最近、テレビなどでもよく耳にする糖質制限ダイエット。「主食である炭水化物を抜くダイエット」というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、厳密に言えば、糖質と炭水化物は異なる栄養素です。
また、糖質制限ダイエットをする場合は、糖質と炭水化物の定義の違いを知っていなければ、下痢や便秘を引き起こしてしまう可能性もあります。
そこで、今回は糖質と炭水化物の違いや、糖質制限中の炭水化物の目安摂取量、糖質制限中になる下痢・便秘と炭水化物の関係についてご説明します。
炭水化物と糖質の違い
炭水化物と糖質は混同されがちですが、炭水化物というのは、「糖質」と「食物繊維」の総称です。
糖質:三大栄養素の1つで、脳や体を動かすエネルギーになるが、摂り過ぎると余剰分が脂肪となる。
食物繊維:脂肪にはならないだけでなく、コレステロール値を下げたり便秘を改善したりする効果がある。
したがって、「炭水化物抜きダイエット」では、「糖質」だけではなく、「食物繊維」の摂取量も減ってしまいやすい傾向にある点が、「糖質制限ダイエット」との違いだと言えます。
糖質制限ダイエットにおいては糖質と食物繊維は分けて考え、糖質のみを制限するのが一般的な方法です。
糖質制限中の1日あたりにおける炭水化物摂取量の目安
糖質制限をする場合は、食品に含まれる糖質量を把握するために栄養表示を見るかと思いますが、場合によっては、「糖質量」ではなく、「炭水化物量」と表記されていることもあります。
そのため中には、炭水化物の摂取量をコントロールすることで、糖質の摂取量をコントロールしているという方もいらっしゃるでしょう。
糖質制限中の1日あたりにおける炭水化物摂取量は、生活習慣や性別、運動量によって異なります。
以下に、炭水化物の摂取目安量を算出する方法をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
- 生活のほとんどが座位
- 座位中心の仕事だが、立位の作業や通勤・買い物・家事、軽い運動を行う
- 移動や立位の多い仕事、もしくは運動の習慣がある
上記表の運動レベルを下の表に当てはめることで、1日あたりの必要エネルギーの目安がわかります。
運動レベル | 成人女性 | 成人男性 |
1 | 1700kcal | 2300kcal |
2 | 2000kcal | 2500kcal |
3 | 2200kcal | 3000kcal |
通常は上記エネルギーのうち、60%程度を炭水化物から摂取しています。糖質制限を行う場合は、自分のペースでこの割合を50%、40%……という風に、段々と減らしていくようにしましょう。
例えば、運動レベル2の成人女性(エネルギー必要量2000kcal)が、炭水化物量を40%まで落とす場合、炭水化物から得られるエネルギーは2000kcal×0.4=800kcalとなります。
炭水化物は1gあたり4kcalなので、グラムに換算すると200gは炭水化物を食べても大丈夫という計算になります。
食事の糖質量を計算する際は、食品の成分表を見て炭水化物量から食物繊維量を引いて糖質量を割り出しましょう。
糖質制限を行うレベルごとに糖質の摂取量目安は異なります。いきなりガクッと糖質量を下げず、まずはスタンダードもしくはプチ糖質制限から始めることをおすすめします。
- スーパー糖質制限:1日の糖質摂取量は、30〜60gを目標。【三大栄養素の目安】 糖質12%、タンパク質32%、脂質56%、
- スタンダード糖質制限:1日の糖質摂取量は、70〜100gを目標。【三大栄養素の目安】 糖質27%、タンパク質28%、脂質45%
- プチ糖質制限:1日の糖質摂取量は、110〜140gを目標。【三大栄養素の目安】 糖質41%、タンパク質21%、脂質38%
糖質制限中の主食におすすめの食品
炭水化物の摂取を抑えようと、主食であるご飯や麺類などの穀類を控える方が多いでしょう。
主食(炭水化物)の代用としては、肉類・魚・卵・大豆製品などの食品を満遍なく食べることをおすすめします。
揚げ物は脂質が多いだけではなく、小麦粉が糖質を多く含むため、調理方法としては「茹で・蒸し・焼き」などが良いでしょう。
大豆製品である豆腐は味が淡白なため、糖質制限中における主食の代替品としてうってつけです。植物由来の良質なタンパク質や脂質がバランス良く含まれているうえに、ビタミン・ミネラルも豊富です。
また、ひと手間かかりますが、挽肉と豆腐を混ぜて作る肉団子やハンバーグなどもおすすめです。水分が漏れ出す心配もないため、お弁当に入れても大丈夫なメニューとなります。
味付けの際は、ケチャップやオイスターソース、ウスターソースなどは糖質が多いため、使い過ぎないよう注意しましょう。
糖質制限中に下痢になりやすいのは食物繊維の摂取量が減るから
糖質制限を行うと、下痢や便秘に悩まされる方もいらっしゃいますが、糖質制限中に下痢になってしまう原因の1つに、炭水化物の摂取量が減少することが挙げられます。
というのも、糖質を制限するために炭水化物を控えたことで、炭水化物に含まれる食物繊維の摂取量が減り、腸内環境のバランスが崩れてしまいやすくなるからです。
食物繊維には便秘や下痢などを予防し、腸の働きを助ける効果があります。そのため、食物繊維を摂る量が減ってしまうと、下痢や便秘などが起こりやすくなってしまうのです。
また、下痢の原因となる腸の悪玉菌は、「タンパク質や脂質が中心の食事」「不規則な生活」「各種のストレス」などによって増えることが知られています。
これらのことから、食物繊維が不足していることで、下痢になっていると考えられます。主食となる穀類を抑えている方は、いつもより食物繊維を積極的に摂るよう意識することが大切です。
- 成人男性:1日20g以上
- 成人女性:1日18g以上
食物繊維は野菜類・根菜類・海藻類などに多く含まれている栄養素です。ダイエット中は特にこれらの食材を積極的に食べましょう。
まとめ
糖質制限というと、とりあえず炭水化物を抜けば大丈夫と思われるかもしれません。
しかし、炭水化物とは糖質と食物繊維の総称です。食物繊維が不足することで、下痢や便秘に悩まされることも考えられるため、炭水化物を控えた分しっかりと食物繊維を補うようにしましょう。
また、ダイエットの基本は摂取エネルギーが消費エネルギーを下回ることです。糖質を制限していれば勝手に痩せていくというわけではありません。
糖質を抑えながら、バランスの良い食事を行い、適度な運動を行うことでダイエットとなります。正しい知識を持って行わなければ、糖質制限ダイエットの成果を得られないことも十分に考えられます。
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