された「糖」が十分に補給されていないと、タンパク質が筋肉の材料ではなく、糖の代用としてエネルギーにされやすくなります。
タンパク質を筋肉の材料とするためには、タンパク質だけではなく「糖」も一緒に摂取しましょう。
- ホエイプロテイン:吸収効率が高く、運動後の傷ついた筋肉の修復に向いている。
- カゼインプロテイン:吸収に時間がかかるが、吸収時間の長さを利用して、就寝前に摂取すれば就寝中に回復を図れる。
- ソイプロテイン:同じくゆっくりと吸収される。イソフラボンが含まれ、肌の張りを保つなど女性に嬉しい効果も期待できる。
「カゼイン」プロテインはアレルギー物質としても知られているため、個人的にはあまりおすすめできません。
食事のポイント3.サプリを利用する
筋肉を成長させるためには、タンパク質以外にも様々な栄養素が必要です。
例えば、タンパク質の吸収を助けるビタミンB6や、筋肉が分解されるのを防いでくれるBCAAなどが挙げられます。
健康的でバランスの取れた食事を毎日できていれば、問題なく必要な栄養素を摂取できるでしょう。しかし、一人暮らしなどで思うようにできない方もいるかもしれません。
そんな方には、サプリで足りない栄養素を補うという方法もあります。食事から十分に摂取できなかった栄養素をサプリで補うことで、筋肥大を促進しましょう。
サプリの過剰摂取に注意
サプリに記載されている「使用量」は必ず守りましょう。あくまでサプリは不足しがちな栄養素を補うために使い、必要な栄養素はできるだけ食事から摂取するよう心がけることが大切です。
- 関連記事
筋肥大に有効な栄養素や必要量などを「筋肥大におすすめのサプリメント5選!足りない栄養素を補おう」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
引き締まった体にするためには、有酸素運動や食事制限だけではなく、筋トレで筋肉をつけることが大切です。筋トレを行うことで、基礎代謝の向上や有酸素運動の脂肪燃焼の上昇など様々なメリットがあります。
しかし、これらのメリットも正しい方法で筋トレに臨まなければ、十分な効果を得ることはできないでしょう。そればかりか、フォームの乱れなどはケガや事故にもつながるため、正しい知識を身につける必要があります。
その際はぜひTOREMOを参考にしてみましょう。
TOREMOでは効果のでる、さまざまなトレーニング方法についても動画や画像付きで紹介しています。
これをきっかけにトレーニングに取り組み、理想の体を手に入れましょう。
参考文献
- 石井直方著「痩筋力 確実にやせる筋トレ術」
コメント