糖質制限をすると不足しやすい栄養素の1つに「食物繊維」があります。
なぜ、糖質制限中に食物繊維が不足しやすいかというと、糖質を制限するために炭水化物(=糖質+食物繊維)を控えることで、糖だけではなく、食物繊維の摂取量も減少しやすいからです。
「糖質制限ダイエットをしたら、便秘気味になった」というケースは珍しくありませんが、糖質制限中に便秘になる原因の1つとして「食物繊維の不足」が考えられます。
そこで今回は、糖質制限中に食物繊維が不足することで生じるデメリットをお伝えした上で、食物繊維の目安摂取量をご紹介します。
糖質制限中に食物繊維が不足しやすい理由
冒頭でも述べた通り、「糖質を制限しようと炭水化物の摂取を控えた結果、食物繊維の摂取量が不足してしまった」というケースは糖質制限ダイエットをしている方によく見られます。
「炭水化物=糖質」だと勘違いされやすいですが、実は炭水化物は糖質と食物繊維から構成される栄養素です。糖質制限をするにあたって、炭水化物の摂取量を抑えることは必要不可欠ですが、その分食物繊維はしっかりと補うようにしましょう。
糖質制限中に食物繊維が不足することで生じる2つのリスク
では、糖質制限中に食物繊維が不足すると、具体的にどんな悪影響が生じるのでしょうか。
ここでは、食物繊維が不足することで発生し得る2つのリスクをご紹介します。
- 便秘を引き起こす
- 肌荒れにつながる
リスク1.便秘を引き起こす
食物繊維には腸内の環境を整える働きがあります。そのため、食物繊維が不足すると腸内環境が乱れ、便秘につながる恐れがあるのです。
腸内環境が乱れるというのは、腸内細菌のうち、「善玉菌」よりも「悪玉菌」の方が多くなってしまう現象のことを指しますが、悪玉菌が増加する要因の1つに食物繊維の不足が挙げられます。
さらに、食物繊維には、腸内で水分を吸収して膨らみ、便のカサを増やすことで、便を肛門まで運ぶ「ぜん動運動」を活発化させる効果もあります。そのため、食物繊維が不足すると、ぜん動運動が鈍化し、腸内で便が滞ってしまいやすくなります。
リスク2.肌荒れにつながる
食物繊維が不足することで腸内環境が悪化すると、回りまわって肌荒れにもつながってしまいます。
悪玉菌や腸内に残った便は、しだいに腐敗ガスなどの有害物質を出します。
食物繊維が足りていれば有害物質を吸着して、便と一緒に排泄してくれるのですが、食物繊維が不足すると、有害物質が腸に溜まりやすくなるのです。
やがて腸内で発生した有害物質は、血流に乗って全身へ運ばれます。これを体外へ排出しようと働くのが皮膚細胞です。しかし、有害物質を排出するための余計な負担がかかることで、皮膚細胞は正常に生まれ変われなくなります。
すると、キメが乱れたり、古い角質が溜まって毛穴が詰まったりしていきます。そういった不調の積み重なりが、くすみやニキビ、吹き出物などの肌荒れとして表れます。
食物繊維の摂取量目安
不足することで不調をもたらす食物繊維ですが、どの程度摂取すべきなのでしょうか。
厚生労働省発表の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では以下のように定めてられています。
- 成人男性:1日に20g以上
- 成人女性:1日に18g以上
また、食物繊維は「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類に分けられます。理想は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方をバランス良く食べること。以下で、2つの違いを紹介しますので、両方をバランス良く摂取するように心がけてください。
- 水溶性食物繊維:舌触りがネバネバ・ヌルヌルしているのが特徴で、こんにゃく、アボカド、ワカメなど、繊維が柔らかい野菜や果物、海藻類に多く含まれています。血糖値の上昇を抑制する作用や、整腸効果などがあります。
- 不溶性食物繊維:糸状の繊維質で舌触りがザラザラしているのが特徴で、穀類や繊維の硬い野菜、根菜、キノコや豆類などに多く含まれています。便通を良くする働きや、有害物質の吸着・排泄を促す作用などがあります。
糖質制限中におすすめの食物繊維が豊富な食材
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維、それぞれの食物繊維が豊富に含まれるおすすめの食材を紹介します。同じ食物繊維でも、水溶性と不溶性では多く含まれる食品が異なるため、様々な食品からバランスよく摂取するよう心がけてください。
食物繊維は「水溶性1:不溶性2」の割合での摂取が理想
慢性便秘症の患者に水溶性食物繊維の一種であるポリデキストロースを摂取してもらったところ、排便に対して最もよい結果が得られたのは水溶性食物繊維7g、不溶性食物繊維14gの割合であったという研究結果があります。
そのため、「水溶性1:不溶性2」の割合を目安に、不溶性食物繊維の方を多めに摂取しましょう。
水溶性食物繊維が豊富な食材
水溶性食物繊維は、果物や繊維が柔らかい野菜、芋類、海藻、キノコなど、ネバネバ・ヌルヌルした食感が特徴的な食材に多く含まれている傾向にあります。
ただし、糖度の高い果物や芋類には糖質が多く含まれていることもあるため、ご注意ください。
- 100gあたりに含まれる水溶性食物繊維量(g)
果物 | 野菜 | 芋類 | キノコ |
キウイ(0.7) | オクラ(1.4) | じゃがいも(0.6) | なめこ(1.0) |
アボカド(1.7) | ごぼう(2.3) | さつまいも(0.6) | しいたけ(0.4) |
レモン(2.0) | にんにく(4.1) | 里芋(0.8) | えのき(0.4) |
※文部科学省:食品成分データベースより(海藻の詳細データなし)
不溶性食物繊維が豊富な食材
不溶性食物繊維は、繊維の硬い野菜やキノコ類、豆類、乾物など、舌触りがザラザラしていたり、繊維がしっかりしていたりする食材に多く含まれています。
ただし、レンコンやたけのこなどの根菜には糖質が多く含まれていることがあるため、注意しましょう。
- 100gあたりに含まれる不溶性食物繊維量(g)
野菜 | キノコ | 豆類 | 乾物 |
ごぼう(3.4) | しめじ(3.4) | 納豆(4.4) | 切り干し大根(16.1) |
たけのこ(2.5) | エリンギ(3.2) | おから(11.1) | 干ししいたけ(38.0) |
レンコン(1.8) | しいたけ(3.8) | 枝豆(4.6) | かんぴょう(23.3) |
※文部科学省:食品成分データベースより
糖質制限中に足りない食物繊維はサプリで補う
食事だけで必要な食物繊維を摂取するのが難しい場合は、不足分をサプリで補うのも有効です。
食物繊維のサプリは、主に「粉末タイプ」「ドリンクタイプ」「錠剤タイプ」の3種類があります。飲みやすさや携帯性などから、ライフスタイルに合わせて続けやすいタイプを選びましょう。
ただし、食物繊維は過剰摂取すると、かえって腸の調子を悪くしてしまう恐れがあります。サプリを飲む場合は、記載されている使用量を守るようにしてください。
まとめ
糖質制限を行うと意図せず不足してしまいがちな食物繊維ですが、食物繊維が不足すれば便秘などの不調につながるため、しっかりと補うようにしましょう。
食物繊維は野菜や海藻、果物などに豊富に含まれていますが、糖質制限中は糖度の高い果物や根菜など糖質の高い食材を摂取し過ぎないよう注意することが大切です。
糖質制限中は糖質を控えることで、食物繊維のように連鎖的に控えられてしまう栄養素もあります。意識的に補うようにしなければ思わぬ不調をもたらすため、糖質制限ダイエットを成功させるためには栄養に対する深い理解が必要となってきます。
TOREMOでは糖質制限に関するさまざまな記事を用意しています。医師・管理栄養士監修の元、正しい糖質制限に関する情報を発信しております。
TOREMOで得た情報をもとに、ぜひ糖質制限に取り組み理想の体を手に入れましょう。
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