糖質制限は「カロリー」ではなく「糖質」の摂取量に制限を設けるダイエット法です。
とはいえ、カロリーを完全に無視するのはダイエットを成功させる上で得策ではありません。
そこでこの記事では、カロリーを上手にコントロールする方法をお伝えするべく、「糖質制限中にカロリーを摂り過ぎてしまう原因」や「1日当たりの目安の摂取量」を解説します。
糖質改善ダイエットに「カロリー」は関係ない?
冒頭でもお伝えした通り、糖質制限ダイエットではカロリー摂取量ではなく、糖質の摂取量を制限することでダイエットを行います。
とはいえ、糖質制限に「カロリーは関係ない」というのは言い過ぎかもしれません。いくら糖質の量を制限したとしても、結果的に消費カロリーよりも摂取カロリーの方が多ければ、太ってしまいます。
糖質を控えることで、血糖値の上昇を防ぎ、さらにはインスリンの分泌を抑えることで「余った糖質が脂肪になるのを防ぐ」のが糖質制限ダイエットの仕組みです。
インスリンというホルモンは、「糖質(ブドウ糖)を脂肪に変えて溜める」働きがあります。このインスリンは血糖値を正常に保つために、血糖値が上昇すると膵臓から分泌されるようになっています。
そのため糖質を控えると、結果的にインスリンの分泌を抑えられ、脂肪の蓄積が防げるというわけです。
カロリー摂取量が少な過ぎると「リバウンド」しやすい2つの理由
上で述べたように、カロリーを摂り過ぎると肥満につながってしまいますが、反対にあまりにも摂取カロリーが少なくなると、リバウンドのリスクが高くなってしまいます。
- ホメオスタシス機能により体が「省エネ」モードになるから
- 筋肉量が低下して基礎代謝量が少なくなるから
理由1.ホメオスタシス機能により体が「省エネ」モードになるから
カロリー不足の状態になると、体は生命が脅かされていると認識し、飢餓状態を乗り越えるために、食物からのエネルギー吸収率を高めたり、消費エネルギーを節約したりして、体重が落ちないようにブレーキをかける「省エネモード」に移行します。
この省エネモードになる機能は「ホメオスタシス機能」と呼ばれる、人間の体の状態を一定に保つための働きです。ホメオスタシス機能は他にも体温や血糖値などの維持にも働くため、生きる上で必要な機能ではありますが、ダイエットにおいては停滞期をもたらす要因の1つになります。
食物からのエネルギー吸収率を高め、消費エネルギーを節約している状態では、脂肪がつきやすくなっています。そのためホメオスタシス機能が働いているなかで、普段通りの食事に戻してしまうとリバウンドの可能性が高まります。
糖質制限をする以上、どうしてもホメオスタシス機能は作用しやすいものですが、ホメオスタシス機能の働きを少しでも抑制するために、糖質量に加えて、カロリーまで厳しく制限するようなことは避けた方が良いでしょう。
理由2.筋肉量が低下して基礎代謝量が少なくなるから
糖質制限中、糖質の代わりにエネルギー源となるのはタンパク質や脂質ですが、カロリーを制限するあまり、タンパク質や脂質も不足してしまうと、筋肉中にあるタンパク質が分解されエネルギーとして利用されることがあります。
筋肉中にあるタンパク質が分解されれば、筋肉量は減少。それに伴って基礎代謝量も少なくなります。
呼吸や体温調節などの生命維持で消費されるエネルギーのことで、1日の消費カロリーのうち約6〜7割を占めます。基礎代謝は、臓器や脳、筋肉などで、それぞれ消費されますが、このうち消費量をコントロールできるのは筋肉しかないため、基礎代謝量を増やすためには筋肉量を増やすしかありません。
基礎代謝により消費されるエネルギー量が少なくなれば、太りやすくなり、リバウンドの可能性が一気に高まります。
糖質制限中における1日あたりの摂取カロリー量の目安
カロリーの摂取量は多過ぎても、少な過ぎてもダメ。では、糖質制限をする場合、1日あたりの摂取量はどのくらいに設定すれば良いのでしょうか?
糖質制限ダイエットの本質は糖質量を制限することにあるため、それほど神経質にカロリーを気にする必要はありませんが、当然カロリーを過剰に摂り過ぎると太ってしまうため、ここで紹介するカロリーの目安摂取量を覚えておくと良いでしょう。
1日にどのくらいのカロリーを摂取すべきかの基準は、厚生労働省が発表している「推定エネルギー必要量」を目安にしてください。「年代」「性別」「運動レベル」から1日に必要なおおよそのカロリーが算出できます。
- 生活のほとんどが座位:低い
- 座位中心の仕事だが、立位の作業や通勤・買い物・家事、軽い運動を行う:普通
- 移動や立位の多い仕事、もしくは運動の習慣がある:高い
◆推定エネルギー必要量(kcal/日)
性別 | 男性 | 女性 | ||||
運動レベル | 低い | 普通 | 高い | 低い | 普通 | 高い |
18~29歳 | 2,300 | 2,650 | 3,050 | 1,650 | 1,950 | 2,200 |
30~49歳 | 2,300 | 2,650 | 3,050 | 1,750 | 2,000 | 2,300 |
50~69歳 | 2,100 | 2,450 | 2,800 | 1,650 | 1,900 | 2,200 |
例えば運動レベルが普通の20代女性であれば、1日に1,950kcalは摂取すべきということになります。この数値を超えるとカロリーオーバーになりますが、逆にこれより低くならないようにも気をつけましょう。
糖質制限中の「脂質」の摂りすぎはカロリーオーバーにつながる
上で紹介したように、糖質制限の本質は糖質量の制限にあるため、カロリーを細かく管理する必要はありませんが、当然ながら消費カロリーを摂取カロリーが上回れば、肥満につながります。
糖質制限中によくあるカロリーオーバーの原因として、最も大きなものは脂質の摂り過ぎでしょう。
糖質制限ダイエットでは、糖質の代わりにタンパク質と脂質でエネルギーをまかなうことになりますが、脂質は1gあたり9kcal(糖質とタンパク質は1gあたり4kcal)もあるため、摂り過ぎは禁物です。
総摂取カロリーのうち脂質の割合は多くても30%以内にとどめるように意識すると良いでしょう。
まとめ
糖質制限ダイエットは効果が比較的早く出ることもあり、人気のダイエット法ですが、糖質制限とカロリー制限では考え方が大きく違います。
ダイエット=カロリーは抑えるものと思われるかもしれませんが、糖質制限ダイエットではこまめに考える必要はありません。とはいえ、よく食べる方や反対に小食の方はカロリーを摂り過ぎたり、摂らな過ぎたりすることがないよう注意しましょう。
糖質制限とカロリー制限では控えるべき食材が全く異なるため、慣れないうちは困惑するかもしれません。栄養を考慮しながら毎日食事を取るのが難しい場合や、ぜひTOREMOを参考にしてみましょう。
TOREMOでは糖質制限に関するさまざまな記事を用意しています。医師・管理栄養士監修の元、正しい糖質制限に関する情報を発信しております。
TOREMOで得た情報をもとに、ぜひ糖質制限に取り組み理想の体を手に入れましょう。
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